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データ分析

データとクラウドに革命が起きる: 2021 年の 6 つの予測

2021年1月12日
Google Cloud Japan Team

予測は特定の時間枠によって決まるため、予測を提供するのは容易ではありません。しかし、クラウド採用の傾向を振り返ると、2020 年には 2021 年の変化を暗示するものがいくつか見られました。

インターネット革命が起こったときにネットワーク エンジニアだった私には、新しい革命の兆候がわかります。今回の革命は、クラウドとデータを中心に構築されています。つまり、変化の兆候に基づいて行動することで、ディスラプションを起こすものと、ディスラプションの影響を受けるものの違いがわかります。

ここでは新年に向けて心に留めておくべき重要なことをご紹介します。

1. クラウド コンピューティングの次の段階で中心となるのは、費用のみではない、変革のメリット。

2021 年には、管理されたデータ アーキテクチャがクラウドモデルに含まれるようになり、組織全体で分析と AI の採用が加速します。過去には、大規模なクラウド導入の動きを推進した注目すべき開発がありました。クラウド移行の最初の波はサービスとしてのアプリケーションによって起こり、企業は CRM などの特定のアプリケーション向けに、より迅速で安全な開発を実現するツールを利用できるようになりました。次に、第 2 世代では、多くの企業が物理データセンターのメンテナンスから抜け出すために、インフラストラクチャのモダナイゼーションを行いました。

これらはすべて企業にとって有用でしたが、2020 年のあらゆる出来事を踏まえて、第 3 段階としてデジタル トランスフォーメーションが本格的に実現するでしょう。これに伴い、ビジネスの真の変革によるメリットが現れ始めます。その望ましい結果には、データ分析と AI / ML の日常のビジネス プロセスへの導入が含まれます。これはすべての業界と社会全体に大きな影響をもたらします。

2. コンプライアンスは単に付け加えるものではない。

最新のクラウドモデルは、データ主権とアクセスの問題に関する精査に耐えられるモデルでなければなりません。コンプライアンスにより、企業がビジネスを行う方法や、社会のどれだけの部分が運営されるかが変わります。従来型の大企業でさえ、規制の強化などの緊急のニーズに対応するためにクラウドに移行しています。現在、企業がセキュリティとプライバシーの重要な要素を無視するのはリスクが高すぎます。

クラウド、特に Google Cloud が、データ分析を改善するために不可欠である大きな理由の一つは、コンプライアンスとガバナンスのこうした質問にかかわります。世界中のあらゆる規模の企業で、セキュリティ、プライバシー、データ主権への注目が高まっています。2021 年のデジタル トランスフォーメーションの多くは、必要に迫られて起きるものですが、それを可能にするのは今日のクラウドです。Google Cloud は、こうした基本的な要件に基づいてゼロから構築されたプラットフォームであるため、企業はデータを確実に保護しながらクラウドに移行できます。

3. オープン インフラストラクチャがひとり勝ちする。

2021 年までに、80% 以上の企業がマルチクラウドまたはハイブリッド IT 戦略を採用するでしょう。クラウド ユーザーは、ワークロードのオプションを求めています。オープン インフラストラクチャとオープン API は前進するための道であるため、オープンな哲学を受け入れる必要があります。貴重なデータを特定のプロバイダやサービスに固定する余裕のある企業はありません。

この新しいオープン スタンダードは、マルチクラウドとオンプレミスのデータソースが急速に統合されることを意味します。適切なツールにより、組織は複数のクラウド サービスを一緒に使用し、まるで 1 つのインフラストラクチャであるかのように、各クラウドから必要なメリットを得られます。オープン性とクラウドの両方に向けた大規模なシフトは、より強力なデータアセットと、より優れたデータ分析を導きます。過去 1 年間に、会社に存在するデータソースの数や収集したデータソースの数に誰もが驚かされました。オープン インフラストラクチャにより、ビジネスに最適なクラウドパスを選択できるようになります。

LookerBigQuery Omni などのデータ ソリューションは、オープン プラットフォーム上のオープン API 環境で動作するように特別に設計されているため、常に変化し続けるデータソースの一歩先を行きます。

4. AI や ML の力を活用するためにデータ サイエンスの学位が求められることはなくなる。

あらゆる専門知識や特殊なツールを伴うデータ サイエンスが、少数の人々のみの特権ではなくなります。組織全体のチームは、まったく新しい領域を学ぶ必要なしに、ML モデリングや AI などの機能を備えたデータ サイエンスの力にアクセスできなければなりません。これにより、このようなチームメンバーの多くは、自らの仕事や必要な意思決定を刷新できるようになります。また、データを利用していない場合は、利用し始めるでしょう。

