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ネットワーキング

クラウドでの音声取引 - 専用回線のデジタル トランスフォーメーション

2022年3月29日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 3 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google は、金融サービス業界のお客様と協力してきたこれまでの経験を活かし、大手インターディーラー ブローカーと提携を結びました。この提携において、コア音声取引インフラストラクチャのモダナイゼーションに関する共同イノベーションに取り組んでいます。同ブローカーの動機はシンプルでした。トレーダーがリモートで働くことができ、レジリエンスとスケーリングを備えた新しい拠点でのオンボーディングを簡単に実現でき、音声による文字変換や分析などの新しい機能を利用できるようにしたいと考えていました。同時に、クラウドベースの新しい音声ネットワークには、高い信頼性、高速性、そしてもちろん安全性を求めていました。この記事で、Google がたどり着いたソリューションについて詳しくご紹介します。

音声取引の現在

インターディーラー ブローカー、銀行、バイサイド間の音声取引市場では、中核となる取引機能として通信事業者から貸与された専用線と、ポイントツーポイントの専用回線を使用することで、取引先との継続的な通信を可能にし、取引所以外の場所で取引された資産に対する安定的かつ継続的な利益を生み出しています。

取引業界の技術は飛躍的に進歩しています。しかし、モダナイゼーションの観点から見ると、音声取引用の専用回線インフラストラクチャは大きく後れを取っている状況です。電子取引の進歩にもかかわらず、音声ベースの取引の大部分は、いまだに時分割多重(TDM)回線などの旧来のテクノロジーで実行されています。これらの回線は、地理的な場所に拘束される特殊なハードウェア インターフェースとゲートウェイに大きく依存しています。

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ブローカーは今まで、主にオフィスのデスクからのみ取引していたため、専用回線をクラウドに移行する意欲はそれほど高くありませんでした。しかし、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により、音声による仲介業務用の最新のプロトコルに基いたソフトウェア定義ソリューションに対する需要が高まりました。特に、在宅勤務によって、固定のポイントツーポイント回線からインターネット電話インフラストラクチャへの転換に拍車がかかっています。パンデミック後にはハイブリッドな勤務形態が増加し、クラウドベースのソリューションに対する需要は持続していく見込みです。

コストと収益の観点から考えると、利用中の通信サービス プロバイダや Google Cloud と連携して TDM から移行し、専用回線をクラウド接続することで、大幅なコスト削減を実現できます。回線ごとに固定コストを支払う代わりに、使用量モデルに変更すると、音声の送受信に必要なデータの下り(外向き)データに対してのみ支払いが発生します。

音声取引市場の変革

Google Cloud の Network Connectivity Center は、音声取引市場を補完する役割を担います。Network Connectivity Center を使用すると、Google のグローバル ネットワークを活用してオンプレミス ネットワークをクラウドに接続してデータを転送できます。また、オフィス間、銀行、バイサイドの取引先などのオンプレミス ロケーション間で高性能音声データ接続を利用でき、必要な場所、タイミングで、すぐに新しい場所を簡単に追加できる柔軟性を獲得できます。
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金融市場の音声ネットワークをクラウド、特に Google Cloud に移行することで、アジリティ、パフォーマンス、柔軟性の向上やコスト削減が実現します。Google Cloud 独自のソフトウェア定義ネットワークは、あらゆるクラウド プロバイダの中で最も広範囲に及ぶネットワークであり、パフォーマンス、可用性、レイテンシを大幅に改善します。同時に、音声データを文字に変換して分析する機能は、新しい「指標となる」市場のデータフィードから新たな利益の流れを生み出し、コンプライアンスを徹底した履歴レコードを生成するのに役立ちます。

ソリューション

以下は、Google Cloud のネットワークと Google Cloud の AI / ML 機能と組み合わせて通信サービス プロバイダ(CSP)のラスト ワンマイルを活用することにより、最新の取引デスクのニーズに対応する方法の概要です。設計の詳細については、以下をご確認ください。

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サイト間の接続に Google のグローバル ネットワークを活用

Network Connectivity Center は、Google のグローバル ネットワークを使用してオンプレミス サイト間のデータ転送を可能にするハブ アンド スポークモデルを使用します。ハブとは、アタッチされたスポークを接続する簡単な方法を提供する中央接続管理プレーンです。スポークとは、インターディーラー ブローカーのオフィスなどのオンプレミスのロケーション、または音声取引エコシステム内のバイサイドとセルサイドのエンティティを表すネットワーク リソースです。スポーク ネットワーク リソースは、VLAN アタッチメント、VPN トンネル、ネットワーク仮想アプライアンスなどです。すべてのスポークは、他のすべてのスポークとの間で動的ルーティング情報を伝播するCloud Router に関連付けられています。これにより、Google のグローバル ネットワークを経由した SIPRTCP トラフィックのサイト間転送が可能になります。

