SAP IBP と Google Cloud でサプライ チェーンの混乱に対処する方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
ほとんどの需要計画担当者にとって、同時に複数の混乱に対処することが日課になっているのではないでしょうか。需要予測を効果的に行うためには、それぞれに異なり、時に競合する以下のような要素を考慮しながら、予測不能な事態を予測する能力が必要です。
労働力や資材の不足
世界的な健康危機
海外の規制の変化
前例のない天候不順
サステナビリティへの取り組み強化
インフレの進行
イノベーターは、AI やデータ分析の高度な機能を組み込むことで需要予測の精度を向上させ、需要計画もスピードアップしたいと考えています。サプライ チェーンの経営者数十人を対象に McKinsey が調査を実施したところ、90% が今後 5 年以内にプランニング用の IT の見直しを行う予定で、80% がプランニングに AI や機械学習を活用する予定、もしくはすでに活用していることがわかりました。
Google Cloud は SAP と提携して、このような課題やサプライ チェーンの混乱にお客様が対処できるよう、上流の需要計画プロセスから支援し、統合されたエンジニアリング ソリューションを通じて予測の精度とスピードを向上させることに重点的に取り組んでいます。この提携により、SAP IBP for Supply Chain と Google Cloud サービスを組み合わせて使用する需要計画担当者は、増え続けるサードパーティのコンテキスト データのリポジトリにアクセスして予測を行うだけでなく、ワークフローを合理化し予測精度を向上させる AI を活用した手法も利用できるようになります。では、これらの機能について詳しく見ていきましょう。
SAP ソフトウェアからのデータを Google 独自のデータシグナルで統合
需要の予測や計画を行う場合、高品質で関連性の高いコンテキスト データを多く使用するほど成果が向上します。これは、製品販売の影響要因を理解して傾向を把握し、混乱への対処や市場機会の活用をより適切なタイミングで正確に行えるようになるためです。
Google Cloud と SAP の提携拡大により、SAP® Integrated Business Planning for Supply Chain(SAP IBP for Supply Chain)を使用するお客様は、Google Cloud が提供する一般公開データセットや商用データセットを自社の SAP IBP のインスタンスに取り込み、SAP IBP の需要計画モデルで使用できるようになりました。そのため、需要計画担当者は、SAP IBP で通常扱う販売履歴、プロモーション、関係者の情報、顧客データに加え、Google Cloud から広告のパフォーマンス、オンライン検索、消費トレンド、地域の健康に関するデータなど多くのデータシグナルを取り入れて、需要シナリオに取り組むことができます。
より多くのデータによって、より確実で正確なプランニングが可能になるため、Google はデータ プロバイダのエコシステムを構築し、Google Cloud で利用可能なデータセットの数を増やし続けています。現在のプロバイダの一部には、米国国勢調査局、米国海洋大気庁、Google Earth などが挙げられますが、企業がリスクを特定および軽減し、回復力のあるサプライ チェーンを構築できるよう、Crux、Climate Engine、Craft、Dun & Bradstreet との提携も進めています。
より正確な予測を推進するための第一歩となるのが、追加の外部要因データによる需要計画の補強です。たとえば、地域で開催されるイベントや、商品の売上に影響を与える天候パターンを把握することで、十分な供給ができるようになり、それらの変化に迅速に対応できます。その結果、全体的な計画をより正確に立てることができ、リソースの浪費や在庫切れを削減できます。計画担当者は、拡張されたデータに基づいて、販売、価格、調達、生産、在庫、物流、マーケティング、広告などに関し、より正確できめ細かい日々の予測を使って対応できます。
Google AI でより正確な予測を取得
SAP IBP で利用できる広範なアルゴリズムをさらに拡張したバージョン 2205 のリリースを使用すると、SAP IBP のお客様は、予測プロセスの一環として、Vertex AI(Google Cloud の AI as a Platform サービス)上に構築された Google Cloud のサプライ チェーン予測エンジンに SAP IBP 内からアクセスできるようになります。
需要予測に AI を活用したエンジンを使用することのメリットは、予測精度を大幅に向上できる点にあります。今日のほとんどの需要予測は、手作業で設定されたルールベースのモデルによって行われていますが、AI を活用したモデルはより高度で、作業に応じて需要予測の精度を上げていきます。
合理化されたワークフローにより、最短経路でデータから価値を創出
Vertex AI は、需要計画のために関連するコンテキスト データセットを含めることができ、さらにその結果を SAP IBP で表示して、計画担当者がワークフローを構築する際に取り入れることができます。
より正確な予測に加え、計画担当者は潜在的なシナリオを構築する際に、より迅速かつ効率的に作業できます。これはつまり、現在よりも多くのシミュレーションを行い、幅広い混乱をモデル化できることを意味します。SAP IBP のお客様は、手間のかかる作業を行う必要はありません。SAP IBP のデータを Google と共有し、プロセス ワークフロー機能を使用して、組み合わせたデータを使用する自動化ワークフローを設定するだけで済みます。Google がデータを利用可能にするため、計画担当者は Vertex AI でワークフローを設定する際にそのデータを利用できます。
Google Supply Chain Twin と SAP IBP のユーザーは、IBP の豊富なプランニング データを SAP の追加データや他の Google データソースと組み合わせて、サプライ チェーンの可視性を向上させることができます。Google Supply Chain Twin は、販売履歴、お客様のオープン注文、過去や今後のプロモーション、価格や競合他社に関するインサイト、消費者履歴シグナル、外部データシグナル、Google データに基づいて、お客様のサプライチェーンをリアルタイムでデジタル表示します。
SAP IBP で Google データシグナルを活用し、より正確な予測を実現
これらの新機能の使用は難しいものではありません。また、より正確な短期的予測を行うことができ、SAP IBP と Google Cloud への投資からより多くの利益を得ることができます。6 月 6~8 日にフロリダ州オーランドで開催される Gartner Supply Chain Symposium に参加される場合は、ぜひ Google のブースにお立ち寄りください。または、今すぐ SAP IBP をご活用ください。