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Healthcare & Life Sciences

Fitbit 用デバイス接続のご紹介: Google Cloud と Fitbit を連携して健康的な生活を促進

2022年10月5日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

医療は、これまで以上に患者を重視したデータ主導型の医療に向けて、抜本的な変革の時期を迎えています。昨今のオンライン診療の拡充により医療へのアクセスが向上し、ウェアラブルやその他のツールを使用することで、自分自身の健康とウェルネスの管理が飛躍的な高まりました。

ヘルスケアのデータは世界で生成されるデータの 30% を占め、その多くは Internet of Medical Things(医療分野のモノのインターネット、IoMT)や、消費者向けウェアラブル デバイスによるものだとされています。しかし、ウェアラブル データから分析情報を取得するのは簡単ではありません。医療デバイスに共通のデータ規格がないため、データの種類や形式が異なるからです。これらすべてのデータを処理し、有効に活用するにはどうすれば良いでしょうか。  

本日は、Fitbit Health SolutionsGoogle Cloud による、Fitbit 用デバイス接続をご紹介いたします。このデバイス接続は、医療およびライフ サイエンス企業の分析を加速させ、より詳細な情報を取得することで、人々の健康的な生活を支援します。ユーザーが Fitbit データの提供に同意すると、データを Fitbit Web API を介して利用できるようになります。共有するデータは設定可能で、データ ストレージのセキュリティと保護機能が保証されます。 ユーザーに関する実用的な分析情報を利用できるようにすることで、慢性疾患の管理をサポートし、公衆衛生を促進し、臨床研究を進展させて人々の生活の向上に貢献しています。

このソリューションにより、医療機関は、診療の場以外でも患者をよりいっそう包括的に把握できるようになります。このような分析情報があれば、在宅時の患者の行動や動向を詳細に理解することが可能になり、医療機関やライフ サイエンス企業は、医療チーム、研究者、そして患者自身へのサポートを充実させることができます。最近の Harris Poll の調査によると、医師の 10 人中 9 人以上(92%)が、テクノロジーは患者のエクスペリエンスの向上にプラスの影響を与えると考えており、96% が重要な情報へのアクセスが容易になれば、誰かの命を救うことにつながるという意見に同意しているとのことです。

人々の健康な生活への貢献

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この新しいソリューションは、医療チームをサポートし、以下のようないくつかの重要な方法で患者のより健康的な生活を後押しします。

  • 手術前と手術後: 患者に対し手術前後の全診療期間にわたりサポートを提供することで、患者エンゲージメントを高め、より良い転帰を実現できます1。しかし、多くの医療機関では、患者を包括的に把握できていないのが現状です。Fitbit は、活動レベル、睡眠、体重、ストレスなど、対象となる複数の行動指標を追跡します。それにより、病院外で患者に起きていることを可視化し、新たな分析情報を医療チームに対して提供しています。  

  • 慢性疾患の管理: 糖尿病患者が常に抱えている問題として、血糖値を許容範囲内に保つことが挙げられます。これは、心臓病、高血圧など、医療チームが健康的な行動や習慣を促進し、転帰を改善したいと考える数多くある例の一つにすぎません。ライフスタイル要因が血糖値などの疾病に関する指標にどのような影響を及ぼすかについて理解を深めることで、医療機関は、患者一人ひとりに合う治療と健康的なライフスタイルへの変更をサポートするツールを提供できるようになります。

  • 公衆衛生: 予防医療に重点を置いたコミュニティの健康転帰に関する管理サポートを改善することで、慢性疾患を患うリスクを減らし、生活の質を向上させます2。Fitbit ユーザーは、慢性疾患や急性疾患の予防と管理の両方を目的とした生活習慣行動変更プログラムを提供する医療機関とデータを共有することを選択できます。

  • 臨床研究: 臨床試験には、豊富な患者データが必要です。診療室で収集するデータは、ある時点の協力者のデータを断片的に捉えたもので、必ずしも日々変化するライフスタイルが反映されたものではありません。Fitbit は、ウェアラブル デバイスの中で最多となる 1,500 件以上の公表された研究で使用されています。長期的なライフスタイル データから新たな分析情報を得ることで、臨床試験のエンドポイントを充実させ、患者の定着率と研究プロトコルへの遵守を改善します。

  • 健康の公平性: 医療格差への対応は、医療エコシステム全体における優先事項です。Fitbit のデータと人口統計や健康の社会的決定要因(SDOH)などのさまざまなデータセットとを併せて分析することで、低所得家庭の子どもたちにみられる肥満率の違いや、黒人女性の妊娠、出産に関する合併症リスクの増加など、地域住民全体に存在しうる格差に関する新しい分析情報を、医療機関や研究者にもたらす可能性を秘めています。Fitbit の健康の公平性を高める研究に関する取り組みの詳細については、こちらをご覧ください。

