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Anthos

Google Cloud を利用してパートナーのアプリケーションをエッジに導入

2020年12月17日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

世界中の企業が自社の中核のビジネス機能をクラウドで実行する傾向がますます高まっていますが、そういった中でも高速 5G 接続を利用してネットワークのエッジでクラウドの機能を活用できるように支援するための多くの機会が存在します。

Google は、企業がエッジでクラウド機能を活用できるように、2020 年初頭に独自の通信戦略を発表しました。その内容には通信サービス プロバイダがビジネス サービス プラットフォームとしてエッジを活用して収益を得やすいようにする計画や、AT&T と連携して同社のネットワークを活用し、Google Cloud の機能をエッジに導入する計画が盛り込まれています。さらにこの戦略の一環として、Anthos for Telecom も発表しました。これは、Google Cloud のネットワーク エッジにワークロードを導入するプラットフォームとして Anthos を活用するというものです。

そして今日、さらなる前進についてお知らせいたします。Google は、各業界の有力なアプリケーション プロバイダと連携し、この計画の立ち上げに賛同してくれた 30 社以上のパートナーが開発した 200 を超えるアプリケーションを Google Cloud のエッジに展開します(詳細なリストについては本投稿の最後をご覧ください)。

5G を活用してアプリケーションをエッジに

ここでは、エッジにアプリケーションを導入することがなぜ重要なのかを説明します。従来型の店舗を展開している小売業や多くの車両を管理している運送業、現場で IoT 対応機器を活用している製造業など、エッジが重要な組織には、エッジでクラウド機能を活用してプロセスをモダナイズし、新たなエクスペリエンスを展開するチャンスがあります。

Google は、後述のような独立系のソフトウェア ベンダー(ISV)と連携し、Google Cloud のコア コンポーネントを活用することで、新たな業界向けサービスやアプリケーションを迅速に配信して展開することができます。コア コンポーネントには、Anthos や人工知能(AI)、機械学習(ML)のほか、Google のグローバル エッジ ネットワークや通信パートナーのネットワークなどが含まれます。

さまざまな業界の企業は、コンピューティング タスクの実行にあたり、多くの場合いまだに堅牢なオンプレミスのシステムを使うか、小規模のオンサイト サーバーに頼ることさえあります。しかし、新しい 5G 機能をエッジに導入すれば、たとえば小売店は、ネットワークから店舗に直接ストリーミングすることで店舗の映像エクスペリエンスを強化できます。また製造業では、高度な AI ベースの目視検査を 5G 対応のデバイスから直接実施することができます。これらはいずれもローカルの処理能力を必要としないためコストを削減でき、オンサイトのスペースも少なくて済みます。

企業は、Google や Google の通信サービス プロバイダ(CSP)パートナーが提供している既存のグローバル ネットワークを活用することでレイテンシを最適化し、エッジでデータの処理やコンピューティング サイクルを実行することで処理コストを削減できます。また、データの保管に伴うプロセスやコストが減少し、リアルタイム処理するためにエッジから中央の拠点にデータを転送する必要もなくなります。さらにお客様は、Google の主要な CSP との連携を通じて高速 5G 接続を活用することで、プライベート エンタープライズ ネットワーク内、Google ネットワーク内、CSP ネットワーク内などでのさまざまな展開が可能になるため、自社のデータの高度な管理を行えるようになります。

Anthos は、従来型でもクラウドネイティブ型でもすべてのアプリケーションのデプロイに活用できるプラットフォームです。お客様は、プログラマティックな結果重視のアプローチを活用し、複数の環境でアプリケーション ポリシーを管理できます。また、サービスの状態とパフォーマンスを一箇所で確認できるため、環境を詳細に把握して管理することが可能になります。

現在、さまざまな業界にアプリケーションを展開しているパートナーが Google のエコシステムに参加し、Google Cloud からエッジに自社の製品をデプロイできるようにしています。Google は、このようなパートナーと連携し、今後さらに多くのパートナー、ソリューション、新たな業界とともにエコシステムを成長させていくことを嬉しく思います。現在さまざまな業界から Google のエコシステムに参加していただいているパートナーの一部を以下に紹介します。

産業 IoT および製造業

Google は製造業をサポートするために、製造業向けの革新的なユースケースに対応したパートナーと連携しています。そのようなユースケースとして、決定論アルゴリズムに基づいたクラウドベースの倉庫ロボット制御、AR / VR コンテンツを活用して工場の技術者が機械を診断できるサービス、現場にいないチームがリモートから診断できるサービスなどがあります。

  • Ayla Networks は、大規模企業に対応したデバイス仮想化技術と、エンタープライズ IoT および製造業向けの管理プラットフォームを Google Cloud で提供します。

  • Dematic は、サプライチェーン ソリューション、倉庫の自動化機能、ロボット アプリケーションを Google Cloud に展開します。最新の高度な AI / ML 機能を統合した業界トップクラスのデータおよびデジタル化プラットフォームを提供し、倉庫リソース、在庫管理、エンタープライズ サプライチェーン オペレーションを最適化します。

