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Media & Entertainment

メディア企業がデータと AI を活用してパーソナライズを促進する方法とその注意点

2021年12月14日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 12 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

現代のメディア企業はユーザーとデジタルにつながることで、膨大な顧客データにアクセスできるようになりました。そして、そのデータは日々拡大を続けています。加えてこの 2 年間で、コンテンツの消費やユーザーの行動が世界情勢の影響を受けて変化したことで、消費者と直接つながるという傾向に拍車がかかる一方です。

メディア組織がサードパーティ データから自社データの活用へと方向転換を図るにつれ、データの量、速度、断片化に関する課題が見えてきました。それと同時に、ユーザーを獲得し、エンゲージメントを醸成して維持する方法をより深く理解し、競合環境の中でビジネスにアジリティを注入する機会も生まれました。

この機会を活かすために、メディア企業は自社データとその価値をどのようにとらえるべきでしょうか。

こうした疑問に答えるために、Google Cloud のメディア&エンターテイメント エグゼクティブ アカウント ディレクターの Gloria Lee と、Office of CTO テクニカル ディレクターの John Abel に話を聞きました。

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データと重要性の高まるパーソナライズ

お客様のニーズと期待は常に変化するものです。その点に疑問の余地はありません。メディア業界では、全体的にユーザーがパーソナライズされたコンテンツを求める傾向が強まっています。実際、2020 年に PWC が実施した調査では、回答者の約 3 分の 1(31%)が、ストリーミング サービスの利用を継続する理由として、シンプルでパーソナライズされたコンテンツのおすすめ機能を挙げています。

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ユーザー エンゲージメントが価値に直結しています。膨大なコンテンツでごった返す空間で、しかも視聴者は移り気ですから、ユーザー エンゲージメントのためにメディア企業は視聴者に関する情報をきめ細かく把握しなければなりません。そのために、自社データを捉えて有効活用することで、視聴者により良いサービスを提供できます。何を視聴しているかだけでなく、いつ、どこで、どのプラットフォームを利用しているのかも重要です(プラットフォームはますますデジタル化しています)。これらのデータポイントは、視聴者への理解を深め、視聴者が期待している高いパーソナライズ性のあるエクスペリエンスを提供するための鍵となります。 

John はこう言います。「今の世界を見渡してみると、デジタル化によって高いパーソナライズ性が求められていることがわかります。そのため、高いパーソナライズ性、データの量、データの価値は、業界を問わず極めて重要です。もちろん、メディアとエンターテイメントも例外ではありません」

AI と ML でストーリーテリングを豊かにする   

ユーザーがコンテンツをいつ、どこで、どのように受け取ることを望んでいるかを探り出すために、データ調査の必要性が加速化するでしょう。そして、データの価値を最大限に引き出すために AI と ML が不可欠になるでしょう。「最も価値のあるデータは生成されたデータ、多くの場合、機械学習や AI から生成されるものです。そうしたデータから得られる新しい分析情報を基に、新しい機会を発見することができます」と Gloria は説明します。

新しいテクノロジーは、ユーザーに関する分析情報を、多くの場合リアルタイムで提供するので、パーソナライズが容易になります。使用例としては、ユーザーの再生履歴に基づく新曲のおすすめの提供が挙げられます。しかしこのようなパーソナライズはまだ始まったばかりで、AI と ML を駆使すれば、今までにない機会が広がるでしょう。たとえば、AL と ML を使用してブランドを統合する最適なタイミングを見つけることで、視聴エクスペリエンスを強化することも可能です。Gloria はこう述べています。「人工知能や機械学習を活用すれば、コンテンツをすばやく分析して、マーケティングの目的に適した瞬間を見つけることができます」

パーソナライズを適切に行うと同時に、お客様の情報を安全かつ非公開に保つことは、メディア&エンターテイメントだけでなくすべての消費者企業にとっての課題です。John は、「どのように最先端のテクノロジーを利用するかということと、どのようにプライバシーを保護するかということは表裏一体です」と説明します。メディア&エンターテイメント企業は、データ フェデレーションのような洗練された手法を使用してデータを安全かつ非公開に保つ必要があります。このモデルでは、個人データは交換されません。代わりに、個人を匿名化するために、データはまずコホートに集約されます。このようなメソッドの目的は、プライバシーとセキュリティを維持しながら、有益な分析情報を得ることです。

データでユーザー エクスペリエンスを向上させる方法

Spotify は、データに基づく分析情報を使用してパーソナライズされたコンテンツを提供しているメディア企業の代表例です。ユーザーは簡単に新しいオーディオ コンテンツを見つけたり、お気に入りのアーティストやポッドキャストをフォローしたりできます。

「Google Cloud では…分析情報や機械学習などの主なニーズに応じて、迅速にデータを反復処理できます…この効率化のおかげで、私たちはお客様にとって何が大事かに意識を向け、お客様が思い描き求める Spotify のエクスペリエンスを提供できます」- Spotify テクノロジー&プラットフォーム担当バイス プレジデント Tyson Singer 氏

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ヨーロッパの大手放送局である Sky も、お客様へのサービス向上のためにデータ戦略を変革しています。Sky はスケーラブルなクラウドベースのアーキテクチャを構築したことで、サービスの稼働時間や配信に関する TV ボックスの診断データの量が増加しても、問題なく処理することができています。これによってデータの欠落が減り、パーソナライズによるユーザー エクスペリエンスの改善に時間を割くことができるようになりました。「将来を見据えた Sky の戦略の中心にあるのはデータです。これにより、当社の製品が直感的で使いやすいものとなり、常にコンテンツやサービスにシームレスに接続できます。お客様には、Sky のことを知り、愛着を持っていただいています」- Sky データ エンジニアリング担当ディレクター Oliver Tweedie 氏

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データ指向のメディア企業への変革

業界内外の新しいテクノロジーの動向を把握しておくことは、メディア&エンターテイメント企業の生存と将来の成功において重要な役割を果たします。そして、データを一元化し、そこから素早く分析情報を引き出す方法がなければ、メディア組織が競争力を保つことはできません。

どのような変化にも抵抗はつきものです。でも結局のところ、すべては従業員にかかっています。Gloria は、デジタル トランスフォーメーションを進める際、従業員は 3 つのカテゴリに分けられることに触れています。変化を喜ぶ協力者、気にしない人、反対する批判者です。「これは、社内でこれら 3 つの異なるグループに属する主だった従業員の声を聞き、協力してもらい、何を求めているのかを見極めるためのものです」と Gloria は説明します。

では、John と Gloria は、データ主導の未来を見据えるメディア組織にどのようなアドバイスをしているのでしょうか。

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- Google Cloud メディア、エンターテイメント業界ソリューション担当マネージング ディレクター Anil Jain

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