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Google Cloud

COVID-19 の影響への対応策を支援する Google Cloud

2020年4月3日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 4 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

 現在、Google Cloud のチームや同僚、お客様だけでなく、世界中のすべての人々がこれまでに経験したことのない厳しい状況に直面しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大とともに多くの課題が浮き彫りになり、多くの人が新しい働き方の受け入れを余儀なくされています。

Googleは、世界中の企業や個々のユーザーが Google Cloud を利用してつながりを保ち、業務を継続していることを真摯に受け止め、責任を果たしていきたいと考えています。本日は、Google が企業、政府機関、研究者などを支援する目的で取り組んでいるさまざまな事例をご紹介いたします。

従業員の安全を確保し、生産性を維持するための支援

在宅で勤務する従業員同士のつながりを保つ

在宅で勤務する従業員たちをつなげることによって生産性を維持する企業の数が増えるにつれて、Google Cloud のビデオ会議プロダクトである Google Meet の利用もこれまでにない速度で急増しています。この数週間で Google Meet の利用が毎日 60% 以上ずつ増加した結果、1 日の使用量は 1 月の 25 倍以上となっています。需要がこれほど増加したにもかかわらず、Google Cloud のネットワーク容量が上限に達するまでにはまだ十分な余裕があります。

Google Cloud では、企業にとって同僚同士がつながりを保ち、業務を継続することがいかに重要であるかを理解しています。そのため、世界中の G Suite と G Suite for Education のユーザーを対象に、Hangouts か Google  Meet などの高度なビデオ会議機能を無料で提供しています。また、新たに韓国、香港、台湾、インドネシア、南アフリカなどの国々で Meet ハードウェアを入手できるようになり、これらの国々でも、適正なハードウェアを使った最適な環境で Meet をご利用いただけるようになりました。  

多くの企業から G Suite のおかげで在宅勤務に滞りなく移行できたとのコメントをいただいています。フランスを代表する相互保険会社 MACIF グループでは、すでに 8,000 人を超える従業員が G Suite を使用して業務を継続し、互いのつながりを保っています。MACIF の従業員は、対面での会議から毎日 1,300 回を超える Google Meet のビデオ会議への移行に成功しています。共同作業が可能な仮想会議室を使うことで、予期していなかった在宅勤務の期間にも、不可欠な従業員同士のやり取りや迅速な対応が可能になりました。

韓国のゲーム制作会社 Netmarble は、G Suite を使うことで会社全体を在宅勤務へとスムーズに移行でき、「ビデオ会議に Google Meet、共同作業に Google ドキュメントを使い、Google ドライブですべてのデータにアクセスできるので、在宅で勤務していてもオフィス勤務のときとまったく変わらない」とコメントしています。

スキルアップを目指す従業員にトレーニングの機会を提供する

COVID-19 感染拡大を受けて多くの人が在宅勤務や家庭学習に切り替えましたが、自宅にいながらスキルアップを図りたい、知識を増やしたいと考えている人もたくさんいます。こうしたご要望にお応えするため、Google Cloud の膨大な数のトレーニング コースや Qwiklabs のハンズオンラボ、インタラクティブな Cloud OnAir のウェブセミナーなどの各種学習リソースを 4 月 30 日まで無料で提供しています。ハンズオンラボなら、どこからでもクラウドにアクセスして、誰もが自分のペースでアプリを作成する方法や予測モデルをビルドする方法を学習できます。チームの場合、Pluralsight や Coursera で Google Cloud のオンデマンド コースを受講してスキルアップを図る方法もあります。特に人気の高いクラウド アーキテクチャやデータ エンジニアリングなどの学習コースも、すべてのお客様にご利用いただけるようになりました(日本語版でのご提供開始は今月下旬を予定しています)。

公的機関や教育機関に対する支援

COVID-19 に対応する政府の取り組みを支援

Google Cloud では、世界中の政府機関と協力して、各機関の負担を軽減し市民からの要望により速く対応するための、AI ベースのチャット技術の開発をはじめとするプロジェクトに取り組んでいます。また、無料のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)や負荷分散サービスを使って重要な情報を一般に公開する政府のウェブサイトを強化し、ウイルス感染拡大を追跡するサービスやツールを提供しています。

米国では、ホワイトハウスや支援機関と協力し、新型コロナウイルスに関して現時点で最も広範な機械可読式の文献コレクションである、COVID-19 Open Research Dataset(CORD-19)を検証するために、新しいテキストやデータのマイニング技術を開発しています。

また、オクラホマ州保健省のような州政府機関と協力し、新型コロナウイルス感染が疑われる人々を医療スタッフがリモートで診察できるソリューションの開発にも取り組んでいます。同省では、医療スタッフが症状を訴える市民を直接診察し、感染が疑われる場合には検査施設を案内できるアプリを 48 時間以内に導入しました。Google がパートナーの MTX グループと共同開発したアプリは、現在フロリダやニューヨークなどの多くの州政府に採用されています。各州政府はこうしたツールを使って、ウイルスの感染拡大によって、市民や州の医療機関がどの程度影響を受けているかを分析できます。

