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コスト管理

クラウド管理者向けの Cloud Logging の料金: そのアプローチと費用を削減する方法

2022年10月27日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 10 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Flexera の State of the Cloud Report 2022 では、多額のクラウドに関する支出が無駄になっていると指摘されています。これは、クラウドの費用が上昇し続けるにつれて、より重要になってきている主要な問題です。現在のマクロ経済情勢において、企業は支出を削減する方法を特定することに重点を置いています。これを効果的に行うには、料金モデルを理解する必要があります。その後、費用のモニタリング、最適化、予測の課題に取り組めます。予算編成で見過ごされがちな要素の一つは、オブザーバビリティ(ロギング、モニタリング、トレーシング)です。特に最適化されていない場合には、多大な費用がかかる可能性があります。Google Cloud で最も大量のデータソースである「ログ」を理解して最適化する方法を探っていきましょう。

Cloud Logging は、ログの取り込み、ルーティング、保存、検索、分析を行い、ログデータを使用して、インシデントを簡単にトラブルシューティングできる、フルマネージドのリアルタイム ログ ソリューションです。150 以上のサービスをサポートするオープンソース エージェントを使用して、オンプレミス、Google Cloud、その他のクラウドからデータを収集できます。従来のライセンス モデルや自己ホスト型ロギング ソリューションとは異なり、Cloud Logging の料金モデルは、シンプルで、実際の使用量に基づいています。

Cloud Logging のさまざまなコンポーネントを確認して、料金に関するよくある質問をいくつか取り上げていきます。

Cloud Logging - コンポーネントと目的

料金をよく理解し、今後の費用を予測できるようにするには、Cloud Logging の高レベル コンポーネントを理解し、システム内のどこで請求が発生しているか把握する必要があります。Cloud Logging には、3 つの重要なコンポーネントがあります。Cloud Logging API、Cloud Logging ルーター(ログルーター)、ログバケット(ログストレージ)です。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/1_cloud_logging.max-500x500.jpg

次の表は、Cloud Logging の高レベル コンポーネント、目的、料金に関する情報の概要を示しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/cloud_logging_ywJUuml.max-1300x1300.jpg

上述のとおり、現在、Cloud Logging での請求は、ルーティングされて、ログバケットに取り込まれたログに対してのみ発生します。Cloud Logging における「取り込み」とは、単にログルーターでのログデータ処理のことだけではなく、ログデータをログバケットに保存するプロセスのことです。

ログバケットには、3 つのオプションがあります。

  • 必須

  • デフォルト

  • ユーザー定義またはカスタム

デフォルトとユーザー定義のバケットのみが請求対象です。

現在、ロギングの料金は、課金対象のログバケット(デフォルト、またはユーザー定義)に取り込まれたログの量に基づいています。Cloud Logging のすべての課金は、ログバケットで発生し、すべてのログタイプで同じ費用がかかります。シンクフィルタ、または除外フィルタを使用して減らされたログは、Cloud Logging の外部の宛先にルーティングされる場合でも、Cloud Logging によって課金されません。

では、Cloud Logging の料金モデルに関するよくある質問を取り上げます。 

Cloud Logging のどのような料金が、請求書に表示されますか?

ログに発生する可能性のある料金には、次の 2 種類があります。

  1. 30 日間のデフォルト ストレージを含む $0.50/GB の取り込み料金。プロジェクトの最初の 50 GB は、無料枠の割り当て分になりますのでご注意ください。デフォルトおよびユーザー定義のログバケットに取り込まれたログの量に基づいて課金されます。

  2. 30 日を超えて保存されたログには、必須でないバケットに対して $0.01/GiB/月の保持料金が発生します。この料金は、現在は適用されていませんが、2023 年初頭に課金を開始する予定です。

最新の料金に関しては、こちらをご確認ください。

請求額を削減するにはどうすればよいですか?

Cloud Logging の料金は、実際の使用量に基づいているため、取り込み量や保持期間を期整することで料金を削減できます。

  1. 分析に有益なログデータのみを特定して保持(取り込み)することで、ログバケットごとに取り込まれるログの量を減らせます。

  2. 含まれている 30 日を超えてデータを保持する必要がない場合は、保持期間を短縮してください。最初の 30 日間の保持期間は、取り込みに含まれているため、保持期間を 30 日未満に短縮すれば請求に影響しません。

Cloud Logging では、Cloud Logging UI またはクライアント SDK / API からのクエリ数、検索数に基づいて課金されますか?

