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顧客事例

群馬県前橋市: ChromeOS の全庁導入を核とした業務改革により、理想的な行政サービスの提供基盤を構築

2023年11月6日
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Google Cloud Japan Team

行政 DX の先行事例として、全国から注目を集める群馬県前橋市。同市ではこれまで、群馬版 MaaS「GunMaaS」の運用やマイナンバーカードの利活用などさまざまな DX を進めており、そのなかで情報システム全体の最適化を推進するために ChromeOS の全庁導入を決断。採用の背景や導入効果について、情報政策課の担当者に話を伺いました。

利用しているサービス:

ChromeOS, Chromebook, Chrome Enterprise Upgrade

人材が減り、作業負担が増える中、抜本的な業務改革が急務

自治体の DX 化が全国的に急がれる昨今、群馬県前橋市では、早くから DX による住民サービスの向上に力を入れてきました。同市は「デジタル技術とデータの活用を推進し、住民本位の行政、地域社会を実現する」をビジョンに掲げ、2021 年に DX 推進計画を策定。行政手続きのオンライン化や官民データ活用など計 8 つの重点事業を進める中、庁内業務の DX 化にも積極的です。目指すのは、パソコンと人だけで仕事ができる環境。その重要性に気付いたのは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)への対応がきっかけでした。

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「私たち情報政策課がクラスター対策として分散勤務を行った際、あわせて働き方改革の実現に向けた新しい職場環境整備の概念検証も行ったため、それまで当たり前に使っていたプリンタと固定電話を一切使用しませんでした。書類をデジタルデータ化して印刷物をなくし、連絡手段もメールが基本。職員間での情報共有の手間がなくなり、その分、仕事に集中できる時間が増えたと実感しました。こうした経験から、より円滑なコミュニケーションと業務効率化、そして住民サービス向上のため、庁内業務の DX を早期に実現しようという流れが生まれました。」(情報政策課 主任 佐藤 萌恵氏)

さらに、DX の気運を高めている理由はもうひとつ。2040 年問題です。総務省の人口推計によれば、2040 年には生産年齢人口(15〜64 歳)が人口の 53.9% まで下がると予測されており、深刻な労働力不足に全国の自治体が頭を悩ませています。このピンチをどう乗り越えていくのか。もちろん、前橋市も例外ではありません。

「前橋市では 20 年後に約半数の職員が退職することが分かっており、すでに現場では多くの職員が 1 人当たりの負担増を実感しはじめています。このまま何も対策をしなければ、いつか行政サービスが立ちゆかなくなってしまいます。そうならないために重要なのは、業務を根本から改革し、無駄な時間を減らして集中時間を増やすこと。そのためには、どこでも快適に使える ChromeOS 搭載の Chromebook が最適な存在です。」(佐藤氏)

セキュリティとユーザビリティの高さが、2,600 台規模の全庁導入を可能に

前橋市では、市立高校の生徒に Chromebook を配布した前例があるため、導入自体はスムーズに決まりました。しかし、重要な個人情報を扱う市役所の業務で使用するとなれば、しっかりとした検証が必要。結果的に、約半年間のテストを行ってからの導入となりました。

「検証の中で見えてきた ChromeOS の利点は、第一に、手軽なのに高レベルなセキュリティが担保されることです。ChromeOS は更新プログラムにセキュリティ対策もしっかり組み込まれているので、自動更新しておくだけで常に最新でセキュアな状態に保たれます。」(佐藤氏)

さらに、トータルコストに優れていることや、導入から管理までの手間の少なさも高評価でした。

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「コスト面では、ソフトとハード、どちらも他社よりも安価に導入できますし、エンドポイント管理の面では、Chrome Enterprise Upgrade でデバイスを一括管理できるため、アプリを一斉にインストールしたり、紛失時には遠隔で端末を無効化することも可能です。そういった高度な管理を最小限の手間で行えるという意味でも ChromeOS のコスト パフォーマンスは非常に高いと考えます。」(佐藤氏)

