Active Assist でクラウドでのデプロイをフル活用
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 8 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
多くの企業がクラウドに移行している理由の一つとして非常によく聞かれるのがコストの削減です。クラウド サービスの高い弾力性や必要に応じてスケールアップ / スケールダウンできる能力によって従量課金制を導入できます。他の理由としてセキュリティも挙げられます。クラウドで開発を行うことで、デプロイメントのリソースやデータをきめ細かく把握、管理できるようになります。クラウド ベンダーが提供するバックアップや障害復旧、SLA を通じた信頼性とパフォーマンスの向上を理由にクラウドに移行するお客様もいらっしゃいます。また、クラウドではメンテナンスの手間が軽減されて管理もしやすくなるため、IT 運用チームの負担が減ってより戦略的なプロジェクトにメンバーを割り当てることができるようになります。
ただし、コスト削減、高いスケーラビリティ、セキュリティ、パフォーマンス、信頼性、管理のしやすさの向上をクラウドで実現する過程で、たくさんの設定項目や情報の多さに圧倒される場合もあります。
クラウドはそれほどまでに複雑なのです。クラウドの規模は莫大(Google Cloud には数百ものプロダクトがあり、その数は今も増え続けています)であるため、クラウドがもたらすさまざまな機会と最適化をフル活用するのは簡単なことではありません。オプションが大量に用意されているため、デプロイを絶えず調整する作業はすぐに煩雑なものになってしまう可能性があります。
そこで Google Cloud を利用されている皆様に今回ご紹介したいのが Active Assist です。
Active Assist ではワークロードの使用状況、ログ、リソース構成から情報を集めます。その後、機械学習とビジネス ロジックを使用して、コスト、セキュリティ、パフォーマンス、信頼性、管理のしやすさ、サステナビリティといった、クラウドで特に重要な領域にてデプロイを積極的に最適化します。
Active Assist ソリューションの概要
まずは、Active Assist ソリューションの幅広いポートフォリオに含まれる、コスト最適化用の Recommender ツールからいくつか見ていきましょう。
コスト最適化 Recommender
クラウドでは仮想マシンを簡単にスピンアップでき、リソースを実行した時間に対してのみ支払いが発生します。ただし、簡単なプロトタイピングやテストでは、積極的に利用されないマシンや、割り当てられているほどの仮想 CPU とメモリが必要ないマシンが実行されたままになる場合があります。Active Assist ならどちらの状況にも対応できます。特に多数のプロジェクトに対処している場合に、コストを最適化できる機会を事前に把握し、手動監査や煩雑なタスクを行う手間を最小限に抑えることができます。
アイドル状態の VM Recommender
アイドル状態の VM Recommender は過去 14 日間使用されなかった仮想マシンを特定してユーザーに通知します。これにより、それらの仮想マシンをシャットダウンすることも、プロジェクトから削除することもできます。Active Assist ではシステム指標を使用することで、仮想マシンが次の条件を満たした場合にアイドル状態として分類します。
観察期間の 97% において VM の CPU 使用率が 0.03 未満
VM ランタイムの 95% において VM の受信バイト数が 2,600 バイト/秒未満
全体の時間の 95% において VM の送信バイト数が 1,000 バイト/秒未満
Active Assist では、 アイドル状態の Cloud SQL インスタンスや仮想マシンに関連付けられたアイドル状態のリソース(IP、永続ディスク、カスタム イメージなど)をはじめとするその他のアイドル状態リソースも特定できます。
VM マシンタイプ Recommender
VM マシンタイプ Recommender では、ワークロードをより効率的に実行できるマシンタイプ構成を提案することで、仮想マシン インスタンスのリソース使用率を最適化できます。たとえば、この Recommender はメモリ使用量が長期間にわたって低い仮想マシン上で実行されているアプリケーションを特定し、現在割り当てられているよりもメモリが少ないマシンタイプへの切り替えを推奨します。推奨事項を適用することで、仮想マシンに関連するコストを削減できます。過去 8 日間の CPU とメモリの使用率指標を使用して推奨事項が生成されます。
予測オートスケーラー
もう一つのソリューションである予測オートスケーラーは推奨事項のさらに先を行き、デプロイで積極的な役割を果たします。
予測自動スケーリングは機械学習機能を使用して容量のニーズに対応するだけでなく、ニーズの予測も行います。これは需要の増加に先立って VM を作成し、アプリケーションの初期化にかかる時間を十分に確保します。予測モデルは学習を継続的に行い、インスタンス グループの CPU 履歴を使用することで、週単位と日単位のデプロイのパターンに合わせて調整します。たとえば、週末にアプリケーションが必要とする容量がいつも少ない場合、予測ではそれが反映されます。
放置プロジェクト Recommender
最後に忘れてはならないのが、放置プロジェクトの検出、再利用、削除に役立つ推奨事項を提供する放置プロジェクト Recommender です。このツールは、コスト、セキュリティ、サステナビリティの最適化をまとめて行うことができます。さらに注目すべきなのが、各「放置プロジェクト」の二酸化炭素排出量削減の影響を確認できる機能です。この機能では、放置プロジェクトを削除してすべてのリソースを解放した場合に削減される排出量が表示されます。
その他の Recommender
ポートフォリオに含まれる以下のコスト最適化 Recommender もぜひチェックしてみてください。
BigQuery スロット Recommender - スロット予約で BigQuery の支出を最適化できます。
Cloud SQL オーバープロビジョニングされたインスタンス Recommender - オーバープロビジョニングされた SQL インスタンスのサイズを変更できます。
マネージド インスタンス グループのマシンタイプ Recommender - マシン インスタンス グループのマシンタイプのサイズを適正化できます。
確約利用割引 - 確約利用によってコストを削減できます。
コストに特化したこれらの Recommender は Active Assist ポートフォリオを構成するソリューションの一部にすぎません。コストだけでなく、セキュリティ、パフォーマンス、信頼性、管理のしやすさ、サステナビリティにも対応したソリューションの完全なリストについては、すべての Recommender のリストとすべての分析情報タイプのリストをご覧ください。
Active Assist の使い方
Active Assist では次の方法で分析情報と推奨事項が表示されます。
Recommendations Hub とコンテキスト内(特定のサービスページ内)の Cloud コンソール UI
BigQuery への推奨事項のエクスポート(すべての推奨事項を BigQuery データセットとして取得してトレンドの分析やダッシュボードの構築に使用)
API、および CLI と Recommender API の併用(詳細についてはこちらのベスト プラクティスをご参照ください)
組み込みソリューション(予測自動スケーリングやクイック アクセスなど)
Active Assist では大半の分析情報と推奨事項が無料で生成されます。ただし、利用されているサポートプランで BigQuery Export 機能が提供されているかどうか、および API 割り当てを確認するにはこちらの料金ページをご覧ください。
次のステップ
自社のデプロイで Active Assist ソリューションを体験してみるには、最もわかりやすく、デプロイへの導入も非常に簡単な以下の Recommender を最初にチェックすることをおすすめします。
繰り返しになりますが、クラウド導入のニーズに最適なソリューションを見つけるのに役立つ Active Assist を構成するすべての Recommender のリストとすべての分析情報タイプのリストをぜひご覧ください。
- Google、デベロッパー アドボケイト リード Priyanka Vergadia
- デベロッパー アドボケイト Alicia Williams
- Active Assist プロダクト マネージャー Alfonso Hernandez