Google Cloud 上で実行される Sembly AI の音声 AI プラットフォームにより職場の生産性が向上

※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

さまざまな組織で地理的に分散したチーム体制が続き、従業員が一定の在宅勤務を行う中、オンライン会議の数が急激に増加しました。COVID-19（新型コロナウイルス感染症）による制約がある中で、企業のコミュニケーションの維持に貢献したオンライン会議は、現代と未来の私たちの働き方に欠かせない要素にもなっています。現代の従業員は、ウェブ会議に毎週数時間を費やしており、会議の準備やフォローアップ メールの作成などにも同程度の時間を費やしています。

オンライン会議に費やす時間を減らし、会議の生産性を高める方法があるとしたら？これこそ、私が 2019 年に Gil Makleff と共同設立した企業、Sembly AI の基盤となったアイデアです。私たちは共に経営コンサルティングのバックグラウンドをもち、毎日次から次へと続く会議に追われて実務作業に注力できず、同僚とより効果的に共同作業することができずにいた経験があります。

こうした状況で違いを生むのが当社の製品、Sembly です。この音声 AI プラットフォームはオンライン会議の会話を分析し、参加者とチームが利用できる会議メモ、パーソナライズされたアクション、その他の分析情報を生成します。当社独自の自然言語処理（NLP）モデルは、ディスカッションの中から生産性にかかわる部分を識別し、さまざまなコミュニケーション スタイルを解釈して、誰が、いつまでに、何をしなければならないかを明確にします。

このモデルには、企業の生産性とチームのエンゲージメントを向上させる計り知れない可能性があります。お客様に実施した調査から、会議の効率が 7 パーセント向上し、参加者数が約 50 パーセント減少し、議事録の準備やフォローアップ メールの作成にかかる時間を週に数時間削減できたことがわかりました。

Sembly はサステナビリティ戦略も支援できます。参加者数が減ることで、カメラを使って参加した場合と比較して、動画処理、音声処理、ネットワーク トラフィックが大幅に減少し、関連する CO2 排出量も削減されます。

クラウド: 世界規模のスタートアップに最適な選択肢

当社は創業当時から Google Cloud を利用しています。世界規模の市場進出を目指すテクノロジー重視のスタートアップにとって、これほどスマートな選択肢はないでしょう。まず、Google Cloud は、当社が AI モデルを実行するために必要な、柔軟な GPU コンピューティングへのアクセスを提供する初のクラウドの一つでした。当社は歴史の浅いスタートアップでしたが、Google Cloud のおかげでテクノロジーを簡単にクラウドにデプロイし、管理できました。  

また別の要因は、当社が、常に高い生産性とアジリティを維持する必要がある小さなチームだということです。当社のような複雑なデプロイでも、Google Cloud ならば数か月のトレーニング期間を費やすことなく稼働を開始できます。

さらに、セキュリティという優先事項もあります。当社は、お客様の機密性の高いコンテンツを扱っています。Google Cloud では、いくつか調整を加えるだけで、静的データとネットワーク経由で送信されるデータの安全とプライバシーが常時確保される環境を構築できました。同じくらい重要な点が、Google Cloud は世界中のお客様の地域に対応していることです。簡単にその地域のインフラストラクチャを使用できるため、お客様が内外の規制に対応するために地域のパラメータを指定するようなケースで特に役立ちます。

さらに、当社は Google for Startups アクセラレータ: 音声 AI の利用資格を獲得しました。これは、北米を拠点とするシードからシリーズ A までのテクノロジー スタートアップを対象とした、10 週間のデジタル アクセラレータ プログラムです。トレーニングとテクノロジーが提供されただけでなく、10 万米ドル分の Google Cloud クレジットも付与されたため、これを初期のステージング環境と音声文字変換エンジンのトレーニングに投資できました。

Google Cloud を利用して得られたもう 1 つのメリットは、グローバルなクラウドのデプロイを専門とする Google Cloud パートナー、SADA と出会えたことでした。SADA は、急速な成長とスケーリング要件に起因する複雑な課題に対処できるよう、当社を支援してくれました。

現在は、GKE を使用してコンテナ化されたアプリケーションのデプロイと管理を行い、Kafka を使用してストリーミング イベントデータの処理と保存を行っています。また、Google Cloud のオペレーション スイートをマネージド サービスのモニタリングとロギング用に、PostgreSQL Server をオブジェクト リレーショナル データベース システムとして使用しています。さらに Cloud Storage も使用する一方で、Compute Engine によって当社のプラットフォームで仮想マシンを作成し、実行しています。こうして、カスタムの動的スケーリング ソリューションを編み出すことができました。このソリューションは、当社の環境で即座に処理される開催中の会議の数と予測される会議の数に基づいて、スタックのさまざまな部分でアクティブなコンピューティングの量を調整します。これにより、インフラストラクチャの容量を需要に応じて調整できるため、プロビジョニング済みの未使用のコンピューティング リソースが原因で発生しがちな高額な費用を回避できました。

効率化と簡素化

Sembly AI にとって、Google Cloud がもたらす最も重要なメリットは、スケーリング、メンテナンス、新機能の市場投入期間など、あらゆる面が簡素化されることです。規制の領域でも、Google Cloud によってワークフローが簡素化されています。当社は昨年 SOC 2 Type 1 認証を取得し、間もなく SOC 2 Type 2 の認証プロセスを終える予定です。まだ歴史の浅い当社のリソースには限りがありますが、Google Cloud でセキュリティ プロセスの監査を効率化し、コンプライアンスにかかる時間を短縮できます。  

Sembly AI は迅速なイノベーションを続けています。最近、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア語、日本語の多言語サポートを導入し、今後数週間で他の言語への対応も発表する予定です。Sembly は、どの言語が話されているかを自動的に判別し、1 つの会議の中で複数の言語を処理することもできるという独自の機能を備えています。また、会議の ToDo アイテムを自動的に追跡し、ユーザーの ToDo アプリを状況に応じて更新する「AI ToDo」機能も追加しました。さらに、最近導入した Semblian は、会議用の「ChatGPT」といえるでしょう。会議で出た質問に回答したり、会議で話し合われた内容に応じてフォローアップ メールや次の会議の議題などのコンテンツを作成したりできます。会議メモや作業管理の領域でも、間もなく素晴らしい開発成果をお知らせできるでしょう。会議の後に実施すべき作業を Sembly がかつてないほど高いレベルで認識し、これを利用してユーザーは各種のワークフロー アプリケーションで作業項目を管理できるようになります。

当社のお客様に、AI による職場環境の改革を最大限に活用していただけることを楽しみにしています。テクノロジーだけでなく人に焦点をあてることで、職場における生産性、効率、心身の健康を向上させる機会が無数に生まれます。また、AI 機能が組み込まれた未来の Google Cloud のリリースも楽しみにしています。Sembly AI は、とどまることのないテクノロジーの力によってイノベーションとアイデアが引き出されると信じています。その実現を支えてくれるのが Google Cloud です。

Google Cloud がスタートアップに提供する具体的なサポート内容については、こちらのページでプログラムの詳細をご確認ください。また、ニュースレターにご登録いただければ、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報をお届けします。