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Google Cloud

Google Cloud と SAP で、将来に備えてビジネスを変革する

2020年6月19日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 6 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

現在、およそあらゆる企業が急速な変化に直面しており、多くの企業は、ビジネスの運営方法から、顧客へのサービス提供方法まで、抜本的な改革に取り組んでいます。そうした状況に世界的なパンデミックが加わり、企業はこれまでになく大規模なシフトに着手するようになってきています。

特に SAP アプリケーションで業務を行っている企業は、言われるまでもなくこうしたことを実感しているでしょう。市場の状況変化に柔軟に対応している企業もあれば、毎日がブラック フライデーのごとく、てんてこ舞いの企業もあるでしょうが、いずれにしても、SAP をオンプレミスで、またはコロケーション型のデータセンターで実行しているエンタープライズにとって、クラウドはこれまでになく不可欠なものとして目の前に迫ってきています。

今週、SAP をテーマとしたデジタル イベント「SAPPHIRE NOW」が始まります。このイベントでは、SAP を利用している企業がビジネスを短期的または長期的にデジタル変革するうえで Google Cloud が果たしている役割について、最新の情報を紹介する予定です。

SAP を利用している企業は、SAP と Google Cloud のシナジーによるメリットを得られる

Google Cloud と SAP は共同で、SAP を利用している企業のクラウド戦略導入を支援し続けており、これらの企業が堅牢性、柔軟性、革新性を兼ね備えた、将来的にも通用する IT システムを構築することに貢献しています。

SAP は最近、Google Cloud インフラストラクチャを基盤とする初の SAP データセンターについて発表しました。ドイツのフランクフルトで稼働を始めたこのデータセンターは、SAP アプリケーション専用の Google Cloud インフラストラクチャを基盤としており、その確実かつ信頼性の高いクラウド プラットフォームを通じて、SAP を利用している企業にさまざまなメリットを提供していく予定です。SAP がユーザー企業のワークロードを実行するとともに、それらの企業専用の容量やサービスを管理する仕組みになっており、外的な要因の影響を受けるリスクが低いのが特長です。さらに、SAP の厳密なデータ保護要件およびコンプライアンス基準に従い、安全な環境が実現されています。

データセンター以外にも、Google と SAP が共同でお客様のために改革を進めている例があります。AutoML Vision は、製造業者が視覚的品質管理プロセスを自動的に行えるようにする、AI を基盤としたインテリジェントなソリューションです。品質検査はときには厳しい条件下で行わなければならないこともあります。AES や Kaeser Kompressoren などの企業では、こうした検査を手動で行う代わりに、SAP を中心に構築された製造ワークフローおよびビジネス ワークフローに AutoML Vision を組み込むことによって、生産のあらゆる段階で効率的に品質管理を行えるようにしています。「インダストリー 4.0」を掲げてデジタル改革に乗り出した製造業者にとって、AI を基盤とした視覚的検査を取り入れることは、この改革を成し遂げるために欠かせない条件といえるでしょう。

ビジネス アジリティの向上とインサイトの取得のためにクラウドに移行する

現在の市場状況では、SAP をご利用のお客様にとってクラウドのアジリティと革新性を発揮することがますます必要になってきています。Tory Burch は、SAP S/4HANA を 16 週間で開発し、Google Cloud に 6 週間でデプロイできました。Carrefour Spain は、SAP HANA を本番環境に 15 週間でデプロイしました。この 2 社はほんの一例にすぎません。SAP をご利用のお客様からは、SAP アプリケーションを Google Cloud にデプロイまたは移行するスタッフの作業時間を 65% 削減できたと報告されています。Google Cloud の自動化されたテンプレートと、Migrate for Compute Engine などの機能は、お客様がすばやくデプロイするために非常に役立っています。

SAP をご利用のお客様のクラウドへの移行をさらに簡素化するために、Google Cloud は Cloud Acceleration プログラム(CAP)を提供しています。これは、Google Cloud とエキスパート パートナー コミュニティからお客様にソリューションやガイダンス、インセンティブを提供する、初めてのイニシアチブです。お客様には、移行や実装の最適化のエキスパート機能に加えて、分析や機械学習の分野の高度な機能をご利用いただけます。また、Google Cloud から CAP に参加されたお客様に対して、SAP のクラウドへの移行のインフラストラクチャ費用を負担する金銭的インセンティブが事前に提供されるため、移行中に二重の費用がかからずに済みます。

