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通信

通信業界の連携でクラウド ネイティブ ネットワークの自動化を実現

2022年4月20日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 4 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

通信ネットワークのクラウド移行が始まっています。しかし、ネットワーク機能をコンテナ化して集中型クラウドやエッジクラウドで実行するだけでは、クラウドに期待されるコスト削減と運用効率を最大化できません。仮想化機能からコンテナ化された機能にテクノロジーが名目上変化しても、仮想化の取り組みで以前経験したのと同じ失望を招くおそれがあります。つまり、コスト削減は最小限にとどまり、デプロイは柔軟性を欠いたままになります。

この 2 年間、Google Cloud のネットワークを構築した方法について、通信サービス プロバイダ(CSP)からの関心が集まっていました。Google Cloud ではどのようにスケール メリットを獲得し、復元性と柔軟性に優れたネットワークを構築しながら、コストを抑えたのでしょうか。お客様が通信クラウドとエッジクラウドにネットワークを移行する際、同じことを実現するにはどうすればよいでしょうか。

こうした問題に対処するために、Google Cloud と Linux Foundation は Nephio プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、通信業界のリーダーと連携して真のクラウド ネイティブな自動化に向けて取り組み、ネットワーク運用全体で拡張性、効率性、信頼性を高めることを目指しています。

「クラウド」または「クラウド ネイティブ」という用語は、高度なインフラストラクチャやネットワークのプログラマビリティから、アプリケーションの認識や目的、スケールの経済性に至るまで、一連の重要な原則を指します。今まで、このような原則を「通信クラウド」で完全に実現、実装できなかったのは、真のクラウド ネイティブな自動化が欠けていたためです。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/transition_to_cloud_native_automation.max-1600x1600.jpg

最初に留意すべきことは、ネットワーク テクノロジーのベースを「仮想化」から「コンテナ化」に移行するだけでは、コストを抑えられないということです。実際には、インフラストラクチャの追加、新しい運用モデル、エコシステムの断片化のほか、移行、スキル、トレーニングに関する作業により、コストが増える可能性があります。ネットワーク テクノロジーの移行は、柔軟性と効率性に優れた運用モデルに対応するために行うものです。これは Google Cloud の場合、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)のベスト プラクティスに加えて、プロビジョニングとその後のオペレーションを自動化できるように、グローバル インフラストラクチャが設計されていることを意味します。

このグローバルな自動化の効率を実現するための Google Cloud の戦略は、宣言型でインテントベースの自動化を使用することです。自動化モデルでは、オペレーターがネットワーク構成の目的を指定し、その目的を自動化システムが実現できるようにします。この目的は障害の発生や、ネットワークの成長、環境の変化にかかわらず不変なので、変化に適応するために人が介入する必要がありません。代わりに、自動化は常に行う処理のみを実行します。つまり、現在の状態を評価し、目的の状態と比較して、双方の調整に必要なアクションを実行します。運用チームは問題への対応や、定期的な変更の実施に追われることなく、自動化の改善に時間を使えます。

Google Cloud では、こうした概念を Kubernetes のリリース時にアプリケーションに取り入れ、その成果は世界中のテクノロジーで広く採用されています。また現在、同じ原則を通信ネットワークにも適用しています。Kubernetes の拡張性を活用すれば、このプロセスを迅速に開始できます。こうした手法を適用しなければ、この業界ではクラウドに移行するメリットを実現できないと私たちは確信しています。

通信業界は複雑ですが、この移行のメリットを実現するには、主に次の 3 つの当事者のグループが協力する必要があります。

  • クラウド プロバイダとインフラストラクチャ プロバイダ

  • ネットワーク機能ベンダー

  • 通信サービス プロバイダ

上に挙げたグループのいずれかが欠けても、通信業界はニーズに対応しきれなくなるでしょう。

クラウドおよびインフラストラクチャのプロバイダは、プラットフォームの構成にオープン スタンダードを採用し、各クラウドをサポートするネットワーク機能ベンダーの負担を軽減する必要があります。これにより自動化も簡単になります。つまり、プラットフォームに依存しない自動化を構築することで、自動化によるプラットフォーム固有のコンポーネントに任せられるようになります。このためには、スタック全体のプラットフォーム ベンダー間の調整(「シリコンからクラウドまで」の管理)が欠かせません。

ネットワーク機能ベンダーは、ワークロードをモダナイズする必要があります。単なるコンテナ化ではなく、モダナイズが求められることに注意してください。ネットワーク機能はインフラストラクチャから適切に分離されていることが必要です。さもないと、自動化が複雑になりすぎてしまいます。これらのワークロードをハードウェア プロバイダとクラウド プロバイダの間で移行しやすくする必要があります。それにより、クラウドベースのスケーラビリティや自己修復、冗長性、俊敏性のメリットが得られます。

最後に、CSP 自体が運用サポート モデルを調整、変更し、最新の DevOps、インテントベースの設計、関連する手法を採用する必要があります。コスト削減と俊敏性を実現するには、マシンに単調な処理を任せて、運用チームにマシンの改善に集中してもらうことです。

Google Cloud の経験によると、クラウド ネイティブなインテント ベースの自動化を実装することで、コストを増大させずに、グローバルで復元性に優れた、変化し続けるネットワークをスケーリングできるようになります。ネットワーク機能ベンダー、クラウド / インフラストラクチャ プロバイダ、CSP、サービス オーケストレーション パートナーのエコシステムに加えて Nephio を立ち上げたことで、協力してこれらの目標を実現したいと思っています。

このプロジェクトでは、大幅にコストを削減し俊敏性を高める機会を逃さないようにするため、重要な当事者が集められています。クラウド ネイティブなネットワークの自動化により、クラウドへの移行においてビジネス上のメリットを十分に実現できるよう、広範なエコシステムと連携していけることに期待しています。

Google Cloud が通信業界をどのように支援しているかについて詳しくは、こちらをご覧ください。



- Google Cloud、通信業界ソリューション担当マネージング ディレクター Amol Phadke
- Google Cloud、通信プロダクト管理ディレクター Gabriele Di Piazza
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