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調査データから読み解く - ビジネスリーダーは安定性とレジリエンスを高めるためクラウドをますます重視

2023年3月16日
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Google Cloud Japan Team

将来は不透明ですが、一つだけはっきりしていることは、意思決定責任者が将来起こるどのような事態にも対応できるよう、クラウドに期待しているということです。

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


ヒント: ページをスクロールすると、アンケートで判明したことと、コスト最適化の文化を作り出すことによってビジネス レジリエンスがどう確立できるかについて詳説した、動画と 2 つのインフォグラフィックを見られます。

2012 年にはアメリカ人の 3 人に 1 人が「クラウド」というと天気の話だと信じていましたが、それ以後にクラウド コンピューティングは急速な進化を遂げました。この頃ニュースキャスターの Katie Couric 氏が Yahoo のニュースでクラウドについて説明をした際には、天気に関する駄洒落を 6 つも使っていました。

今日、クラウドは事実上あらゆる新しいビジネスやトランザクションの中心となっています。たとえば、小売で商品を見つけやすくするため、ヘルスケアデータの全体像を明らかにするため、銀行での不正行為をリアルタイムで見つけだすためなどに使用されています。10 月に公開された、IDC の Worldwide Semiannual Public Cloud Services Tracker(半年ごとの世界パブリック クラウド サービス トラッカー)によると、パブリック クラウド サービス関連への支出額は、今年の 5,317 億ドルから、2026 年には 1 兆 1,000 億ドルにまで増加すると予測されています。これは 2 倍以上の増加幅となり、組織が自社の IT への投資をビジネスの成果とより緊密に同期させていることを明らかに示しており、IDC の調査員もこの点に合意しています。

そのために、現在のマクロ経済環境において、クラウドの果たす役割はこれまでになく大きなものとなりました。クラウドを使用することで、カスタマー エクスペリエンスの改善、事業のアジリティの向上、効率化の推進、新しい収益ストリームの創出が可能になります。実際に、1,900 人を超えるエグゼクティブを対象として行われた Google Cloud の最近のアンケートによれば、IT リーダーはクラウドが将来のビジネスにおいて役立つことを期待しています。

「市場の不安定性に対処するためクラウド戦略を立案しているか」という質問に対しては、グローバル テクノロジー リーダーとビジネス リーダーからの最も一般的な回答は、クラウドベースのサービスの利用を増やし、オンプレミスの従来型インフラストラクチャからの移行を進めているというものでした。

2022 年の第 4 四半期の Google Cloud ブランドパルス調査から得られた見識を以下に示します。このアンケートは四半期ごとに行われ、他の質問とともに、クラウドの意思決定責任者にとって最も重要な課題を評価するものです。たとえば、以前のアンケートでは「デジタル トランスフォーメーション」の意味の進化について調査しました。

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1,900 人を超えるエグゼクティブを対象として行われた Google Cloud のアンケート調査によれば、現在のマクロ経済環境の情勢から、多くがクラウドベースのサービスの利用を増やし、オンプレミスの従来型インフラストラクチャからの移行を計画しています。

組織が経済の不確定性に対応するためにクラウド戦略を最適化するための 7 つの主な方法

Google の最新のアンケート結果から、ビジネスおよび IT のリーダーは混乱の時期を切り抜け、レジリエンスを高める手段としてクラウドを求めていることが示されています。

Google は 1,900 人を超えるグローバル テクノロジー リーダーおよびビジネス リーダーに「現在の経済状況(インフレーション、サプライ チェーンの問題、コストの高騰など)を踏まえ、クラウド戦略においてどのような変更を検討していますか?」と尋ねた結果が以下のとおりです。

上位 3 つの回答からは、組織が戦略の一環として、クラウドの活用を控えるのではなく、さらに増やす方向で検討していることを示すものです。

  • 回答者の 41.4% は、クラウドベースのサービスやプロダクトへの投資を増やすことを計画しています。

  • 33.4% は、従来型のエンタープライズ ソフトウェアからクラウドベースのツールに移行することを計画しています。

  • 32.8% は、オンプレミスのワークロードをクラウドに移行することを計画しています。

上位 7 つの回答は以下をご覧ください。または、インフォグラフィック全文をダウンロードしてください。
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ビジネスおよび IT のリーダーは、混乱の時期を切り抜け、レジリエンスを確立する手段としてクラウドを求めています。インフォグラフィック全文をダウンロードできます。

多くの組織は、状況に対して反射的にコストを削減するのではなく、厳しい状況を乗り切り、状況が好転したとき業界で優位に立つため、クラウドの採用を進めています。

Google Cloud のソリューション バリュー アドバイザー チームのグローバル ディレクターである Monisha Deshpande は、小売、製造、テクノロジーにわたる大規模企業がクラウドへの投資からより多くの価値を得られるよう支援するなかでこの傾向に気付きました。

