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データ分析

お客様事例: BigQuery と Looker でビジネス インテリジェンスをモダナイズする方法

2021年2月5日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 1 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

企業が顧客や商品、マーケティングなどについて理解を深めるために収集するデータはますます増えています。しかし、そのデータから価値ある有意義なインサイトを引き出すには、強力で信頼性が高く、スケーラブルなソリューションが必要です。Google Cloud には、BigQueryLooker を使用することでビジネス インテリジェンス(BI)をモダナイズし、組織内で収集するデータのセルフサービス ディスカバリを可能にできたとの声がお客様から寄せられています。こうした組織では、データ サイエンティストやデータ アナリストだけでなく、ビジネスの主要な意思決定者を含む誰もがすぐにインサイトを利用できます。

この投稿では、BigQuery と Looker の使用経験がある Google Cloud のお客様が、データ インサイトを使用して新たな機会を開拓した事例をご紹介します。

データ分析を加速

Sunrun は住宅用太陽光発電業界をリードする企業で、信頼性の高いクリーンな太陽エネルギーや蓄電池のソリューションを手頃な価格で提供しています。再生可能エネルギーの需要が高まるにつれ、設置作業、設置後のシステム、顧客対応、販売などに関するデータが増え続け、Sunrun は効率的なデータ管理方法を必要としていました。

Sunrun の従来のデータスタックでは、IT チームやデータチームがほぼすべての内部データ リクエストに対応する必要がありました。Sunrun の以前の Oracle データ ウェアハウスには、増大する分析ニーズに応じてスケールする機能も、予測的なインサイトを容易に提供する機能もありませんでした。そしてこのような制限が要因となり、データのサイロ化や競合が生じていました。

Sunrun は評価プロセスを経た後、BigQuery と Looker を含む Google Cloud のスマート分析プラットフォームに移行して、抽出、変換、読み込み(ETL)の複雑さを軽減し、高速クエリを簡単に実行可能にして、組織全体のデータのアクセス性と信頼性を向上させました。

主な利点

  • 生産性と労働データの分析情報を活用して建設プロセスを最適化し、計画を効率化して可能性を秘めた領域を特定できます。

  • データ ウェアハウスの設計時間、ETL、データ モデリングの所要時間を 50% 短縮できます。

  • データ開発サイクル全体を 60% 以上短縮し、モダナイズ、簡素化されたアーキテクチャで意思決定を加速化します。

  • ハブアンドスポーク分析モデルにより、コアビジネス全体でセルフサービス分析を可能にし、すべてのメトリックの管理と信頼性を保証します。

  • Looker のモデリング レイヤである LookML を使用して、組織全体の指標定義を統合できます。

  • Looker ダッシュボードで組織幹部の定期会合を容易にし、信頼できる唯一の情報源に基づいたデータドリブンな戦略の策定と実施を推進できます。

Looker を使用することで、Sunrun は組織の IT 側とビジネス側の緊密な連携を可能にしました。これにより、主要な小売パートナーとの関係に基づくパフォーマンスと影響といった、小売ビジネス全体の傾向を把握する能力が向上しました。データは Sunrun の組織全体で、カスタマー エクスペリエンスとビジネス目標を念頭に置いて分析されます。以前のオンプレミスのデータスタックから最新のクラウド環境に移行して以来、Sunrun はインフラストラクチャとビジネス全体の効率を高め、増え続ける太陽光発電の需要に対応しています。

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構築のベースとなるビジネス インテリジェンス

土木工学の大手企業 Emery Sapp & Sons は、以前は Excel ワークブックを使用してデータを分析していましたが、ビジネスの成長に合わせてスケールできる新しいデータスタックの主要コンポーネントとして BigQuery と Looker を採用しました。これにより、さまざまなデータソースが統合され、ビジネスの全体像が明らかになりました。組織全体でユーザー フレンドリーなセルフサービスを可能にするというニーズが Looker により満たされたことで、すべてのチームがビジネス ユーザー フレンドリーなインターフェースから正確なデータにアクセスして活用できるようになっただけでなく、メンテナンスも最小限で済むようになりました。

主な利点

  • Looker で費用と給与のレポートを事前構築して自動的に作成できるため、Emery Sapp & Sons チームがレポートの生成に費やしていた時間を大幅に削減して予定どおりにデータを配信できるようになりました。

  • 週次の収益性と売掛金のダッシュボードにリアルタイム データが反映されるため、キャッシュ フローのより正確な予測が可能になり、連絡すべき顧客についての指針を得ることができます。

  • Looker で Zendesk サポート チケットを追跡することで、オープン状態、緊急、高優先度、保留中、クローズ済みのチケットを簡単に表示でき、傾向を特定できます。

