最新の AMD EPYC CPU を搭載した N2D VM により、平均で 30% を超えるコスト パフォーマンスの向上を実現

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 9 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
昨年、Google は、第 2 世代 AMD EPYC™ プロセッサをベースにした汎用 N2D Compute Engine マシンタイプを発表しました。本日、N2D ファミリーが最新の第 3 世代 AMD EPYC プロセッサに対応したことをお知らせします。
第 3 世代 AMD EPYC プロセッサを搭載した N2D VM は、従来の第 2 世代 AMD EPYC プロセッサと比較して、さまざまなワークロードで平均 30% を超えるコスト パフォーマンスの向上を実現しています。もしすでに N2D マシンをお使いなら、ご自身の N2D VM の CPU プラットフォームとして「AMD Milan 以降」を選択するだけで、すぐに新しいハードウェアの使用を開始いただけます。さらに、N1 VM ファミリーの第 1 世代をお使いであれば、新しい N2D ファミリーではコスト パフォーマンスが大幅に向上します [1]。
第 3 世代の AMD EPYC プロセッサを搭載した N2D VM は、幅広い機能とオプションを提供します。N2D は、より多くのスレッドを必要とするワークロードのために、最大 224 の vCPU と最大 896GB のメモリを持つ VM をサポートしています。パブリック クラウド プロバイダが提供するすべての汎用マシンタイプの中で、Google Cloud は VM あたり最も多くの vCPU 数を提供しています。また、N2D には、VM シェイプ(標準から高 CPU、高メモリまでの各オプション)やカスタム マシンタイプが豊富に用意されており、ワークロードのニーズに応じてカスタムサイズを選択できます。
N2D VM は、最近導入された 100 Gbps の高帯域幅のネットワークにも対応しており、高スループットのワークロードの要求にも応えることができます。さらに、N2D は永続ディスクと最大 9 TB のローカル SSD による大容量のストレージ機能もサポートしています。高スループットの VM と高パフォーマンスのローカル SSD の組み合わせは、I/O 集約型のワークロードに適しています。N2D は単一テナントノードとしても利用可能で、規制要件を満たすために分離が必要なワークロードや、ライセンス要件のために専用のハードウェアが必要なワークロードにも対応しています。
新たなイノベーション
第 3 世代 AMD EPYC プロセッサを搭載した N2D VM を使用することで、最大 256MB の L3 キャッシュや、「Zen 2」に比べて高い IPC(1 クロックあたりの命令実行数)を実現する「Zen 3」コアなど、AMD EPYC プロセッサ ファミリーの最新機能を利用できます。また、第 2 世代の AMD EPYC プロセッサと同様に、PCIe 4 のサポート、高水準のメモリ帯域幅、高度なセキュリティ機能を提供する AMD Infinity Guard へのアクセスなども含まれます。これにより、最新バージョンの N2D を第 3 世代 AMD EPYC で使用しているお客様は、さまざまな汎用ワークロードでその高いパフォーマンスを活用できます。
AMD のクラウド ビジネス グループのコーポレート バイス プレジデントである Lynn Comp 氏は、次のように述べています。「卓越したパフォーマンスと機能を備えた AMD EPYC プロセッサは、将来および既存の Google Cloud N2D のお客様に、さまざまなワークロードに対応する高いパフォーマンス能力を提供します。これにより、既存の第 2 世代 EPYC ベースの N2D VM や新しい T2D VM に加え、当社と Google との連携はさらに拡大しました。当社のチームは、Google Cloud との協力関係を継続できることを誇りに思っています。」
お客様の声


デジタル エクスペリエンス インテリジェンス プラットフォーム プロバイダである Fullstory は、新しい N2D VM ファミリーをいち早く採用しました。
FullStory のエンジニアリング ディレクターである Jaime Yap 氏は次のように言っています。「FullStory では、データベースのパフォーマンスを向上させ、クエリのレイテンシを低減する方法を常に模索しています。このことは、データサイズが増加し続ける現在のような状況下においては特に重要です。AMD Milan CPU をベースにした Google Cloud の最新の N2D インスタンスを使ったテストでは、一部のクエリ ワークロードで前世代の N2D VM と比較して平均 29% ほどのパフォーマンス向上を達成できました。これにより、利用率が飛躍的に向上し、お客様のエクスペリエンスがより良いものになると期待しています。」


