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AI & 機械学習

ソフトウェア開発における AI: 知っておくべきこと

2023年6月6日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

テクノロジーが長年にわたりどれほど進化してきたか、そして今なお進化し続けているかには驚かずにはいられません。AI もその例外ではなく、この先 AI がさまざまな形でどのように役立ってくれるのか、期待が高まっています。AI を利用する多くの人々が、意識的であろうと無意識であろうと、過去 10 年間にその恩恵を受けてきたことは紛れもない事実です。

AI 導入の段階を問わず、将来の仕事環境における AI の役割については多くの誤解が広まっています。それでも、技術上の役割にかかわらず、将来は AI が私たちの生活を便利にし、仕事を効率化してくれる可能性が高いと期待されています。

このブログ投稿では、AI と私たちの未来に関して広まっている誤解のいくつかを取り上げて解説していきます。


誤解: すべての技術職が AI に取って代わられる。

実際: AI は技術分野における特定の単調な作業を自動化することはできても、人間の開発者の創造性、直感、問題解決能力に代わることはできません。

今後は現在にも増して、AI を活用して開発者を支援し、開発者の労力を軽減することが技術職の役割となっていくでしょう。AI は、コードレビュー、テスト、デバッグなどの単調な反復作業の自動化に役立ちます。そのため、開発者は AI を使いこなすことで、このような作業に費やす時間を最小限に抑えると同時に、より有意義で革新的な作業に集中できるようになります。結果として、開発サイクルの短縮とソフトウェア品質の向上にもつながります。

さらに、AI 自体の開発には、データ サイエンティスト、ML エンジニア、ソフトウェア開発者などの人間によるインプットが必須です。AI は人間の能力を強化し、作業の効率性や生産性の向上を支援するためのツールです。  

これまでもそうであったように、仕事は間違いなく変化していきます。こうした AI テクノロジーは、多くの仕事を補完し、今は想像できないようなまったく新しい仕事を生み出していくでしょう。


誤解: AI を使用できるのはデータ サイエンスの専門家だけである。

実際: データ サイエンスに関する理解は確かに役立ちますが、ML についてまったく知識がなくても、事前トレーニング済みモデルや AI を活用した機能を使用することは可能です。

AI を活用するにはデータ サイエンスの深い知識が必要であるという誤解から、この分野に不慣れな人は尻込みするかもしれません。しかし実際は、データ サイエンスの基礎知識があれば確かに役立ちますが、多くの場合、AI の活用にそうした知識は必ずしも必要ありません。

その一つの例が事前トレーニング済みモデルです。大量のデータですでにトレーニングされており、画像の分類や言語の翻訳などの特定のタスクにすぐに使用できます1。データ サイエンスや ML の知識がなくても、このような事前トレーニング済みモデルに API を通じてアクセスして、エクスペリエンスやアプリケーションを強化するために使用できます2

もう一つの例は、音声アシスタントや chatbot などの AI を活用したエクスペリエンスで、これらは自然言語処理を使用してユーザー入力を理解して応答します。通常、こうしたエクスペリエンスでは事前トレーニング済みモデルが活用されており、ML の知識がなくてもアプリケーションに統合することが可能です3

ただし、データ サイエンスの知識がなくても AI を使用することはできますが、この分野の基本を理解していれば、AI を活用したソリューションの限界と潜在的なバイアスを把握しやすくなることは間違いありません。


誤解: カスタム AI モデルのトレーニングには多額の費用がかかり、リソースが大量に消費される。

実際: 事前トレーニング済みの基盤モデルをカスタマイズして使用できます。

ML モデルのトレーニングには大量のリソースが必要となりうることはご存じのとおりです。大量のデータ、コンピューティング能力、時間が必要であり、独自のモデルをトレーニングしたくてもそのためのリソースがない方々にとっては、これが障壁になります。

しかし幸い、トレーニング済みの基盤モデルをカスタマイズする方法がたくさんあります。ML を活用したいけれども独自のモデルをトレーニングするためのリソースがないという方々にとって、基盤モデルは最適な選択肢になります。このとても便利なモデルは大量のデータで事前トレーニングされており、微調整することで、特定のタスクを実行したり特定の業界に対応したりできるようになります。オリジナルのトレーニングのメリットを活用しながら、特定のニーズに合わせてモデルを調整できます。

もう一つの選択肢は、スケーラブルなインフラストラクチャと、モデル開発用に事前構築されたツールやフレームワークを提供する、クラウドベースの ML プラットフォームを使用することです。このようなプラットフォームを活用することで、独自のモデルをトレーニングする際の計算負荷を軽減でき、事前トレーニング済みモデルや API にもアクセスできます。


誤解: AI は単なる誇大広告のテクノロジー トレンドの一つにすぎない。

実際: 取り残されないようにしましょう!