チーム全体に分析する力を与えるこの機能により、企業は、従来の独立したデータ サイエンス モデルを未だに使用している企業よりも、はるかに迅速にデータを収集、分析、操作できるようになります。これにより、従業員はオンデマンドでデータを収集、分類、共有するためのツールを手に入れ、生産性と情報に基づいた意思決定が向上します。また、プレゼンテーションの組立、分析、作成を通常行なっているデータ サイエンスの経験を持つチームがこうした作業から解放され、チームの能力とトレーニングにより適したタスクに集中できるようになります。

Google Cloud のインフラストラクチャと Google のデータ、AI / ML ソリューションを使用すると、データをクラウドに簡単に移動して分析を開始できます。コネクテッド シートData QnALooker などのツールにより、認定データ アナリストであるか、サイエンティストであるかを問わず、すべての従業員がデータ分析を実行できるようになります。

5. 今後、ますます多くの世界のエンタープライズ データのリアルタイム処理が必要になる。

もうすぐクラウド上のデータの量がデータセンターにあるデータを上回るところまで来ています。世界中のデータは 2025 年までに 61% 増加し、175 ゼタバイトになると予想されています。この大量のデータは、企業が探索する機会の宝庫となります。課題は、現時点でのデータの有用性を把握することです。過去に保存されたデータを追跡することで情報は得られますが、ますます多くのユースケースで即時の情報が必要になっています。これは特に予期しないイベントへの対応において顕著です。たとえば、リアルタイムのデータとリアルタイムの対応により、ネットワーク セキュリティ違反を特定し、その場で阻止することは、ビジネスに多大な影響力があります。その一瞬で、緩和策に費やす莫大な時間と費用を節約できます。

これは、お客様が DDOS 攻撃に対処するのを支援するために Google が使用している方法と同じです。そして、2020 年に Google が学んだことがあるとすれば、それは、企業がこれまで以上に予期しない問題に即座に対応できるこの機能を必要としていることです。

リアルタイム データはデータ収集の速度に革命をもたらしますが、おそらくこれまでで最も予想外かつ非常に有用なデータソースは、予測分析です。従来、データの収集は、物理的な世界からのみ行なっていました。つまり、将来の出来事に向けて計画する唯一の方法は、物理的にテスト可能なものを調べることでした。しかし、予測モデルと BigQuery ML のような AI / ML ツールを使用すると、組織は実際のシナリオと情報に基づいてシミュレーションを実行し、物理環境でテストするのが難しく、費用がかかり、不可能でさえある状況に関するデータを手に入れることができます。

6. データレイクの 50% 以上が、複数のクラウドとオンプレミスにまたがるようになる。

適切なサービスを適切なユースケースに適応させるのは複雑な作業であることを Google は理解しています。クラウドは多くの優れたデータ オプションの機会を広げる一方で、非常に多くの企業がクラウド ソリューションに移行しているという事実は、組織が競争力を維持するためには強力なデジタル戦略が必要になることを意味します。これはデータ ストレージにまで及びます。多くの企業が柔軟性を求めて、特に多くのオプションが利用可能なマルチクラウドを選択しています。クラウドにおいて、データ ストレージは、すべてを簡単に検索できるように主に構造化データを格納するデータ ウェアハウスや、構造に関係なくすべてのビジネスデータをまとめるデータレイクの形をとっています。

今後、レイクとウェアハウスの境界線が曖昧になることをはじめ、これまでに見てきた傾向がさらに顕著になるでしょう。Google Cloud には、非構造化データを統合し、AI / ML ソリューションを使ってデータレイクのナビゲーションを容易にして、分析情報とコラボレーションを促進する能力を組織に与える、さまざまなデータレイク モダナイゼーション ソリューションがあります。

貴社のビジネスの次のステップは?

急速に進む変化に圧倒されそうになることもありますが、こうしたテクノロジーの変化はどれも本当に心踊るものです。最終的に、こうしたテクノロジーにより、問題へのリアルタイムでの対応や、ビジネス ユーザーが遅滞なくデータを取得するための支援、データのライフサイクル全体の確実な把握が可能になります。さっそく始めましょう。

最新のデータ ウェアハウスを構築するためのガイドを確認するか、Harvard Business Review Analytic Services のレポート Turning data into unmatched business value で、データに価値を置くリーダーが企業のデータ戦略からどのように成果を上げているかをご確認ください。

-データ分析エンジニアリング担当ゼネラル マネージャー兼バイス プレジデント Debanjan Saha

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