  • Dianomic は、自社のオープンソース ベース産業 IoT プラットフォームである FogLAMP を Google Cloud で提供します。これによって顧客は機械に接続してデータの格納、バッファリング、処理を行い、エッジで機械学習機能を実行するアプリケーションを構築できます。

  • Litmus は、自社の強力な Edge Platform を Google Cloud と統合します。これによって顧客は産業データを収集し、Google Cloud ですぐに利用できる形式に構造化することができます。

  • Nex Computers Inc. は、Google Cloud で製造業向けの IoT 自動化機能を提供します。

  • Siemens Advanta は、自社の W3C Web of Things ミドルウェア(sayWOT)を Google Cloud で利用できるようにします。これによって、クラウドに依存しない IoT アプリケーションの開発が実現されます。

  • Techolution は、自社の Edge Asset Management Platform を Google Cloud で利用できるようにします。これによって顧客は、重要なアセットをコスト効率に優れた方法で迅速に接続して管理できます。また、エッジで情報に基づいた意思決定が行えます。

メディア、エンターテイメント

メディア、エンターテイメント業界の多くの企業は、エッジでアプリケーションを活用して消費者向けに新たなエクスペリエンスを提供しようとしています。たとえば、コンサートに行く人やスポーツのファン向けの次世代ライブ動画エクスペリエンスなどです。

  • Broadpeak は、自社の Advanced Content Delivery Network を Google Cloud に導入します。これによって、動画を顧客に近い場所からローカライズして OTT 配信できるようになり、低レイテンシの 4K 対応マルチストリーム配信によって動画のエクスペリエンスが向上します。また、拡張現実や仮想現実などの新たな没入型エクスペリエンスの提供も可能になります。

  • Firstlight Media の Gen V メディア プラットフォームは、AI / ML 対応 CMS を備え、OTT サービスを数週間で開始できます。スポーツやエンターテイメントを視聴するユーザーに、低レイテンシの再生機能、ダイナミック パッケージング、リアルタイム インタラクション、高度にパーソナライズした没入型エクスペリエンスを提供します。すべて Google Cloud のエッジにデプロイされたサービスによって配信されます。

  • Harmonic は自社の CableOS Platform を利用して、環境にも優しい次世代高速ブロードバンド サービスを Google Cloud で提供します。また、フルマネージド VOS Platform では、ライブまたはオンデマンドの動画ストリーミング サービスを提供します。

  • Motojeannie は、Google Cloud を利用して次世代のリッチメディア ライブ ストリーミング サービスを提供します。これによって企業は、従来のスポーツや e スポーツ、エンターテイメントにおけるデジタル エクスペリエンスのレベルを上げ、全世界に提供できます。

  • MediaKind は自社のメディア ストリーミング、ブロードキャスト、動画投稿ソリューションを Google Cloud にデプロイし、高度にパーソナライズされた次世代のコンテンツを大規模に配信できるようにします。

  • Multicasting.io は、自社のプラットフォームを Google Cloud にデプロイし、ライブイベント用にリアルタイムのマルチアングル動画ストリーミング アプリケーションの作成と配信を実現します。

  • Synamedia は、コンテンツ プロバイダや放送局が、衛星を利用した放送から次世代の IP を利用した配信に移行するのをサポートするソリューションを Google Cloud に導入します。これによって顧客は、少ない帯域幅で優れた品質を保ったまま、より多くのプログラミングを処理できるようになります。

小売

小売業に起こっている急速なデジタル トランスフォーメーションの大半は、エッジで実行されるアプリケーションによって実現されています。これにより、キャッシュレスでの精算などの新たなカスタマー エクスペリエンスの提供や在庫管理や在庫補充などのバックエンド プロセスの改善が可能になります。

  • Qwinix は自社の小売業向け 5G-対応 Edge AI ソリューションを Google Cloud に導入します。そのソリューションには、在庫管理、損失防止、顧客行動モニタリング、自律型ショッピングなどが含まれています。

  • Trax は、自社の店舗内モニタリングおよびインテリジェンス ソリューションである Retail Watch を Google Cloud のエッジに展開します。これによって、リアルタイムで正確な陳列棚の状態を把握し、実用的な情報を収集できるようになるため、食料品店は棚の稼働率を上げ、店舗運営水準を改善できます。また、カスタマー エクスペリエンスを大規模に向上させます。

  • Trigo は自社の小売業向けサービスを Google Cloud に導入し、AI やコンピュータ ビジョンを利用して快適なカスタマー エクスペリエンスを提供できるようにします。また、小売業の店舗内のプロセスを自動化することで、買い物客の満足度を向上させることができます。

  • Zebra Technologies は、自社の小売業向けインテリジェント エッジ ソリューションを Google Cloud にデプロイします。これによって顧客は、自社の従業員や在庫、サプライチェーンを管理するために必要な情報をリアルタイムで入手し、その情報に基づいてビジネス上の重要な意思決定を行えるようになります。

業種共通ソリューション プロバイダ

以下のパートナーは、セキュリティ、デバイス検査および検証、仮想ネットワーク サービスなどに関する重要なサービスという形で、さまざまな業界のユースケースに対応する業種共通のソリューションを提供します。

