Apigee API 管理の料金と対象範囲を細分化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 10 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
昨今のアプリケーションおよびインテグレーションでは、API の活用がこれまでになく進んでいます。すでに 90% 以上のデベロッパーが、小規模のアプリからミッション クリティカルな運用まで、さまざまな目的で API を利用しています。その結果、組織は複数の API ゲートウェイを扱うことになり、運用、セキュリティ、メンテナンスのオーバーヘッドが生じています。こうした背景において、API 管理の画一的なアプローチは、多くの企業のニーズに合わなくなってきています。
Google Cloud はお客様のニーズに応え、2022 年 8 月に Apigee の従量課金制を導入し、API 管理費用をフレキシブルに管理できるようにしました。この変更は確かな成果をもたらしましたが、お客様からは他にも、Apigee を低料金で使い始めたい、使用量に対する継続的な支出を柔軟に最適化したい、といった要望がありました。
このたび、以下の方針に基づき料金モデルが改定されることになりましたのでお知らせいたします。
- Apigee の従量課金制モデルとサブスクリプション モデルの料金属性を統一する
- 従量課金制の料金を細分化する
この改善により、従量課金制において使用量に対する支出をきめ細かく管理し、使用量が増えるに従ってサブスクリプション料金に簡単に移行することが可能となります。
従量課金制とサブスクリプションで料金属性を統一
今後は、従量課金制とサブスクリプションの両方の料金モデルで同じ料金属性が使用されます。どちらでも、以下の各属性の正確な使用量に基づいて料金が請求されます。
- API 呼び出し: ランタイムが処理した API 呼び出しの数
- 環境: デプロイ環境の使用(リージョンごと、1 時間あたり)
- プロキシのデプロイ: 環境にデプロイした API プロキシの数(リージョンごと、1 時間あたり)
- アドオン機能: 要件に応じて追加容量や機能を選んでお支払い
- 補助的な Google Cloud サービス: Google Cloud のネットワーク インフラストラクチャまたはサポートの使用に対する明朗料金
従量課金制料金モデルの場合、上述の各属性の使用量に応じて料金が決まります。サブスクリプション料金モデルの場合、上述の各属性について、料金ティア(Standard、Enterprise、Enterprise Plus)ごとに一定の容量が与えられます。
従量課金制の料金を細分化
さらに、従量課金制の料金を細分化します。これによって、少量の使用から始めて、実際の使用状況に沿って継続的な支出を最適化することが可能となります。API 管理機能のフルパッケージに対する包括的な料金ではなく、実際に使用した機能の分のみお支払いいただきます。具体的には、この細分化は以下に示す 2 つのメインの料金属性が対象です。
API 呼び出し
API 呼び出しを処理する API プロキシのタイプに基づいて料金が決まります。以下のように 2 種類の API プロキシを導入します。
標準 API プロキシ: Apigee の一部のポリシーにアクセスできる軽量プロキシです。拡張可能な API プロキシの 5 分の 1 の料金で使用できます。標準 API プロキシは、以下の用途に適しています。
- バックエンド サービスにトラフィックを送信する(変換処理は最小限)
- 複雑度の低いトラフィックを処理する(以下に示す拡張可能な API プロキシに比べ格安)
拡張可能な API プロキシ: 完全にプログラム可能なプロキシで、Apigee のポリシーや機能に無制限にアクセスできます。拡張可能な API プロキシは、以下の用途向けに設計されています。
- 複数のバックエンド サービス間で複数のユーザーのトラフィックを管理する API プロダクトを構築する
- 複雑な構成を簡素化し、共有フローを使って標準設定を適用する
- 複雑な変換やきめ細かな管理を要するトラフィックを処理する
標準 API プロキシの呼び出しの料金は、拡張可能な API プロキシの 5 分の 1 に設定されています。
環境
Apigee の環境とは、開発者が API プロキシを作成、デプロイするための組織内のソフトウェア環境です。この環境の料金は、API プロキシをデプロイする環境のタイプによって決まります。以下のように、利用可能な Apigee 機能に基づき 3 種類の環境を導入します。
- ベース環境: Apigee プラットフォームに低料金でオンボーディングし、複雑度の低い API を管理できます。ベース環境では以下を行えます。
- 標準 API プロキシのデプロイ
- API のモニタリング
- API Hub、Apigee 開発ツールの使用
- 他の Google Cloud サービスへのアクセス
ベース環境は、プロトタイピング、社内開発、小規模のアプリケーションなど、基本的なトラフィック オーケストレーションを必要とする API ユースケースに適しています。
2. 中間環境: API のポートフォリオを管理できるほか、さまざまなアドオン機能も利用できます。中間環境では以下を行えます。
- ベース環境でできることすべて
- 拡張可能な API プロキシのデプロイ
- 共有フロー、API プロダクト、デベロッパー ポータルの構築
- アドオン機能としてのアナリティクスの購入
この中間環境に適した API ユースケースとしては、API プロダクトを構築してデベロッパーに公開する、導入が増加している API のポートフォリオを管理する、API トラフィック内の複雑な変換やメディエーションを処理する、といったものがあります。
3. 包括的な環境: 高い信頼性と卓越したパフォーマンスを備え、ミッション クリティカルなアプリやトラフィックの予期せぬ急増に対応します。包括的な環境では以下を行えます。
- 中間環境でできることすべて
- 複数リージョンへのデプロイ
- 環境ごとの追加プロキシの購入、デプロイ
- QPS の自動スケーリング、コンフィデンシャル コンピューティング、ハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)
包括的な環境は、高い信頼性およびパフォーマンスが要求されるミッション クリティカルなアプリケーションや、API オペレーションの詳細制御が必要な API ユースケース向けに設計されています。
単一の Google Cloud プロジェクト内で複数の環境タイプを組み合わせて使用することで、料金を細かく管理できるようになりました。ニーズに応じて、環境タイプを切り替えることも可能です。Apigee の新しい従量課金制料金モデルの概要を以下に示します。
Apigee API 管理を使ってみる
この変更により、低料金で Apigee の使用を開始し、費用を明確に管理しながら API 管理のフル ライフサイクルへ移行することが可能となります。このような特徴を備えたソリューションは市場にほかに存在しません。新しい料金モデルについて詳しくは、料金ページまたは技術ドキュメントをご覧ください。Apigee を使い始める手順については、こちらを参照してください。
ー グループ プロダクト マネージャー Nils Swart
ー プロダクト マネージャー Sujin Park