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顧客事例

合同会社 EXNOA(DMM GAMES):Recommendations AI の活用で PC パッケージの売上を約 2 倍に拡大

2020年10月27日
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Google Cloud Japan Team

ゲームを通じ、趣味のあう仲間たちが集まって遊べるコミュニティ サービス DMM GAMES を運営する合同会社 EXNOA(以下、EXNOA)では、オンライン ゲームや PC パッケージ ゲーム、ゲーム内で利用するアイテムなどを販売する EC サイトのプラットフォーム、およびレコメンデーション機能の開発に Google Cloud を採用しています。このプロジェクトについて、データ戦略部のリーダーと 3 名のエンジニア、およびマーケティング担当者に話を伺いました。

利用している Google Cloud サービス:AI PlatformRecommendations AI(ベータ版)BigQuery など

BigQuery による高速なデータ解析に期待して Google Cloud を採用

「EXNOA では、データドリブンな事業の推進を目的に、データの収集、分析、施策立案、サービス提供という PDCA サイクルを企業文化として確立し、各事業部がチーム単位で、自社の膨大なデータを生かし、データ サイエンスを活用して、大幅な業務効率化を目指しています。この取り組みに欠かせないのが、Google Cloud の機械学習(ML)です」と話すのは、経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ Group Leader の田村さんです。

合同会社 DMM.com のグループ会社でもある EXNOA では、自社で企画・開発したゲームやパブリッシャーの協力によるゲームタイトルをユーザーに提供するプラットフォーム DMM GAMES を運営しています。DMM GAMES では、オンライン ゲームをはじめ、PC パッケージ ゲーム、独自開発の Android アプリなど、マルチデバイス対応のゲームをグローバル、かつ幅広く展開。常に新しいチャレンジを続けています。

DMM GAMES は、当初からクラウド サービスで開発されていましたが、取り扱うゲームタイトルが急速に増え、処理するデータ量も膨大になったことから、大量データの分析に、より適した仕組みをもとめて Google Cloud に移行することを決定します。Google Cloud を採用した理由を、経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ 基盤チーム Team Leader の河野さんは、次のように話します。

「社内では、日常的に Google Workspace*(旧称 G Suite)を使っており、Google Cloud との連携のしやすさが採用の背景にありました。特に社内外でデータ共有が増えていることから、Google アカウントを使ってサービスを容易に連携できる点にもメリットを感じました。また、なにより大量データのリアルタイム解析の部分で、 BigQuery と Google アナリティクス 360 によるビッグデータ解析に大いに期待していました。」

それまでの環境では、大量データの抽出に非常に時間がかかっていました。また、誰かが作業をしていると、ほかの人の作業に影響が生じることも課題でした。BigQuery を使うことで、大量データの抽出が高速かつ容易で、チーム内で同時に複数の作業が行うことも可能になりました。マーケティング本部 プラットフォームマーケティング部 グロースグループ プランニングチームの龍瀬さんは、次のように話しています。

「以前は、見たいデータがあると、毎回システム部門に抽出を依頼しなくてはいけませんでした。BigQuery は、高度な専門知識を持ったエンジニアでなくても、見たいときに、すぐにデータを抽出して、スプレッドシートでレポートを作成できるので本当に便利です。営業チームが見たいレポート、運営チームが見たいレポートなど、さまざまな要望に容易に応えられるようになったことも助かっています。」

Google Cloud の 2 つのレコメンデーション機能は大きな効果を発揮

Google Cloud 移行を受けて、EXNOA では 2 つのレコメンデーション機能を開発。1 つは、AI Platform を使った独自開発のレコメンデーション機能で、オンライン ゲームと Android アプリのユーザー分析に、もう1 つは Recommendations AI を使ったレコメンデーション機能で、PC パッケージ ゲームのユーザー分析に活用されています。この 2 つの機能の使い分けは、オンライン ゲームと PC パッケージ ゲームの販売ビジネスの特性によるもの。それぞれ求められる要件と開発コストを勘案して選択されています。

