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Google Cloud

Google Cloud で高可用性を優先して SAP を実行する

2020年6月8日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 5 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

この数か月間、あらゆる業界の企業が、ユーザーにとって安心、安全、かつ可用性の高い自社 IT システムを維持するうえで、予期せぬ課題に直面しています。多くが製品やサービスの需要の急増や急落を経験しており、ほぼ一晩で在宅勤務にシフトした企業も多数あります。こうした変化のストレスを経験しながらも大成功を収めた企業でさえ、アプリケーションの可用性を保護する現在のアプローチが十分に堅牢であるかどうかについて、疑問を抱いていることがあります。

これは、オンプレミス環境で SAP エンタープライズ アプリケーションを実行している企業にとって特に緊急性の高い疑問点でしょう。ビジネス クリティカルな SAP インスタンスをオンプレミスで実行するのは、複雑で維持コストが高くなるため、多くの場合、このような組織ではすでに苦戦を強いられています。しかし、オンプレミスの選択肢として高可用性(HA)システムとインフラストラクチャに大規模な投資を行ってバックアップすることは、重要なアプリケーションのセキュリティと可用性を確保する最良の方法であると考えています。ユーザーが自社システムにどれほど依存しているか、計画外の停止に対処することがどれほどの混乱を招くかをわかっているのです。一方で、多くの場合、オンプレミス SAP 環境での実行を担当する IT 組織は、より多くのことをより少ないリソースで実行するというプレッシャーの下で、増え続ける他のビジネス クリティカルなアプリケーションの管理も行う必要があります。

多くの組織にとって、これは持続不可能なアプローチです。実際、HA ソリューションのトレンドを調べた 2018 年の調査によると、当時の企業はすでにオンプレミス アプリケーションの可用性を維持するのに苦労していました。

  • 調査対象の企業の 95% が、アプリケーションをサポートする HA サービスで少なくとも時折障害が発生したと報告しています。
  • 98% が時折または定期的に、アプリケーションのパフォーマンスに問題があったと報告しています。
  • 調査対象の企業は、HA アプリケーションの問題が発生したとき、問題の特定と修正に平均 3~5 時間を費やしたと回答しています。

こうした企業の事態は、現在もあまり変わっていません。今日の IT 環境では、リスク、不確実性、今後の緊縮の見通しが重視されています。同時に今は、ビジネスに不可欠なソフトウェアとして、SAP アプリケーションを常に安全で生産性と可用性の高い状態に保つことが特に重要です。

Google Cloud は、SAP 環境の高可用性に関する課題を解決するために綿密な思案を重ねてきました。これは、お客様にとって死活問題になり得ると考えました。また、高可用性とパフォーマンスの実現を目的に、クラウド プラットフォーム上に構築されたスケーラブルで信頼性が高く、費用対効果に優れた SAP 環境の提供を優先しました。

SAP 可用性環境を定義する 3 つのレベル

SAP のお客様に可能な限り最高の高可用性ソリューションを提供する方法を理解するには、まず「可用性」がビジネスニーズ、予算、SAP アプリケーションのユースケース、その他の要因に応じて、お客様ごとに異なる意味を持つということを認識することから始まります。SAP の高可用性(HA)環境を 3 つのレベルで検討するのはこのためです。それぞれのレベルで独自の費用、利点、トレードオフがあり、全体的な可用性戦略の中で検討する必要があります。

レベル 1: インフラストラクチャ

オンプレミスのハードウェアから Google Cloud インフラストラクチャに SAP システムを移動するだけで、稼働時間を大幅に改善できるお客様もいらっしゃいます。Google Cloud には、この目標の達成に向けた特に重要な組み込み機能が 2 つあり、これらを組み合わせることでハードウェア障害によるダウンタイムを削減または排除できます。

