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顧客事例

株式会社ミクシィ:Advanced Solutions Lab で最先端の AI・機械学習技術を学び、全社的な AI 活用をさらに加速

2020年4月30日
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Google Cloud Japan Team

国内最初期の SNS『mixi』やスマホアプリ『モンスターストライク(モンスト)』など、数々の大ヒットサービスを生み出してきた株式会社ミクシィ。現在もエンターテインメント事業からライフスタイル事業まで、幅広いジャンルで活躍しています。そんな同社が、AI・機械学習技術をさらに活用していくために、Google が国内(東京・渋谷)に開設したばかりの Advanced Solutions Lab(ASL)を受講。その成果について、トレーニングを受けた 5 人のエンジニアに聞いてきました。

利用している Google Cloud サービス:Advanced Solutions Lab など

問題解決のソリューションとしてAIをもっと当たり前のものにしたい

株式会社ミクシィが将来に向けた AI 活用を強く意識し始めたのは 2018 年ごろ。その背景について、同社エンターテインメント ブランド XFLAG の技術開発を横断的に担う「たんぽぽ」グループ(ベルトコンベアを流れてくる刺身の上にたんぽぽを載せるだけのような単純作業からエンジニアを解放することを目的として命名)所属の古城さん、渡辺さんは次のように語ります。

「私自身は AI 専門のエンジニアではないのですが、いくつかのプロジェクトにまたがるポジションで技術面を見ていく中、ミクシィ社内で、皆が問題解決のソリューションとして AI を駆使することを当たり前にしたいと考え、2018 年ごろから実際に AI を活用していくようになりました。」(古城さん)

「実際の活用事例としては、『ファイトリーグ』という対戦型ゲームアプリで、ゲームに追加される新作カードのバランス調整のために使っていました。現実のプレイヤーに近い AI を作り、疑似的に対戦させていくことで、カードの性能が適正か(ゲームバランスを破壊しないか)をあらかじめ確認できるようにしたんです。」(渡辺さん)

エンターテインメント事業(XFLAG)ではこのほか、ゲームキャラクター イラストなどを担当するアーティストの作業効率・品質向上を目的とするテクニカルアートグループでも機械学習を活用。画像生成系の AI 技術として注目を集めている GAN(Generative Adversarial Networks)を駆使し、『モンスト』の新キャラクターをより効率的に生み出す支援ができないかを研究・開発しているそうです。

「具体的には、すでに存在する数千のキャラクターグラフィック(2D イラスト)を学習させ、これまで見たことのない、それでいて『モンスト』らしいキャラクターデザイン“案”を生成するということに挑戦しています。アーティストのデザイン支援のためのクリエイティブ AI という位置付けですね。」(長舩さん)

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(左から、長舩さん、古城さん、渡辺さん)

もちろん、ミクシィの AI 活用はゲームだけに留まりません。同社笠原健治会長や村瀬龍馬 CTO の強い意向もあり、同時多発的に多くの事業部で AI を利用する試みがスタートしています。

「マーケティング本部では、ユーザーの行動を予測して打ち手を変えていきたいというニーズの実現に機械学習を活用しています。たとえば『モンスト』では、ゲーム内の行動ログなどから離脱しそうなユーザーを探し出して重点的にウェブ広告を打ったり、本作特有のマルチプレイという遊び方を促すために利用動向を AI で分析して参加を促したりといったことをしているんですよ。これらはおよそ 2 年前から始めていますが、かなり良い効果が出ていると好評です。また、『モンスト』以外でも、レコメンデーションのシステムを作って、ユーザーそれぞれの好みに合いそうなコンテンツを提案するなどといったことをやっています。」(倉澤さん)

「ライフスタイル事業を担当する Vantage スタジオの Romi 事業部では、雑談対話ロボットの開発を行っており、その多くのパートで AI を使っています。特に重要なのが、ユーザーの発言を受けて、どういった返答を返すかという部分。日本語の自然言語処理、特に雑談で使えるような技術はまだ世の中にほとんど存在しないため、TensorFlow を使ってモデルを独自開発・学習させています。対してユーザーの発言をテキスト化する部分では、すでに優れた技術が多数存在するので、その中で最も認識精度の高そうな Speach-to-Text API を採用しています。」(信田さん)

AI 活用の最先端に立つエキスパートから生きた知識と技術を学ぶ

そして 2019 年夏、ミクシィは社内での AI 活用が一定以上の成果を挙げていることから、さらなる利用の拡大を目的に ASL の利用を決定。古城さんら精鋭メンバーをプログラムに参加させ、同年 11~12 月にかけての 4 週間、みっちりと AI と機械学習について学ぶ機会を設けました。そこでの学びはミクシィのエンジニア陣にどのような知見をもたらしもたらしたのでしょうか?