米国以外にも、世界の多くの政府機関に向けて、COVID-19 の感染拡大を追跡するための共同ソリューションやツールを提供しています。たとえばスペインでは、マドリードの地方政府からの要望により、医療機関に人が殺到することがないよう、新型コロナウイルスの症状があるかどうかを市民一人一人が自己診断でき、ガイダンスを受けられるようにするためのアプリを開発しました。スペイン政府もまた、数日中にこのアプリを国内の他の地域に展開することを計画しています。イタリアでは、COVID-19 流行拡大に伴い、ヴェネト州の医療機関で働く 70,000 人以上の医療従事者が、G Suite を利用して高水準のサービスや患者ケアを維持しています。今週、オーストラリア保健福祉省は Coronavirus Australia アプリを発表しました。Google Cloud を基盤としたこのアプリでは、刻々と変化するパンデミックのリアルタイム情報やアドバイスを提供しています。

また、ペルーでは、全国規模で検疫が実施される中、司法機関が Google Meet を使って業務を続けています。内部会議はもちろん、公聴会もビデオ会議形式で実施されています。この方法を採用することで、法律家や弁護士、司法書士は裁判所に出向かなくてもよくなり、ウイルスの感染拡大を防ぎながらも国内の司法行政を維持できます。

コンテンツやツール、遠隔学習を使って教育機関を支援

このたびの新型コロナウイルスの流行により、とりわけ教育機関が影響を受けています。Google Cloud では、無料コンテンツや教育ツールの提供から、教師と生徒が家にいながら授業を継続できる遠隔学習の支援まで、さまざまな取り組みを行っています。

たとえば、ニューヨーク市では、ここ数週間の間に 130 万人を超える学生が Google Classroom を導入し、自宅にいながら引き続き就学しています。また、パンデミック以前には毎月 1,800 万人に対して教育支援を提供していた非営利の教育機関である Khan Academyにも、引き続き重要なインフラストラクチャを提供しています。休校が開始されて以降、Khan Academy はすべての指標において驚異的な成長を記録しています。サイト利用時間は通常の約 2.5 倍、生徒と教師の登録数は昨年同時期に比べてほぼ 6 倍、保護者の登録数は通常の 20 倍に達しています。

新型コロナウイルス対策として休校措置が取られているマレーシアでは、自宅にいながら Google ツールを活用して授業を継続する方法を学べる、教師向けのウェブセミナーを毎日開催しています。

また、インドネシアではオンライン教育サービス プラットフォームの Ruangguru にテクノロジー インフラストラクチャを提供しています。休校措置が取られているインドネシアで開始された、この無料のオンラインの学校サービスを利用した人の数は初日に 100 万人を超えました。

イタリアでは、イタリア文部科学省(数百万人のイタリアの学童に対し責任がある統治機関)と協力し、生徒を完全な遠隔学習に迅速にシフトさせました。共同チームが結束し、エンジニアが 24 時間体制で登録プロセスを迅速化することで、仮想ヘルプデスクをタイムリーに始動してサポートを提供できるようになりました。その結果、文部科学省は数百万人もの生徒が数日のうちにオンラインで学習できるよう整えることができました。

他の組織に対する支援

研究者や病院などを支援

医療はパンデミックのさなか最も影響を受けている業界であり、テクノロジーは不可欠な支援ツールでもあります。Google Cloud は衛生研究コミュニティが新しい治療法を特定するためのソリューションを提供しています。また、パンデミックを追跡し、遠隔医療や遠隔患者モニタリングのソリューションを提供して病院システムを支援します。

衛生研究においては、Johns Hopkins Center for Systems Science and Engineering の COVID-19 データ、米国国勢調査局の米国人社会調査データ、OpenStreetMaps のデータなど、COVID-19 に関するいくつかの一般公開データセットを自由に照会できるようにしています。また、学術機関や研究機関が潜在的な治療法やワクチンの研究、重要なデータの追跡、COVID-19 を抑制する新しい方法の特定などが行えるように、2,000 万ドルの Google Cloud クレジットも提供しています。認可された学術機関の研究者は、COVID-19 High Performance Computing Consortium に提案書を提出でき、COVID-19 対策に Google Cloud の容量が必要な他の研究者は提案書を Google Cloud に直接提出できます。

先週、Google は COVID-19 Healthcare Coalition に参加しました。この組織はウイルスに対抗すべくリソースを共有するために集まった医療機関、テクノロジー組織、研究機関からなるグループです。組織のメンバーには、athenahealth、Mayo Clinic、University of California Health System などが含まれます。組織の一員として、データ交換の構築を支援し、メンバーが安全かつ安心なデータの共有、分析をできるように取り組んでおり、最終的には世界で第一線の研究者の多くがデータを共同で利用できるようにしています。

また、いくつかの方法で病院もサポートしています。アジアでは、COVID-19 の大発生以来、Doctor Anywhere の遠隔医療サービスを利用する人が増え、地域で登録された医師とのビデオ相談や自宅への薬剤宅配を選択する人が多くなっています。Doctor Anywhere の最高技術責任者である Rishik Bahri 氏は、次のように述べています。「コロナウイルスの大流行以来、遠隔医療アプリケーションのトラフィックは 70% 以上増加しており、Doctor Anywhere アプリでも、ユーザーやパートナーにスムーズなアクセスを提供することはこれまで以上に重要になっています。」