Network Connectivity Center は、グローバル接続ポリシーを管理するための単一の場所を提供し、Google Cloud、マルチクラウド ネットワーク、オンプレミス ネットワーク全体のさまざまなお客様のロケーション間でのオンデマンド接続を可能にします。そのため、スポークとしてオンボーディングすることにより、トレーダーの音声や顧客との接続を新しいオフィスに非常に簡単かつ柔軟に接続できます。

最高水準のネットワーク セキュリティ、フォレンジック、テレメトリー

高性能で低レイテンシの Google グローバル ネットワーク上に構築された包括的なセキュリティ ソリューションを活用して、音声取引市場に必要な最高水準のエンタープライズ セキュリティを提供します。

組織のポリシーを中央制御として利用して、組織のリソースの使用方法に関する制限を構成できます。組織のポリシーで次のような制約を与えます。

  • ドメインに基づいてリソースの共有を制限します。たとえば、音声取引システムと対話する相手側の ID セットを制限できます。

  • 新しく作成されたリソースの物理的なロケーションを制限して、データがキャプチャおよび処理されるロケーションで、制御を必要とする金融規制および法令のニーズに対してデータ所在地の要件が満たされるようにします。

  • Network Connectivity Center ハブにスポークとして接続する VPN ピアを制限します。

次に、階層型ファイアウォール ポリシーを利用して、GCP 組織全体で一貫したファイアウォール ポリシーを作成および適用できます。これにより、承認された送信元と宛先との間でのみ、音声ネットワーク トラフィックが許可されます。これらのポリシーは、組織レベルで実施されます。

Cloud IDS 侵入検知サービスを使用して、ネットワーク トラフィックを完全に可視化し、侵入、マルウェア、スパイウェア、その他のラテラル ムーブメントの攻撃に対する脅威を検出できます。これにより、Google Cloud の音声取引システムは、高度な脅威の検出とコンプライアンスの要件を満たすことができます。

最後に、Network Intelligence Center は、Google Cloud ネットワークの可視性、モニタリング、トラブルシューティングを管理するための拠点となる単一のコンソールとして活用できます。レイテンシとパケット損失の指標を可視化することは、世界クラスの音声取引ソリューションを提供するうえで重要です。ネットワーク トポロジは、インターディーラー ブローカー間、または音声取引のシステム上のバイサイドとセルサイド間のすべての接続のトポロジと、それに関連する指標を表示する視覚化ツールとして使用できます。さらに、パフォーマンス ダッシュボードで、パケット損失とレイテンシの指標をきめ細かくモニタリングできます。
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コンプライアンス、分析、AI / ML

音声取引インフラストラクチャと専用回線を Google Cloud に移行することで、音声データをネットワークから取り込めるようになります。取り込んだデータは、CFTC 規制 23.201-203 の一環として、リスク軽減および取引記録履歴のために規制当局から要求されます。これらのライブ キャプチャと履歴レコードから、Speech-to-Text(STT)API などの Google Cloud AI サービスを利用して、音声や聴覚データを文字起こしテキストに変換できます。こうして、Natural Language APIVertex AI AutoML Natural Language などの自然言語処理サービスを利用して、分析に利用できる有用なデータを豊富に生成できます。

専用回線をクラウドに移行することは、コスト削減だけではなく、利益の創出にもつながる取組みです。音声キャプチャから生成されたデータと分析情報によって、関心の表明(IOI)や取引履歴の完全な再構築や、指標となる市場データの新しいソースの作成が可能になるため、金融機関、規制当局、調査会社にとって非常に価値があります。生成されたデータを活用して、分析を通じて新しい分析情報を作成できます。さらに、貴重な OTC 市場データフィードなどの新しいサービスの作成を開始して、ブローカーに新しい収益源を生み出すことができます。一方、取引データの完全なセットを利用できるようにすることは、MiFID II、AML、シニア マネージャー レジームなどの規制遵守に大いに役立ちます。

クラウドでの安全な音声取引が現実のものに

旧来の専用音声回線に代わるエンドツーエンドのクラウド ソリューションがついに登場し、多くの金融サービス組織が時流に乗ろうとしています。Google Cloud は、専用回線による音声インフラストラクチャを効率的に置き換えるだけでなく、新しい付加価値機能によって機能を強化するためのテクノロジーを完全に補完するものです。クラウドの専用回線インフラストラクチャの詳細については、今後のホワイト ペーパーに注目してください。また、その他のユースケースについてのご相談は、gcp-private-wire-team@google.com までご連絡ください。ご意見をお待ちしています。


謝辞

Andy Mather 氏(FSI 社クライアント パートナー)に対し、このブログ記事への多大な貢献に感謝の意を表します。

- Google Cloud カスタマー エンジニアHarrison Tse

- Google Cloud ネットワーキング プロダクト スペシャリスト Kayode Salawu
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