「正直、本を読むだけでもある程度の知識や技術は身につけられると思うのですが、やっぱり実際に使っている人たちがそれを教えてくれるというのは魅力的。期間中、たくさんの質問をさせていただいたのですが、それらの多くに“現場”の肌感覚を感じさせる回答をいただけたのがありがたかったです。」(古城さん)

「機械学習の論文って、ほとんどがこうしたら良くなったという結果だけが書かれていて、プロセスの部分が分からないことが多いのが困りどころ。そういう職人技的なところを、実際にやっている人に教えてもらいたいというのが ASL に参加したモチベーションでした。講義では『最初はとにかく GPU の許す限り大きなモデルを作って過学習させ、そこからドロップアウト率を上げていけばいい』など、具体的な手法を教えてもらえたのがためになりましたね。」(信田さん)

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(左から、信田さん、倉澤さん、そして ASL 受講終了時の一コマ)

「それまでは、必要なことを必要に応じて学ぶというやり方をしてきたので、ASL で改めて AI 技術を体系的に学べたのが良かったです。たとえば『A Neural Network Playground』というツールでニューラルネットワークを可視化して学べたのは新鮮でした。こうした経験は、今後、学んだことを仲間に広めていくというミッションにおいて役立ちそうです。」(渡辺さん)

「私のチームでは TensorFlow の利用において低レベルな API を使っていたのですが、ASL では高レベルな Estimator API の使い方を学び、すでに現場での活用を始めています。また、機械学習全体の一連のタスクにおいて、Google Cloud の各サービスをどう連携させれば効率的なのかを学べたのかも役立っています。」(倉澤さん)

「先ほどもお話ししたように、私は GAN を利用した研究・開発を行っているのですが、ほぼ独学でやっていたため、本格的に使いこなすにあたって基礎の部分が抜けているところがありました。そう考えていたところ、講師の方が GAN のエキスパートだということがわかり、しつこくリクエストしたところ(笑)、本来はカリキュラムになかった GAN についてのテックトークをやっていただくことができました。そうした、プログラムの柔軟さもうれしかったですね。」(長舩さん)

ASL で得られた学びはすでに一部のプロダクト、サービスで活用をスタート。今後は新卒社員や既存エンジニアに向けた知見の伝授も始まっていくそうです。

「エンジニアはもちろん、企画メンバーなどにも AI・機械学習を活用していく意識を持ってもらいたいと考えています。繰り返しになりますが、AI を当たり前のソリューションとして社内に定着させていきたいんです。」(古城さん)


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(写真左から)

  • XFLAG 開発本部 CTO室 たんぽぽグループ 渡辺 莉央 氏

  • XFLAG 開発本部 CTO室 たんぽぽグループ 古城 秀隆 氏

  • Romi 事業部 開発グループ マネージャー 信田春満氏

  • マーケティング本部 デジタルマーケティング室 データマーケティンググループ 倉澤 大樹 氏

  • XFLAG デザイン本部 デザイン戦略室 テクニカルアートグループ 長舩 龍太郎 氏

株式会社ミクシィ

1997 年、創業者・笠原健治(現会長)が東京大学在学中に IT 系求人サイト「Find Job!」を立ち上げ、その後、1999 年に有限会社イー・マーキュリーとして法人化。2004 年にサービス開始した「mixi」は大きな成功を収め国内 No.1 の SNS に成長する(これを受け、2006 年に社名を株式会社ミクシィに変更)。2013 年にリリースされたスマホアプリ『モンスターストライク』は社会現象となった。現在は「フォー・コミュニケーション」をミッションに、エンターテインメント、ライフスタイル分野でさまざまなサービスを提供している。従業員数は 925 名(2019 年10 月末時点 ※連結・正社員のみ)


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