ライブ マイグレーション。定期メンテナンスが必要なホストシステムでお客様の VM インスタンスが実行されている場合、Google ライブ マイグレーションを使用すると、再起動をトリガーしたりアプリケーションを中断したりすることなく、あるホストから別のホストに VM インスタンスを移動できます。これは、すべての Google Cloud ユーザーが追加費用なしで利用できる組み込み機能です。ユーザーのワークロードの規模や複雑さに関係なく、シームレスかつ自動的に機能します。Google Cloud がハードウェア メンテナンスを実施し、セキュリティ パッチとアップデートをグローバルに適用します。お客様に VM の再起動をお願いすることはありません。これがライブ マイグレーションのメリットです。

ホストの自動再起動。計画外のシャットダウンがユーザーの VM インスタンスに影響を与える場合は、この機能により別のホストで VM インスタンスが自動的に再起動されます。必要に応じてユーザー定義の起動スクリプトを呼び出し、VM 上で実行されているアプリケーションが同時に再起動するようにします。この機能の目標は、ユーザーにとってプロセスをできるだけシンプルで信頼性の高い状態に保ちながら、計画外のシャットダウンから可能な限り早く回復できるようにすることです。  

レベル 2: データベース

すべての SAP 環境は、ビジネスに不可欠なデータを格納して管理する中央データベース システムに依存しています。SAP 高可用性ソリューションでは、このデータベース レイヤの可用性と整合性を維持する方法を提供する必要があります。また、SAP システムはさまざまなデータベース システムをサポートしており、その多くは高可用性パフォーマンスの実現にそれぞれ異なるメカニズムを採用しています。Google Cloud は SAP HANA、IBM Db2、MaxDB、SAP ASE、Microsoft SQL Server での HA アーキテクチャの使用をサポートおよび文書化することで、SAP 環境において HA データベース システムの費用とメリットのバランスをとる方法をお客様が自由に決定できるようにしています。

レベル 3: アプリケーション サーバー

SAP の NetWeaver アーキテクチャは、HA 稼働時間要件を脅かす可能性のあるアプリサーバーのボトルネックを回避するのに役立ちます。Google Cloud は、NetWeaver のそのような利点を生かしながら、同期化によるデータ損失に対処するため、および NetWeaver から最高の信頼性とパフォーマンスを引き出すために必要なコンピューティングおよびネットワーキング機能を高い可用性でお客様に提供します。

Google Cloud が高可用性 SAP システムをサポートする 5 つの方法

最も困難な状況においても、SAP アプリケーションの稼働時間を最大限に引き上げるために Google Cloud を活用する方法は他にもたくさんあります。下記の例をご覧ください。企業の規模にかかわらず、手頃な費用で同様の機能を実装することがどれほど難しいかということをご理解いただけると思います。

1. 地理的分布と冗長性。Google Cloud はグローバルに展開しており、現在 22 リージョン、67 ゾーンに 130 以上の拠点があります。主要な Google Cloud サービスを 1 つのリージョン内の複数のゾーンに分散することで、ほとんどの SAP ユーザーが手頃な費用で優れたパフォーマンスを実現し、目指す可用性を達成しています。

例:

  • Compute Engine インスタンス グループは、1 つのリージョン内の利用可能なあらゆるゾーンで分散管理できます。
  • Compute Engineのリージョン永続ディスクは、リージョン内のゾーン間で同期的に複製されます。

2. 強力で汎用性の高い負荷分散機能。多くの企業にとって、SAP アプリケーションの可用性維持に重要となるもう 1 つの項目が、負荷分散と分配です。Google Cloud は、ユーザーに最も近い健全なリージョンにトラフィックを転送できるグローバルな負荷分散など、さまざまな負荷分散オプションを提供し、このニーズに応えます。Google Cloud Load Balancing は、ユーザー、トラフィック、ネットワーク、バックエンドの健全性、その他の関連条件の変化に瞬時に対応します。また、ソフトウェア定義サービスであるため、物理的な負荷分散インフラストラクチャで多くの企業が直面するスケーラビリティと管理の問題を回避します。

