堅牢性と柔軟性の両立で、挑戦者を支える金融プラットフォーム、UPSIDER - Google Cloud と共に未来を切り拓く
Google Cloud Japan Team
編集者注: Google Cloud を利用する企業のリーダーの皆様にお話を伺い、想いを語っていただく Google Cloud Leader’s Story。連載 18 回目となる本記事では、法人カード「UPSIDER」および請求書カード払いサービス「支払い.com」を展開する 株式会社UPSIDER にお話しを伺いました。
利用しているサービス:GKE, Cloud Spanner, Cloud SQL, BigQuery, など
急成長を遂げるフィンテック企業、株式会社UPSIDERは、法人向けカード発行や請求書カード払いサービスなどを提供し、企業の資金調達・管理を支援しています。Google Cloud の堅牢なインフラストラクチャと先進的な技術を活用することで、UPSIDERは従来の金融機関では実現できなかったスピード感と柔軟性を兼ね備えたサービスを展開し、日本の金融業界に新たな風を吹き込んでいます。今回は、同社のVPoEである泉雄介氏に、Google Cloud と共に描く未来についてお話を伺いました。
UPSIDER - 挑戦者のための金融プラットフォームを目指して
「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」
これが、UPSIDERの掲げるミッションです。
あらゆる企業にとって、お金にまつわる課題は避けて通れません。特に、スタートアップや中小企業は、資金調達や資金管理において多くの困難に直面します。
泉氏は、モルガン・スタンレー証券会社での就業経験や自身の起業経験から、金融は企業にとって最も重要な課題の一つであると痛感していました。そして、既存の金融機関のサービスは日本の社会インフラとして普及している一方、スタートアップや中小企業の抱える課題に対してはよりニーズを捉えたサービスに提供が可能な部分もあると感じていたと言います。
「既存の金融機関は、社会のインフラとして欠かせない存在である一方、法人向けサービスには課題があると感じています。例えば法人企業が融資を受ける際には審査工程が複雑だったり、オフィスへの訪問が必須だったりします。今すぐ融資やサービスを受けたい企業にとってはもどかしい部分もあるでしょう。決済や融資、法人の資産運用には、テクノロジーを駆使して解決できる課題がまだ十分に残されています。」
このような課題意識から、泉氏は「金融こそ、テクノロジーによって変革すべき領域だ」と確信し、UPSIDERに参画することを決意しました。
泉氏は、UPSIDERのVPoEとして、組織と技術の両面から会社を牽引しています。組織面では、エンジニアの生産性向上のための投資、採用、テックブランディングなど、エンジニアにとって働きやすい環境づくりに注力しています。技術面では、競合優位性を築くためのクレジットカード領域におけるイノベーションや、AIを活用した与信モデルの構築などを推進しています。
「組織作りにおいては、フルリモート環境下でのチームワークの構築が大きな課題です。意図的なコミュニケーション設計や、全社的な情報共有の強化など、求心力を高めるための施策を積極的に導入しています。テックチームでは、定期的なall handsやリコグニションなどを通して、チームメンバー間のコミュニケーションを活性化させています。」
UPSIDERは、法人向けクレジットカード発行にとどまらず、請求書カード払いサービス「支払い.com」や、みずほFGとの合弁事業「UPSIDER BLUE DREAM Fund」など、事業領域を拡大しています。
UPSIDER と Google Cloud - 信頼と革新を支える基盤 -
UPSIDERは、2017年からGoogle Cloud を利用しています。その理由は、金融機関としての信頼性と、スタートアップとしての革新性を両立できる基盤だと考えたからです。
「Google Cloud は、みんなの銀行をはじめ、金融領域での実績が豊富です。Spanner をはじめとするハイアベイラビリティなインフラストラクチャは、金融機関に求められる安定性と安心感を提供してくれます。また、ドキュメントも分かりやすく、開発者にとって使いやすいと感じています。」
UPSIDERでは、Google Kubernetes Engine (GKE) や Cloud Spanner、Go言語などを活用し、マイクロサービスアーキテクチャを採用しています。これにより、開発スピードと柔軟性を向上させています。
「金融システムには、絶対に止めてはいけない部分と、アジャイルに開発していくべき部分があります。これは先輩エンジニアであるクレディセゾンの小野さん(小野 和俊 取締役 兼 専務執行役員 CDO 兼 CTO)の受け売りなんですが、私たちはこの両立を実現するために、「忍者と侍」という考え方を取り入れています。」
「忍者」は、軽装で素早く動くことを重視します。実験的な開発やUX開発など、スピード感が求められる領域では、アプリケーションエンジニアがインフラの自由度を持つ必要があります。UPSIDERでは、TerraformやArgoCDなどのツールを活用し、エンジニアが必要なリソースを迅速に立ち上げられる環境を構築しています。
一方、「侍」は、堅牢な鎧を身につけ、信頼性を重視します。クレジットカードのプロセッサーなど、絶対に止めてはいけないシステムには、高い信頼性とセキュリティが求められます。UPSIDERは、Google Cloud の堅牢なインフラストラクチャと、独自のノウハウを組み合わせることで、これらのシステムを安定稼働させています。
「金融システムの構築において、Google Cloudはもはやデファクトスタンダードになりつつあると感じています。私たちは、Google Cloudと共に、日本の金融業界の未来を創造していきたいと思っています。」
さらに、UPSIDERは、Google CloudのAI/ML関連サービスにも注目しています。
「BigQuery、Vertex AIなど、Google Cloudのデータ分析・AI関連サービスは非常に強力です。特にBigQueryは、BigQuery MLを使うことで、以前はエンジニアが1ヶ月以上かけて行っていたパラメータチューニングを数時間で完了させることができるなど、目覚ましい進化を遂げています。私たちは、これらのサービスを活用することで、不正検知のリアルタイム化など、お客様にさらなる価値を提供できると考えています。」
Google Cloudのビジネス面での強みとしては、パートナーを含めたサポート体制の手厚さを挙げています。
「過去にデータベースに障害が発生した際、Google Cloudとパートナー企業が迅速に対応してくれたおかげで、大きな被害を防ぐことができました。Google Cloudは、単なるサービス提供者ではなく、ビジネスパートナーとして、私たちと共に成長してくれる存在だと感じています。」
未来への展望 - AI 化された総合金融機関を目指して
UPSIDERは、「AI化された総合金融機関」を目指し、さらなる進化を続けていきます。
「お客様の困り事を探索し、Google Cloud を活用することで、迅速にサービスを提供していきたいと考えています。金融は、他の業界に比べてデジタル化が遅れています。私たちは、テクノロジーの力で金融業界を変革し、お客様のビジネスを支援していきたいと考えています。」
泉氏は、エンジニア組織の強化にも力を入れています。
「エンジニアは、効率的に開発できる環境を求めています。私たちは、生産性向上のための投資を惜しみません。また、採用やテックブランディングにも力を入れており、優秀なエンジニアが集まる組織を目指しています。」
UPSIDERは、Google Cloud と共に、日本の金融業界に新たな風を吹き込み続けていきます。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりです。
株式会社UPSIDER
株式会社UPSIDERは、「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」をミッションに、企業の挑戦を資金面・業務面から支援しています。現在、法人カード「UPSIDER」、請求書カード払いサービス「支払い.com」(クレディセゾンとの共同運営)、AIチャット型業務ツール「UPSIDER Coworker」、デットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」(みずほFGとの共同運営)などの金融サービスを提供しています。
インタビュイー
株式会社UPSIDER
VPoE 泉 雄介 様