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データ分析

Built with BigQuery: Lytics、Google Cloud で安全なデータ共有と拡充ソリューションを開始

2023年2月7日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


編集者注: この投稿は、Built with BigQuery を活用したパートナー様をご紹介するシリーズの一部です。


背景とコンテキスト

顧客データプラットフォーム(CDP)は、さまざまなソースからデータを収集し、異なるシステム間でアクセスできるようにすることで、顧客にモノリシックなビューを提供します。企業がカスタマー エクスペリエンス、エンゲージメント、パーソナライズの向上に取り組む中で、CDP はますます重要になっています。さまざまな CDP タイプの中でも、一般に分解型 CDP と呼ばれるコンポーザブル CDP は、セキュリティやガバナンスなどの特定の要件に基づいて CDP コンポーネントのカスタマイズや交換ができる柔軟性とアジリティを備えているため、他とは一線を画しています。CDP の主要な構成要素は、収集したデータをどのように使用して新しいエンティティを作成するか、または既存のエンティティに統合するかを決定する、一連のルールに従った ID 解決です。

Lytics のコンポーザブル CDP アプローチ

Lytics は、企業が既存のデータ ウェアハウス / レイクにスケーラブルな CDP をデプロイできるようにする、次世代のコンポーザブル CDP です。これにより、顧客データの制御を失うことなく、また、セキュリティとプライバシーも犠牲にすることなく顧客の行動を追跡および特定することで、今後 Cookie を使用せずに成長していくことが可能です。Lytics は、リバース ETL 機能を提供し、プライベート インスタンス(単一テナントでホストされる SaaS)とプライベート クラウド(お客様の GCP プロジェクトに完全にデプロイ)の両方を、利用している GCP プロジェクト(VPC)に直接デプロイする機能を提供します。Lytics 独自のデータドリブンなアプローチによって、企業は統合ビューの作成を簡素化することでデータ パイプラインを改善します。また、エクスペリエンスをパーソナライズしてインタラクティブ性を高めることで顧客との関係を強化するとともに、顧客にさらなる価値を提供し、ひいてはより効果的なマーケティング ROI を促進します。

データ共有とクリーンルームの課題

業績を向上させる手段として、顧客データを安全に共有し、整理することの利点を認識する組織がますます増えています。このユースケースで重要なのは、拡充の過程で個人情報(PII)を抑制する必要がある一方で、BI(ビジネス インテリジェンス)、データ アナリスト、データ サイエンティストなどのデータに依存するチームが、センシティブ データが公開されるリスクを回避しながら、複数のソースからのデータを合成および拡充できるようにすることです。

データ共有やクリーンルームの普及に伴い、次のような新たな課題に取り組む必要があります。

  1. さまざまなソースのサイロに存在するデータには、2 つの異なるデータセットを互いに関連付ける方法、つまり識別子が必要です。これにより、顧客と関連するすべての属性を一元的に把握できます。ソースデータと顧客のデータセットにハッシュ化された識別子を使用する ID 照合ソリューションのような従来のソリューションは、このような技術的課題の軽減に有効です。

  2. データ ウェアハウスとデータ交換を行う際のレイテンシは、ビジネスチームがリアルタイムで意思決定を行うためのアジリティに直接影響する可能性があります。長時間稼働するワークフローのレイテンシを最小限に抑えることが重要です。

  3. 日々変化するセキュリティ、コンプライアンス、規制の要件は大きな障害となり、企業の顧客対応能力を大幅に低下させる、あるいは妨げる可能性があります。

  4. 柔軟性は必須です。パートナー、ベンダー、それらに関わるすべての人が、さまざまな要件を提示するため、柔軟性に欠ける従来のソリューションでは通用しなくなります。

ソリューション: Google Cloud 上の Lytics

Lytics が Google Cloud 上での構築を選択したのは、BigQuery を中核とする Google データクラウドを活用して、この問題解決に必要なインフラストラクチャとスケーラビリティを提供するためです。Google Cloud の AI / ML 機能の価値を引き出し、ユーザー プロファイルを合成する一意の識別子を使用したエンティティ識別の強化、外部ソースによる自社データの拡充、そして最終的には、複数の行動要因と独自のエンゲージメントに基づく行動スコアから構築された高度に対象が絞り込まれたオーディエンス セグメントを実現したいと考えました。BigQuery に加えて、Lytics ソリューションは、Google Cloud Pub/Sub、Google Kubernetes Engine(GKE)を含むさまざまな Google Cloud プロダクトと統合されています。また、Google を活用した Lytics の First-Party Modeled Audiences は、Lytics / Google 独自の API を介して YouTube のユーザーデータにアクセスし、Google タグ マネージャーと Google 広告プロダクトを使用して Modeled Audiences を作成することで、既存の Google 広告オーディエンスを拡大する、他に類を見ないソリューションとなっています。