  • 売掛金チームの残高合計や未払いの請求に関するレポートへの即時アクセスが可能です。支店長は、支店の情報を顧客別に並べ替え、フォローアップの連絡に優先順位を付けられます。

必要な情報を直感的に可視化できるため、Emery Sapp & Sons は重要なデータをすぐに理解して活用できるようになりました。データスタックをモダナイズして以来、かつて手作業に費やしていた時間を何時間も短縮し、データからビジネス価値を引き出すための時間に充てられるようになりました。今では、組織の成長を促進し、顧客にサービスを提供するための戦略的イニシアチブに注力できるようになっています。

不確かな時代にケアを前進

Commonwealth Care Alliance(CCA)はコミュニティ ベースの医療機関で、特別なサポートが必要で、多くの場合社会的立場が弱く孤立しがちな個人を対象に、ケアの提供とコーディネートを行っています。昨年冬に発生した COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の最初の兆候から、CCA は会員に対するより高いレベルのケアや注意が必要になることを察知しました。CCA のスタッフと臨床医は、多くの分野やソースから統合された信頼できるデータを迅速に利用する必要がありました。

幸い、CCA はすでに BigQuery と Looker を搭載した高度な分析プラットフォームを導入していました。データ サイエンス チームはこれを使用して、CCA の臨床医に貴重な情報や予測分析情報を提供し、データ運用と機械学習(ML)運用の機能を開発してデプロイしていました。Google Cloud のすべては、CCA の HIPAA 要件を満たす単一の業務提携契約(BAA)により利用可能でした。BigQuery はその弾力性が発揮され、サービスとして利用可能になっていました。上述の 2 つの機能により、CCA は信頼性の高いプラットフォーム パフォーマンスを達成し、小規模なデータ サイエンス チームでコンプライアンスに対応しながら集中力と機敏性を維持することができました。

CCA は、クエリの抽象化と列ベースのデータエンジンを使用して、臨床医の変化するニーズに適応し、一般的なダッシュボードと役割別のダッシュボード(社内での呼称はアクション ボード)を介してデータと予測分析情報を提供しています。これらの情報は、臨床医が各会員の特定のニーズにどのように対応するかを決定する際に役立っています。

主な利点

  • CCA の内部ケア管理プラットフォームと電子健康記録からデータを取得して BigQuery と Looker を定期的に更新できます。

  • Looker の柔軟なモデリング レイヤ LookML で、「COVID-19 の感染リスクが高い」などのカスタム コンセプトをすばやく作成し、配布可能です。

  • カスタマイズされたダッシュボードにより、個々の臨床医とケア マネージャーが会員に関連するデータ(ケアの連携のために推奨される対応など)にアクセスできます。

  • Looker のユーザー属性と権限がサービスの中断などのデータと統合され、臨床医が状況の変化を適切に理解して対応できます。

CCA のデータ サイエンス チームは BigQuery と Looker を使用して、内部リソースに負担をかけることなく、信頼できるデータに組織全体から安全にアクセスできるようにしています。COVID-19 のパンデミックとその影響が深化し続けるなか、CCA は入手可能な最新の情報を継続的に活用して、会員のサポートとケアの戦略を更新し、主導しています。CCA のデータ サイエンス チームは、より深い特徴量エンジニアリングと因果推論を進め、臨床医に提供する分析情報と会員に提供するケアを充実させることができています。

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毎月 10,000 ドル以上を削減

Label Insight は、さまざまな商品のパッケージやラベルを分析することで、小売業者やブランドがトレンドと市場の需要を常に把握できるようにしています。Label Insight の顧客はこの情報を参考にして、既存商品のパッケージのリニューアルや最新の食生活トレンドに沿った新商品の開発に関する意思決定をしています。

以前は、従来のオンプレミスの BI システムや、多数のデータサイロ、煩雑なプロセスにより、データから有用な洞察を抽出する作業は費用も時間もかかり、複雑化していました。Label Insight は豊富なデータセットを保有していましたが、1 人の従業員がそれらのデータにアクセスして分析するには、1 週間ほどかかっていました。このプロセスには、スケーラビリティも、再現性も、信頼性もありませんでした。

現在の Label Insight の新しいデータ プラットフォームには、データ ウェアハウスとして機能する BigQuery と、ビジネス インテリジェンスに対応する Looker が搭載されています。経営陣がデータ ウェアハウス サービスを評価したところ、BigQuery を使用すればするほど、会社にとって大きなメリットと ROI を得られるという結論に至りました。BigQuery は事実上無限で、費用対効果が高く、スケーラブルなストレージ容量と比類のないパフォーマンスを提供します。

