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リテール

テクノロジーを使って小売業のカスタマー ジャーニーを自動化

2023年1月20日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 新年を迎え、全米小売業協会(NRF)のビッグショーを控える今、Google の小売業エコシステムのパートナーに依頼し、激変するこの時代に小売業者の変革をどのように支援しているのか、その事例、ベスト プラクティス、ヒントやコツを共有してもらいました。Google のパートナーから提供された情報にぜひご注目ください。


やかんを火にかけても、水はすぐには沸きません。最初はゆっくりと温まり、やがて湯気が立ち上って沸騰します。小売業の状況もそれと似ています。キャップジェミニの調査によるとこの業界は、直販店主体だった初期の断片化した販売形態から、オムニチャネルを経て顧客中心型へと、4 世代にわたって進化を遂げてきました。そして今、消費中心型という第 5 世代が到来しつつあります。

  • 第 1 世代: 断片的な直販店

  • 第 2 世代: チェーン集中

  • 第 3 世代: オムニチャネル

  • 第 4 世代: 消費者中心

  • 第 5 世代: 消費中心

変化が漸進的である場合、企業はデジタル化を進めながら実験とイテレーションを行うことができます。しかし、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックは、非接触型オンライン ショッピングの進化を大幅に加速させました。進化は革命に変わりましたが、大半の CPR(消費者製品および小売)企業は、依然としてオムニチャネル世代のデジタル トランスフォーメーションに取り組み、シームレスなショッピング エクスペリエンスを開発している段階でした。一方、デジタル成熟度の高い企業は、パーソナライズや自動化などのテクノロジーによって生み出される機会を捉えて、すでに消費者中心フェーズを目指しています。

消費者が求めるもの

消費者は、ショッピングやブランドへの関わり方において、より多くの選択肢を持つようになりました。そのために、ブランドがカスタマー ジャーニー全体を通してニーズを予測、予想することが困難になっています。また、消費者の需要によってスピードの向上とスケールの拡大の必要性が高まっているため、一部の企業はより迅速にイノベーションを進めることを迫られています。

一般的なオンラインでの行動について考えてみましょう。たとえば、ある商品を購入しようとして、近所にある最寄りの店舗をオンラインで検索しているとします。その情報を見つけるには、おそらく Google が頼りになります。あるいは、製品に関する問題の解決策やサービスを探しているとします。この場合も、メーカーのウェブサイトに直接アクセスすることは考えもせず、いきなり Google で情報を検索するかもしれません。

どちらの状況も、仮想世界と現実世界の断絶を示しています。ギャップ テクノロジーは、サイロの解消や断片化したメディア チャネルの統合など、さまざまな方法で橋渡しを行うことができます。しかし、興味深いことに、あらゆる行動が常にオンラインに向かうわけではありません。キャップジェミニは、消費者行動に関する最近の調査である「The great consumer reset」において、買い物客の 57% がパンデミック後は再び実店舗を利用したいと考えていることを明らかにしました。これは、以前頻繁に実店舗を利用していた買い物客の割合(59%)とほぼ変わりません。

では、業務も元どおりになるかというと、まったくそんなことはありません。消費者は、スムーズなショッピング体験(オンラインで購入、店舗で受け取り)や没入型のショッピング体験(オンラインで拡張現実を使用して表示される商品を購入)を期待するようになりました。目的の商品を扱っていなかったり、行ってみたらすでに売り切れていたりといった、従来の店舗の画一的な売り方には満足できなくなっています。さらには、データとプライバシーが保護された環境でパーソナライズされた買い物をすることを求めています。

このように、店舗の役割は変化しつつあります。実際に、オンラインのみだったブランドの多くが、カスタマー エクスペリエンスを向上させるために実店舗を開設しています。「スマートストア」に関する当社の調査では、消費者の大半(66%)が、小売店で直面する課題が自動化によって解決され、ショッピング エクスペリエンスが向上すると考えていることがわかりました。

