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組織のビジネス レジリエンスについてリーダーが問うべき4つの事項

2023年3月20日
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Google Cloud Japan Team

不況時、特に不況後のビジネスの回復力を高めるには、IT投資を削減するのではなく、イノベーションに投資することが重要であることが実証されています。

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


経済の先行きが不透明な昨今、組織はこの不透明な時代を乗り切るための財務的なレジリエンスを高めるための方法が重視されるようになってきています。組織は、先手を打って備えることにより、この先の数か月間の財務レジリエンスを向上することができます。

特に着目されているのは、コストカットという従来の対策ではなく、スマート テクノロジーへの投資です。

これまでの景気停滞期は、テクノロジーはコストセンターにすぎないという誤った認識から IT の優先度を下げる企業がほとんどでした。しかし、不況下に企業の成否を左右するのは、顧客に価値を提供して、顧客のニーズや経済状況の変化に応じてすばやく方向転換できる能力です。この点で、オンプレミスのテクノロジーを利用している組織は特に苦戦を強いられます。たとえば、顧客ごとにパーソナライズされたエクスペリエンスを提供したくても大量のデータを処理できない、顧客が抱える新たな悩みに応えたくてもイノベーションを迅速に起こせない、といった問題に直面するためです。。また、企業が IT インフラストラクチャを所有するためには、高額な初期の設備投資が必要となります。

Harvard Business Review の調査によると、ITの削減ではなく、イノベーションに投資した組織は、2000年代後半の不況から、不況が始まったときよりも立ち直った後に組織が強化されていたということが明らかになっています。

不況期は、財政面でのあらゆる動きや決断が成否を左右します。先を見越して計画を立て、クラウド技術を用いて機会を捉えることが、ビジネス レジリエンスの向上と未来へと続く道をもたらします。

経済的効果はさておき、ここで述べられているような投資は現在、重要な局面を迎えています。多くの企業は、すでにクラウドへの移行を開始していますが、過去 10 年以上にわたり景気が比較的安定していたこともあり、現在のテクノロジーで昔ながらの景気低迷に立ち向かうという経験はしていません。さらに、パンデミックによってサプライ チェーンの不足や在庫の急増といった問題が生じるなど、世界は予測不能な状態に陥っています。

そこで、不確定な将来に備え、クラウドでビジネス レジリエンスを確保するために、リーダーが検討すべき 4 つの事項を提案します。

適切な時期と機会を見極めることができるか?

景気の後退期には、顧客の購入パターンが大幅に変わることは珍しくありません。2000 年代後半の大不況期、消費者は旅行への出費を控え、代わりに家での滞在を楽しめるように庭まわり、屋外環境の整備を行いました。

データや AI サービスを活用する仕組みを構築しておくことで、不況に伴うチャンスを見極めることができます。このような知見を活用すれば、組織は、市場やビジネスに変化が起きたときにすばやく行動を起こしたり、社内外で新しい見込み顧客を特定したりできるようになります。

不況下では、人々は困難を強いられるため、消費者のニーズの変化に素早く対応できる企業は、しばしばロイヤリティの高い顧客を得ることができます。企業にリアルタイムの顧客データ(購入履歴、ソーシャル メディアでの行動、カスタマー サポート データなど)があれば、それを分析することで、顧客に価値を提供する新たな方法のヒントを得ることができます。

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データ分析を的確に行い、需要の急速な変化に応じて生産コストや在庫を管理するといった行動をとることが、不況期を乗り越えられるかどうかの分かれ目となります。

経費や予測不可能領域を把握する


不況に通用するビジネス レジリエンスを育むには、現在の支出を把握すること、ならびに、予測不能な範囲を見極めることが不可欠です。裏を返せば、予測が確実にできる範囲をできるだけ拡げておくということでもあります。リーダーは、現在起きていることを把握しておくことで、準備段階に置いてはもちろん、想定外の事態が起こった場合でも、的確な判断を下すことができます。つまり、現在のプロジェクトと予測されるコストを明らかにしておくことで、不況に突入したときでも、日々のニーズに対応しながら、(不況時に実施されがちな)コストカットを適切なバランスで行えるようになります。

