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コンピューティング

AMD EPYC プロセッサを搭載したコンピューティング最適化 VM のご紹介

2022年2月10日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ここ半年にわたって、Compute Engine の仮想マシン(VM)ファミリー全体で、第 3 世代 AMD EPYC™ CPU(以前のコードネームは「Milan」)をリリースしました。Google は、スケールアウト ワークロードを対象とした Tau VM ファミリーを導入しました。Tau VM は、パフォーマンスとワークロードの総所有コスト(TCO)のどちらにおいても、現在利用可能なあらゆる大手プロバイダをリードしています。また、汎用 N2D インスタンスを第 3 世代 AMD EPYC プロセッサで更新し、それによりコスト パフォーマンスを 30% 向上させました。

本日、Google Cloud のコンピューティング最適化ファミリーの最新インスタンス シリーズで、第 3 世代 AMD EPYC プロセッサを搭載した C2D の一般提供の開始をお知らせいたします。

AMD クラウド ビジネスのコーポレート バイス プレジデントである Lynn Comp 氏は次のように述べています。「AMD EPYC プロセッサは、HPC やコンピューティングを重視したワークロードに対応する能力を引き続き示していきます。それが、最新のワクチンに関する薬のシミュレーションや宇宙の探索、または業界の未来のための重要なハードウェアや電子機器の設計の支援であっても同じことです。AMD EPYC プロセッサを搭載した Google Cloud C2D インスタンスによって、要求の厳しいパフォーマンス重視のワークロードに対して、優れたパフォーマンスを発揮するインスタンスを提供することで、AMD と Google Cloud のコラボレーションの継続的な成長を示します。」

コンピューティング最適化ファミリーの新しい大規模マシンシェイプ

C2D インスタンスは、「Zen 3」コアなどの最新世代の AMD EPYC™ CPU のプロセッサ アーキテクチャの進歩を活用しています。C2D では、Persistent Disk、高度なネットワーキング、コンパクト プレースメント ポリシーをサポートしていて、まもなく単一テナントノードにも対応いたします。インスタンスは、最大 112 個の CPU(56 コア)、896 GB のメモリ、3 TB のローカル SSD で構成できます。C2D は、標準、ハイ CPU、ハイメモリで利用可能です。メモリ対コア比を最適化するために、それぞれ 7 種類のマシンタイプがあり、ワークロードに対してより適切に対応します。

パフォーマンスの向上によりさまざまなワークロードに対応

コンピューティング最適化 VM ファミリーは、パフォーマンス重視のワークロードを持つお客様に最適です。C2D インスタンスは、コンピューティング最適化 VM ファミリーの中で最大の VM サイズを提供し、ハイ パフォーマンス データベース、ゲーム、さらに電子設計自動化(EDA)や数値流体力学(CFD)などのハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)ワークロードなどのメモリ依存型ワークロードに最適です。C2D ハイ CPU インスタンスと C2D 標準インスタンスは、高性能なウェブサーバー、メディアのコード変換、AAA ゲームなど、コンピューティング負荷の高い既存のワークロードに対応しています。C2D ハイメモリのマシン構成は、HPC や EDA など、より高いメモリ構成を必要とするワークロードに適しています。HPC ワークロードのパフォーマンスを最適化するには、Google の Compute Engine で密結合な HPC アプリケーションを実行するためのベスト プラクティスをご覧ください。

パフォーマンス レポート

コンピューティング処理を必要とするパフォーマンス、メディアのコード変換、ゲーム ベンチマークを測定する GCP 推奨の複数セットのベンチマークでの、第 3 世代 EPYC を搭載した C2D と、第 2 世代 EPYC を搭載した N2D(以前のコードネームは「Rome」)の比較を以下の図に示します。

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AMD のエンジニアと協力して、HPC 業界の主要なアプリケーションのベンチマークを行いました。C2D を AMD の前世代の EPYC プロセッサ、特に C2D の 112 個の CPU に最も近い n2d-standard-128 マシンタイプと直接比較すると、コンピューティング最適化ファミリーの改善は明らかです。まず、業界標準であるメモリ帯域幅(STREAM Triad)と浮動小数点のパフォーマンス(HPL)について性能を比較しました。

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N2D VM のベースライン パフォーマンスと比較すると、コアあたりの L3 キャッシュ サイズの増加や、NUMA をフルに活用するといった C2D の第 3 世代 EPYC プロセッサの改良は、メモリのパフォーマンスに直接的なメリットをもたらしています。これは、STREAM Triad が 30% 改善されたという結果によって実証されています。C2D の浮動小数点の改善は、前世代の EPYC プロセッサよりも 12.5% 少ないコアで実行されているにもかかわらず、HPL の結果で 7% の性能向上が見られたことからもわかります。