パーソナライズからセレンディピティ(思いがけない幸運)へ

小売業者は、消費者の信頼を勝ち取る必要があることを認識しなければなりません。小売業者がテクノロジーを利用するのは買い物の煩わしさを軽減するためではなく、主にコストを削減するためであると多くの消費者は思っていますが、まさにそのとおりです。同じ調査では、どのような自動化のユースケースを実装するかを決定する際に「お客様の課題の解決」を最も重要な基準と見なしている小売業者はわずか 1/3(35%)であることがわかりました。

Neerav Vyas 氏(キャップジェミニ北米インサイト&データ部門カスタマー ファースト担当責任者兼共同チーフ イノベーション オフィサー)はこう言います。「小売業者の多くは自動化の導入の初期段階にあります。これは、テクノロジーの利用方法を再検討し、買い物の煩わしさを軽減して消費者の信頼を得るだけでなく、消費者に思いがけない利益をもたらす機会でもあります。私たちは、セレンディピティを提供して現実とデジタルのギャップを埋めるというアイデアの実現を目指しています。」

特定の商品を探している買い物客だけに注目すべきではありません。「消費者が積極的に何かを探しているときは、消費者自身がほしいとは思ってもいなかった商品やサービスを小売業者から提案できます」と Vyas 氏は述べています。たとえば、統合メディア戦略の一環としてパーソナライズ プラットフォームを使用しているビジネスチームは、コンバージョンの向上やエンゲージメントの促進などの目標に合わせてアルゴリズムを最適化できます。

「パーソナライズからセレンディピティへ」と進化したエクスペリエンスにより、消費者の選択に影響を与えて有益な買い物を促す機能を備えた商品提案アーキテクチャへの信頼が育まれる、と Vyas は述べています。実際に、私たちの調査では、ミレニアル世代の支出の半分(52%)が体験に関連する購入であることがわかりました。これまでどおり、重要なのは消費者と直接向き合うことです。そのうえで、お客様の意図などのシグナルがいつ変化するかを予測し、理解することが鍵であると、Vyas は付け加えています。

カスタマー ジャーニー全体を通して価値を生み出す方法

企業がすぐに実装できるソリューションの一つとして、カスタマー ジャーニー全体にレポート、計画、戦略を組み込んだ統合メディア費用プラットフォームがあります。こうしたソリューションを導入することで、カスタマー ジャーニーの各過程に付随する煩わしさをテクノロジーによって軽減し、全体を通して価値を生み出すことができます。カスタマー ジャーニーは、お客様が商品を探す時点から始まり(検索と発見)、購入(オムニチャネル バスケット、「購入可能」画面)、受け取り / 納品(店舗での QR コードのスキャン)を経て、小売業者との購入後エンゲージメント(Google Contact Center AI)に至ります。

このような包括的なアプローチを採用すると、高度な分析を使用するデータの取得、統合、レポート作成がスムーズになり、サイロが解消されます。また、プライバシーと自社データの重要性が強調されます。さらに、このアプローチはカスタマー ジャーニー全体にわたるエンドツーエンドの介入につながり、最適化されたメディア支出を可能にします。企業は費用配分の分析を行い、自己所有および支払い対象の戦術を代理店と調整し、スチュワードシップを促進して監査を効率化できます。

実験の文化

こうしたデータドリブンのアプローチを取ることで、CPR 企業はお客様の全体像を詳しく把握できます。そのようなインテリジェンスを使用して、オンライン、店舗、企業ブランド全体でお客様を管理下に置くことにより、自動化されたショッピング エクスペリエンスを向上させ、身近なものにすることができます。さらに私たちは、人工知能(AI)のような Google Cloud の新しいテクノロジーを使用して、サプライ チェーンの最適化やお客様のイノベーションから消費者エクスペリエンスに至るあらゆる分野で、企業が価値を高められるように支援しています。