英国では、NHS が COVID-19 への病院の対応について重要なリアルタイム情報(病院の稼働率や救急外来の収容能力など)を収集できるように G Suite の使用を検討しています。

小売業者、メーカー、その他の企業による需要への対応を支援

世界中の企業は顧客需要の予測と COVID-19 がサプライ チェーン全体に与える影響について、これまでにない課題に直面しています。需要側の支援を目的として、Google Cloud はトラフィックが急増している小売業者やその他の企業向けにブラック フライデー / サイバー マンデー プロトコルを有効にし、こうしたピーク時にユーザー需要の支援、計画、対応を行えるよう専門サービス、テクニカル アカウント マネージャー、顧客信頼性エンジニアリングのリソースをまとめました。

カナダ有数の小売業者 Loblaw は、自社の PC Express 食品集配プラットフォームへのトラフィック増加に対応すべく支援を求めてきました。Google Cloud チームはスケーリングに必要なリソースを提供し、このような状況下で食品などの重要な物資を届けられるようにしました。Loblaw Companies Limited のゼネラル マネージャーである Hesham Fahmy 氏は、次のように述べています。「Google Cloud チームは、絶え間なく状況が変化するこの時期に素晴らしいパートナーでいてくれます。Google の責任感と、提供しているケア、支援のレベルを高く評価しています。こうした見通しのきかない時期にカナダ国民が必需品に悩まされなくても済むようにするという大きな理念のためですから。」

ドイツの高級ファッション小売業者、Breuninger は 5,000 人の従業員を雇用していますが、11 店舗のデパートを一時的に閉鎖しオンライン ショップに専念することを決定しました。ビデオ会議向けの既存のコラボレーション ツールが利用の急激な増加に対応できないことが判明したため、在宅勤務を突然命じられたスタッフは皆大きな課題を突きつけられました。しかし Google Cloud により、Breuninger の 1,100 人を超える従業員が 48 時間以内に G Suite を利用できるようになりました。今後数日内で、さらに多くの従業員が利用できるようになる予定です。これに加え、同社は G Suite で有効な新しいデジタル サービスを通じてお客様と対話する方法を検討しています。

電子通信、メディア、エンターテインメント向けの安定したプラットフォームを提供

通信会社やエンターテイメント企業は各社さまざまな課題に直面しています。電気通信業界は人のつながりを維持するために懸命に取り組んでいますが、メディア業界はニュースやエンターテイメントを探すユーザーの行動にともなって需要が高まり、ビデオゲーム業界もまた、家で過ごす人が増えたため利用が急増しました。Google は世界最大級の報道機関やゲーム パブリッシャーと協力して、この困難な時期にユーザーが最新情報を入手し、楽しめるようにしています。

電気通信プロバイダは Google のテクノロジーを活用し、可能な限りシームレスなサービスを提供しています。たとえば、Vodafone は GCP を利用してネットワーク トラフィックとトラフィックの優先順位の両方を分析し、帯域幅を最も必要とするユーザーに割り当てています。

メディア業界の例としては、Yahoo Finance の放送チームが 150 人のレポーター、プロデューサー、ニュース キャスター、技術者を従来のテレビスタジオから 100% の在宅勤務モデルに一夜にして移行できるようにしました。Google Cloud チームは同社と協力して、数時間のうちに Google Meet を介して米国とロンドンの各地からシームレスな 8 時間のライブ放送を配信する準備をし、混迷を極める時期に重要なニュースと情報を届けました。

ゲーム業界では、Unity Technologies が新たな取り組みである #PlayApartTogether で世界保健機関(WHO)と最近提携しました。COVID-19 にともなう「社会距離」措置の義務付けを受け、プレーヤーのオンライン ゲームに対する需要は大幅に伸びています。ゲーム アクティビティの急増にもかかわらず、Unity の Multiplay サーバー ホスティング ソリューションは、これまでのところダウンタイムが発生していません。同社と Google Cloud の連携により、需要が急増してもリアルタイムのオンライン ゲームを滞ることなく実行し、優れたプレーヤー エクスペリエンスを提供し続けることができています。

今後の対応

私たちは皆、非常に先が見えない状況に直面していますが、Google Cloud では準備が整っているとお伝えできることを誇りに思います。事前に用意があったことで、リモート カスタマー サービス担当者とピーク時向けの拡張サポート プロトコルを有効にし、容量とサプライ チェーンを管理する詳細な計画を練り、インフラストラクチャとプロセスの復元力を厳密にテストすることができました。これらの準備はすべて、このような時期に最高のサポートをお客様に提供できるように導入されていたものです。

この困難な時期にユーザー、お客様、コミュニティを引き続きサポートしていけるよう、Google は上記のような取り組みにたゆまず尽力してまいります。お客様にさまざまな機能を提供するために取り組んでいる多くの Cloud 担当 Google 社員に、心より感謝します。

- By Google Cloud CEO、Thomas Kurian

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