過去 5 年間に入れ替わり立ち代わり盛り上がりを見せたテクノロジーとは一線を画し、AI はすでに多くの業界に影響を与えており、今後も与え続けると考えられています。AI は、自動化を可能にし、意思決定を改善し、データから新たなインサイトを引き出すことで、ビジネスや業界をすでに変革している破壊的な技術です。AI ベースのソリューションは、医療、金融、製造、運輸などの多くの分野で活用されており、AI アプリケーションの使用は今後も増え続けると予想されます。

AI には潜在的なメリットだけでなく、失職、バイアス、プライバシーに関する懸念など、潜在的なリスクもあります。

技術分野以外の方にも、AI が新たな雇用機会を生み出す可能性があります。プロンプト エンジニアのような新たな役割は、明確、簡潔、そして理解しやすい「適切なプロンプト」を作成する能力が求められるのに伴い、ますます重要になってくるでしょう。目的とする結果を引き出すには十分に具体的であることが必要ですが、言語モデルの創造性を制限するほど具体的であってもいけません。

AI の発展を何もせず見ているのは現実的ではなく、賢明なアプローチともいえません。待つのではなく、個人も企業も AI に関する最新情報を積極的に入手し、自分の分野での応用の可能性を模索する必要があります。メリットはキャリアに関連するものだけではありません。AI は通勤の最適化、スマートホーム、さらにはお金の節約に役立つパーソナル ファイナンスの提案など、私生活の改善にも役立ちます4


誤解: ノーコード / ローコード型 AI プラットフォームは、技術者でないユーザーのみを対象としている。

実際: ノーコード / ローコード型プラットフォームは、技術者と非技術者の間のギャップを埋めるのに役立ちます。

ノーコード / ローコード型 AI プラットフォームの最大のメリットの一つは、技術スキルに関係なく誰もが chatbot や特殊な検索などの AI アプリケーションを構築できるようになることです。このプラットフォームにより、技術者と非技術者の両方のグループがソフトウェア開発プロセスに参加して、より緊密に連携できるようになります。技術者でないユーザーがビジュアル インターフェースと事前構築済みコンポーネントを使用してシンプルなアプリケーションを作成し、技術者がそのアプリケーションをカスタマイズして他のシステムと統合するといったことが可能になります。

さらに、ノーコード / ローコード型プラットフォームは、技術者、特に細かいコーディングに縛られずに高度なタスクに集中したい方にも役立ちます。たとえば、データ サイエンティストがノーコード / ローコード型プラットフォームを使用すれば、コードをゼロから記述しなくても ML モデルのプロトタイプをすばやく作成できます。

ノーコード / ローコード型プラットフォームは非常にパワフルで、単純なフォームやワークフローから、データ統合、ML、その他の高度な機能を必要とする複雑なものまで、幅広いアプリケーションに使用できます。この価値あるツールにより、組織の規模や業界にかかわらず、AI 開発者を高給で雇用しなくても AI のメリットを享受できます。そして、技術者と非技術者の両方がソフトウェア開発プロセスに携わり、ビジネス プロセスを効率化して、イノベーションを加速できるようになります。

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AI にはまだ人間の手助けが必要です

AI は、さまざまな技術的タスクや非技術的タスクをより効率的に行うために使用できる高度なツールです。ただし、忘れてはならないのは、人間の創造性や創意工夫に代わるものではないということです。AI はアイデアを生み出すのに役立ちますが、それをどのように使用するかを決めるのは私たち人間です。

たとえば、私はこのブログ投稿を執筆するにあたり、コンテンツをどこから始めてどのように構成するかについてのアイデアのブレインストーミングなどで AI を利用しました。そのため、より短時間で考えを整理して執筆することができました。ただし、対象とする読者が共感できる興味を引くコンテンツにするために必要な、私の創造性や独自の視点を AI が代わりに表現することはありませんでした(また、できませんでした)。やはり実際には、AI がよりよく機能できるようにするには今後も人間の助けが必要なのです。

AI についてさらに詳しく知りたい方は、Twitter で Google Cloud をフォローし、6 月 1 日に開催される Twitter スペースにご参加ください。ここで取り上げた AI の誤解など、AI に関するさまざまなディスカッションを行います。


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- スタッフ デベロッパー アドボケイト Priyanka Vergadia

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