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データベース

Google Cloud Database の新機能と今後の展望

2021年10月28日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

この 18 か月で学んだことがあるとすれば、変化に対応する能力が最も重要だということです。このデジタルで破壊的な時代に成功するためには、開発チームはこれまで以上に迅速にお客様対応を革新し、反復する必要があります。企業は、プロダクトやサービスだけでなく、ビジネスモデル、プロセス、戦略についても、迅速に、頻繁に、そして経済的に実験できる必要があります。

Google Cloud では、お客様の現状に合ったオプションを構築し、将来のイノベーションと成長のための道筋を作ることに重点を置いてきました。新たに発表された 2021 年 7 月版 Gartner® Solutions Scorecard for Google Cloud Platform Operational Database では、Google Cloud は Gartner が提示した必須基準を 100% 満たし、100 点満点中 90 点の総合スコアを獲得しました。

数か月前、Google は Spanner でのきめ細やかなインスタンスのサイズ設定を発表しました。これにより、お客様は Spanner を通常のインスタンスの 10 分の 1 のコストである月々約 65 ドルで利用できるようになりました。今週は、Spanner 用の PostgreSQL Interface のプレビュー版を発表しました。この新しい PostgreSQL Interface により、企業は人気の高い PostgreSQL エコシステムのスキルやツールを使用して、Spanner の比類ないグローバル スケール、99.999% の可用性、強整合性を利用できます。

このインターフェースは、最も一般的な PostgreSQL のデータ型と SQL 機能を使用して、Spanner の豊富な機能セットをサポートしています。そのため、Spanner を使用して変革的なアプリケーションを構築する際の参入障壁が低くなりました。デベロッパー チームは、慣れ親しんだツールやスキルを使用することができ、PostgreSQL Interface で構築したスキーマやクエリを、必要に応じて別の PostgreSQL 環境に容易に移行できるという保証があるため、柔軟性と安心感を得ることができます(プレビュー版の利用をご希望の場合は、こちらのフォームに入力してください)。

Wayfair 社のアソシエイト ディレクターである Phil Portnoy 氏は次のように述べています。「Wayfair では、お客様にあらゆる家庭用品を揃えた最高のオンライン ショッピング体験を提供することに注力しています。これを可能にするために、当社はクラウドのマネージド データベース サービスに移行し、デベロッパーが使い慣れた PostgreSQL を使用しています。当社は Cloud Spanner の新しい PostgreSQL Interface に大きな期待を寄せています。専門的なスキルへの莫大な追加投資なしに、比類のないスケーラビリティ、強整合性、99.999% の可用性を必要とするアプリケーション チームにとって、Spanner がより利用しやすくなるからです。」

NEXT でのもう一つの大きな発表は、Google Distributed Cloud の発表です。これは、Google Cloud のインフラストラクチャとサービスをエッジやお客様のデータセンターにまで拡張する、ハードウェアとソフトウェアのフルマネージド ソリューション ポートフォリオです。Google Distributed Cloud では、Google Cloud のマネージド データベース、機械学習、データ分析、コンテナ マネージド サービスに加え、有名なサードパーティのサービスをデプロイできます。Google Distributed Cloud は、お客様が運用上のオーバーヘッドを削減し、アプリケーションをモダナイズし、データをローカルに処理して、デプロイメント全体でリアルタイムに分析情報を利用できるようにします。

これで、NEXT での大きな発表について感触を得ていただけたかと思います。また、Google はクラウドへの移行を簡素化し、革新的なクラウドネイティブ データベースの障害を取り除き、デベロッパーが好むツールを提供するなど、さらなるイノベーションにも注力しています。

エンタープライズ機能でクラウドへの移行を簡素化

この 1 年間、Google は Google Cloud のマネージド サービスへの移行を簡素化することに注力してきました。Google は Cloud SQL では、エンタープライズ機能を構築し、主要な阻害要因を排除しました。このデータベースは、MySQLPostgreSQLSQL Server のワークロードに対応したフルマネージドのリレーショナル データベース サービスです。Cloud SQL は、既存のアプリケーションや Google Kubernetes EngineBigQuery などの Google Cloud のサービスと簡単に統合できます。65 万台以上の GKE Pod が Cloud SQL に安全に接続し、BigQuery ユーザーは連携したクエリ機能を使って、月平均で 125 ペタバイト以上のデータを Cloud SQL でクエリしています。

さらに、Google はクロスリージョン レプリカ、ポイントインタイム リカバリ(PITR)、顧客管理の暗号鍵(CMEK)、VPC Service Controls、Cloud IAM、Active Directory のサポートなど、Cloud SQL の機能を導入しました。Cloud SQL メンテナンスのダウンタイムは、12 か月前に比べて平均 80% 短縮され、近い競合他社と比較しても短くなっています。また、Google は PostgreSQL 13 や近日中には PostgreSQL 14 など、最新のリリース バージョンのサポートにも対応しています。また、最近では、Google は Active Assist を用いた Cloud SQL Cost Recommender を導入しました。この機能によりデベロッパーは Cloud SQL データベース全体のコストをより適切に管理できます。

Google は Database Migration Service により、Cloud SQL への移行をより簡単かつ迅速にしました。移行全体の 85% 以上が 1 時間以内に完了しており、大半のお客様が他のクラウドからデータベースを移行しています。Database Migration Service は、現在、MySQL と PostgreSQL のデータベースをサポートしており、SQL Server の移行も近日中にサポートする予定です。