分析情報取得までの時間を短縮

患者をより包括的に把握することで、人々の健康とウェルネスへの取り組みに対するより良いサポートや、潜在的な健康問題の早期発見を実現できます。また、臨床医に実用的な分析情報を提供することにより、医療チームの効率化にも貢献できます。医療機関は、Fitbit 用デバイス接続を使用してデータの相互運用性に取り組み、「見えないものを可視化」できます。また、ユーザーは同意の管理によってデータを制御できます。Fitbit 用デバイス接続では、世界水準の Google Cloud テクノロジーを活用して、いくつかの事前構築済みコンポーネントが提供されます。これらは、セキュリティとプライバシーを基本として確保したうえで、Fitbit データをアクセスしやすく相互運用可能な実用的なデータに変換します。

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  • ウェブ、モバイル向け登録と同意のアプリ: 事前構築された患者登録と同意のアプリにより、医療機関はユーザーが期待する同意方法、透明性の確保、スムーズなエクスペリエンスを提供できます。たとえば、ユーザーは、共有するデータとそのデータの使用目的を設定できます。

  • データコネクタ: Fitbit 用デバイス接続は、オープンソースのデータコネクタ3を提供しています。これによりデータの正規化が自動で行われ、さらに、Google Cloud BigQuery との統合により、高度な分析が可能になります。Fitbit Health Solutions のデータコネクタは、Open mHealth のような新しい標準をサポートしていて、コホートの構築や AI トレーニング パイプラインに適した Cloud Healthcare API と併用することで臨床データとの相互運用性を実現します。

  • 事前構築された分析ダッシュボード: Looker のインタラクティブな可視化ダッシュボードが事前構築済みで、さまざまな臨床環境やユースケースに合わせて簡単にカスタマイズして、分析情報を取得するまでの時間を短縮できます。

  • AI と機械学習ツール: AutoML Tables を使用して BigQuery から直接高度なモデルを構築できます。また、Vertex AI を使用して、必要なコード行数を 80% 減らしたカスタムモデルを構築することも可能です。Vertex AI は Google Research が開発した画期的な ML ツールで、Google のサービス提供に利用されています。

BlueVector AI、CitiusTech、Deloitte、Omnigen などの Google Cloud のエコシステムの提供パートナーは、Fitbit 用デバイス接続の導入に関する専門的なサービスを提供し、大規模な導入をサポートしています。

病気の予測や予防への活用に向けた可能性

オランダ、ハーグにある Haga Teaching Hospital は、Fitbit 用デバイス接続を最初に使用した医療機関の一つです。ここでは、このソリューションを使用することで、血管系疾患の早期発見と予防に関する新しい研究のサポートに役立てています。

心臓病専門医のドクター Ivo van der Bilt 博士は次のように話します。「Google Cloud とのコラボレーションにより、データ解析や AI を活用した研究をより大きな規模で行えるようになりました」「新しいソリューションを活用し始めたことで、実証実験を成功に導く分析情報の取得がこれまで以上に容易になりました。健康はかけがえのない財産です。私たちは病を得て初めて、その価値に気が付きます。病気を予防、または、治療ができる時期に発見することができれば、大きな成果が期待できます。」

加速し続ける Fitbit のイノベーション

2021 年 1 月に Google ファミリーの一員となって以来、Fitbit は世界中の人々がより健康でアクティブな生活を送るためのサポートを続け、革新的なデバイスと機能を発表してきました。その中には、不整脈を検知する新しい PPG AFib アルゴリズムに関する FDA 認証を取得したものもあります(2022 年 4 月)。アクティビティ、睡眠、呼吸数、有酸素運動のフィットネス スコア(最大酸素摂取量)、心拍変動、体重、栄養、血中酸素ウェルネス(SP02)などの Fitbit メトリクスは、Fitbit 用デバイス接続を通じてアクセスできるようになります。Google と Fitbit のやり取りは、厳格な法的要件に従って行われます。これには、Google が関連性のある Fitbit の健康とウェルネスに関するデータにアクセスし、取り扱う方法も含まれます。これらの義務の詳細については、こちらをご覧ください。

ユーザーを重視したデータドリブン型の医療の実現に向けて、皆様のお役に立てれば幸いです。Haga Teaching Hospital の心臓病予測に関する取り組みについては Google Cloud ブログをご覧ください。また、Fitbit 用デバイス接続については、cloud.google.com/device-connect にアクセスして詳細をご確認ください。


1. Harris Poll

2. CDC

3. Fitbit 用デバイス接続は Fitbit Web API 上に構築され、同意したユーザーによって提供されたデータは、Fitbit Web API を介してサードパーティ向けに提供されるデータと同じものであり、Google Cloud の連携により企業のお客様向けサービスの提供を実現します。

- Google Cloud、メドテック戦略およびソリューション グローバル リード Alissa Hsu Lynch
- Fitbit Health Solutions、マネージング ディレクター Amy Mcdonough 氏

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