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展望

企業合併後の統合において差別化された価値を生み出す Google Cloud の 5 つの方法

2021年12月9日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 12 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

近年あらゆる業界において、デジタル トランスフォーメーション、新しい人材や機能の迅速な獲得、クラウド技術などの新しい運用モデルの導入がますます必要となっています。これらの変化を促してきたのは、コスト削減の目的に加えて、競争力と生産性の向上の目的があります。

M&A(合併、買収)および事業の分離、売却、スピンオフなどの事業再構築は、CEO や経営陣が課題に対処するための一般的な手法になっていました。それらにより、成長の加速、シナジーの生成と実現、企業の戦略の見直し、企業ポートフォリオの最も効率的で将来を見据えた活用に向けた再調整などが行われてきました。革新的な技術への戦略的なアクセス、データの取得と収益化、技術的負担の排除、人工知能と機械学習(AI / ML)などの機能は、ビジネスを成立させるうえでますます重要な要因となっています。企業合併後の統合において新たに規模と複雑さが増大した技術資産は、付加価値をもたらす重要な要素になりえます。ただしそれは、統合を適切に完了することが前提になります。

Google Cloud では、ソリューション、プロセス、パートナー、人材を独自に組み合わせており、戦略的なビジネスを加速化し、当初作成したビジネス評価モデルを超える価値を生み出し、維持することを可能にします。このブログ投稿では、Google Cloud を、より優れた価値提案の実現を支援するツールとして活用する方法を説明します。

企業合併後の統合において差別化された価値を生み出す Google Cloud の 5 つの方法

Google Cloud は、M&A 実施後の戦略的な統合プロセスを進めるうえで、信頼できるアドバイザーになります。Google Cloud の価値は、具体的には次のように要約できます。

1. Anthos を使用したクラウド サービス プロバイダ(CSP)と企業の物理データセンター全体のシームレスな統合と一元的な管理。

一般的に見られるのは、M&A の後に、複数のクラウド サービス プロバイダ(CSP)とオンプレミスのプライベート クラウド全体で、テクノロジー スタックが断片化されてしまうことです。それにより、さまざまな環境でのソフトウェアの開発、テスト、リリースのために、別々のプロセスとスキルセットが必要になるため、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)における摩擦が増加します。一貫したプラットフォームがなければ、企業は貴重な技術資源を無駄にし、ベロシティとカスタマー エクスペリエンスに対するビジネス要求に応えられなくなります。  Google Cloud の委託によって Forrester Consulting が実施した最近の調査において、Anthos を複数の環境全体で SDLC を制御するマネージド プラットフォームとして使用することで、4.8 倍の投資収益率(ROI)、テクノロジー チームのコーディング以外の作業の 38% の削減、アプリケーションの移行とモダナイゼーションの 75% の増加が予想されています。

2. Google の API 管理プラットフォーム Apigee を使用した、合併後における IT とベンダーの合理化のための選択性、オブザーバビリティ、コントロールの向上。

テクノロジー チームでは、合併の影響が即座に表れます。技術資産は規模が拡大して複雑さが増し、ほとんどの場合、重複する領域が生じます。そのため、この状況はおそらくその後数年間で変化します。API は、合併後の統合を成功させるための重要な要素です。API 管理プラットフォーム Apigee をすべての HTTP アプリケーションとデータ トラフィックのために利用することで、組織はすべてのインフラストラクチャにわたって一元化された視点を持つことができるため、M&A を実施しようとしている企業はさらに戦略的でデータドリブンな意思決定が可能になります。たとえば、ベンダーやレガシー システムへのトラフィックについて、一元的にモニタリングと測定を行い、その使用状況を観測可能にできるため、よりデータドリブンな合理化の意思決定が可能となります。また、重複する領域で API レイヤを導入することで、選択の幅が拡がり、時間的な制約が緩和されます。これらは統合を成功させるうえで重要な要素となるでしょう。   

3. レガシーな技術的負担の迅速で自動化されたモダナイゼーション。合併後のオペレーションにおいて、IT の優先事項を判断する時間が短縮されます。

Google Cloud は、合併後のこうした状況を支援する 3 つの主要な手段を提供します。

  • 合併後のモダナイゼーション: Google Cloud では、G4 プラットフォームと呼ばれる Google Cloud 所有のツール、プロセス、手法を使用して、COBOL で記述されたコードを優れたコスト効率で簡単に維持できる最新の言語(Java など)に自動的に変換することで、レガシー システムを自動化し、迅速にモダナイズできます(例: メインフレームのモダナイゼーション)。

  • 合併後のバックログの攻撃: Google Cloud Cortex Framework は、価値創出までの時間を短縮できる再現可能なブループリントとレファレンス アーキテクチャを備えています。バックログは合併後に増大する場合が多く、再現可能なパターンを活用することが、テクノロジー チームの成果を拡充するために重要です。

  • 複雑さの分割と克服: コンテナによってレガシー アプリケーションを分解することで、段階的な移行とモダナイゼーションへの道が開かれ、プロセスをクラウド上の仮想マシン、次にコンテナに徐々に移動し、Kubernetes の機能をフル活用できるようになります。

4. データの結合、データ オペレーションとライセンスの再優先順位付け。同時に、埋没費用や、重複することが多いデータ プロバイダとの複数年の固定契約を回避します。

Google Cloud 上で Market as a Service(MaaS)あるいは Data as a Service(DaaS)を使用することで、合併した企業は、合併後のデータ ライセンスとインフラストラクチャのニーズを迅速かつ効率的に合理化できます。たとえば、金融機関は簡単に入手できる商用市場データを Google Cloud 上で分析可能な状態で活用できます。また、企業のサステナビリティ チームは、Google Earth Engine から得られる位置情報データセットを利用できます。企業は、旧来のデータ資産やオペレーションの適合や結合ではなく、新しいビジネス機会に集中することができます。また、BigQuery Omni を使用すれば、データ インフラストラクチャの結合を緩やかに進めることができます。データを他のクラウド プロバイダやオンプレミスで保持しながら、引き続き一元的にデータを管理できるためです。

5. セキュリティ、オペレーショナル レジリエンス、主権を合併後のオペレーションの中心に据えます。

M&A 後の合併企業が遵守しなければならない法令や規制の範囲は多くの場合、合併以前のそれぞれの企業が遵守、報告していたものよりも拡大します。そのため、合併企業の技術資産が、それぞれの適用法令のデータ主権、運用主権、ソフトウェア主権の規制の範囲内で運用されるようにするという重大な課題が生じます。Google Cloud は、こうした状況において本質的に役立つ一連の特性を備えています。たとえば、Google Cloud は、アクセスの透明性とデータ主権、規制する法令に応じた強制退出の過程でのポータビリティ、また最高レベルの主権保証が必要とされるプロジェクトと法令に対応する、信頼できるパートナーと協力したソブリン クラウドを備えています。

M&A により、プロセス、技術、責任を特定して結合する過程で、テクノロジー チームに大きなプレッシャーがかかる場合があります。Google Cloud は、豊富な技術、ソリューション、パターンを備えており、合併の過程を円滑にし、結合された組織の可能性を引き出して、重要な事項に集中できるようにします。



謝辞

このブログ投稿に協力してくれた金融サービス部門のソリューション アーキテクト Mose Tronci、およびキーアカウント ディレクター Prue Mackenzie に感謝します。

キャピタル マーケット、カスタマー エンジニア Stathis Onasoglou

シニア プロダクト マネージャー David Feuer

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