Google Cloud と SAP は大企業の大きな課題をどのように解決するか
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 5 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
オーランドでの SAP Sapphire の開幕にあたり、Google はお客様にお目にかかり、コアプロセスの効率化や顧客へのサービス提供を向上させる方法について話し合いたいと考えています。
現在世界が直面している最重要課題……それはサプライ チェーンの問題です。かつては店舗の棚を埋め尽くしていた一般的な家庭用品も、今は品薄状態が続いています。食品や医療などの必要不可欠な商品やサービスまで、あらゆる業界のあらゆるビジネスがサプライ チェーンの影響を受け、リスクにさらされています、クラウドネイティブの企業でさえ、お客様へのサービス提供を継続するために必要な分析情報、機器、その他のアセットを確保するために改善を行っています。
Google は、よりインテリジェントでサステナブルな企業経営を支援するための多くの取り組みにおいて SAP と協力し、お客様にメリットのある成果を上げています。このブログでは、これらの重要な取り組みの中から 3 つを取り上げ、グローバルなサプライ チェーンの課題に対する対処方法を紹介します。
重要なワークロードのより効率的な移行を可能にする
クラウド参入へのポイントは、オンプレミス環境から簡単に移行できる機能です。Google のクラウドは、Johnson Controls、PayPal、Kaeser Compressor などをはじめとする企業が、大規模で複雑なビジネスの問題をデジタル化して解決し、費用を削減し、投資のサイクルなしにスケーリングし、価値を引き出して成長を可能にする主要なサービスや機能にアクセスできるようにするための安全な経路を提供します。
シンガポールに拠点を置く海運会社 Ocean Network Express(ONE)は、ミッション クリティカルな SAP ワークロードを Google Cloud 上で実行し、Google のデータ分析を利用して業務効率の向上と迅速な意思決定を行うことで、アジリティの向上を実現しました。同社は、SAP S/4HANA からのデータの読み込みに丸一日かかっていたオンプレミスのデータ ウェアハウス ソリューションから、数分でビジネスの分析情報を提供する BigQuery ソリューションの利用へと移行しました。
The Home Depot は、重要な SAP ワークロードを Google Cloud に移行して以降、BigQuery を使用して社内外の大量のデータを分析することで、サプライ チェーンのユースケースを準備する時間を 8 時間から 5 分に短縮させています。これにより、予測精度が向上し、需要やサプライヤーの状況が予期せず変化した場合に新しい計画を立てることができるようになることで、より効果的な在庫補充ができるようになります。
RISE および LiveMigration でクラウドのメリットを促進
Google Cloud には、SAP やその他のミッション クリティカルなワークロードを Cloud に移行するための専用プログラム、SAP 向け Cloud Acceleration プログラムがあります。
Google は、Google Cloud に移行する SAP のお客様に LiveMigration を提供し、優れた稼働時間と事業継続性を実現します。LiveMigration では、インフラストラクチャの計画的なメンテナンスに必要なダウンタイムが排除され、Google Cloud がインフラストラクチャのメンテナンス アップグレードの実行を計画している場合でも、お客様の SAP システムは稼働し続け、ミッション クリティカルなワークロードの優れた事業継続性を確保できます。
Google は、移行プロセスに伴うリスクを最小化しながら SAP のグローバルな顧客ベースのクラウド移行を加速化する RISE with SAP プログラムの戦略的パートナーでもあります。このプログラムは、SAP とテクノロジー エコシステム パートナーによるソリューションとエキスパティーズを提供し、プロセス コンサルティング、ワークロード移行サービス、クラウド インフラストラクチャ、継続的なトレーニングとサポートを通じて企業の変革を支援するものです。ミッション クリティカルなワークロードを保護するために、SAP と Google Cloud は RISE with SAP プログラムの一環として、99.9% の稼働率 SLA を提供しています。
多くの大手メーカーが、RISE with SAP を活用して安全で実績のある Google のクラウドへの道筋を構築しています。その中には、一次電池、携帯用ライト、カーケア用品の製造販売を行う大手企業、Energizer Holdings Inc. も含まれています。Energizer は、SAP S/4HANA への移行を促進するために Google Cloud 上の RISE with SAP を採用しました。同社が目指すのは、重要なビジネス プロセスの自動化、カスタマー サービスの向上、そしてイノベーションの加速です。これまではプライベート クラウドを利用していましたが、費用を抑えつつ柔軟性を向上させる必要がありました。
「財務の中枢システム向けの SAP S/4HANA は、重要なビジネス プロセスを自動化し、カスタマー サービスを向上させ、当社のグローバル リーダーとしての地位を高めるためのイノベーションを促進するために役立ちます。当社では、SAP S/4HANA の使用開始にあたって、自分たちのペースで自由に、柔軟に行動するために RISE with SAP を選択しました」と Energizer の最高情報責任者、Dan McCarthy 氏は説明します。
もう一つの例は、グローバルな自動車販売会社の Inchcape です。同社はミッション クリティカルな営業、マーケティング、財務、業務のシステムとデータを Google Cloud に移行しました。多様なデータセットを単一の安全なクラウド プラットフォームに保存する Inchcape は、Google Cloud の AI と ML の機能を適用してデータの管理と分析、業務の自動化、そして最終的には数百万人の自動車所有エクスペリエンスを変革します。
「Google Cloud が SAP と密接な関係にあり、この分野での優れた技術的専門知識を有していることは、当社にとって大きな魅力でした。結局、当社は煩わしさのない RISE with SAP を実装し、すべての地域の自動車メーカーと消費者のために価値を引き出しながら、150 年の歴史を持つ当社のビジネスを、当社に合った方法でモダナイズする選択肢と柔軟性を持ち続けることを望んでいたのです」と Inchcape の最高デジタル責任者 Mark Dearnley 氏は言います。
すべての SAP Google Cloud のお客様のための新しいインテリジェンス レイヤ
ミッション クリティカルなワークロードをクラウドに移行する際は、安全に移行するだけでなく、迅速に価値を実現する必要がありますが、これを可能にするのが Google Cloud Cortex Framework です。これは、SAP Business Technology Platform(SAP BTP)と統合されるインテリジェンスのレイヤです。Google Cloud Cortex Framework は、分析シナリオのためのリファレンス アーキテクチャ、デプロイ アクセラレータ、統合サービスを提供します。
多くの e コマース大手企業と同様に、Mercado Libre も 2020 年のパンデミック中に誰もが自宅に避難していた間、トランザクションが 2 倍以上に急上昇し、さらなる成長が見込まれていました。Google Cloud Cortex Framework により、Mercado Libre はより効率的に対応および稼働でき、データドリブンで迅速な意思決定が可能になります。
世界中の組織をサポートする継続的なパートナーシップ
Google の長年にわたる SAP とのパートナーシップにより、お客様にとってエキサイティングなイノベーションが生まれ続けています。SAP と協力することで、お客様のグローバルなサプライ チェーンの継続的な課題への対処のお役に立てることを光栄に思います。今週の SAP Sapphire で新しい分析情報やイノベーションを共有し、皆様の計画や課題についてお話を伺って学び、クラウドへの変換に最も効果的な方法を説明させていただくことを楽しみにしています。
- Google Cloud、CEO Thomas Kurian