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スタートアップ & SMB

Cloud Wisdom Weekly: コンテナで費用を削減する 5 つの方法

2022年9月9日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

「Cloud Wisdom Weekly: テクノロジー企業とスタートアップのために」は、今秋スタートする新たなブログシリーズで、アプリをこれまでよりも速く、安く、スマートに構築する方法に関して、テクノロジー企業やスタートアップのお客様からよく問われる質問に答えることを目的としています。この記事では、Google Cloud のプロダクト マネージャー、Rachel Tsao が最新のコンテナ プラットフォームを使用してコンピューティング費用を節約する方法について説明します。

多くのテクノロジー企業やスタートアップ企業は、ある程度のプレッシャーの中で事業を行い、費用とリソースを効率的に管理する必要があります。このようなプレッシャーは、インフレ、地政学的な動向、サプライ チェーンに関する懸念などによって増し加わっています。同時に、企業は柔軟性を高めつつ、資産を保持するための方法を見つける必要に迫られています。このような課題に対処していくために、コンテナに対する正しいアプローチは欠かせません。

ここ数年、多くの開発チームは仮想マシン(VM)からコンテナに移行しました。コンテナが魅力的なのは、より高速、軽量で、管理と自動化が容易だからです。また、コンテナはオペレーティング システムを共有するため、VM と比べて消費するリソースが少なくなります。おそらく最も重要なことは、コンテナによってポータビリティが実現することです。開発者は、アプリケーションとそのすべての依存関係を単一のパッケージにまとめて、あらゆる場所でそれを実行できるようになります。

コンテナは組織のアジリティの核心です。お客様になぜ Google Cloud を選択したのかについて尋ねると、多くのテクノロジー企業やスタートアップは、Google Kubernetes Engine(GKE)や Cloud Run のようなサービスが、より迅速な市場への参入に加えて、費用を節約するのに役立つからであると答えます。この記事では、企業がコンテナを使用してより迅速かつ簡単にコンピューティング費用を削減するための 5 つの方法を説明します。

コンテナによりコンピューティング費用を管理する 5 つの方法

お客様の会社が事業をモダナイズしている大企業であれ、初めてのプロダクトを構築しているスタートアップであれ、コンテナ化されたマネージド プロダクトは費用の削減、開発の最適化、イノベーションを支援します。これから、コンテナ サービスに期待できる基本的な特徴を評価するのに役立つヒントを紹介します。これには、GKE と Cloud Run に関する具体的なアドバイスも含まれます。

1. クラスタ管理を軽減するための機会を特定する

ほとんどの企業は、リソースをインフラストラクチャの管理ではなく、イノベーションに投じたいと思うものです。お客様のチームにすでに Kubernetes に関する知識があるか、マシンタイプや GPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)を活用する必要があるワークロードを実行している場合、GKE Autopilot を使用することによってプロビジョニングを簡素化できる可能性があります。GKE Autopilot は、クラスタの基盤となるインフラストラクチャのプロビジョニングと管理を行います。支払いの対象となるのはワークロードのみで、基盤となるノードプール コンピューティング VM への 24 時間 365 日のアクセスは対象となりません。この方法により、クラスタ管理を軽減しつつ費用を節約し、強固なセキュリティのベスト プラクティスをデフォルトで適用できます

2. 開発者の生産性を最大化するために、サーバーレスを検討する

サーバーレス プラットフォームを活用することにより、テクノロジー人材を最もインパクトを生み出す仕事に引き続き専念させることができます。このようなプラットフォームは、インフラストラクチャ構築に関連する側面を取り除き、事業を推進するプロジェクトに開発者が取り組めるようにすることで、生産性が向上します。ハードウェアとスケーラビリティ、セキュリティ関連の事柄などは、プラットフォーム プロバイダが管理します。 

マシンタイプや GPU を必要としない多様なワークロードにとって、Cloud Run を使用してサーバーレスに移行することは、アプリケーション、API、内部サービス、さらにはリアルタイム データ パイプラインを構築するための優れた選択肢となります。アナリストの調査によると、Cloud Run のお客様は、迅速なデプロイを実現しつつ、サービスのモニタリングに費やす時間を削減していることが示されています。結果として生産性のために再投資を行い、より少ないリソースでより多くのことを行うことができています。  