そうしたテスト結果を元に、前橋市は 2023 年 4 月にほぼ全ての職員に対して Chromebook の導入を完了。「データで仕事を受け取り、データで終わらせる」という業務フローの実現に向けて変革をはじめています。ユーザーにとっては OS が変わるということで大きな変化ではありますが、混乱なく受け止められています。その理由として、前橋市ならではの端末の配布の仕方がありました。

「一般的には管理者側でキッティングを行ってから配布しますが、Chromebook は比較的簡単にキッティングできるので、ユーザー自ら設定を行ってもらうことで、パソコンが苦手な職員にもタッチパネルなどの初歩的な操作に慣れてもらいました。そのおかげで、管理側の負担もかなり軽減されています。」(佐藤氏)

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このような柔軟な配布を可能にしたのは、ChromeOS のユーザー インターフェースの良さにあると、同じく情報政策課 臼井 秀充氏は話します。

「自分自身で操作していても感じることですが、ChromeOS は、難しいマニュアルを読まなくても直感的な操作で必要な設定画面に辿り着けます。ここは従来の端末との明らかな違いを感じた部分で、積極的な活用に一役買っています。」(臼井氏)

ウェブ版 Office365 への移行も乗り越え、Chromebook での業務環境を整備

一方、オフィス系ソフトに強い職員からは、スタンドアロン型からウェブ版の Office365 を使用するようになったことで不安視する声があがったといいます。

「互換性について、ウェブ版ではマクロが使用できないなど、一部ユーザーからの声があがったのは確かです。しかし、マクロに関してはノーコード・ローコードへの移行を検討するなど、手順を少し変えれば同じ結果が得られることも分かってきています。私たちも勉強しながらではありますが、ChromeOS でも問題なく業務が行えることを庁内に周知していきたいと思っています。」(臼井氏)

ユーザー フレンドリーで使いやすく、管理もしやすい Chromebook / ChromeOS は、導入直後から庁内にさまざまな変化を起こしています。

「これまで資料を印刷して参加するのが当たり前だった会議では、ChromeOS の導入以降、ペーパーレスで実施できていますし、外部拠点の職員も移動することなくウェブ会議が積極的に開かれるなど、目に見えて庁内の景色が変わっていっています。ChromeOS に移行したことは、これからのクラウドの仕組みを使っていく上で非常に重要な 1 歩であったと実感しています。また、全国には ChromeOS を使いこなしている学生がいますから、彼らが社会人になった暁には、さらに大きな変化が起きていくはず。その基板を作ったという意味でも、大きな転換期になったのではないでしょうか。」(臼井氏)

とはいえ、ChromeOS の導入はスタートであり、これからどんな業務改革を行っていくかが重要なポイント。庁内のポジティブな変化を受け、全庁を横断して業務効率化の議論が活発になっているといいます。最後に今後の展望を聞きました。

「市職員には、日頃からパソコンに慣れている事務職員だけでなく、保健師や保育士など現場中心の職員もいます。年齢層も IT リテラシーもバラバラです。そこへ今年度から ChromeOS が導入されたことで、オンライン研修や動画によるマニュアル作成など、職員間のデジタル デバイド対策も容易にできるようになりました。今後はさらに ChromeOS の機能を活用し、より高いレベルで業務を効率化し、住民サービスの向上につなげていきたいと考えています。」(佐藤氏)


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群馬県前橋市役所

群馬県を代表する豊かな自然と歴史的な名所、オフィスビルなどが立ち並ぶ都市型機能が調和する前橋市。都心から約 1 時間と近く、観光からアウトドアまでさまざまな魅力を楽しめる。市内の公共交通を一括で利用できる「GunMaaS(グンマース)」など積極的な DX 化により、市民生活の向上に注力。持続可能な未来へ向けたまちづくりを行っている。

インタビュイー(写真左から)
・群馬県前橋市 情報政策課 臼井 秀充 氏
・群馬県前橋市 情報政策課 主任 佐藤 萌恵 氏

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