顧客事例

株式会社ブロードリーフの導入事例: 新世代の大規模ビジネス プラットフォーム『Broadleaf Cloud Platform』を Google Cloud Platform 上に構築

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約 10 兆円とも言われる自動車アフター マーケットの業務支援ソフトウェア メーカーとして、国内トップクラスのシェアを誇る株式会社ブロードリーフ。そんな同社が今取り組んでいるのが、「ブロードリーフのビジネスを変える」ためのプラットフォーム作り。昨今のビジネス環境変化を受けて、パッケージ ソフトを制作・販売する企業から、プラットフォーマーへの転針を図る同社は、Google Cloud Platform(GCP)に何を期待しているのでしょうか?

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利用している Google Cloud Platform サービス

BigQueryGoogle Kubernetes Engine など


お話を伺った方

  • 開発本部 基盤開発部 部長 祖慶 良大氏(写真)
  • 開発本部 基盤開発部 松本 宏紀氏(インタビュー内のみ登場)

株式会社ブロードリーフ

整備工場など、自動車アフター マーケットを中心に、携帯電話販売代理店、旅行代理店など、幅広い業種・業界の現場業務を支援するソフトウエア・ITソリューション&各種サービスを提供(約 3 万社が利用)。近年は中国、フィリピンなど、アジア地域へも進出している。2005 年 12 月創業。開発拠点は東京・札幌・福岡の 3 か所。従業員数は 921 人(2018 年 12 月末時点)。


Google Cloud ならではの高品質なネットワークと開発環境としての GKE に魅力を感じた

「我々が GCP で実現したかったのは、ブロードリーフのビジネスを変えること。今回、その第一歩として、整備事業者向けの販売管理システム『Maintenance.c』を開発・提供開始しましたが、その背景には、昨今、お客さまを取り巻くビジネス環境が変容しつつあり、これまで提供していた機能的な価値に加え、EDI(Electronic Data Interchange/電子データ交換)などへの対応などが求められるようになったことが挙げられます。そこで、約 4 年前、ブロードリーフの提供する各種ソフトウェア・サービスをクラウドに移行した、新たなビジネス プラットフォームを構築することを決断しました。」(祖慶さん)

そのプラットフォームの名は『Broadleaf Cloud Platform』。計画は約 4 年前に立案され、プロトタイピング ベースでの検証を経て、約 2 年前から GCP 上での本格的な開発がスタートしました。

「開発に際し、主要なクラウド プラットフォームは一通り検証したのですが、GCP を選んだのにはいくつか理由があります。何より大きかったのがネットワークが充実していること。我々の提供するサービスは一般的なデータベースと比べて、かなりサイズの大きなデータをやり取りするため、GCP の回線の太さは魅力的でした。ちなみに、自動車アフター マーケット業界は取り扱うデータの種類がとにかく多いことも特徴の 1 つ。車種データだけでも何十万件レコード、その部品データに至ってはなんと約 4 億 6,000 万レコードにもなります。同じ型式の車でも地域やオプションの違いなどによって 1 台 1 台細かく異なる部品が使われていますから、そうしたデータを安定して、スピーディに検索できることは導入の最低条件でした。また、将来的にビジネスの規模に合わせてどこまでもスケールできること、月末月初や決算期、繁忙期(自動車業界の場合、2~3 月)のスパイクに耐えられるスケーラビリティも必要でした。加えて、BigQuery のように Google Cloud にしかないエッジの立ったサービスが多く揃っていたことも決定を後押ししています。」(祖慶さん)

「開発チームとしては、Google Kubernetes Engine(GKE)の存在が大きかったですね。PaaS は便利な反面、ベンダー依存が大きくなるため、それを避けるために Kubernetes を利用することを決めたのですが、GKE ならそれをフルマネージドで利用できます。当時、それができるのは GCP だけだったんですよ。具体的には新しいサービスのプロダクション環境を構築するのに、従来のオンプレ環境では機材調達からネットワーク設定までを含めて数週間かかっていたものが、約1時間でできるようになりました。開発時もバージョンアップ作業などを効率的に実施できるようになり、1日20回以上の頻繁なバージョンアップも可能になりました。」(松本さん)