Lytics と Google は、Google Cloud(BigQuery)と Lytics Platform を活用し、データを安全に共有するためのスケーラブルで再利用性の高いサービスを開発してきました。BigQuery の機能により、データの集約、分析、可視化、有効活用といったユースケースが可能になり、すべてを極めて低いレイテンシで実行できます。さらに、Analytics Hub の導入により、Lytics、BigQuery、Google Cloud Analytics Hub などの連携から構築された独自の広告主とメディア向け Google Cloud データ クリーンルーム ソリューションを提供できるようになりました。Lytics のデータ クリーンルームは、データの取り込み、統合、拡充、合成、エンティティ解決など、データを管理および処理するためのさまざまな機能を提供します。このソリューションのプライバシーを重視したデータ イネーブルメントでは、Google のエクスチェンジ レベルの権限を利用しつつ、PII を公開する必要なくデータを統合する機能を活用することで、データの重複を避け、プライバシー リスクを制限しながら、組織全体でデータを活用できます。

Lytics Conductor の強みは、Google の自社データセットを収集して顧客プロファイルに統合する能力にあります。次いで Google Cloud でのホスティングや BigQuery との統合も可能です。BigQuery との統合により、Lytics Conductor は、データセットを統合、合体させることでデータ共有を簡素化し、さらに価値を引き出す理想的なアプリケーションとなり、既存の BigQuery データ ウェアハウスを構築または拡張できるよう企業を支援します。

Lytics Conductor は、Analytics Hub の機能を促進し、何百ものリスティングを抱える組織内で内部および相互共有のためのマスターデータ エクスチェンジを作成して、パートナー、親ブランド、子ブランドにとって重要なデータセットを安全に管理しながら利用することに焦点を当てています。

Lytics のリバース ETL 製品である Lytics Cloud Connect は、この新しいデータセットを個々の顧客プロファイルに簡単かつ安全に関連付けることで、アクティベーションのループを完結させます。これにより、ミッション クリティカルなマーケティング ツールとの、すぐに利用可能な何百ものリアルタイムの統合全体にわたって、さらなるセグメンテーションとアクティベーションを実現します。

このソリューションの主な機能は次のとおりです。

  • 複数のデータソースからデータを収集、集計

  • 業界をリードする ID 解決機能により、統合された顧客プロファイルを作成

  • システム間でデータを統合し、イベントとプロファイルの同期を行う BigQuery ウェアハウスを開発、拡張

  • スケーラビリティ、信頼性、安全性に優れた方法で Analytics Hub を使用してデータ交換とリスティングを構築し、社内外のパートナーにデータを提供

  • 重要なマーケティング チャネル全体でセグメントを活性化

ソリューション アーキテクチャ

以下は、Lytics、BigQuery、Google Cloud Analytics Hub がどのように連携してソリューションを実現しているのかを示すブロック図です。

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  1. データソース(バッチおよびストリーム)は、Conductor によって管理される事前構築済みのスキーマにマッピングされます。

  2. Conductor は、事前構築済みのコネクタの巨大なエコシステムを提供し、API は異種データソースをプロファイルに統合して、BigQuery に配信します。これらのプロファイルは、包括的な顧客情報を構築するための自社データの中核的な基盤となります。

  3. Analytics Hub は、データセットとして利用可能なプロファイルとその属性のサブセットであるリスティングの作成、公開、検索を支援します。Analytics Hub は、ローコード、ノーコードのソリューションを使用して、プロデューサーからコンシューマーまでの自然なデータフローを確立します。