Cloud Run は、高度なスケーラビリティを考慮に入れ、コンテナのポータビリティに重点を置いて設計されています。また、完了まで実行するジョブを含め、多様なステートレス ワークロードもサポートしています。さらに、クラスタ管理、Kubernetes のスキルセット、インフラストラクチャに関する経験を必要としないため、既存チームのスキルを最大限活用できます。そして、Cloud Run は Knative スペックとコンテナ イメージをデプロイメント アーティファクトとして活用し、ワークロードに変更が必要な場合の GKE への移行を容易にします。

Cloud Run によって、インフラストラクチャのオーバープロビジョニングは過去のものとなります。このプラットフォームは、自動でゼロまでスケールダウンします。つまり、サービスの需要を満たす容量を常に確保しつつ、トラフィックがないときには費用を発生させません。

3. 確約利用割引で節約する

確約利用割引では、あるリージョンでの特定の期間における最小使用レベルを確約することで、割引価格を利用できるようになります。リソースのニーズを確信を持って予測できる場合、例として、Cloud Run では 17% の割引(1 年または 3 年)、GKE Autopilot では 20% の割引(1 年)または 45% の割引(3 年)を利用できます。

4. 費用管理機能を活用する

最小および最大インスタンスは、サービスが確実にリクエストを受信できるようにしつつ、過大な費用が発生しないようにするのに役立ちます。Google Cloud のお客様が費用を管理するためのベスト プラクティスには、Cloud Build を使用してコンテナを構築することが含まれます。Cloud Build は従量課金制を提供しており、ステートが一定のビルドファームに比べて費用効率が優れています。

関連する点として、Cloud Run でサーバーレス コンテナを活用する場合、最小インスタンスを設定すれば、新しいコンテナがゼロの状態から起動する際のタイムラグ(つまり、コールド スタート)を回避できます。最小インスタンスの費用は、Cloud Run の一般的な費用の 10 分の 1 です。同様に、テスト中の費用の急上昇を避けたい場合は、インスタンスの最大数を設定することで、コンテナが特定のしきい値を超えてスケーリングしないようにできます。これらの設定はいつでもオフにして、サービスがトラフィックを処理していない場合に費用が発生しないようにすることができます。費用をより厳密に管理したい場合、Cloud Billing で組み込みの請求レポートを確認し、予算アラートを設定できます。

5. ワークロードのニーズを価格モデルにマッチさせる

GKE Autopilot では Pod レベル SLA が利用できるため、信頼性が高いワークロードを実行するのに適しています。ただし、ワークロードで高いレベルの信頼性が必要ない場合(フォールト トレラント バッチ ワークロードや開発 / テストクラスタなど)、スポット料金を活用することで、通常価格の Pod と比較して 60%~91% の割引を利用できます。Spot Pod は、リソースが利用可能である限り、Google Cloud の予備のコンピューティング容量で実行されます。リソース需要が高いときには、25 秒の猶予期間後に GKE が Spot Pod を削除しますが、容量が利用可能になったらすぐに自動的に再デプロイできます。これにより、適合するワークロードの費用を大幅に節約できます。

イノベーションにはバランスが必要

これらのヒントを実践すると、企業はコンテナを最大限に活用しつつ、管理とリソースの費用を管理できます。とはいえ、クラウド費用の管理は重要であるものの、「クラウド」と「費用」の関係は、複雑であることが多いということを覚えておく必要があります。クラウド コンピューティングを採用する主な目的が費用の節約だけであるなら、すぐに別の課題に直面することになるでしょう。Cloud サービスにより、企業はさまざまな方法で費用を節約できるものの、これらのサービスは、金額に対して最大の価値を得るのにも役立つのです。経済の状況が厳しいときにさえテクノロジー企業やスタートアップが成長とイノベーションを継続できるように、費用効率と絶対的な費用との間のこのバランスを念頭に置いておくことが重要です。

費用の節約に加えて、多くのテクノロジー企業やスタートアップ企業は、新しいプロダクトや機能を頻繁かつ質の高い状態でデプロイする能力である、強化されたビジネス アジリティを追及しています。GKE Autopilot と Cloud Run にはデプロイのベスト プラクティスが組み込まれているため、チームの運用方法を変革しつつ、新しいデプロイのたびに生産性を最大化できます。

既存のワークロードがコンテナに適しているかどうかを確かめるには、この適合性評価ツールと、Migrate to Containers の概要を参照してください。新しいワークロードに関しては、GKE AutopilotCloud Run についてのガイドを参照してください。費用の最適化についての詳しいヒントについては、費用の最適化: コンピューティング、コンテナ、サーバーレスを参照してください。


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- サーバーレス担当プロダクト マネージャー Rachel Tsao
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