世界有数のオールインワン ビデオ ソフトウェア ソリューションである Vimeo は、新しい N2D VM をテストしました。
Vimeo のホスティングおよび配信オペレーション担当ディレクターの Joe Peled 氏は次のように述べています。「Vimeo では、ユーザーの皆様に最高水準のビデオ品質を提供していると自負しています。当社のビデオ コンテンツの大部分は、x264(H.264)、x265(HEVC)、rav1e(AV1)などのエンコード ワークロードを CPU で処理し、アーティファクトを最小限に抑えた最適な映像の忠実性を実現しています。Google Cloud の新しい AMD Milan ベースの N2D VM は、トランスコード変換パイプラインにかかる時間を 20% 程度と大幅に削減することで、ユーザーに大きな改善をもたらすことができるうえ、コストも同程度に削減できます。」
Google Kubernetes Engine のサポート
Google Kubernetes Engine(GKE)は、高度なコンテナ オーケストレーションを求める組織向けの主要プラットフォームであり、最高レベルの信頼性、セキュリティ、スケーラビリティを実現しています。GKE は、第 3 世代の AMS EPYC プロセッサをベースにした N2D ノードをサポートしており、コンテナ化されたワークロードを最大限に活用するのに役立ちます。N2D の第 3 世代 EPYC VM をベースにしたノードを GKE クラスタに追加するには、GKE ノードプールで N2D マシンタイプを選択し、最小の CPU プラットフォームとして [AMD Milan] を指定します。
100 Gbps ネットワーキング
Google Cloud 独自の Andromeda ネットワークを最適化することで、ゼロコピー、TSO、暗号化などのハードウェア オフロードをサポートし、100Gbps のネットワークを備えた N2D VM をすぐに提供できるようになりました。
N2D VM は、48 個以上の vCPU を搭載した VM シェイプに 100 または 50 Gbps の速度を実現する帯域幅構成により、Google Cloud の高性能ネットワーク インフラストラクチャを最大限に活用できます。
これらのネットワーク構成は、N2D VM のアドオン機能として提供されており、N2D のデプロイ時に追加のインベントリの制限事項を受けることはありません。また、N2D VM のネットワーク帯域幅の更新は、N2D が利用可能なすべてのゾーンで可能です。
Confidential Computing(近日公開)
Confidential Computing は、使用中のデータを保護するための業界全体の取り組みで、処理中のメモリ内のデータの暗号化などが含まれます。Confidential Computing を使えば、最も機密性の高いアプリケーションやサービスを N2D VM 上で実行できます。
Google は、Secure Encrypted Virtualization(SEV)拡張機能を使用して、幅広い Confidential Computing VM インスタンスやサービス(GKE や Dataproc など)の提供に取り組んでいます。近々、この最新世代の AMD EPYC™ プロセッサを使用して SEV をサポートし、将来的にはより高度な機能を提供できるようになる予定です。
ターゲット ワークロード
N2D VM は、ウェブサービス、アプリサービス、データベース、エンタープライズ アプリケーションなど、さまざまな汎用ワークロードに適しています。最大 224 個の vCPU を含むマシンタイプを備えた N2D マシンは、多数のスレッドを持つことでメリットが得られる高スループットのワークロードに最適です。N2D マシンは、Confidential Computing 機能を必要とするワークロードにとっても理想的です。第 3 世代 AMD EPYC プロセッサをベースにした N2D VM マシンは、以下のグラフに示すように、さまざまなベンチマークや汎用ワークロードにおいて、現世代の N2D VM に比べて大幅なパフォーマンスの向上を実現します。


料金
第 3 世代 AMD EPYC プロセッサを搭載した N2D VM は、前世代の N2D VM と同じ価格で提供されます。
提供状況
第 3 世代 AMD EPYC プロセッサを搭載した N2D VM は、現在、Google Cloud の以下のリージョンでプレビュー版が提供されています。us-central(アイオワ)、us-east1(サウスカロライナ)、europe-west4(オランダ)、asia-southeast1(シンガポール)。また、数か月以内に、このほかのリージョンでも利用可能になる予定です。プレビュー版にご興味のある方は、こちらからご登録いただき、Google Cloud の営業担当者にお問い合わせください。
1. 新しい N2D Milan VM で測定した以下のコスト パフォーマンス向上率を N1 VM と比較して示しています。VP9 コード変換(51%)、Nginx(72%)、SLA 下でのサーバー側 Java スループット(72%)、AES-256 暗号化(273%)。
- プロダクト マネージャー、Subra Chandramouli
- プロダクト マネージャー、Robert Beatty