SAP をご利用のお客様向けの Google Cloud とパートナーによる新機能

Google が投資を続けている重要な分野の一つが、OLTP や OLAP など、より多くのワークロードに対応する認定です。これにより、お客様は Google Cloud の VM をさまざまなワークロードに使用できるようになり、スループットと処理能力を向上させることができます。お客様がアップグレードや移行、追加の支払いを行う必要はありません。このようなパフォーマンスの向上は、お客様の既存のサブスクリプションにあらかじめ含まれています。

最近更新された SAP HANA 認定には、Intel Cascade Lake CPU プラットフォームを基盤にした、Google Cloud Compute Engine の VM インスタンスの N2 ファミリーが含まれています。これらの新しい N2 VM は、次のような大きなメリットをお客様にもたらします。

  • SAP HANA ワークロードのパフォーマンス向上。SAP 認定のテストでは、OLAP シナリオにおいてパフォーマンスが最大 18% 向上することが判明しています。
  • SAP HANA Enterprise Edition ライセンスの 64 GB メモリユニット指標に合わせた調整。これにより、お客様は SAP HANA ライセンスに合わせて Google Cloud VM を適切なサイズに変更できるため、使用していない VM 容量が不要になります。

さらに、Google Cloud では、大規模な SAP HANA デプロイメント向けに OLAP スケールアップ認定を最近発表しました。これは、メモリ 6 TB の SAP HANA 用の Compute Engine VM インスタンスの M2 ファミリーを対象にしています。これにより、SAP HANA データ ウェアハウスや SAP BW/HANA などの OLAP シナリオを実施する際の選択肢が増えます。

また、SAP Netweaver デプロイメントにも改善を加えました。重要な例として、Compute Engine VM インスタンスのうち、AMD ベースの N2D ファミリーに新しい SAP NetWeaver 認定が追加されたことがあります。N2D インスタンスは、新たなベンチマークを打ち立てる高パフォーマンス ソリューション(Google が実施した SAPS ベンチマーク テストでは、以前の Google Cloud ソリューションより最大 30% 高速)を低費用でお客様に提供します。これにより、お客様は既存の SAP HANA デプロイメントに加えて、SAP NetWeaver アプリケーションや SAP アプリケーション サーバーを自由に選択して柔軟にデプロイできます。

もう一つ認定をご紹介します。SAP Adaptive Server Enterprise(ASE)Database 16.0 です。このたび、最新版の ASE が Google Cloud での動作認定を受けました。SAP NetWeaver ベースのアプリケーションのデプロイだけでなく、SAP ASE を汎用データベースとするアプリケーションの構築も認定の対象となります。

また、まもなく提供を開始する SAP Landscape Management(LaMa)対応の Google Cloud コネクタをご活用いただくことで、SAP 環境の管理、操作、ライフサイクルを自動化して一元化できるようになります。アダプタが Compute Engine や Cloud Storage のオペレーションとのインターフェースとなり、お客様は SAP LaMa を使用して Google Cloud 上でデプロイを管理できるようになります。

さらに、エンタープライズのニーズやミッション クリティカルなニーズに応えるプレミアム サポートもご利用いただけるようになりました。これには SAP のお客様向けの追加サポート対応のパイロット プログラムも含まれています。このプログラムでは、SAP が提供する優れたサポートに Google Cloud のプレミアム サポートを加えた層の厚いサポートを、今後数か月のうちに幅広く展開していく予定です。

Google Cloud ではまた、SAP アプリケーションをご利用のお客様が適切なツールやサービスにアクセスできるよう SAP 対応パートナー エコシステムを強化しました。次に例を示します。

