Airwallex が Google Cloud を利用してグローバルに拡大している方法
Andy Chow
Chief of Staff, Technology, Airwallex
Cathy He
Engineering Manager, Airwallex
※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
フィンテック業界を大きく変革するという使命を掲げる Airwallex は、常に革新を続けており、企業が国際送金の課題を克服して国境に関係なく成長するのに役立つ新しいテクノロジーを取り入れています。Airwallex はエンドツーエンドのソリューションを提供することを目指しており、現在、グローバル決済、財務および経費管理、エンベデッド ファイナンス サービスに関連するサービスを提供しています。独自のインフラストラクチャを使用することで、世界規模の決済および金融業務に伴う問題を取り除くことができるため、あらゆる規模の企業が新たな成長の機会を得ることができます。
Airwallex は、自社で行うあらゆる活動の中心にデベロッパーを据えています。「まず開発してから、すばやくデプロイする」というマインドセットに従っており、それがお客様に利益をもたらしていると信じています。また、速度と品質の適切なバランスを見つけることに重点を置いています。そのためには、Google Cloud と Gitlab で運用される継続的インテグレーションと継続的デプロイ(CI / CD)パイプラインが常に最適なパフォーマンスを発揮する必要があります。長年にわたり、Airwallex は多くの統合を構築し、テストと検証を自動化してきたため、自信を持ってデプロイできるようになりました。
Google Cloud によって新しい市場を世界中に広げる
2018 年末から 2019 年初めにかけて、Airwallex は世界中で存在感を高める時期が来たと判断し、野心を後押ししてくれるプラットフォームを探し始めました。すでにさまざまなプロバイダのハイブリッド クラウドを利用していましたが、APAC 地域でのサポートが豊富であったため、初期の段階ではこれは理にかなっていました。しかし、拡大を目指す段階での目標は異なり、グローバル ネットワークが確立された Google Cloud が Airwallex のニーズを満たすのに最適であることがわかりました。Google Cloud の高度に接続されたクラウド インフラストラクチャと高度なリージョン間機能により、さまざまな地域に簡単に拡張できるようになりました。
Airwallex のチームは、グローバル ネットワークの拡大を続けるにつれて、Google Kubernetes Engine(GKE)のスケーラビリティと BigQuery のアジリティを組み合わせることで、ますます複雑かつ困難になるプロジェクトに取り組むことができました。
CI / CD において Google Cloud の安定性を利用する
Airwallex は、強力で柔軟性の高い API と CI / CD パイプラインを利用して、シームレスな国際送金などのサービスを実現しています。GitLab と GKE により、急速に変化するセキュリティと市場の状況に対応可能にする、スケーラブルで常時利用可能な環境が提供されます。
Airwallex のすべての GitLab サービス コンポーネントは、GKE クラスタでネイティブに実行されています。Airwallex は、Google Cloud のフルマネージド リレーショナル データベースである Cloud SQL を GitLab データベースとして使用しており、Memorystore のキャッシュ サービスと Cloud Storage バケットが GitLab オブジェクト ストレージとして機能しています。GitLab ランナーの一部は Compute Engine 仮想マシンにもホストされています。
次の図は、Google Cloud がどのように GitLab CI / CD パイプラインに統合されているかを示しています。
Google Cloud の主なメリットはスケーラビリティです。GKE 上で GitLab を実行することにより、スケーラビリティと信頼性の点でとても大きなメリットが得られました。たとえば、GKE の自動スケーリングと Kubernetes の水平ポート自動スケーリング(HPA)機能により、GitLab の負荷を心配する必要がなくなりました。
Kubernetes ノードはノードの負荷に応じて自動スケーリングでき、レプリカもコンテナのパフォーマンスに応じて自動スケーリングできます。Airwallex の GKE クラスタは 3 つのゾーンにまたがって各リージョンにデプロイされているため、GitLab インスタンスの可用性が向上しています。Cloud SQL を利用することで、GitLab データベースの 99.95% の SLA を保証できました。また、GitLab データを Cloud Storage バケットにバックアップすることにより、最大 99.999% の可用性を実現でき、真にグローバルな DevOps 文化を構築することができました。
かつてはすべてが手動であり、本番環境にリリースを反映するまでに 8 時間かかっていました。自動化された CI / CD パイプラインを利用すると、関係者からの手動承認を含め、1 時間以内に変更を反映できます。
Vertex AI によって不正行為を効率的に特定する
フィンテック企業にとって、データ セキュリティは最重要事項です。検証済みの機関と連携していることを確認する必要があるため、不正行為の検出が防御の最前線となります。2023 年 8 月、生成 AI テクノロジーを使用したマネー ロンダリング対策と不正行為分析に焦点を当てた、Vertex AI を使用した新しいプロジェクトを立ち上げました。Airwallex は独自の不正検出システムに Vertex AI を実装し、お客様から提供された Web サイトをスキャンしてその正当性を調べています。Web サイトが正当であることを検証した後、他の機械学習モデルを通じて、その Web サイトのリスクを測定しています。
これ以前は、システム上の不正行為を検出するための機械学習モデルのトレーニングに BigQuery を利用していました。Vertex AI を使用すると、不正行為をリアルタイムで検出できるため、日常業務のスピードと効率が向上し、潜在的な不正行為によりすばやく対応できるようになります。ただし、他のデータドリブンな意思決定を支えるために BigQuery を引き続き使用しています。最小限のメンテナンスで済み、高いセキュリティを備えているからです。サーバーレスでスケーラブルなインフラストラクチャにより、BigQuery は非常に経済的なツールになっています。
信頼できるパートナー様とともにミッション クリティカルなインフラストラクチャを提供する
Airwallex にとって、Google Cloud Professional Services Organization(PSO)との連携は大きな変革をもたらしました。システム設計や SRE プラクティスに関する深い知識を積極的に共有しようとする同チームの姿勢は、Airwallex のエンジニアがベストな仕事を行い続ける意欲を引き出しています。サポートしてくれる専任チームがいるため、自社のインフラが安全であることを認識しつつ、自信を持って新しいプロダクトを迅速にテストし、開発することができます。