  • Apptium は、自社の Cloud Commerce Platform を Google Cloud に展開します。これによって、エッジで通信ネットワークをスライシングすることで収益を上げられるようになります。

  • Cellwize は、自社の AI 駆動型 RAN 自動化オープン プラットフォームである CHIME を Google Cloud で利用できるようにします。これによって 5G の展開が簡素化されて急速に進展し、ネットワーク アプリを自ら開発できるようになることでイノベーションが促進されます。

  • DigitalRoute は、自社のクラウドネイティブの Usage Data Platform を Google Cloud に導入します。これによって、エッジサービスやネットワーク コンポーネントから使用状況情報を収集し、直接課金やパートナーによる請求などに利用できます。

  • Equinix(デジタル インフラ企業)は、レイテンシが最適化された仮想ネットワーク サービスを提供し、Equinix Metal や Equinix Fabric をエッジで活用することで、Google Cloud とオンデマンドで相互接続できるようにします。

  • Expeto は自社のセキュリティ、ガバナンス、デバイス管理機能を Google Cloud に導入します。これによって顧客は単一の管理システムで、パブリックまたはプライベートの 3G、4G、LTE、5G、CBRS ネットワークを管理し、モバイル デバイスの SIM を構成してアクティブにすることができます。また、ファイアウォールの背後のデバイスを保護したり、ネットワークの中核的な機能をコンテナ化して低レイテンシの IoT をエンタープライズ エッジで実現したりできます。

  • Guavus(Thales のグループ企業)は、自社の AI / ML ベースの分析機能を Google Cloud にデプロイします。これによって通信事業者は、利用者に関する実用的な情報をリアルタイムに把握し、コストを削減したり、カスタマー エクスペリエンスを向上させたりすることができます。

  • HeadSpin は、開発サイクル中や実稼働後に 5G アプリケーションのユーザー エクスペリエンスをプロアクティブにモニタリングする機能を提供します。これによって顧客は、アプリのパフォーマンスやユーザー エクスペリエンスに関する問題に迅速に対応できます。

  • Infovista は、自社のクラウドネイティブのネットワーク プランニング サービスを導入します。これによって顧客は、5G やプライベート モバイル ネットワークを展開するために必要な多くの機能を自動化したり、スケールアウトしたりすることが可能です。

  • Magic Leap は、エッジでリモート 3D レンダリング機能を利用できるようにすることで、自社のコプレゼンス、コラボレーション、コミュニケーション プラットフォームを強化します。また、Google Cloud の Anthos プラットフォームやネットワーク、エコシステムを活用して、自社の AR Cloud ソリューションを組織全体に展開できるようにします。

  • MobiledgeX は、グローバル エッジクラウド システムを提供します。これによってモバイル通信事業者は、エッジ ネットワーク インフラを変革して管理し、収益を上げられるようになります。MobiledgeX が Google Cloud と連携することで、ロケーションやレイテンシの管理、プライバシー コンプライアンス、データ保持などの信頼できるネットワーク内サービスを活用している企業や開発者は、アプリのデプロイ、管理、分析を容易にできるようになります。

  • Palo Alto Networks は、自社の 5G-Native Security ソリューションを Google Cloud に拡張します。これによって 5G ネットワーク、ネットワーク スライス、5G エッジ アプリケーション、セルラー IoT 全体でゼロトラスト セキュリティが確保されます。また、非常にきめ細かい 5G セキュリティ制御機能を活用し、コンテキストに応じたリアルタイム セキュリティを大規模に展開できます。

  • RIFT は、自社の自動化およびオーケストレーション スイートを Google Cloud にデプロイします。これによって、マルチベンダーの 5G スライスや他の仮想ネットワーク サービスを設計、デプロイ、運用できるようになります。

  • Robin.io は、自社の通信 / 5G 対応 Cloud Native Storage(Robin CNS)を提供します。Robin CNS にはアプリケーション認識型ストレージや、すべてのステートフル ワークロードに対応したデータ管理サービスが含まれています。また、Robin には、Anthos を始めとしたクラウドネイティブ インフラで稼働する 5G アプリケーションやエッジ アプリケーション向けに、ベアメタルからサービスまでのオーケストレーションおよび自動化プラットフォームも含まれています。

  • Thales は Google Cloud とのコラボレーション機能を展開し、クラウドにおける責任分担モデルをエッジクラウドに拡張しています。これによって顧客は、自社のセンシティブ データを保護するための包括的な制御が可能になり、コンプライアンス要件に対応できるようになります。また Thales は、モバイル接続向けに eSIM(組み込み SIM)管理ソリューションもデプロイするため、安全性とスケーラビリティに優れた方法で互換デバイスをアクティブにできるようになります。

Google Cloud のエッジで稼働する ISV アプリケーションの詳細については、担当の Google Cloud パートナーまたは営業担当者にお問い合わせください。

-Google Cloud 通信業界ソリューション担当マネージング ディレクター Amol Phadke

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