生産コストや運用費を大きく変動させる可能性がある要因を把握していますか?不況に備えるには、まず、現在の支出を把握することから始めましょう。次に、生産コストや運用費を大きく変動させている要因を見極めます。リアルタイム データを的確に収集、分析することで、リーダーはこれらのリスク要因をすばやく判断できます。

組織がクラウド インフラストラクチャ上でデータを使ってできることは、それだけではありません。たとえば、運用面で改善すべき点をリアルタイムで把握する、コストを最適化するために変化を取り入れる方法を探る、といったことが可能です。データに基づいて判断を下すことで、不況対策として特に効果が高い変更を加えられるだけでなく、運用の効率化や、従業員および顧客のエクスペリエンス向上も追求できます。


予期せぬ大きな支出が発生する場合に備える

景気後退期に財務的なレジリエンスを保てる企業は、予期せぬ事態にも容易に対処できる企業です。不況の最中、財政的にぎりぎりの状況に置かれていると、人為的ミスや予期せぬトラフィックの急増などが予想外のコストとなってのしかかり苦境に陥ります。緊急時用の資金でこうした予想外の支出に対応できる場合もありますが、支出が大きすぎて資金が足りなかったり、経済環境がなかなか解決せず資金を使い果たしてしまったりすることも考えられます。

組織はデータ分析を活用することで、金銭的リスクの潜む領域を見極め、想定外の支出に備えることができます。さらに、データに基づいて、支出を削減できそうな箇所や、想定外の支出をカバーするために収入を増やせそうな分野を特定することもできます。企業は、不況に備え、あらゆる状況に対応できるように体制を整えて、財務レジリエンスを向上させる必要があります。

現在利用しているテクノロジーは、不況時の変化のスピードに対応できますか?チャンスの見極めやコストの把握、想定外の支出の予測、顧客需要見込みの把握に役立っていますか?

需要や損益を予測する

COVID-19 のさなかの混乱を見てもわかるように、不況期は需要に波があります。そのため、組織はこれまで以上に正確に需要を予測し、製品の作りすぎや不足を回避し、過剰在庫や廃棄を防ぐ必要があります。さもないと、顧客や株主の信頼を失いかねません。特に、指先ひとつで動くデジタル経済では需要が急速に変化するため、組織においてはリアルタイムで変化を捉えることができるプロセスとツールを整備しておくことが重要となってきます。

企業は、クラウド インフラストラクチャ上でデータ分析を行うことで、的確な情報やインサイトに基づき、最適な決断を下したり、金銭的リスクを正確に計算したりできるようになります。予測ができない状態のままでは、顧客の需要を正確に予測できる競合他社から大幅な後れをとることになります。


財務レジリエンスに投資する

現在の経済情勢が、これまでの常識とは異なる複雑な状況を多くの組織にもたらしていることは明らかです。見通しは明るくないものの、このような状況はいまに始まったわけではありません。雇用は徐々に伸びていますが、それと同時に、多くの分野でインフレーションが進行しています。政治的、環境的なリスクも山積みです。組織は、しょっちゅう曲がり角に突き当たり、四半期ごとに以前からの課題に加えて新たな問題に直面しています。

このような困難な状況にこそチャンスが潜んでいます。

現在、クラウドの導入を進めている企業は、今後予期される荒波を切り抜けるのに必要な基盤を手に入れることになるでしょう。成功やイノベーションを継続的にもたらすテクノロジーを整備し、体制を万全に整えた組織は、万が一危機に見舞われたとしても、それが過ぎ去ったときにひとまわり強い企業となって再生しているはずです。


- 寄稿編集者 Alison Jarris

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