企業はIT環境におけるコスト構造の管理について実利的な要求をする一方で、多くの重要な分野での取り組みを強化したいと考えているとDeshpandeは述べています。具体例として、新しいビジネスモデルの作成、新しい収益ストリームの生成、顧客との距離を近く保つこと、ML や AI を活用して運用を改善する、および現代的なツールやテクノロジーを提供し、データへのアクセスを改良して、将来の従業員にとって魅力的な職場を維持することなどがあります。

Deshpande は、これらの優先事項はすべて「ビジネスが積極的に取り組もうとしている成長目標であると感じます。多くの組織が、過去の不確定性の時代に行ったことを繰り返すだけではないというのは喜ばしいことです。これらの組織は、テクノロジーをさらに戦略的に活用し、将来に向けレジリエンスをさらに高めようとしています」と述べています。

コスト削減 vs 支出の最適化: 長期的なビジネス レジリエンスのためにクラウドの FinOps が不可欠な理由

ほとんどの意思決定責任者は、不確定性に対する予防策としてクラウドを活用すると語っています。しかし、効率性を推進し、成長をサポートするには、すべての支出の価値を最大化することが重要だとも示しています。その結果、一部の組織はコスト削減を重視しがちなのに対して、業界を牽引する組織は自社のリソースを非常に有効に活用し、ビジネス レジリエンスを高め維持することができます。

たとえば企業が、ワークロードにより優れたコスト対効果のストレージを使用する、年のさまざまな時点で未使用のサーバーをスピンダウンする、VM の代わりにコンテナを使用してアプリケーションをモダナイズする、データと AI / ML プロダクトを使用して効率を向上させるなどを行い自社のサービスを効率化すれば、クラウドのトータルコストは増加しても、全体としてのコストはしだいに低下し収益は増加していきます。

Google Cloud で Cloud FinOps サービス リーダーを務める Eric Lam は次のように助言しています。「どのような場合でも、コストの最適化が、一回の作業で完了してそれ以後は行う必要がないということはあり得ません。長期的な財務のレジリエンスを作り上げるためには、コストの最適化を継続的な課題として考えることです。つまり、コスト削減という考え方から、コスト意識を高めるという文化への転換が必要です。」

より優れたクラウドの財務ガバナンスと制御の確立、そしてその設置プロセスの必要性がこの数年間に高まった結果、企業内で Cloud FinOps というまったく新しい職能が誕生しました。実際に、Lam が 18 か月前に Cloud FinOps チームを Google Cloud に設立したのはこれが理由で、同氏のチームはそれ以来ずっと多くの要請を受けています。


「お客様からは、クラウドでのデジタル トランスフォーメーションを続けながら、より高度な透明性や所有権を実現し、クラウドのコストを管理する方法を理解したいというご要望をよくいただきます」と、Lam は述べています。「今日、Google の Cloud FinOps チームはアドバイザーの役目を果たし、Google のお客様と共同で Cloud FinOps 戦略と機能の設計と実装を行っていますが、お客様がクラウドを保有してサステナブルなビジネスの成果を生み出せるよう支援も行っています。Cloud FinOps は文化的な転換であり、サステナブルな成果を促進するには、組織内で有機的に取り入れられる必要があります」。

長期的な財務のレジリエンスを作り上げるためには、コストの最適化を継続的な課題として考えることです。これは、コスト削減という考え方から、コスト意識を高めるという考え方への文化的な転換でなければいけません。

コスト コンシャスな文化から利益を引き出す: どのように行うか

コスト コンシャスな文化の創出に関する Google のインフォグラフィックで、財務的なレジリエンスを達成するための一般的な障害のいくつかと、組織がそれらを克服する方法について学ぶことができます。インフォグラフィック全文(4 ページ)はこちらで表示およびダウンロードできます。

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ビジネス レジリエンスは短距離ではなくマラソン

組織が抱える負担は圧倒されるほどです。既存の支出を最適化し、将来の価値を損なうことなくコストを減らし、投資から可能な限り多くの価値を引き出すことへの圧力があるなか、イノベーションも推進し続ける必要があります。しかし、これらは厳しい要求ですが、乗り越えられないものではありません。

組織のコスト最適化の行程がどのような段階であろうと、サステナブルな FinOps の実践と、真にコスト コンシャスな文化を確立するために誰もが利用できるリソースツールベスト プラクティス、そして何よりも専門家が存在します。

「組織はすでに、パンデミックという最大級の試練を乗り切りました。この禍中では、その時点で世界が必要としていたものに対して非常に迅速に対応することが求められました」と、Deshpande は述べています。「そして今、根本的な部分が問われるなか、自社のビジネスを真に洗練させ、意思決定を意図的に行う機会がリーダーたちには与えられています。立ち止まり、長期的な目標を見据え、戦略を立案し、テクノロジーがその実現にどのように貢献できるのかを考えるのです」。

- Google Cloud  投稿著者 Blair Franklin

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