3. デベロッパーが本来の業務に集中できる時間と生産性を維持するツール。 Google Cloud のサーバーレス プラットフォームには、冗長性と負荷分散の組み込み機能を提供するマネージド コンピューティングとデータベース プロダクトが含まれています。これにより、企業の SAP 開発チームは、基盤となるインフラストラクチャを気にすることなくコードをデプロイできます。Google Cloud はまた、人気のオープンソース テクノロジーとの統合とネイティブ ツールを通じて CI / CD をサポートし、現代の DevOps 組織にソフトウェアをより迅速かつ安全に提供するために必要なツールを提供します。

4. 柔軟なフルスタック モニタリング。Google Cloud Monitoring を使用すると、企業は SAP 環境のパフォーマンス、稼働時間、全体的な動作状況を詳細に把握できます。Google Cloud、Amazon Web Services、ホストされた稼働時間プローブ、アプリケーション インストルメンテーション、さらには Cassandra、Nginx、Apache ウェブサーバー、Elasticsearch などのさまざまなアプリケーション コンポーネントから指標、イベント、メタデータを収集します。Cloud Monitoring はこのデータを使用して、柔軟なダッシュボードと豊富な可視化ツールを強化します。これにより、新たな問題による影響がビジネスに及ぶ前に、SAP チームがその問題を修正しやすくなります。

5. SAP システム固有の HA 機能を最大限に活用すべての SAP インスタンスにはすでに非常に強力な HA テクノロジーがいくつか採用されています。Google Cloud の最重要課題には、これらの組み込み機能を完全にサポートすることも含まれています。ここでその例を 2 つ挙げます。

データベース レベル同期 SAP HANA システム レプリケーション(HSR)は、すべての SAP HANA システムの HA を保証する上で最も重要なアプリケーション ネイティブ テクノロジーの 1 つです。プライマリ システムのデータをセカンダリ システムに継続的に複製し、メモリにプリロードして障害が発生した場合の迅速なフェイルオーバーを可能にします。

Google Cloud は、同じリージョン内の任意のゾーンに存在する SAP インスタンスを同期的に複製できるようにすることで、HSR をサポートおよび補完します。これで、プライマリ インスタンスとセカンダリ インスタンスを異なるゾーンに配置して地理的に分離し、1 つのゾーン全体で障害が発生してもインスタンスを保護できます。

アプリケーション レベルSAP アーキテクチャでは、複数の NetWeaver アプリ サーバー インスタンスを使用して、高可用性パフォーマンスを維持できます。それでも、対処すべき単一障害点はあります。それは、HA システムのすべての SAP NetWeaver インスタンスで利用可能にしておくべき SAP NetWeaver グローバル ファイル システムです。

Google Cloud はこの問題に対処する 2 つの方法を提供しています。1 つは、NetApp Cloud Volumes などの高可用性共有ストレージ ソリューションを使用する方法です。もう 1 つは、複製されたゾーン永続ディスクの Google Cloud サポートを使用して、HA クラスタのノード間で SAP グローバル ファイル システムを複製する方法です。どちらのアプローチも、ファイル システムの障害によって企業の高可用性 SAP 環境が危険にさらされることがないようにします。

貴社に適した HA の選択肢を探る

Google Cloud が SAP インスタンスの HA をサポート、拡張する方法は数多くありますが、ここではほんの一部をご紹介しました。さらに詳しく知りたいとお考えの方は、ホワイトペーパー「Google Cloud での SAP: 高可用性」をご覧ください。このホワイトペーパーには、Google Cloud サービスを使用して SAP 環境向けに高可用性アーキテクチャを設定する方法について、技術的な詳細が記載されています。

- By Google Cloud SAP 戦略とアーキテクチャ担当パートナー技術リーダー Benjamin Schuler

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