実験の文化はチームの努力によって築かれます。「たとえ大きなアイデアがあっても、一人では何もできません。すべては漸進的なステップです」と、キャップジェミニの Google Cloud COE リーダーである Jennifer Marchand 氏は述べています。「適切なユースケースとタイミングの発見がすべてです。」Google Glass Enterprise を例に取って Marchand 氏はそう続けます。店舗の販売員は、消費者エクスペリエンスを向上させるために、ハンズフリーの購入手続き、お客様の好みに応じた商品提案、スペシャル オファーの提示を通じて、より良いサービスを提供できます。それと同時に、コンピュータ ビジョンとスマート シェルフを利用して、従業員のタスクに優先順位を付け、店内の在庫不足と過剰在庫を従業員に通知できます。

Marchand 氏は、企業と消費者のどちらも顔認識などのテクノロジーを完全に導入する準備ができていない可能性があると指摘していますが、最近ではほとんどの人がスマートフォンを持っているため、簡単に自動化の恩恵を受けることができます。「この種の問題を長期的に解決するために Google がどのような手段を検討しているかに関心を寄せています」と彼女は付け加えています。

店舗の明日

真にスムーズなショッピング体験がどのようなものかを想像してみてください。最先端のコンピュータ ビジョンと AI により、買い物客が手に取った商品、棚に戻した商品、買い物かごに入れた商品が識別され、買い物客は 99% の精度で購入手続きを完全にバイパスし、領収書をモバイルアプリで直接受信して、店を出ることができます。この夢のようなエクスペリエンスは、CornerShop(英国ロンドンにあるキャップジェミニの実験店舗)ですでに現実化されています。

キャップジェミニ傘下の frog のトランスフォーメーション&ストラテジー コンサルタントである Jamie MacLoud 氏は、Google Cloud 上で運営される小売スペースは、遠い未来ではなく明日の店舗のかたちであると言います。それは、小売業者とブランドが技術的なショッピング イノベーションをリアルタイムで探究、開発、テストできる実験スペースとなります。その成果として、デジタル イノベーションが何を可能にするかをより明確に理解できるようになります。デジタル イノベーションは、カスタマー エクスペリエンスを発展させ、店舗の運営を改善します。また、新しいショッピング、ブランドとの新しい関わり方を通じて、対面で買い物する楽しみを消費者が再発見することも後押しするでしょう。

「私たちは、明日の店舗のコンセプトを具体化し、テストと学習を行っています。今後 1~2 年で、このコンセプトを実際の店舗に取り入れることができると思います。CornerShop の実験は実際の買い物客を相手に行うので、具体的な知見を蓄積することができています。そうした学習成果は、クライアントへのコンサルティングや、将来の店舗戦略を練るのに有用です」と MacLeod 氏は述べています。CornerShop の一般向けの営業は、2 回に分けてそれぞれ 8 週間ずつ行われました。これにより、どのテクノロジーが買い物客から良い反応を得たか、どのブランドが状況に適応してスケーリングできるかをリアルタイムでテストすることができました。スムーズな購入手続きは予想どおり買い物客から大変好評でしたが、衣料品の「バーチャルでお試し」を支えるテクノロジーはそれ以上に未来の店舗らしい機能であると評価されました。  

このように、イノベーション ラボとは異なり、CornerShop では、企業はリスクを負わずに実験を行うことができます。そのため、アイデアの立案からフルスケールの実装までのプロセスがスピードアップします。この実験は、お客様が直面する課題を解決するための一歩にとどまらず、思いがけない幸運を見つけるという経験を提供して長期的なブランドのロイヤリティを生み出す機会も創出します。

キャップジェミニが Google Cloud と提携して、次世代のショッピング エクスペリエンスの構築に取り組む小売業者をどのように支援しているかをご確認ください。


このブログ記事の執筆にあたり、貴重な洞察と専門知識でサポートしてくださった Jamie MacLoud 氏(キャップジェミニ傘下の frog のトランスフォーメーション&ストラテジ- コンサルタント)と Neerav Vyas 氏(キャップジェミニ北米インサイト&データ部門カスタマー ファースト担当責任者兼共同チーフ イノベーション オフィサー)に感謝の意を表します。


- キャップジェミニ Google Cloud COE リーダー Jennifer Marchand 氏
- Google Cloud グローバル システム インテグレーター パートナー マーケティング担当責任者 Tharun Tharian

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