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金融サービス

Keeta が Spanner で 1 秒あたり 1,100 万件の金融トランザクションを処理

2025年8月25日
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Ty Schenk

CEO, Keeta Network

Justin Makeig

Senior Product Manager, Google

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※この投稿は米国時間 2025 年 8 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Keeta Network は、さまざまなブロックチェーンや決済システム間のトランザクションを統合するレイヤ 1 ブロックチェーンであり、高額な仲介業者が不要で手数料が少なく済むほか、ほぼ即時の決済が可能です。Keeta は、クロスチェーン トランザクションを容易にし既存決済システムとの相互運用性を高めることで暗号通貨と法定通貨のギャップを埋め、コンプライアンスに準拠した安全で効率的なグローバルな金融エコシステムを実現します。

2022 年に設立され、Google の元 CEO である Eric Schmidt も支援している Keeta のネットワークは、金融機関に対する厳格な規制および運用要件を満たすように設計されています。ネットワークに組み込まれた顧客理解(KYC)やマネー ロンダリング防止(AML)などのオンチェーン コンプライアンス プロトコルは、セキュリティと規制遵守の確保に貢献します。また、Keeta のアーキテクチャは、アセットのトークン化とデジタル ID をネイティブにサポートしているため、ステーブルコインや実資産の移転のためのプラットフォームとして最適です。

最近、Keeta はそのネットワークの検証済み公開ストレステストを実施しました。同社のネットワークは、Google Cloud の水平スケーリング可能な高可用性オペレーショナル データベースである Spanner を基盤としています。テストでは、Keeta Network が 1,100 万件以上のトランザクション / 秒(TPS)を処理できることが実証されました。これは、従来のレイヤ 1 ブロックチェーンを大幅に上回っており、ブロックチェーン技術の新たな可能性を切り拓くものです。

Keeta は、その可用性と柔軟なスケーラビリティを評価し、Spanner を分散型台帳の基盤として選択しました。これにより、ダウンタイムや高額なオーバープロビジョニング、リスクの高い手動管理をなくし、必要に応じてスケールアップまたはスケールダウンすることが可能になりました。Google Cloud は Keeta のストレステストの準備と実施にも深く関わり、インフラストラクチャと技術ガイダンスを提供することによってネットワークの実環境パフォーマンスの検証に貢献しました。

Spanner のフルマネージドの運用と使い慣れたリレーショナル環境により、Keeta はデータベース インフラストラクチャや分散システムではなく、ネットワークに集中することができました。ピーク時には、Spanner は 1 秒あたり 300,000 件のクエリを処理し、耐久性のある状態を読み書きして、残高の読み取り、権限の確認、競合の解決、投票の公開を行いました。

汎用的な単一のネットワークを実現

Keeta は、すべてのネットワークをつなぐブロックチェーンとなることをミッションとし、あらゆる決済ネットワークとアセットの共通基盤となる統合プラットフォームを構築しました。Keeta Network の基盤アーキテクチャには、有向非巡回グラフ(DAG)構造が採用されています。従来のブロックチェーン アーキテクチャと異なり、DAG では多数の個別アカウントでトランザクションを並行処理できます。これにより、レイテンシを短縮し、既存ソリューションで問題となりがちな一般的なボトルネックを回避できます。

ネットワークは、2 段階の投票プロセスでオペレーションを承認または拒否します。台帳の更新前に、各トランザクションは、投票権を持つ代表者のグループによって検証される必要があります。個々のステップには、Spanner の ACID(アトミック性、整合性、独立性、耐久性)トランザクションと厳格な外部整合性が活用されており、サービスの停止やネットワークの分断が発生した場合でも正確性と耐久性が保たれます。

Keeta Network にはその設計上、制限がないため、水平方向にスケーリングして参加者の需要の増加に対応できます。同様に、Spanner はスケールアウト アーキテクチャを特徴とし、整合性とレイテンシを維持しながら世界中の数十のリージョンで読み取りと書き込みを線形スケーリングできます。

さらに、スループット要件が下がると連動してスケールダウンするように代表者を構成することも可能です。Spanner では、負荷の最も大きいピークの条件下でも、スケールアップとスケールダウンは常にオンライン オペレーションとして実行されます。Keeta は、実際の需要に基づいて Spanner インスタンスのサイズを動的に調整することで、費用を節約しています。

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ピーク時に毎秒 1,000 万件以上のトランザクションを処理するライブテストの結果

実環境での Keeta のパフォーマンスをテスト

Keeta のテスト用ネットワークは 4 つの代表ノードで構成され、そのそれぞれがネットワーク上で投票を行いました。目標のトランザクション数を処理するために、3,000 万を超える合成アカウントが 250 億件を超えるトランザクションを生成し、4 つの異なるリージョンの Spanner インスタンスにデータを読み書きしました。代表ノードを追加しても確定プロセスの複雑さが大きく変わらなかったことは、特筆に値します。

ネットワークの性能を徹底的にテストするために、ストレステストでは「ファンアウト」方式を採用して並列スループットと巨大なスケールを実証することにしました。まず、1 つのアカウントを使用して、すべてのアカウントに資金を分配するプロセスを開始しました。この最初のソース アカウントによって、各 20 件のトランザクションを含む多数のブロックが作成され、これらのブロックを使用してさらに 6 万から 12 万のアカウントに資金が供給されました。さらに、これらのアカウントそれぞれが追加のトランザクションを送信しました。このプロセスを何度も繰り返して、テスト中に使用されたアカウントの合計が 3,000 万に達しました。

第三者である Chainspect の検証の結果、ネットワークは 11,122,116 件のトランザクション / 秒(TPS)を達成し、Keeta の目標である 1,000 万 TPS をはるかに上回りました。

ブロックチェーン テクノロジーを新たな高みへ

このスケーラビリティを実証することで、Keeta はそのビジョンである「断片化されたグローバル経済をつなぐ」ことに一歩近づきました。既存のソリューションは、従来の金融取引に求められるスケーラビリティを備えておらず、グローバルな金融機関の橋渡しをすることができていません。Spanner と Google Cloud は、ネットワークと同じペースでスケーリングするインフラストラクチャを大きな再構築や予測不能なコストなしで実現し、これにより Keeta は自信と大きな技術的優位性を獲得しました。

Keeta の事例は、ブロックチェーン技術が、国境を越えた支払い、POS トランザクション、さまざまなアセット移転などの重要なオペレーションを改善できるときが来たことを示しています。対象となる市場の大きさを理解するために、次の事実について考えてみてください。毎日、数兆ドル相当の価値が、旧来の金融システム内で移転されています。そして、Keeta Network は、新しい相互接続されたエコシステムの基盤となるために必要なスピード、規模、セキュリティを備えていることを証明したのです。

金融サービス、小売、エンターテイメント、メディアなどの業界のリーダーは、最も重要な運用ワークロードの強化に、すでに Spanner を利用しています。組織の次の成長マイルストーンで、ストレスを軽減し開発チームを成功に導くうえで Spanner がどのように役立つかについて詳しくは、こちらのページをご確認ください。

-Keeta、Network CEO Ty Schenk 氏

-Google、シニア プロダクト マネージャー Justin Makeig

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