ローカル開発用サーバーの使用

ローカル開発用サーバーを使用すると、本番環境での App Engine アプリケーションの実行をシミュレートしながら、App Engine バンドル サービスにアクセスできます。

シミュレートされた環境では、システム関数や Go 1.11 モジュールによるインポート機能の制限など、サンドボックスの制限がいくつかありますが、それ以外(リクエストのタイムアウトや割り当てなど)の制限はありません。

App Engine 用 SDK のライブラリによって提供される Datastore、Memcache、タスクキューなどのサービスを、ローカル開発用サーバーでローカルに実行してシミュレートすることもできます。アプリケーションが開発用サーバーで動作している場合でも、Google API の HTTP エンドポイントを使用して、本番環境のインフラストラクチャに対するリモート API 呼び出しを実行できます。

始める前に

Go 1.11 はサポートが終了しているため、最新バージョンの dev_appserver.py を使用してアプリケーションをローカルで実行することはできません。devapp_server.py のアーカイブ バージョンをダウンロードする手順は次のとおりです。

  1. アーカイブから、サポートが終了したランタイム用の dev_appserver.py サーバーを含む圧縮フォルダをダウンロードします。

  2. ディレクトリの内容をローカル ファイル システム(/home ディレクトリなど)に抽出します。dev_appserver.pygoogle_appengine/ ディレクトリにあります。

ローカル開発用サーバーをセットアップする

ローカル開発用サーバーツールを実行するには、次の設定を行う必要があります。

  1. バージョン 2.7.12 以降の Python 2 インタープリタがインストールされていることを確認します。

  2. シェル内の DEVAPPSERVER_ROOT 環境変数を Python 2 インタープリタのパスに設定します。

ローカル開発用サーバーを実行する

ローカル開発用サーバーを設定し、アプリの app.yaml 構成ファイルを作成した後、dev_appserver.py コマンドを使用すると、アプリをローカルで実行できます。

ローカル開発用サーバーを起動するには:

  1. app.yaml 構成ファイルが格納されているディレクトリで dev_appserver.py コマンドを実行します。

    dev_appserver.py

    アプリへのディレクトリ パスを指定します。たとえば次のようにします。

    python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py PATH_TO_YOUR_APP
    

    また、特定のサービスの構成ファイルを指定することもできます。たとえば次のようにします。

    python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py app.yaml
    

    ポートを変更する場合は、--port オプションを指定します。

    python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py --port=9999 PATH_TO_YOUR_APP
    

    DEVAPPSERVER_ROOT は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを抽出するフォルダのパスに置き換えます。

    goapp serve

    goapp serve コマンドは、元の App Engine SDK for Go に含まれており、基になる dev_appserver.py Python ツールをラップします。ローカル開発用サーバーを起動するには、次のコマンドを実行します。

      goapp serve
    

    dev_appserver.py コマンドのオプションについて詳しくは、ローカル開発用サーバーのオプションをご覧ください。

  2. ローカル開発用サーバーが起動し、リクエストを待機します。ウェブブラウザで http://localhost:8080/ にアクセスすると、アプリの動作を確認できます。

    --port オプションでカスタムポートを指定した場合は、そのポートでブラウザを開くようにしてください。

ローカル サーバーをコマンドラインから停止するには、次のキーを押します。

  • macOS または Linux: Control+C
  • Windows: Ctrl+Break

アプリケーション ID を指定する

メールアドレスのなりすましなどのために、ローカル サーバーでアプリ ID にアクセスする必要がある場合は、appengine.AppID 関数を使用します。実行中のアプリのホスト名を取得するには、appengine.DefaultVersionHostname 関数を使用します。

アプリケーションのランタイム環境の検出

コードが本番環境とローカル開発用サーバーのどちらで実行されているかを確認するには、IsDevAppServer() メソッドを呼び出します。これが true である場合、コードはローカル開発環境で実行されています。それ以外の場合は、本番環境で実行されています。


package devserver

import (
	"fmt"
	"net/http"

	"google.golang.org/appengine"
)

func init() {
	http.HandleFunc("/", handler)
}

func handler(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
	fmt.Fprintf(w, "IsDevAppServer: %v", appengine.IsDevAppServer())
}