いいえ。Cloud Logging では、クエリ数、検索数、クエリ中にディスクから読み取られたログ数、または、さまざまなログタイプに対して課金されません。ただし、ログのクエリには割り当ての上限があるため、SIEM やその他のロギングツールとの統合の場合は、Pub/Sub を介してログシンクを設定し、ログをダウンストリーム システムに push することがベスト プラクティスになります。

複数の取り込み料金が発生する場合はありますか?

同じログエントリを Cloud Logging のログバケットに何度も取り込むと課金される可能性があります。たとえば、シンクにより、ログエントリが 2 つのログバケットにルーティングされる場合、2 つのバケットで取り込み費用の支払が発生します。このようにして、ログを個別に保持するか、またはコンプライアンス上の理由で複数のリージョンでログのコピーを保持するか選択できます。

ホット ストレージとコールド ストレージでは、費用に違いがありますか?

いいえ。ホット ストレージとコールド ストレージに違いはありません。Cloud Logging の長所は、すべてのログがその存続期間を通じてアクセスできることです。Cloud Logging は、簡単かつ効率的にスケールできるように設計されています。これにより、ログが数秒経っていても、数年経っていても、トラブルシューティング、調査、コンプライアンス上の理由のために、アクセスできるようになります。

ログを他の宛先にルーティングする料金について教えてください。

現在、Cloud Logging では、ログを一元的に収集し、Cloud Storage、BigQuery、Pub/Sub などの他の宛先にルーティングすることに対して課金されません。宛先サービス、Cloud Storage、BigQuery、Pub/Sub の使用料金が適用されます。

ログには、生成費用がかかりますか?

VPC ログ、ファイアウォール ルールのログ、Cloud NAT ログなどの ネットワーク テレメトリーログについては、ログが Cloud Logging に保存されていない場合、追加のネットワーク生成料金が発生する可能性があります。ログを Cloud Logging に保存する場合、ネットワーク ログの生成料金は不要となり、Cloud Logging の料金のみが適用されます。

Cloud Billing の取り込み量を把握するにはどうすればよいですか?

プロジェクトごとの費用を決定するには:

  1. Cloud コンソール > [お支払い] > [請求先アカウントを選択] -> [レポート](左側のペイン)の順に移動します

  2. 右側にある [フィルタ] > [サービス] > [Cloud Logging] を選択します

  3. では、各ログバケットで発生した費用を掘り下げて確認してみましょう。トップバーにある [プロジェクト] を選択します。左側のペインにある [ロギング] > [ログストレージ] の順に移動します。これで、バケットごとのログの量を確認できるようになりました。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/2_cloud_logging_a.max-1600x1600.jpg

すべてを組み合わせる

Cloud Logging の料金について理解したので、使用量を最適化できます。次の 4 つのベスト プラクティスがあります。

  • 推奨事項 1: ログルーターを使用してコレクションを一元化します。ログの全体像を把握してから、除外フィルタを使用してノイズの多いログを削減し、有益なログのみをログバケットに送信します。シンクフィルタ、または除外フィルタを使用して減らされたログは、Cloud Logging の外部の宛先にルーティングされる場合でも、Cloud Logging によって課金されません。

  • 推奨事項 2: 管理者アクティビティの監査ログは、追加費用なしで、すべての GCP サービスに対してデフォルトでキャプチャされます。組織のユースケースを特定して、必須のバケットからの監査ログを活用し、ログベースのアラートを構成します。

  • 推奨事項 3: ログは最大 10 年間、費用対効果の高い方法で保存でき、Cloud Logging を介して簡単にアクセスできます。Cloud Logging では、2023 年 1 月から長期のログ保持に対してお客様に課金を開始します。現在から 2023 年 1 月までの間に、ログに必要な存続期間を決定し、各ログバケットに適切な保持期間を設定します。

  • 推奨事項 4: 新規のお客様の場合、請求額を見積もります。現在の Cloud Logging ソリューションと費用を比較するのに最適な方法です。既存のお客様の場合は、予算を作成して、Cloud Logging の請求書にアラートを設定します。

バケットごとにログの量を分析することに加えて、お客様は、ソース、プロジェクトなどの分析を希望する場合があります。Cloud Monitoring の Metrics Explorer を使用して、費用も特定できます。これに関しては、次回のブログでご説明します。詳細については、ディスカッション フォーラムにご参加ください。皆様からのフィードバックをお待ちしております。Cloud Logging を使用して組織の費用を削減することにご関心がございましたら、こちらからお問い合わせください。ウェブセミナーを主催し、Cloud Logging の BigQuery を利用した Log Analytics を追加料金なしで活用する方法について講演いたします。こちらからご登録ください。

- Google Cloud プロダクト マネージャー Afrina M

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