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リテール

AI や ML と大規模なリアルタイム データの活用による、商品棚の在庫状況と e コマースの収益性の改善

2022年2月17日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 激変する今の時代に小売業の変革を支援する Google の小売業エコシステムのパートナーの皆様を招き、さまざまな経験談、ベスト プラクティス、ヒント、アドバイスをお伺いします。このブログのオリジナル版は 2021 年 10 月に、Trax Retail で公開されたものです。この投稿は、同社から提供された最新の情報を追加してお送りします。

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画像の出典: Trax Retail

2020 年は、食料品のオンライン販売の飛躍の年となりました。少なくとも今度 4 年間は起こり得なかった数字を数週間のうちに突破し、比較的重要性が低いと考えられていたチャネルが、たちまち食料小売業者にとって無視できないものとなりました。さらには一般的なチャネルとして定着しそうな勢いです。

なかには、時代の最先端を走ろうと、高まる需要に対応すべく、倉庫の構築やロボットの導入をすでに始めている小売業者もいます。しかし、オンラインで注文を受けた商品の主なフルフィルメント方法は、依然として店舗内でのピッキングであり、今後もそれは変わらないでしょう。その理由は、次のようなメリットがあるためです。まず、既存のインフラストラクチャを利用できることが挙げられます。すでに大都市内の立地の良い場所に店舗を構えている大手小売業者にとっては、配達までのリードタイムの短縮となります。第二に、実店舗とオンライン ショップ両方の注文に在庫をすばやく振り分けられるため、事業を柔軟に運営できます。最後に、オムニチャネルを活用した店舗運営に最適であることが挙げられます。クリック&コレクト、店頭受け取り、従来型の実店舗内でのお買いものなど、お客様のニーズに合わせて、あらゆる場所で、またあらゆる方法で商品を販売、提供できます。

商品棚の在庫状況を改善して e コマースの収益性を高める方法

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画像の出典: Trax Retail

しかし、店舗でのピッキングは、多くの利点にもかかわらず費用がかさみ、収益性にも影響します。すでに競争が激しい小売業界では、ピッキング費用が時間あたりの人件費の増加に直結するからです。さらに、人材の確保と維持が大きな課題となっているなか、ピッキングに費やされる時間は 1 分たりとも無駄にできません。ただし、簡単な方法でコスト削減を図れます。商品の在庫状況を確実に管理して、代替品が必要になる場面を減らすことで、ピッキング作業を最適化できます。

全商品のうち店舗の商品棚にない商品の割合は、常に平均して 8% です。その結果、ピッキングの際に、欠品中の商品、違う場所に置かれている商品、代替品を探す作業にかなりの無駄な時間が費やされ、ピッキングにかかる時間と費用がさらにかさむことになります。実際、食料品のピッキングを担当する従業員は、作業が遅れる主な理由として在庫切れを挙げることが多いです。在庫切れの発生を防げれば、ピッキングのスピードを倍にできる可能性があります。ピッキング費用は商品のフルフィルメント費用の 50% を占めるため、収益に大きな影響を与えます。事業が赤字になるか収益を挙げられるかを左右する場合も少なくありません。

すべての店舗で膨大な数に及ぶ商品の在庫を維持することは以前から大きな問題であり、解決策が求められています。注文が実店舗からオンラインに移行したことで、実店舗の商品棚がオンライン注文の大半を処理するための納品センター化しており、店舗在庫の問題はさらに深刻化しています。e コマースでは、在庫切れは小売業者に 2 つの大きな課題を突きつけます。まず、オンラインの買いもの客は、在庫切れの際に自身で代替品を選ぶことはないため、欠品商品による影響がいっそう顕著になります。加えて、ただでも費用がかさみ、利益を圧迫する納品プロセスが、在庫切れによりさらに非効率化します。幸い、Google Cloud と Trax 社とのパートナーシップと、Google Cloud の AI および ML 機能を活用したソリューションによって、こうした課題への対処が可能になりました。きめ細かいリアルタイム データを大規模に用いて店舗従業員のピッキング作業を効率化するとともに、データの透明化により買いもの客のエクスペリエンスを改善し、双方にメリットをもたらすことができるようになりました。

Trax と Google Cloud テクノロジーによる利益率の向上

商品棚の在庫状況を、TermTrax と Google Cloud が提供するソリューションにより改善できます。Trax Retail Watch は Google Cloud のコンピュータ ビジョン(CV)と AI を活用して、デジタル版のリアルタイム実店舗を作成し、在庫切れを通知します。これにより、在庫が切れそうな商品を常に正確に把握し、すばやく補充することができるため、ピッキングの際に、在庫切れや代替品を用意する手間なしに、すばやく必要な商品を揃えられる可能性が高くなります。また、Trax Retail Watch を活用することで、店舗従業員が実際に棚の間を見回ることなしに、商品棚で発生する問題をすばやく発見できます。商品が間違った棚に置かれている、在庫が少ないなどといった状況が完全に把握できれば、マネージャーは商品棚の管理に関する意思決定を多くの情報に基づいて行えます。また、正確な在庫状況を把握し、ピッキングを大幅にスピードアップできます。スピードアップによりピッキングにかかる費用を削減できれば、最終的にはオンラインでの食料品販売による収益向上にもつながります。

e コマース事業を行う小売業者が増えるなか、オンラインでの競争は激化しています。EC サイトで買いものをするお客様が、商品棚の在庫状況によって抱く不満について、Trax は、消費者調査の実施を通じて、詳細を明らかにしました。詳細については、Trax と Google Cloud によるホワイトペーパー「Winning the online grocery race(オンライン食料品販売競争に勝つ)」で、お客様満足度とフルフィルメントの収益性の両方を高め、食料品販売上位の業績を保つ方法をご覧ください。


- Trax 社戦略的アライアンス担当ディレクター Ariel Cohen 氏
- Google Cloud グローバル小売業界向けソリューション担当ディレクター Paul Tepfenhart
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