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Google Cloud での SAP

Google Cloud 上の SAP を使用して日用品業界を変革

2021年6月22日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックが起こる以前から、日用品業界は厳しい状況にありました。消費者がブランドとの関係において、常にパーソナライズされたシームレスな経験を期待するようになったのです。さらに、消費者は日用品ブランドに対し、持続可能性、社会的責任、透明性に関する高まる基準を満たすことを期待しています。ビジネスモデルも変化しつつあります。従来のモデルに代わり、直販(D2C)やサブスクリプション モデルが支持されるようになりました。日用品業界に常に存在する利幅へのプレッシャーと、世界規模のパンデミックがあいまって、業界は混乱の嵐となりました。

大手日用品メーカーはこのような変化に対して、新たなテクノロジーの可能性に投資し、クラウドの力を活用してデジタル企業を構築することで対応しています。こうすることで、運用コストの削減、イノベーションの迅速化、マーケティング ROI の改善、透明性と持続可能性の向上など、さまざまなメリットを通じて価値を引き出せます。SAP を利用する企業がこれらのメリットを享受するには、SAP を中心としたデジタル企業を構築する必要があります。

日用品産業が Google Cloud 上の SAP に期待できること

SAP は、日用品企業のほとんどの企業機能において、中核となるビジネス プロセスを推進しており、これらのオペレーションをモダナイズすることは、次のレベルのデータおよび分析能力を引き出すための第一歩となります。SAP を核としたデジタル企業を構築するには、将来にわたって SAP ワークロードをサポートし、最適化できる Cloud Platform 上のデジタル基盤を構築する必要があります。そこから日用品企業は SAP データとその他のデータ信号の組み合わせを活用して、クラウドの高度な分析機能を利用した価値の高いユースケースのサポートが可能になります。

日用品企業がこの情勢においてデジタル企業を成功させられるのは、クラウド技術が提供する比類なきアジリティ、セキュリティ、スケーリング、柔軟性といったクラウドの力があってこそです。消費者ブランドは、SAP などの中核的なエンタープライズ アプリケーションを含むアプリケーションのホストとして、ますます Google Cloud を利用するようになっています。これにより、スマート分析と機械学習を通じてビジネスのアジリティを促進し、データの価値を最大化することを目指します。Google Cloud は SAP のデプロイを簡素化し、SAP の機能を統合、強化する一連のアプリケーションを提供することで、SAP ご利用のお客様のデジタル基盤を確立します。Forrester が行った SAP をご利用のお客様に対する Google Cloud の経済的価値の総計に関する調査によると、平均的な投資回収率は半年で、総 ROI は 160% 以上になることがわかりました。Google Cloud での SAP 利用を開始すると、以下のことが可能になります。

  • インサイトの最大化
    日用品企業のデータは、多くの場合、さまざまなシステムに散在しています。Google の BigQueryLooker などの分析ツールを使用すると、SAP システムのデータを広告、マップ、ショッピング、Google マーケティング プラットフォームといった他の Google データ信号と統合することで、企業は顧客、運用、ビジネスのデータを大規模に関連付けることができます。この貴重なデータは完全に民主化されており、複雑なクエリを迅速に完了することができるため、企業はインサイトを明らかにして分析し、お客様とビジネスのエンドツーエンドの視点を得られます。

  • インテリジェントな組織を構築
    Google の AI と機械学習機能により、企業は組み込みのインテリジェンスを作成できます。AI や機械学習はトレンドに対応するだけでなく、正確な予測が可能です。マーケティング チームはこれによりプロモーションやマーケティング費用の効果を判断できます。予測に基づくと、製品の在庫数や補充のタイミングをより計画的に考えられます。サプライ チェーンの最適化では、外部のデータソースを利用して在庫を細かくモニタリングし、在庫切れをなくすことができます。

  • 将来に向けたビジネスを設計
    Google Cloud 上で SAP システムを運用することで、ビジネスの成長や日用品市場の発展に合わせて迅速にスケールできる、アジャイルで安全な高可用性の環境を実現します。IDC の最近の調査で、Google Cloud 上の SAP デプロイにより 3 年間の運用コストが 46% 低下、計画外のダウンタイムの頻度が 83% 減少、IT チームの効率が 56% 向上したことが示されました。これにより IT リソースは革新と顧客中心主義への移行が可能になります。

  • 持続可能性の実現
    地球規模で、持続可能性を考慮した商品の需要が高まっています。気候変動の影響やプラスチックごみの増大が、このトレンドに拍車をかけています。消費者はソーシャル シグナルに敏感になり、日用品企業側も最新の注意を払ってトレンドを観測しています。持続可能な IT はその第一歩となります。業界随一のクリーンなクラウドである Google Cloud にアプリケーションを移行することで大きな前進となります。Google は 1998 年に設立して以来の炭素排出量を事実上ゼロにしており、2017 年以降、再生可能エネルギーで消費電力の 100% を賄うことに成功しています。Google Cloud を使用すると、AI および ML ツールが無駄を減らし、積極的なグリーン イニシアチブをサポートするリアルタイムでの意思決定力を提供するため、SAP 導入企業は持続可能性のコンプライアンスとビジネスの目標をさらに推進できます。

Google Cloud に SAP を導入してから精力的に活動する Rémy Cointreau

Rémy Cointreau は家族経営の国際的な高級蒸留酒メーカーであり、製造に 100 年を要する商品も扱っています。しかし、この長い製造サイクルは、競争の激しい今日のプレミアム飲料ブランド市場において、頭を悩ますユニークな課題をもたらしました。1724 年以来、同社はお客様第一で経営をしてきました。そして 2020 年、クラウドが提供でき得る価値を活用できていないことに気づき、その移行をサポートするビジネス パートナーを探し始めました。

同社が Google Cloud を選んだのには多くの理由があります。まず、SAP のバックボーンを Salesforce などの主要な SaaS アプリケーションへと接続できることでした。これにより e コマースプラットフォーム、SAP、Salesforce 間のデータを全方位から見ることができ、ブランドの本質を反映する洗練された体験をお客様に提供できます。同社は、意思決定の原動力となる貴重な SAP システムのデータに簡単にアクセスできるようになったことで、財務、製造、サプライ チェーン機能において、よりアジャイルに行動できるようになったことにすぐに気が付きました。同社の CTO である Sebastien Huet 氏は次のように述べています。「我々は完全に Google Cloud Platform にデプロイしており、不可能なことはありません。統合環境を通じて複数のソースからデータを抽出し、数日で分析できます。何かの価値を確かめるために、3 か月間のプロジェクトを組む必要はもはやありません。」

今日のオンデマンドやオムニチャネルの世界では、日用品ブランドが消費者を理解するだけでは十分ではないのです。Rémy Cointreau のような企業にとって、消費者の好みを予測し、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供することが、非常に重要な使命となります。すべてのデータを戦略的資産として扱い、データサイロを解消してリアルタイムのビジネス インテリジェンスを実現することで、インサイトにたどり着くまでの時間を短縮できる企業が勝者となるでしょう。Google Cloud 上の SAP は、日用品産業の消費者との関係、そしてビジネスの成果に変革をもたらします。

日用品ブランド運営を変革する準備はできましたか。こちらの動画、SAP CPG のお客様に向けたホワイト ペーパー電子書籍もぜひご活用ください。Google Cloud 上の SAP を利用して効率を高め、成功したビジネスの例をご参照ください。


-Google Cloud 日用品ソリューション担当バイス プレジデント Giusy Buonfantino

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