オンライン ゲームは、ダウンロード時は基本的に無償なので、ゲームを始めただけでは収益にはならず、インストールしてもらいその後プレイしてもらう中で売り上げが徐々に上がっていくビジネス構造です。レコメンドしてから成果が上がるまでにそれなりの時間がかかり、長期にプレイしてもらう中で、ユーザーが何に興味、関心があるかを知ることが不可欠となってくる。「効果的なレコメンドを行うにあたり、社内でさまざまな考え方やデータを柔軟に取り扱えるよう、AI Platform を使った独自開発が必要」(田村さん)だったといいます。

独自開発のレコメンデーション機能のA/Bテストの結果は、Looker を活用してダッシュボード化。そして、導入効果については、「CTVR が、ウェブの EC サイト用に開発されたレコメンド エンジンとの比較で  226.66 %、Android アプリに関しては手動にて設定したオススメリストとの比較で 128.59 %という効果が出ています。これは期待以上の数値で、やり過ぎたくらいの成果です」と、経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ MLチーム Team Leader 栁原さんは語ります。

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一方、PC パッケージ ゲームは、購入した時点で収益になり、その後は購入したゲームに対しての興味、関心を最適化するだけで済みます。ここでは Recommendations AI を利用することで、より少ない工数と時間でレコメンデーション機能を開発、期待通り、迅速に高い効果がでているようです。

「クリック率(CTR)が 1.45 %から 5.23 %に、コンバージョンレート(CVR)が 15.49 %から 19.26 %に、CTVR が 0.22 %から 1.01 %に向上した結果、売上が約 2 倍に拡大しました。これは、かなりいい結果です。」(経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ データアナリストチーム Team Leader  井上さん)

「Recommendations AI はベータ版でしたが、新しいものをどんどん使っていくという会社の方針もあり、特に不安はありませんでした。Google Cloud のサポート体制を確立してもらえたし、問い合わせにも迅速に答えていただき、逆にベータ版なので、手厚くサポートしてもらえたのかもしれませんね(笑)。」(河野さん)

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2 つのレコメンデーション機能が順調に効果をあげている中、今後、EXNOA では、ほかのプラットフォームにも、Google Cloud を採用したレコメンデーション機能を搭載していく計画です。たとえば、DMM GAMES のトップページに表示されているコンテンツを、ユーザー 1 人ひとりに最適化して表示するプロジェクトもスタートしています。この最適化の実現にも、Google Cloud の ML を使う計画です。今後の展望について田村さんは、次のように語っています。 

「まずは小さなパーツから最適化を進め、最終的にはサイト全体を最適化する計画です。ほかのプラットフォームでも成果が出れば、さらに収益の向上が期待できます。その一環として、DMM.com グループの 1 社で、ML や深層学習を中心としたアルゴリズムを開発する株式会社 Algoage と一緒に包括的な AI 活用によるゲーム設計の事前検証やユーザーの離脱防止などの仕組みを実現する取り組みも開始しています。今後、Google Cloud には、こうした分野のサポートも期待しています。」


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(前列左から)
・経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ Group Leader 田村 渡 氏
・経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ 基盤チーム Team Leader 河野 太郎 氏
(後列左から)
・マーケティング本部 プラットフォームマーケティング部 グロースグループ プランニングチーム 龍瀬 悠磨 氏
・経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ データアナリストチーム Team Leader 井上 翔太 氏
・経営管理本部 データ戦略部 データ戦略グループ MLチーム Team Leader 栁原 太郎 氏

合同会社 EXNOA
DMM GAMES は 2011 年 11 月にサービス開始。2018 年 3 月に事業部から法人へと独立・分社化。2020 年 4 月 10 日付で「合同会社 EXNOA(エクスノア)」に社名変更。「世界中の大人に興奮を」という企業理念に基づいて、プラットフォーム事業、パブリッシング事業、ゲーム開発・企画事業、e-スポーツ事業、投資支援、海外事業を展開。最高のゲームを届けるプラットフォームづくりを推進している。DMM GAMES ブランドで、PC ブラウザ向けの新規タイトルを年間 60~80 本リリース。登録 ID は 2020 年 1 月時点で 2,600 万ユーザーを超えている。


* 2020 年 10 月、G Suite は新たに Google Workspace としてブランドを刷新しました。

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