  • Actifio は、Google Cloud での SAP など、ミッション クリティカルなワークロード向けにデータ保護機能を提供しています。この効率性に優れたバックアップ / 復旧機能により、セキュリティを確保しながらも、必要となるコンピューティング、帯域幅、ストレージを最小限に抑えます。
  • Avantra は、SAP アプリケーションのモニタリングと管理を行う自社のソリューションを Google Compute Engine 向けにカスタマイズし、SAP の管理と操作を余すところなく自動化できるようにしました。
  • データ管理および統合のパートナーである、InformaticaQlikDatavardSoftware AG は、ECC、S/4、BW などの SAP システムから抽出したデータをターゲット データ ウェアハウスとしての BigQuery に取り込むことができる、信頼性の高い一連のツールやソリューションを提供しています。こうしたソリューションを利用すれば、SAP と SAP 以外のシステムからデータを収集して、一元化されたスケーラビリティの高いデータ ウェアハウスに集約し、Google Cloud のスマート アナリティクスや機械学習サービスを活用できます。Google Cloud Marketplace には Informatica Intelligent Cloud Services などのソリューションが取りそろえられており、すぐに利用を開始することができます。
  • IBM Power Systems は、IaaS や VM のニーズを満たすために Google Cloud と併せてこうしたシステムの利用を検討している大企業向けです。
  • エンタープライズ ストレージの NetApp からは、NetApp Cloud Volumes Service for Google Cloud が提供されています。これは Google Cloud に統合されている、マルチプロトコル サポート、動的パフォーマンス、高可用性を備えたフルマネージド ファイル サービスです。このサービスは、Google Cloud 上での SAP HANA で認定されているすべての Compute Engine VM インスタンスで実行される SAP HANA スケールアップ デプロイメントでの使用が認定されてます。

B2B および B2C 技術と電子製品のサプライヤーである、Conrad Electronic は、同社の膨大なデータセットを使ってプロセスを最適化すると同時に、Google Cloud を採用してこれまで以上に多くの製品やサービスを提供しようと考えた結果、SAP レガシー システムの使用も続けながら、すべてのデータを BigQuery に統合することを決めました。結果として、Conrad は高精度で洞察に満ちたレポートを生成し、速やかに情報を分析できるようになっただけでなく、多くのプロセスを自動化することにも成功しています。

 Conrad Electronic でデジタル・ディスラプション担当最高責任者を務める Aleš Drábek 氏は、次のように述べています。「BigQuery を使えば、プロセス全体を最初から最後まで、各段階を追って確認することができます。どこをどのように改善すべきかがすぐにわかり、改善に必要な詳細情報もすぐに取得できます。従来のシステムで把握できたのはプロセスの部分的な概要であったのに対し、これからは、死角なくすべてを確認できます。」

お客様に対するサポートを継続し、その先のサポートをご提供するために

米国最大手の医療関連組織の一つ、Cardinal Health は市場から来る圧力に押され、移行に踏み切りました。2009 年後半に製薬事業用の SAP 環境を Google Cloud に移行しましたが、対象となったサーバーは 400 台以上、アプリケーションの数は 30、統合の数も 150 に上りました。これにより、Cardinal Health は、需要の急増に対応するために必要なスケーラビリティを得たうえ、システムの完全透明化が実現しただけでなく、高可用性と障害復旧機能も改善されました。

需要の急増に対応しサプライ チェーンを透明化する必要があるのは、なにも医療に限ったことではありません。

The Home Depot では、同社の SAP システムやその他のソースから取得したデータを管理しています。社員は Google Cloud を使用して、2,000 以上の店舗にまたがる 50,000 を超える商品アイテムを保管し、オンライン アプリケーションをモニタリングするほか、関連するコールセンターの情報を提供しています。同社のレガシー データ ウェアハウスには 450 テラバイトのデータが蓄積されていましたが、同社が現在使用している BigQuery のエンタープライズ データ ウェアハウスに蓄積されているデータは 15 ペタバイトを超えています。ウェブサイトのクリックストリーム データのような新しいデータセットを使用したり、数年分多くデータを分析したりすることで、より的確な意思決定が行えます。

「当社のクエリ処理時間は、時間単位、日数単位から秒単位、分単位にまで短縮されました。」

-David Narayan 氏 The Home Depot 社 インフラストラクチャ チーム 特別エンジニア

SAP のお客様がクラウドへの移行をこれから始める場合も、クラウドへの移行を続ける場合も、Google Cloud は常に移行を簡素化、最適化するお手伝いができるよう、またお客様が欠かすことのできないクラウド ネイティブ テクノロジーにいつでもアクセスできるように取り組んでいます。SAP と SAP のお客様を対象とした取り組みについて詳しくは、Google Cloud のソリューション サイトをご覧ください。また、お客様の声の紹介動画もご確認ください。

- By Google Cloud SAP 担当マネージング ディレクター Snehanshu Shah

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