ハイブリッド式の職場環境でコラボレーションの公平性を築く方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
世界中の多くの企業と同様に、Google もオンサイトとオフサイトの仕事を組み合わせて効率的なハイブリッド モデルを実現しようとしています。そして、多くの企業と同じように、Google もまた、その方法を模索しています。Google が最高のハイブリッド式の職場環境のビジョンを描く中で、コラボレーションの公平性という課題が浮き彫りになりました。
コラボレーションの公平性とは、すべての従業員が場所や役割、経験レベル、言語、使用するデバイスに関係なく、平等に貢献し、コミュニケーションを取ることができることを意味します。コラボレーションの公平性の欠如は、ビデオ通話での上下関係や国際通話での言葉の壁から生じることがあります。たとえば、若手社員が会議で発言する権限がないように感じている、オフサイトの社員が現場の上司にアクセスするのに苦労している、あるいは現場の社員がオフィスの同僚と同じようなコミュニケーション ツールを使えていない、などということがあり得ます。
このような格差が積み重なると、個人の充足感やキャリアアップの可能性、そして仕事での効力に支障をきたす可能性があります。それが組織に浸透すると、チームのパフォーマンスは低下し、イノベーションは衰退し、人材は流出してしまいます。Google は最近全世界規模の調査を Economist Impact に委託しました。その結果、62% の回答者が「上司や同僚とのネットワーキングの機会が限られていることは、キャリアアップにマイナスの影響を与える」という考え方に同意していました。近接性バイアスは、ハイブリッドな業務環境がもたらす多くの新しい課題の一つにすぎません。
Google は、業務を行う場所が結果に影響を及ぼすべきではないと考えています。また、全員がオンサイト、または全員がオフサイトにいる方が簡単ですが、ハイブリッド モデルでは、社会的、組織的、技術的な課題についてより深く考えることが必要です。これらのアイデアには、組織のあらゆる部分から賛同を得られるようなソリューションを取り入れ、経営層レベルで取り組む必要があります。
では、柔軟性、充足感、有意義なインパクトが共存するハイブリッド式職場をどのように実現すればよいのでしょうか。
Google では、テクノロジー、文化、物理的な空間において包括性と最大限の参加を促すことで、対面とリモートの間のギャップを埋めています。また、世界中の数十億人のユーザーにコラボレーションの公平性を提供するため、Google Workspace の新機能を革新しています。
これらの取り組みの支柱となるよう、コラボレーションの公平性の 3 つの柱として、リプレゼンテーション、参加、情報を挙げました。
リプレゼンテーションの公平性
リプレゼンテーションの公平性を実現することは、すべての従業員が、オフサイトでもオンサイトでも、公平に姿を見られ、発言を聞かれ、取り上げられることを意味します。パンデミックが発生したとき、私たちは、ただ人々が安全につながることができるようにと奔走しました。分散型チーム向けの Google の既存のテクノロジーに対して圧力テストが行われ、高い能力を実証できたことを誇りに思います。しかし、現在は、オフサイトの仕事とオンサイトの仕事を融合させたときに起こる断絶に直面しています。
全員がリモートで会議に参加していたときは、動画でみんなが同じサイズのタイルを共有していました。隅に座っている人もいなければ、上下関係もなく、全員が平等に画面に現れます。ハイブリッドな環境では、ゆがみが生じています。遠隔地にいる人は会議室のモニターに巨大に映り、自宅の画面には会議室にいる人が小さく映ります。誰がいるのか判別することさえ難しいこともあります。これは確かに平等なリプレゼンテーションではありません。
これらの問題の中には、テクノロジーで解決できるものもあります。たとえば、Google Meet の AI による低照度環境での映像調整や、参加者全員にピントが合うようなオートズームなどの機能を開発していますが、いずれもハイブリッド式の職場におけるリプレゼンテーションの公平性を向上させるものです。さらに、低速なモバイル ネットワークでのデータ使用量を制限できるようになったので、通話中にビデオをオフにする必要がなくなりました。これらの技術革新はすべて、ハイブリッド型の職場のリプレゼンテーションの公平性を向上させるものです。しかし、同時に新しい職場環境の規範も採用する必要があります。たとえば、ある人がオフサイトから会議に参加した場合、全員が平等に表示されるように、全員がデバイス経由で参加するポリシーを導入している組織もあります。
参加の公平性
Google は、「参加の平等性」を、場所に関係なく平等に主催、発表、参加できることだと考えています。Google では、異なるオフィスからバーチャルに会議に参加することには慣れていました。この 1 年半で開発した新しいツールにより、誰もがさらに平等に参加できるようになりました。挙手機能、投票機能、Q&A、ブレイクアウト ルームなどの会議ツールの普及により、分散したグループでの秩序ある構造化された話し合いができるようになりました。