なお、ブロードリーフは今回のビジネス プラットフォーム構築のタイミングで、モノリシックだったサービスを、GKE を駆使してマイクロサービス化。業界特有のノウハウが必要なものを国内3つの開発拠点で分散開発した上で、顧客管理や売上管理などは外部のベンダーに外注し、効率的にサービスを構築していったそうです。

「マイクロサービス化には『Broadleaf Cloud Platform』を将来的にサードパーティ ベンダーに開放したいという狙いもあります。」(祖慶さん)

「なお、GKE の利用に際しては、GKE を意識しない開発と運用をできるよう注意しています。実のところ、Kubernetes に詳しいエンジニアはまだまだ少ないですから、Kubernetes に詳しくないと開発できない、運用できないという状況は避けたかったんです。ですので、基本的には GitOps でソースをマージしたら、GitLab CI で Docker イメージをビルドして、開発環境であれば自動的にデプロイされるというようなかたちにしています。GKE ならマスターやノードの管理をしなくて良いのも助かっていますね。GKE のおかげで開発効率がかなり上がっていると感じています。」(松本さん)

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東京・札幌・福岡に分散している開発拠点間のやりとりには Hangouts Meet を活用

蓄積されたビッグデータを BigQuery × AI で積極的に活用

サービスのクラウド プラットフォーム化によってもたらされる恩恵の 1 つが、より能動的なビッグデータ活用が可能になること。事実、ブロードリーフが GCP を採用した理由の 1 つには膨大なデータを瞬時に解析できる BigQuery の存在も大きかったそうです。

「具体的にはログの解析・集計のほか、検索動向の分析などにも利用しています。よく検索されているということは、そこが故障しやすい箇所ということ。さらに言えば、リコールの予兆とも言えます。『Maintenance.c』では AI 技術なども駆使して、これをシステム上でサジェストする仕組みを用意し、利用者(修理工場)が顧客(修理依頼者)に早めの問題解決を提案するなどできるようにしました。クラウド移行以前もこうした方法論はあったものの、リソースが不足しており実現できていませんでした。もちろん、大手自動車メーカーもすでにこうした取り組みを進めていると思いますが、ブロードリーフはそれをメーカーの壁を越えて横断的に行えるのが強みです。なお、AI 活用については、今後さらに推し進めていく予定。たとえば車の情報だけでなく、お客さまの特性も学習させ、入庫する前により適切なサジェストができるようにするなどといったことを考えています。また、Cloud Vision API でナンバープレートを自動認識させたり、Cloud Speech-to-Text API でお客さまとの電話内容などを自動的にテキスト化したりといったことも検討中です。」(祖慶さん)

まずは約 3 万社という既存顧客を対象に機能強化を進めている『Broadleaf Cloud Platform』。こうしたエンタープライズ領域に GCP を利用することについて、2 年前の時点では不安もあったと祖慶さん、松本さんは当時をふり返ります。

「当時はまだ、エンタープライズ領域で GCP の採用事例が少なかったため、可用性の点で若干の不安がありました。ただ、実際に 2 年ほど GCP を利用してみて、今は高い信頼性と安定感を備えたプラットフォームであることを実感しています。」(松本さん)

「現在はハイブリッド クラウドの時代ですから、それぞれの強みの部分を積極的に使っていくべき。GCP は特にマネージドなサービスが充実しているので、そうした点をより拡充していって欲しいですね。」(祖慶さん)

「今後は、GCP のマネージドなサービスを積極的に活用していって、運用の負荷を下げていくことも考えて行きたいですね。面倒なことはすべて Google Cloud に任せて(笑)、自分たちがより開発に専念していけるのが理想です。」(松本さん)

現在は予定通りに進行しているという『Broadleaf Cloud Platform』によるブロードリーフ事業のクラウド移行。今後はグローバル展開も推進していきたいとのことです。

「日本の自動車は世界中で走っています。中には古い車も多く、そのアフター マーケットは今後、ますます拡大していくことになるでしょう。国内と同様にサービスを提供し、データを収集していくためも、世界中に展開されている GCP のネットワークに期待しています。」(祖慶さん)
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今回の取材では、札幌拠点に勤務している松本氏が Hangouts Meet でインタビューに参加している
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