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データベース

読み取り専用レプリカとゼロ ダウンタイム移動が利用可能になった Spanner データベースがより広範な地域に拡張

2023年3月15日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Cloud Spanner は、ほぼ無制限のスケーリング、強整合性、最大 99.999% の可用性を備えた Google Cloud のフルマネージド リレーショナル データベースであり、金融サービス、ゲーム、小売、ヘルスケアなどの業界におけるあらゆる規模のアプリケーションで活用されています。

Spanner インスタンスを設定する際は、その構成としてリージョンまたはマルチリージョンを選択できます。どちらの構成も、高可用性、ほぼ無制限のスケーリング、強整合性という特長を備えています。リージョン構成では、99.99% の可用性を確保し、ゾーンの障害に対処できます。マルチリージョン構成では、99.999% の可用性を確保し、2 つのゾーンの障害と、リージョン全体の障害に対処できます。

そしてこのたび、Spanner のリージョンおよびマルチリージョンの機能が大幅に強化されましたので、ご紹介いたします。

  • 構成可能な読み取り専用レプリカを、任意のリージョンまたはマルチリージョンの Spanner インスタンスに追加できるようになりました。これにより、任意の地域のクライアントに、低レイテンシで読み取りを提供できます。

  • Spanner のゼロ ダウンタイムのインスタンス移動サービスにより、本番環境の Spanner インスタンスを別の構成にダウンタイムなしで自由に移動できるようになりました。リージョン、マルチリージョンはもちろん、構成可能な読み取り専用レプリカを含むカスタム構成にも対応します。

  • 9 個のレプリカをサポートするグローバルなマルチリージョン構成の nam-eur-asia1、nam-eur-asia3 の料金が値下げになりました。これにより、グローバルなワークロードでいっそう利用しやすくなりました。

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

構成可能な読み取り専用レプリカ

Spanner の最大の特長の一つは、広範な地域で高いパフォーマンスを提供できるという点です。この高いパフォーマンスは、読み取り専用レプリカによって実現されています。「読み取り専用レプリカ」という名前が示すように、このレプリカはデータベース全体のコピーであり、ステイル読み取りに対応します(リーダー リージョンへのラウンドトリップは不要です)。つまり、近傍のクライアントに低レイテンシでステイル読み取りを提供し、ノードの読み取りのスケーラビリティを全体的に向上させます。

たとえば、グローバルに展開するオンライン小売店は、世界中のユーザーの検索結果にカタログ内の商品が効率的に表示されるようにしたいと考えるでしょう。そのような目的の商品カタログには、Spanner の nam-eur-asia1 というマルチリージョン構成が適しています。この構成では、米国に読み取り / 書き込みレプリカ、ベルギーと台湾に読み取り専用レプリカがあります。この構成を選ぶことにより、世界中の買い物客が低レイテンシで商品カタログを表示できるようになります。

これまで、読み取り専用レプリカは、特定のマルチリージョン構成(nam6、nam9、nam12、nam-eur-asia1、nam-eur-asia3)でのみ利用可能でした。このたび、構成可能な読み取り専用レプリカを、任意のリージョンまたはマルチリージョンの Spanner インスタンスに追加できるようになりました。これにより、クライアントの場所にかかわらず、低レイテンシでステイル読み取りを提供することが可能になります。

読み取り専用レプリカを構成に追加するには、Google Cloud コンソールで [インスタンスの作成] ページに移動してください。このページに、[読み取り専用レプリカの構成] という新しいセクションがあります。このセクションで、読み取り専用レプリカの追加先リージョンと、ノードごとのレプリカ数を指定し、インスタンスを作成します。これだけの簡単な手順で、読み取り専用レプリカを追加できます。

以下の図は、マルチリージョン構成の nam3 で、us-west2(ロサンゼルス)に読み取り専用レプリカを追加する方法を示しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Add_Read-only_Replica_Snapshot.max-700x700.jpg

なお、読み取り専用レプリカにまだ未対応の構成 / リージョンの組み合わせもあります。ご希望のリージョンがリストにまだ含まれていない場合は、リクエスト フォームにご記入ください。

構成可能な読み取り専用レプリカの料金は、現在、ノード時間およびレプリカあたり $1 + ストレージ費用となっています。詳しくは、Cloud Spanner の料金をご覧ください。

同時発表: Spanner のゼロ ダウンタイムのインスタンス移動サービス

構成可能な読み取り専用レプリカを使用することで、新しいインスタンス構成を必要に応じて作成することが可能になりました。では、既存の Spanner インスタンスをダウンタイムなしで新しい構成に移行するにはどうすればいいでしょうか。Spanner データベース インスタンスはミッション クリティカルであるのに加えて、何ペタバイトものデータ容量に達したり、秒間クエリ数が数百万となったりすることがあります。そのため、Spanner インスタンスを別の構成に移動することは、容易ではないことがご想像いただけるでしょう。たとえば、アイオワの us-central1 を、us-west2 に読み取り専用のレプリカがある nam3 に移動するといったケースです。さらに、Spanner が 99.999% の可用性という厳しい基準を満たすこと、広範なスケールでトラフィックに対応することを踏まえると、us-central1 を nam3 にゼロ ダウンタイムで移動することはほぼ不可能とも思われます。

しかし、このような不可能を可能にするというのが、今回の発表内容の一つです。インスタンス移動サービスの一般提供が始まり、Spanner インスタンスを任意の構成間でダウンタイムなしで移動するライブ マイグレーションをお申し込みいただけるようになりました。リージョン、マルチリージョンの構成はもちろん、構成可能な読み取り専用レプリカを含むカスタム構成にも対応しています。

インスタンスの移動をご希望の場合は、Google Cloud コンソールの [インスタンスの編集] ページで [Google に問い合わせ] を選択し、インスタンス移動リクエスト フォームにご記入ください。リクエストを受け取り次第、インスタンス構成を移動する開始日をお知らせいたします。移動の際はダウンタイムもコード変更も発生せず、SLA も継続して保証されます。

なお、移動の最中は、移動元と移動先の両方で、時間あたりのコンピューティング料金とストレージ料金が発生します。これについては、Cloud Spanner の料金に記載されています。環境によって異なりますが、インスタンスの移動にかかる時間は数時間から数日程度です。最も重要な点は、Spanner インスタンスは移動の最中もダウンタイムなしで実行され続けるということです。つまり、移動中も Spanner の高可用性、ほぼ無制限のスケーリング、強整合性という特長が損なわれることなく、ミッション クリティカルな本番環境のワークロードのために継続して利用できます。

9 個のレプリカをサポートするグローバルな Spanner マルチリージョン構成が値下げに

最後に、嬉しいお知らせです。このたび、Spanner のグローバル構成の nam-eur-asia1 および nam-eur-asia3 が値下げになり、1 ノードおよび 1 時間あたりのコンピューティング料金が $9 から $7 に変更になりました。これらの構成は、北米に書き込みクォーラム、ヨーロッパとアジアに読み取り専用レプリカがあるのに加えて、厳しいパフォーマンス要件や 99.999% の可用性も満たしており、グローバル アプリケーションに最適です。こうした特長に加え、費用面でもいっそうお得になりました。

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- シニア プロダクト マネージャー Mark Donsky
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