しかし、多くの社員がオフィスに戻ったとき、どのように交流できるでしょうか。オフサイトの社員が他の社員と同じように有意義に参加できるようにするには、どうすればよいのでしょうか。Google Meet のために開発したツールであるコンパニオン モードにより、対面参加者もオフサイトの参加者も同じように会議を体験できます。個人は、場所を問わず、同じツールを使って、同じように会議を主催し、発表し、参加できます。
また、同じ場所に複数の人がいる場合に発生することが多い、1人による会話の独占や、発言をさえぎるといった課題に対処し、会議の管理者を定め、挙手機能の使用をすすめることで、参加者の公平性を高めることができます。ルールを守らなければならず、自然なやりとりができないかもしれませんが、参加者全員の声が届くようになります。また、自分の映像が見えると気が散るという声が多いことから、自分の映像は非表示にできるようにしました。これらのツールや実践法が、参加者の公平性を向上させている様子を個人的に見てきました。
情報の公平性
情報の公平性とは、オンサイトで働くかオフサイトで働くかにかかわらず、人々が平等に情報にアクセスできることを意味します。情報の自由な流れを確保することは、長期的な思考、創造性、そしてチーム間の協力関係を向上させる鍵となります。どこで、どのように働くのがベストか、各人が自分で選ぶようになり、それが従業員の採用や定着に影響を及ぼします。さまざまな要望に対応する場合、情報へのアクセスをどのようにすれば最も平等にできるか考えます。
まず、お互いに情報を共有することを積極的に優先させます。この積極的な考え方は、会議に議題を設ける、録画や文字起こしを行う、共有可能でアクセス可能な情報を確保するなど、テクノロジーによって支援できます。Spaces や Drive などの Google のツールは、チームのメンバーが重要なファイルや会話、更新情報に確実にアクセスできる情報ハブとして利用できます。また、プロジェクトに携わる他の人の名前を @ メンションでリンクするスマート候補機能を活用することで、誰も取り残されることがないようにします。
情報の公平性の問題を一緒に解決するというコミットメントがなければ、誰も満足しない中途半端な状況になってしまう危険性があります。なぜなら、多くの人は在宅勤務を楽しむ一方で、キャリアアップを犠牲にしてまで在宅勤務を続けようとはしないからです。オンサイトの仕事に重心が傾きすぎると、ハイブリッド型の職場環境は崩壊してしまいます。Google は、個人がそれぞれの解決策を見つけることと、画一的なモデルのどちらも提唱していません。Google は、より大きな組織をサポートするために、個々のメンバーの要望を意図的に満たすことができるよう、チームを支援しています。
Google はこの転換期に世界中で仕事が変化し、発展していく様子を喜ばしく思っています。ハイブリッドな勤務形態に期待される「いいとこどり」の実現は、かつてないほど手の届くところにあると感じています。しかし、成功するためには、コラボレーションの公平性を追求する必要があります。Google の経験では、人々に自由と機会を与えると、驚くほど良い結果がもたらされます。
ハイブリッドな職場でコラボレーションの公平性を築く方法
✅ リプレゼンテーションから始める 社員一人ひとりの顔を見て声を聞くことができますか?全員がリプレゼンテーションを得るために十分なツール、テクノロジー、デバイスを持っていますか?
✅ 参加を可能にする 誰もが自分の意見を述べることを奨励されていますか?このような意見を提供するためのツールやフォーラムはどのようなものがありますか?意見をどのように認識し、どのように対処していますか?
✅ 情報を共有する 社員は仕事に必要なすべての情報にアクセスできますか?情報は自由に流れていますか、それとも溜め込まれていますか?
✅ チームや部門ごとにハイブリッドなスケジュールを設計できるようにする 一人ひとりが自分で解決策を見つけるようでは、ハイブリッド型の職場はうまくいきません。オンサイトで仕事する日はコラボレーション、創造性、ブレインストーミングが求められるプロジェクトに時間を使い、オフサイトで仕事する日は深く集中する仕事を行うようにします。
✅ 活動ではなく、結果を評価する 社員がどこでどのように働くかは、仕事をこなしている限り重要ではありません。これは、影響を最大化するために、場所や仕事のスケジュールを柔軟に変更することを意味します。
✅ お互いに対する共同責任を強調する すべてのマネージャーは以下のことを質問する必要があります。
あなたにとって働きやすい状況について、チームが知っておくべきことは何ですか?
チーム全体を成功に導くために、あなた自身はどのようなことに取り組んでいますか?
その他のトレンドやインサイトについては、Future of Work のサイトをご覧ください。
- Google Workspace デジタルワーク エクスペリエンス担当バイス プレジデント Prasad Setty