HPC で重視されている主要分野のアプリケーション ベンチマークを見ると、天気予報(WRF CONUS 2.5km)、分子動力学(NAMD)、CFD(OpenFOAM)といった分野の代表的なベンチマークに対して、C2D VM が重要な利益をもたらしていることが理解できます。

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お客様の声

上記のワークロードでは、c2d-standard-112 マシンタイプ全体が高速なだけでなく、ベースラインの n2d-standard-128 マシンタイプよりも 6% ほど費用を削減しています。そのため、お客様がメモリ使用量の多いワークロードや、HPC ワークロードに対して C2D を選ばれるのは当然といえるでしょう。以下にその例をあげます。

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AirShaper は、デザイナーやエンジニアが自動車、ドローン、バイク、さらにはアスリートのパフォーマンスや効率を向上させるための空力シミュレーションを簡単に実行できる、クラウドベースの CFD プラットフォームです。

「最適なパフォーマンスを得ることで、実行時間を大幅に短縮し、ユーザー エクスペリエンスを向上させながらもコストを削減できます。C2D で CFD シミュレーションを行うことで、前世代のハイパフォーマンス コンピューティング インスタンスと比較して、コストをほぼ 50% 削減し、シミュレーション時間を 30% 短縮できました。また、当社のオンプレミスのインスタンスと比較して、シミュレーション時間を 3 分の 1 以上に短縮できました」と Airshaper の CEO である Wouter Remmerie 氏は述べています。

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Clutch の統合された顧客データやマーケティング プラットフォームでは、ブランドが顧客ベースの各セグメントを特定して理解し、意欲を引き出すために、カスタマー インテリジェンスとパーソナライズされたエンゲージメントを提供しています。Clutch は、CDP、リピート回数、特典の管理、マーケティング オーケストレーション、ストアド バリューに対する各ソリューションを提供し、組み込み型の機械学習を活用して、それぞれのお客様のライフタイム バリューを高めています。

「当社は、コンピューティング負荷が高く、メモリ使用量の多いデータ分析プラットフォームを、AMD EYPC Milan インスタンスのコンピューティング最適化に移行しました。C2D インスタンスは、メモリと CPU のパフォーマンスの最適なバランスを提供します」と技術部門上級副社長の Ed Dunkelberger 氏は述べています。

Google Kubernetes Engine のサポート

Google Kubernetes Engine(GKE)は、高度なコンテナ オーケストレーションを求める組織向けの主要プラットフォームであり、最高レベルの信頼性、セキュリティ、スケーラビリティを実現しています。GKE は C2D VM をサポートしており、コンテナ化されたワークロードを最大限に活用できます。C2D 第 3 世代 EPYC CPU ベースの VM を GKE クラスタに追加するには、GKE ノードプールで C2D マシンタイプを選択します。

Confidential Computing(近日公開)

Confidential Computing は、使用中のデータを保護するための業界全体の取り組みで、処理中のメモリ内のデータの暗号化などが含まれます。Confidential Computing を使えば、最も機密性の高いアプリケーションやサービスを C2D VM 上で実行できます。

Google は、AMD のセキュリティ機能である Secure Encrypted Virtualization(SEV)を用いて、GKE、Dataproc などの Confidential Computing VM インスタンスやサービスのポートフォリオの提供に取り組んでいます。この最新世代の AMD EPYC™ プロセッサを使用した SEV を近日中にサポートし、セキュリティ機能を今後さらに追加していく予定です。

今すぐ C2D の利用を開始する

C2D インスタンスは、現在、us-central1(アイオワ)、asia-southeast1(シンガポール)、us-east1(サウスカロライナ)、us-east4(北バージニア)、asia-east1(台湾)、europe-west4(オランダ)といった世界中のリージョンで提供されています。さらに、今後数か月以内に他のリージョンでもご利用可能になります。C2D インスタンスは Spot VM として、予約を用いてオンデマンドに利用できます。さらに、1 年間または 3 年間の確約利用割引(CUD)を購入することで、さらなるコスト削減を実現できます。C2D インスタンスの利用を開始するには、Google Cloud Console で新しい VM または GKE ノードを作成する際に、C2D オプションを選択するだけです。


- コンピューティング担当プロダクト マネージャー Chelsie Czop
- HPC ソリューション責任者 Ilias Katsardis
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