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Google Cloud のノーコードの 1 年を振り返る

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※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2020 年の初め、Google Cloud はコード不要のインテリジェントなアプリケーション開発プラットフォームである AppSheet を買収し、アプリケーション開発分野の改革に乗り出しました。同プラットフォームは、コードを記述することなくアプリケーションをすばやく開発して自動化できるのが特長で、IT 部門および事業部門の両方のユーザーにとって便利なツールです。本投稿では、同プラットフォームの買収後、Google が経験した変化や、成長、驚きに着目し、2020 年を振り返りながら、AppSheet が世界中の組織やユーザーによってどう活用され、新しい働き方に貢献してきたかを見ていきます。

COVID-19 パンデミックへの対応

今になって振り返ると、AppSheet 買収のタイミングは、パンデミックの影響が明らかになってきたまさにその頃に重なっていました。つまり、Google Cloud はこの買収によって、危機に対処しようとするユーザーや組織を支えるための独自のポジションを獲得したと言えます。世界中で、コード記述経験のない多くのユーザーが AppSheet プラットフォーム上で強力なアプリケーションを開発し、組織やコミュニティがこの不確かな時期を乗り切れるように貢献しました。

医療および医学研究分野の機器メンテナンス ソリューションを幅広く展開する USMEDIC は、医療機器の追跡管理システムを構築して、機器を見つけるのに苦労している飽和状態の病院をはじめ、さまざまな医療組織を支えました。

  • 社会的に弱い立場の人々に支援の手を広げる非営利組織 Mthunzi Network は、食品と引き換えられる電子クーポンの配布、利用を自動的に行える使いやすいアプリを開発しました。

  • 地域コミュニティ内で支援を必要な人に提供する活動を取りまとめるアプリを開発するため、AppSheet コミュニティが一致団結しました。このアプリは、わずか数日で開発されたのちに、支援を必要とする人が誰でも簡単に利用できるように 100 言語以上に翻訳されました。

ノーコード アプリの作成者たちが今年の多くの困難に立ち向かっていく様子は、見ていて頭が下がるとともに、勇気をも与えてくれました。パンデミックを巡る問題が継続している状況を受け、Google Cloud では 2021 年 6 月まで AppSheet の COVID-19(新型コロナウイルス感染症)サポートを延長します。

業務を改革する

必要に迫られて革新が起きるということは、歴史が証明しています。たとえば、グーテンベルクの印刷技術は、14 世紀の疫病流行当時、人々の社会的および文化的な欲求を背景に広まっていきました。それと同じように、2020 年のパンデミックもデジタル革新を加速させる原動力となりました。具体的には、組織におけるコラボレーションや、生産性、成功の定義が変わり、IT 関係者だけでなく誰もが新しいやり方で業務を行う必要に迫られるようになってきています。

たとえば、フィリピンの大手モバイル ネットワーク プロバイダである Globe Telecom は、アプリケーション開発を加速化するために AppSheet を採用しました。同社は 6 月、社内のあらゆるチームが参加できるノーコード ハッカソンについて発表しました。このイベントは 2019 年当初の計画では対面形式で行われる予定でしたが、パンデミックを受け、オンラインのみの開催に切り替えられました。計画の変更にもかかわらず、100 以上のチームがこのハッカソンに参加したことに主催者側は驚くとともに、組織中の社員が革新という企業文化に貢献したがっていることのあらわれとして受け止めました。

優勝を手にしたのは、不正なシグナル ブースティングのレポートアプリを開発したチームです。このアプリはフィールド データをキャプチャして、データに不正な兆候が見られた場合は自動的にレポートを適切な社員に対してトリガーし、問題に対処するよう警告する仕組みになっています。このアプリによって、レポートが送信されるまでの時間が 2 日から 2 時間にまで短縮され、問題がすばやく解決されるようになりました。

また、小規模ビジネスや大学のアプリ作成者が AppSheet を使って便利なノーコード ソリューションを開発したケースもあります。たとえば、5 世代にわたって続いている家族経営の宝石店は、顧客維持用アプリおよび在庫管理アプリを開発しました。また、イベント コーディネーターが、自身の会社が手がける世界規模の陸上競技イベントのために、登録および計画を管理するためのアプリを複数開発した例もあります。ある医大生は、自分が求めているようなフラッシュカードがなかったため、ちょっとしたカスタマイズと機能を付け加えて自らフラッシュカード アプリを作成しました。

将来に向けて

Google Cloud では、昨年 AppSheet プラットフォームのリリースを約 200 回行うなど、絶えず改善に向けて取り組んでいます。その結果、同プラットフォームはより多くのユーザーにとって使いやすいものへと大きく進化を遂げました。

  • Google Workspace に AppSheet プラットフォームが統合され、Google Workspace のエンタープライズ SKU に同プラットフォームが含められました。これにより、ユーザーが自らタスクやプロセスを定義し直すことが可能となります。また、ガバナンス管理の機能も追加され、AppSheet を活用して革新をいっそう押し進めると同時に、シャドー IT のリスクを回避できるようになりました。

  • 便利なアプリ テンプレートを使って、アプリ開発にすばやく着手したり、AppSheet を活用したアプリに Google Workspace の機能を組み込んだりできるようになりました。

  • カラー選択ツールをはじめとするカスタマイズ機能が加わり、開発対象のアプリをよりきめ細かく制御できるようになりました。

  • Apigee API コネクタなどの新しいコネクタが追加され、AppSheet とリンクできるデータソースが増え、可能性がさらに広がりました。

最後に、9 月の Google Cloud Next ‘20 OnAir発表された AppSheet の機能についても触れておきましょう。このイベントで発表された機能には、AppSheet ユーザーが Apigee API を活用できるようにする Apigee datasource for AppSheet のほか、自然言語インターフェースおよびコンテキストに基づくおすすめを使ってビジネス プロセスを自動化できる AppSheet Automation などがあります。これらに加えて、Google のテクノロジーを AppSheet に組み込むための継続的な取り組みもあり、人間中心のアプローチがいっそう押し進められ、アプリ作成者の意図がより正確に把握されるようになるなど、コードなしでのアプリ開発がこれまでになく簡単になってきています。

2020 年はあらゆる人にとって困難な年でした。そんな中、こうした成果を挙げられたことを私たちは誇りに思います。引き続き、市民デベロッパーの皆様が従来のコーディングをせずに変革をもたらせるようなアプリを開発できるよう、サポートに努めていく所存です。2021 年も、皆様が開発するアプリを楽しみにしております。


-Google Cloud ビジネス アプリケーション プラットフォーム プロダクト担当責任者(ディレクター) Vikas Anand