ローカル Datastore の使用

ローカル開発用サーバーは、ローカル サーバーの呼び出し間で持続するローカル ファイルを使用して App Engine Datastore をシミュレートします。

インデックスと index.yaml の詳細については、Datastore インデックス ページと Datastore インデックスの構成ページをご覧ください。

ローカル Datastore を参照する

ローカル開発用サーバーを使用してアプリがローカル Datastore にデータを書き込んでいる場合は、ローカル開発用コンソールでそのデータを参照できます。

ローカル Datastore を参照するには:

  1. 開発用サーバーを起動します

  2. ローカル開発用コンソールで Datastore Viewer にアクセスしますURL: http://localhost:8000/datastore

  3. ローカル Datastore のコンテンツを参照します。

ID 割り当てポリシーを指定する

本番環境の App Engine の場合、エンティティ ID を自動的に生成するように Datastore を設定できます。

本番用サーバーの自動 ID 割り当てポリシーは、開発用サーバーで使用されるポリシーとは完全に異なりますが、ローカル サーバー用に自動 ID 割り当てポリシーを設定することもできます。

自動 ID 割り当てポリシーを指定するには、--auto_id_policy オプションを使用します。

python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py --auto_id_policy=sequential

次のように置き換えます。

  • DEVAPPSERVER_ROOT は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを抽出するフォルダのパスに置き換えます。

  • --auto_id_policy は、次のいずれかに置き換えます。

    • scattered: (デフォルト)ID をほぼ均一に分布する整数の繰り返しのないシーケンスから割り当てる場合。
    • sequential: ID を連続する整数のシーケンスから割り当てる場合。

ローカル Datastore をクリアする

アプリケーション用のローカル Datastore をクリアするには、ローカル開発用サーバーを次のように呼び出します。

python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py --clear_datastore=yes app.yaml

DEVAPPSERVER_ROOT は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを抽出するフォルダのパスに置き換えます。

ローカル Datastore の場所を変更する

Datastore ファイルの場所を変更するには、--datastore_path オプションを使用します。

python2 DEVAPPSERVER_ROOT/google_appengine/dev_appserver.py --datastore_path=/tmp/myapp_datastore app.yaml

DEVAPPSERVER_ROOT は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを抽出するフォルダのパスに置き換えます。

ユーザー サービスを使用する

App Engine には、アプリケーションの認証と認可を簡素化するためのユーザー サービスが用意されています。ローカル開発用サーバーは、独自のログインページとログアウト ページで Google アカウントの動作をシミュレートします。ローカル開発サーバーで実行中、LoginURL および LogoutURL 関数は、ローカル サーバー上の /_ah/login および /_ah/logout の URL を返します。

メールを使用する

ローカル開発用サーバーは、SMTP サーバーまたはローカルにインストールされた Sendmail を使用して、呼び出しのメールを App Engine のメールサービスに送信できます。

SMTP の使用

SMTP サーバーを使用してメールサポートを有効にするには、次のように dev_appserver.py を呼び出します。

   python2 [DEVAPPSERVER_ROOT]/google_appengine/dev_appserver.py --smtp_host=smtp.example.com --smtp_port=25 \
    --smtp_user=ajohnson --smtp_password=k1tt3ns [PATH_TO_YOUR_APP]

次のように置き換えます。

  • [DEVAPPSERVER_ROOT] は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを解凍するフォルダのパスに置き換えます。
  • --smtp_host--smtp_port--smtp_user--smtp_password の各オプションを実際の構成値に置き換えます。

Sendmail の使用

Sendmail でメールサポートを有効にするには、次のように dev_appserver.py を呼び出します。

   python2 [DEVAPPSERVER_ROOT]/google_appengine/dev_appserver.py --enable_sendmail=yes [PATH_TO_YOUR_APP]

[DEVAPPSERVER_ROOT] は、devapp_server.pyアーカイブ バージョンを抽出するフォルダのパスに置き換えます。

ローカル サーバーは sendmail コマンドを使用し、インストールのデフォルト構成に従ってメールのメッセージを送信します。

URL 取得を使用する

アプリケーションが URL 取得 API を使用して HTTP リクエストを送信する場合、ローカル開発用サーバーはデベロッパーのコンピュータからリクエストを直接送信します。プロキシ サーバーを使用してウェブサイトにアクセスしている場合、ローカル サーバーでの URL 取得の動作は本番環境の App Engine と異なることがあります。