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ハイブリッド クラウド

コンピューティングの進化の過程と、マルチクラウド戦略が必要な理由

2020年12月8日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

この数年、情報技術の変化は目まぐるしく、クラウドにおけるより強力でアジャイルなコンピューティング、より充実したソフトウェア、より優れた分析、モビリティ、センサーが登場しています。残念ながら、ほとんどの企業向けテクノロジー ベンダーはその流れについていけていません。現役の IT 関係者が技術を学んだ環境は、独自のシステムを使い、切り替えコストが高く、ベンダー ロックインがあるという古い環境であり、それは彼らの考え方に表れています。

この例として、ハイブリッド クラウドとマルチクラウドのコンピューティングのトレンドほどふさわしいものはありません。どちらのケースでも、クラウド時代のテクノロジーにより、顧客は既存のアセットをより有効に活用し、データの計算、保存、分析のための新しい方法を利用できます。これは理屈ではなく、現実です。Gartner によると、組織の 81% が 2 つ以上のパブリック クラウド プロバイダを利用しています。マルチクラウド戦略により、企業はワークロードごとに最適なクラウドを自由に使用できます。

それに対して、シングル クラウド スタックは多大なコストを伴います。マルチクラウドであれば、それぞれのクラウドに固有の機能から大きな力を引き出せる一方で、シングル クラウドでは、複雑さが増し、独自のシステムの制限があります。より多くの分析情報が得られる一方で、サイロ化されたデータがあります。まったく異なるさまざまなシステムの復元力を利用できる一方で、リスクが集中しています。より優れたイノベーションと高い効率を実現できる一方で、その障害となるものがあります。1 つのビューでアセットを把握できる一方で、制御は不能、セキュリティは無計画で、コストは不透明です。

Google Cloud では、選択肢、柔軟性、オープン性を提供することで、お客様のニーズへの対応に全力で取り組んでいます。この取り組みは、Kubernetes、TensorFlow、その他多くのプロジェクトへの Google Cloud の貢献に反映されています。

Kubernetes プロジェクトは Google Cloud で生まれました。Kubernetes を構築したエンジニアたちによって作成された Google Kubernetes Engine(GKE)は、使いやすいクラウドベースの Kubernetes サービスであり、GCP だけでなく、どのプラットフォームでも、コンテナ化されたアプリケーションを実行できます。Anthos は GKE の堅牢な基盤の上に構築されているため、ベンダーに決められた方法ではなく、自社に適した優れた方法で、クラウド ソフトウェアの作成、リリース、管理が可能なハイブリッド クラウドとマルチクラウドのデプロイメントを構築できます。それが、クラウド エコシステムが正常に機能するための鍵となります。

複雑さを増すことなく、必要な場合にアプリケーションを実行できる柔軟性は、Anthos を選ぶ重要な要因となっています。多くのお客様は、オンプレミスとその他のクラウドの両方の既存の投資を引き続き活用したいと考えています。そのため、共通の管理レイヤを用意することは、お客様が少ないオーバーヘッドで質の高いサービスを実現するうえで役立ちます。

現在 Anthos は、リリースからわずか 2 年で、対応可能なワークロードと環境の種類を増やし、ロケーションを拡大しています。Forrester によると、Anthos を使用することで、プラットフォームの運用効率が 40%~55% 向上します。Google Cloud では、マルチクラウドへの取り組みをさらに進めるために、先日、ベアメタル版 Anthos を発表しました。これにより、お客様は遠隔地であっても最小限のレイテンシでハイ パフォーマンス コンピューティングを実現できます。また、最先端の API 管理プラットフォームである Apigee は、どのクラウドでも、オンプレミスでも、問題なく機能します。

Anthos は、可能な限りお客様の力を強化し、選択肢を広げ、管理機能を向上させる Google Cloud の取り組みの一部にすぎません。7 月に、人気の高い分析サービスのマルチクラウド版である BigQuery Omni を発表しました。企業は、Google Cloud、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(まもなく対応予定)にわたる自社のデータに直接、シームレスに接続することが初めて可能になります。データセットを移動したりコピーしたりしなくても、単一のユーザー インターフェースで大規模なデータ分析を迅速に管理できます。

今年初めに、Google Cloud は Looker の買収を発表しました。Looker は、複数のデータソースとデプロイ方法をサポートするマルチクラウド データ分析プラットフォームです。当然、Google Cloud に属する Looker は引き続き AWS などのパブリック クラウドでのホスティングをサポートしており、Redshift、Snowflake、BigQuery、サポートされているその他 50 以上の SQL 言語ベースサービスのデータソースと接続できるため、複数のデータベースにリンクし、データベースのロックインを回避して、マルチクラウド データ環境を維持できます。

オープンソースやマルチクラウドから、「analytics anywhere(あらゆる場所に分析を)」と呼ばれるものまで、Google Cloud の戦略は、あらかじめ決められたニーズや、エンタープライズ コンピューティングで「従来はどうだったか」といった点に基づいているのではなく、コンピューティングがどのように進化してきたか、そして、これからどの方向に向かいそうか、という点に関する Google の経験とビジョンに基づいています。


適切な目的で適切なデータを処理する適切なマシンを使用して、コンピューティングがどこでも利用できるようになるべきだとお考えかもしれません。将来的にはそれが可能になります。つまり、企業は、優れた製品やサービスによって最善の形で顧客に対応するために、自社が所有するデータを使用して、場所を問わずイノベーションを行い、他社と競うことができるようになります。

歴史はオープンソース ベースのマルチクラウド API に味方していると確信しています。数年前は、顧客に対するプロバイダの力を保持するために、オープンソースは非難され、フォークされることもありました。やがてオープンソースは許容されるようになり、現在では歓迎されています。今度はマルチクラウドが、拒絶から許容へ、そして最終的には、どこでも利用可能な状態へと移行する番です。

近いうちに、ご利用のクラウドが本来の役割を果たすようになる可能性は大いにあります。今後の情報をお見逃しなく。

-技術インフラストラクチャ部門シニア バイス プレジデント Urs Hölzle

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