Google Cloud での SAP の今後 - SAPPHIRE NOW とそれ以降
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年は、ほとんどの企業にとって急速な変化の年となりました。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック、持続可能性への注目の高まり、サプライチェーンの混乱、その他の危機的状況により、あらゆる企業が適応、進化し、革新のペースを速めるという課題を突き付けられました。
そして今日、職場の急速な変革、デジタル カスタマー エクスペリエンスの向上、企業の IT 投資からの価値創出の重視など、あちこちでその成果が見受けられるようになりました。SAP を実行している企業(Forbes Global 2000 企業の 90% 以上)では、大規模な方法と段階的な方法の両方で、結果的にクラウドへの投資が加速しました。
Whirlpool Corporation のシニア バイス プレジデント兼 CIO である Dani Brown 氏は、次のように述べています。「Google Cloud との戦略的関係を強化して、従業員にクラウド生産性ソリューションを提供し、最も重要なビジネス システムとアプリケーションを安全で効率的かつ持続的に提供できるようになることを嬉しく思います。」
Google Cloud では Whirlpool Corporation のような企業を数多く支援しています。たとえば、Vodafone の SAP 環境のクラウドへの移行、他の SAP のお客様の中心となる SAP ワークロードの大幅なスケーリング、Google Cloud での SAP による ERP システムのモダナイゼーションの支援などが挙げられます。
今週、SAP 主催のカンファレンス SAPPHIREが始まり、今後 10 年、さらにそれ以降の成長に向けて、企業はこれまで以上に重要な機会を構築できると確信しています。ここでは、Google がこのような変革をサポートするために、お客様、SAP、Google のパートナーとどのように連携しているかをいくつかの例を通してご紹介します。
「RISE with SAP」のサポート
Google Cloud は、SAP が年初に開始した「RISE」イニシアチブで SAP と提携しており、クラウドで SAP を使用してお客様のビジネス変革を加速できるよう支援しています。Google は SAP のアプローチに厳密に沿って、お客様がアプリケーションやシステムをクラウドに簡単に移行できるようにすると同時に、リスクとコストを最小化し、価値創出までの時間を短縮できるよう協力していきます。
プライベート クラウドでもハイブリッド環境でも、あるいは大規模なクラウド移行であっても、クラウドでの SAP に向けて合理化されたパスを提供することで、お客様が柔軟でスケーラブルなクラウド インフラストラクチャ、最先端の AI、ML、分析機能、ダウンタイムを排除するライブ マイグレーション機能、Cloud Acceleration プログラム(CAP)などのサービスのメリットをすばやく享受できるように支援します。CAP では、SAP のお客様に Google Cloud とそのパートナーの両方のソリューションを提供し、移行の単純化を図ります。また、Google Cloud はインフラストラクチャ費用を負担する金銭的インセンティブを提供して、移行中に二重の費用がかからないようにお客様を支援しています。
SAP データを有益な分析情報に変換
SAP のような組織のビジネス システムには通常、膨大な量の貴重なデータが含まれており、多くの場合、活用されずに眠っています。現在、Google ではお客様が SAP Enterprise アプリケーションや SAP HANA、その他のソースのデータを BigQuery に簡単に取り込めるコネクタを提供しており、これを使用すれば、単一のクラウドまたはマルチクラウド環境全体でデータを収集、統合、分析、管理できます。このデータを Google Cloud の BigQuery に取り込むことで、お客様は大量のライブデータを保存して迅速に分析情報を取得できるようになるだけでなく、Looker で分析情報を可視化して、最終的に重要なビジネス上の意思決定に役立てることができます。
The Home Depot の企業システム担当バイス プレジデントである Sam Moses 氏は、次のように述べています。「BigQuery をエンタープライズ データ ウェアハウスとして利用するようになってから、SAP データをより効率的に活用できるようになりました。そのうえ、データと分析の観点からも、より適切かつ迅速にアクセスできるようになり、ビジネス上の意思決定の速度が飛躍的に向上しました。」
The Home Depot について詳しくは、SAPPHIRE での Sam Moses 氏と、Google Cloud のソリューション エンジニアリング、テクノロジー ソリューションおよび戦略担当バイス プレジデントである Abdul Razack の 談話をご覧ください。
BigQuery で SAP データをよりスマートで価値のあるものに
より高度な分析ニーズに対応するために、SAP のお客様の多くは、BigQuery の AI や ML 機能を利用したり、予測分析の力を活用したり、ペタバイト規模のデータセットを以前よりも高速に処理したりと、スマート分析の優れたメリットを享受しています。Southwire の PMO & ITS 計画および実装担当シニア ディレクターである Joe Schleupner 氏は、次のように語ります。「今では、これまでに経験したことのない、BigQuery などの多くの新しいテクノロジーをすばやく利用できるようになりました。パターンをすばやく検出し、データから分析情報を収集して、新しいソリューションを考え出し、そして可能性を実現する方法を見つけ出すことができます。」