最後に、Google はサーバーレスの変更データ キャプチャ(CDC)およびレプリケーション サービスである Datastream を発表しました。このサービスは、MySQL や Oracle のデータベースからのストリーミングで低レイテンシのデータへのアクセスを提供し、Spanner や BigQuery などの Google Cloud を目的地としています。Google Cloud でのマネージド サービスへの移行については、このホワイト ペーパーで詳しく説明しています。

常時稼働するアプリケーションのための革新的なデータベース

グローバルな展開と無限のスケールで、Google は常時稼働するアプリケーションのための最高クラスのデータベースを提供します。Cloud Spanner はグローバルに分散された、可用性の高いリレーショナル データベースです。現在、ピーク時には毎秒 10 億以上のリクエストを処理し、世界中の何百ものアプリケーションとペタバイト級のデータにより、その機能が実証されています。Cloud Bigtable は高いパフォーマンスを誇る NoSQL データベースです。このデータベースは 10 エクサバイト以上のデータを管理しており、その数は増え続けています。また、Firestore は、モバイル、ウェブ、サーバー開発向けのスケーラブルなドキュメント データベースです。このデータベースは活発で活気のあるデベロッパー コミュニティを構築し、Firebase Auth を使用する月間 7.5 億人以上のアクティブなエンドユーザーをサポートしています。

Spanner と Bigtable の CMEK、Bigtable と Firestore のデータアクセス監査ロギングに加え、Bigtable に Spanner と Firestore と同様の 99.999% の可用性 SLA を提供するなど、主要な機能と追加機能に投資してきました。これらの機能により、特に金融機関をはじめとするお客様の厳しい規制要件への対応をサポートできます。

また、まもなくリリースされる Bigtable 自動スケーリングのような機能を使えば、ワークロードの需要の変化に応じて、自動的に容量の追加や削除を行うことができ、必要な容量だけを支払うことができます。これにより、チームは戦略的な仕事により多くの時間を費やすことができ、インフラストラクチャの管理にかかる時間を減らすことができるため、管理のオーバーヘッドを減らすことができます。Bigtable のノードは、SSD では 2.5T/ノードから最大 5T/ノードへ、HDD では 8T/ノードから最大 16T/ノードへと、2 倍のストレージ容量に対応するようになりました。これは、大量のデータを処理するバッチ ワークロードにおいて、特に費用対効果の高いものです。

使い慣れたツールでデベロッパーに合わせる

デベロッパーはアプリケーションを構築するうえで重要な役割を担っています。そのため Google はデベロッパーのイノベーションのスピードを向上させ、ポートフォリオ全体で強化された機能や性能を提供することにも注力しています。Firestore は、ドキュメント データベースとしても、Backend-as-a-Service としても機能することから、デベロッパーに好評です。そのため、Firestore が迅速なアプリ開発のために、月間 25 万人以上のアクティブなデベロッパーを抱える活発なデベロッパー コミュニティを構築しているのも当然のことです。Google は Bigtable、Spanner、Firestore 用の Key Visualizer を発表し、デベロッパーがパフォーマンスの問題を迅速かつ視覚的に特定できるようにしました。この機能は、テーブルでアクセスされる行キーに基づいて使用量を分類した視覚的なレポートを生成します。また、今年初めには Cloud SQL Insights の提供を開始しました。これは、業界をリードするデータベース オブザーバビリティを追加料金なしで開発者に提供するもので、Cloud SQL データベースのクエリ パフォーマンスの問題を検出、診断、防止するのに役立ちます。

先に述べたように、Google は Spanner でのきめ細やかなインスタンスのサイズ設定を発表しましたが、今週、Spanner の PostgreSQL Interface をプレビューで発表しました。デベロッパー チームは、すでに持っているツールやスキルを使うことができます。また、PostgreSQL Interface で構築したスキーマやクエリを、必要に応じて別の PostgreSQL 環境に簡単に移行できるため、柔軟性と安心感を得ることができます。

Oracle データベースの運用を近代化するために、Google は El Carro を発表しました。このオープンソース ツールは、Kubernetes オペレータ パターンを実装し、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境で稼働するデータベースのプロビジョニングや、バックアップ、パッチ適用、高可用性などの継続的な運用の自動化を実現しています。また、これには DevOps チームがアプリケーションの管理に使用しているのと同じ宣言型の構文を使用しています。

最後に、Google は今年初めにオープンソースのオブジェクト リレーショナル マッピング(ORM)の自動インストルメンテーション ライブラリである Sqlcommenter を発表し、Datadog、Dynatrace、Splunk などの APM ベンダーと密接に連携する OpenTelemetry に提供しました。今回の発表では、OpenTelemetry のビジョンをデータベースにまで拡大し、オープン スタンダードでアプリケーションに特化したデータベースのオブザーバビリティを実現します。

まとめ

変化のペースは加速する一方で、データベースは、チームがアプリケーションを迅速に構築できるようにするために重要な役割を果たしています。Google Cloud のデータベースは、デジタルの世界を形成してきた数十年にわたる当社自身の実体験に基づいた、革新のための画期的なプラットフォームを提供します。

Google Cloud データベースの利用を開始するには、こちら をご覧ください。NEXT のブレイクアウト セッション、デモ、ハンズオン ラボ、パートナー インサイトはこちらで探してください。

- エンジニアリング担当ゼネラル マネージャー兼バイス プレジデント Andi Gutmans

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