  4. Cloud Connect は、標準 SQL を使用してデータをモデル化し、チャネルツール間での直接のアクティベーションや、Conductor での統合プロファイルの拡充を行う固有の機能によって、リスティングを消費します。

  5. Conductor は Decision Engine と直接連携し、統合プロファイルのセグメントを構築して探索できます。

  6. Cloud Connect と Decision Engine を使用すると、SQL ベースのデータモデルまたはオーディエンス セグメントを直接有効化できます。

Google Cloud と Lytics の共同パートナーシップにより、ミッション クリティカルなデータをより厳密に管理し、アクティベーションを高速化する、スケーラブルで安全性の高いソリューションが実現しました。BigQuery のリアルタイム ストリーミング機能は、迅速なアクティベーションに大きく貢献しています。Lytics の機能と Google Cloud インフラストラクチャを基盤としていることで、より再利用性と到達性の高いソリューションとなっています。さらに、プライバシーに関する厳しい制約、業界のコンプライアンス基準、より新しい規制に対応する、将来を見据えたソリューションとして活用できます。

Lytics と Google Cloud の連携によるメリット

Lytics と Google Cloud のストーリーは、現在と将来における共同のお客様事例を代表するコラボレーションとイノベーションの一例です。

Google Cloud 上に構築された Lytics では、Google の処理速度と機能を活用でき、お客様が技術的な負担を負う必要はありません。Lytics Conductor と Google Analytics Hub は、データから最大限の価値を引き出すことに重点を置く共同のお客様に代わって、データ管理のニーズを改善する補完的な機能を提供できます。特に、Analytics Hub と BigQuery の機能とパワーは、複雑なデータ共有シナリオで価値を生み出すまでの時間短縮に効果を発揮しました。このようなシナリオでは、パートナーシップのコラボレーションが安全かつ確実に行われ、ブランド間でのアクティベーションを数日や数週間ではなく数時間で実現できます。

Lytics は Google Cloud の長年のパートナーであり、Lytics Platform は GCP 上に構築された独占的かつ完全な所在地を有しています。上記のソリューションには機能を後付けする必要がなく、共同のお客様の技術的な負担を最小限またはゼロに抑えながら、GCP 機能をシームレスに統合できるユニークな位置づけにあります。このソリューションは今すぐ利用可能です。Google Cloud は、先進的なデータ戦略、データ管理に対するプライバシー最優先のアプローチによる将来を見据えたソリューション、比類のないグローバル スケール、業界最高水準の技術チームへのアクセスを可能にする手段を Lytics に提供します。

Lytics の CDP 機能の詳細やデモのリクエストについては、こちらをご覧ください。

ISV にとっての Built with BigQuery のメリット

Google は、Google Data Cloud Summit の一環として 4 月にリリースした Built with BigQuery のイニシアチブを通じて、Lytics のようなテック企業が Google のデータクラウド上で革新的なソリューションを構築できるよう、テクノロジーへのシンプルなアクセス、役に立つ専任のエンジニアリング サポート、共同市場開拓プログラムなどを提供しています。参加企業には以下のメリットがあります。

  • Google が資金提供した事前構成済みのサンドボックスを使って、すぐに構築に着手できます。

  • ISV センター オブ エクセレンスの専任エキスパートから、重要なユースケース、アーキテクチャ パターン、ベスト プラクティスについてのインサイトを得て、プロダクトの設計とアーキテクチャを加速できます。

  • 共同マーケティング プログラムを利用して、認知度の向上、需要の創出、導入の拡大を図り、より大きな成功を実現できます。

BigQuery は、Google Cloud のオープンかつ安全でサステナブルなプラットフォームに統合された、パワフルでスケーラビリティの高いデータ ウェアハウスのメリットを ISV に提供します。Google が提供する巨大なパートナー エコシステムと、マルチクラウド、オープンソース ツール、API のサポートを利用すれば、テクノロジー企業は、データ ロックインを回避するために必要な移植性と拡張性を得ることができます。

Built with BigQuery の詳細については、こちらをクリックしてご確認ください。


このブログ投稿を共同で執筆してくれた Google Cloud と Lytics のチームメンバーに感謝します(Lytics: シニア プロダクト マネージャー Kelsey Abegg 氏、Google: ソリューション アーキテクト Sujit Khasnis、プリンシパル アーキテクト Bala Desikan)


- Google Cloud、パートナー エンジニアリング担当ディレクター Ali Arsanjani 博士
Lytics、プロダクト担当バイス プレジデント Mark Hayden 氏
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