Looker は、セットアップが簡単なダッシュボード、レポート作成機能、分析機能を備えており、Label Insight の組織全体のユーザーにデータを提供します。さらに Looker の統制と管理の機能は BigQuery の高品質データの利用を可能にし、レポート リクエストに継続的に対応する作業からデータチームを解放しています。Looker には組み込み分析を介して分析情報を Slack などの既存のアプリケーションに統合する機能があるため、Label Insight は使い慣れたタスク管理ツールで一貫性のある正確なデータにアクセスし、全員が顧客に価値を提供し続けることができています。

主な利点

  • レポート作成にかかる労働時間を 1 週間あたり 120 時間短縮し、200% の ROI を達成。そのため、チームは新しいイニシアチブに取り組むための時間とリソースを確保できています。

  • 毎月 10,000 ドルの費用削減。

  • プラットフォームのユーザー エンゲージメント スコアが約 60% に到達(さらに増加中)。Looker スーパーユーザーの協力を得てこの数値を継続的に増加させることが目標です。

  • Fivetran により抽出、変換、読み込み(ETL)が自動化されるため、17 種類の情報ソースのデータにすばやく簡単にアクセス可能です。

Label Insight は、データ テクノロジー スタックをモダナイズすることで、望んでいたすべての方法でビジネスを変革しました。

ファンとクラブのエンゲージメントを大幅に改善

メジャーリーグ ベースボール(MLB)のファンデータ エンジニアリング チームは、350 を超えるデータ パイプラインを管理して、組織内外のデータ提供元からデータを取得し、企業向けデータ ウェアハウス(EDW)に集約しています。MLB の EDW は、組織内のサービス部門、マーケティング部門、財務部門、発券部門、ショップ部門、分析部門、データ サイエンス部門、ならびに MLB 全 30 球団から出されるデータ関連の計画を推進するために使用されています。チームは以前、EDW として Teradata を使用していました。

MLB は、クエリの失敗やレイテンシ、EDW との同期の問題などに直面していました。ネットワーク接続の制約やクライアント ソフトウェアの設定の問題が原因で、ユーザーによる直接アクセスが困難なことがよくありました。2019 年に Teradata から BigQuery に移行完了して以来、MLB は最新のクラウド ファースト データ ウェアハウス プラットフォームから多くのメリットを享受しています。

主な利点

  • 複数のパフォーマンス テストを、最小限の費用でコミットメントの購入なしで並列実行できます。MLB は、オンデマンド型から定額課金に切り替えることで、費用の問題を解消し、予期しない超過料金を防止して、部門間で未使用の容量を共有できるようになりました。

  • 安全なワンクリック共有でデータセットをワークスペースのユーザーやグループと共有し、データの民主化を推進できます。

  • BigQuery のウェブ コンソールにアクセスして、データに対する SQL クエリを確認、実行できます。コネクテッド シートを使用して、使い慣れたインターフェースで大規模なデータセットをピボット テーブルにより分析できます。

  • 以前の EDW と比較してクエリ完了までの時間が 50% 短縮されました。

  • Google 広告、Google キャンペーン マネージャー、Firebase など、MLB が使用するサービスとの統合が可能です。

  • MLB の新しい BI ツールである Looker と BigQuery の統合により、ビジネス ユーザーがデータにアクセスして詳細な検討を行うための洗練された高機能インターフェースを提供できます。

  • 以前のデータベース管理で生じていた運用オーバーヘッドを削減します。

  • サービスの主要な問題は Google によるサポート対象となるため、IT チームがより戦略的な業務に集中できます。

MLB は、従来よりも包括的でスムーズな手法でデータを活用して、ファンやリーグにサービスを提供できるようになりました。BigQuery と Looker への移行によってすでに推進されているプロジェクトの例として、以下の 2 件をご紹介します。

  • OneView: このイニシアチブは、30 件を超える関連データソースを 1 つのテーブルにまとめ、ファン 1 人につき 1 行を割り当てて、ニュース記事のパーソナライズなど、下流方向のパーソナライズと分類の構想実現を推進しています。

  • フォーム送信のリアルタイム レポート: MLB は、Google が提供する Dataflow テンプレートを使用して Pub/Sub から BigQuery にデータをリアルタイムでストリーミングすることで、「Opening Day Pick ‘Em」コンテストといった企画におけるフォーム送信のリアルタイム レポートを作成できる Looker ダッシュボードを開発しています。これにより、MLB の編集チームは最新の結果分析レポートを作成できます。

新しいデータスタックの導入により、MLB はデータ ステークホルダーに対しこれまでになく優れたサービスを提供でき、新しいデータドリブンな機能を活用して、ファンにとってより良いエクスペリエンスをオンラインでも対面でも提供できるようになりました。

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ビジネス インテリジェンスのモダナイゼーションをご希望の場合は、BigQuery と Looker を組み合わせたデータ分析ソリューションをご覧ください。

-Looker プロダクト マーケティング ディレクター Pedro Arellano


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