Google の最優先事項の一つは、SAP データを BigQuery に取り込むために必要なツールをお客様に提供することです。データが Google Cloud、オンプレミス、または別のパブリック クラウドのどこにあっても、お客様は Google Cloud の SAP 用 BigQuery コネクタを介してデータを BigQuery に簡単にインポートして、データセットの分析をほぼリアルタイムに行うことができます。このコネクタにより、SAP のお客様は信頼性の高いデータドリブンの分析情報を迅速に提供するソースを得られ、よりスマートなビジネス上の意思決定の基盤を築くことができます。
テクノロジーの革新とパートナーとの連携の強化
Google Cloud は、SAP のお客様がよりスマートなクラウドでデジタル変革を推進できるように、新しい機能を構築し続けています。また、パートナーのエコシステムとこれまで以上に協力して、お客様の SAP 環境のスケーリングを支援し、新しい価値の源泉を解き放ち、Google Cloud で安全性を維持できるように取り組んでいます。
永続ディスクでストレージ コストとパフォーマンスのバランスを取る
Google Cloud の新しいバランス永続ディスク(PD)サービスにより、SAP のお客様は SSD ベースの PD コストとパフォーマンスのバランスを取ることができます。この場合、ビジネス クリティカルなアプリケーション サーバーは、本番環境の HANA システムを実行するために必要な SSD ストレージよりも 1 GB あたりのコストが 60% 近く低いコストで実行されます。また、すべての Google Cloud SSD ストレージで読み取り / 書き込みパリティがサポートされるようになったため、ストレージ エンジニアは、SAP ストレージ インフラストラクチャをプロビジョニングするときに読み取り IOPS と書き込み IOPS の差を計算する必要がなくなりました。
HANA のスケーリングに役立つ最大のコンピューティング構成
HANA OLTP および OLAP 環境を実行している SAP のお客様向けの新しいコンピューティング ファミリーにより、コストやパフォーマンスを犠牲にすることなく簡単にスケールできるようになりました。これらのオプションには、12 TB スケールアウト ソリューション、18 TB および 24 TB スケールアップ ソリューション、6 TB VM および 12 TB OLAP ソリューションがあり、いずれも長期的な成長に向けた手頃で実用的なソリューションとなっています。
Apigee で SAP のお客様に安全な API への道筋を提供して信頼性の高いデジタル エクスペリエンスを実現
Google の Apigee API 管理ソリューションにより、SAP のお客様は、信頼性の高いスケーラブルな方法で、SAP システムとの API ベースの統合を管理し、ビジネスデータから価値を引き出して、デジタル エコノミーの新たな変化する要求に対応できます。Apigee API 管理により、お客様は API をモニタリングして収益化できるため、連携または共有サービスのビジネス環境では利益が得られる可能性があります。さらに、Apigee API 管理は SAP インターフェースを抽象化して、基盤となる SAP システムをクラウドにシームレスに移行できるようにするため、SAP データに依存する周囲のシステムが中断されることはありません。
Actifio で SAP のお客様向けに安全な移行パスを作成
2020 年の末、Google Cloud は Actifio の買収を発表しました。Actifio は SAP 環境のバックアップと障害復旧(DR)のリーダーで、SAP のお客様のより迅速な移行と、移行プロセス中のリスク軽減を支援しています。Google では、Actifio を使用して新しい SAP Migration Quickstart サービスを強化しています。Google はお客様と協力して Actifio で本番環境と同様の SAP 環境のコピーを生成し、このスナップショットをオンプレミス環境から Google Cloud に移行します。
SAP パートナーの努力と活躍
Google のパートナーは、クラウドへの移行の重要な局面において、実装の課題を解決し、SAP との相互運用性と統合を促進して、Google Cloud でより迅速に費用対効果を得る方法を見つけるために、一層の努力を重ねています。
スマート アナリティクスで差別化を図る: Informatica、Qlik、Datavard、SoftwareAG などの多くの Google Cloud パートナーは、Google Cloud の分析プラットフォームを使用して、イノベーション、柔軟性、パフォーマンスの水準を引き上げ続けています。また、データ分析で企業のバランスシートを超えて効果を得る方法を示しています。たとえば、Qlik は、同社の顧客が SAP データと Google Cloud 分析を使用して環境の持続可能性イニシアチブをサポートできるよう取り組んでいます。
SAP が内包する新しい価値の源泉を解き放つ: OpenText は、Google Cloud の情報管理(IM)ソリューションとして選ばれて以来、SAP のお客様にその価値を実証してきました。たとえば、OpenText は構造化されていないドキュメント データを管理し、その情報をどの SAP 業務プロセスでもユーザーに直接提供します。また、構造化されていないドキュメント データを豊富な新しい分析価値の源泉へと変えて、効率性の飛躍的向上、コスト削減、リスク軽減を促進します。このようにして、OpenText は SAP のお客様にインテリジェントな企業になるための強力な新しい方法を提供しています。
一緒に歩みましょう
SAP と Google Cloud から得られるものは他にも多くあります。今週開催される SAPPHIRE で Google の仮想ブースにぜひお越しください(最初にこちらで登録)。お客様のクラウドへの移行を簡素化、最適化するという Google Cloud の継続的な取り組みについて紹介し、Google Cloud が SAP のお客様に、お客様を優位にするパフォーマンス、信頼性、そして価値をもたらす理由について深く掘り下げて説明します。Google Cloud での SAPについての詳細や、Google Cloud での SAP デプロイについてのお客様の声をお聞きください。
-Google Cloud SAP 担当マネージング ディレクター Snehanshu Shah