Google Cloud で SAP を使用して、Multipharma が変化に対処している 方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 5 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
先行き不透明な状況下、世界中の企業はプレッシャーと急速な変化に直面しています。Multipharma も例外ではありません。ベルギー最大の医薬品小売業者である Multipharma は、他の企業と同じように変化の影響を感じ、世界的なパンデミックの渦中で運営を行っています。
Multipharma は医薬品の準備と再梱包用の倉庫と生産センターを構えて、中核ビジネスである製薬に注力しながら、小売業も行っています。同社は、変化する顧客の期待に応えて激しい競争をしながら小売業者としても発展するために、従来のマーケティング システムを小売業界向けの新しい業界固有のソリューションに置き換える必要があると判断しました。そこで、柔軟性とスケーラビリティを求めて SAP S/4HANA Retail を選択し、それをクラウドにデプロイすることにしました。
このブログ投稿では、Multipharma が複雑な医薬品小売市場の変化にどのように対処しているのか、この重要な変革のためにハイパースケール パートナーとして Google Cloud を選択した理由を探ります。
変化の必要性
Multipharma は、270 店舗以上の小売店、1,700 人の従業員、最先端の倉庫、3 か所の製品包装および準備センターを持つベルギー最大の医薬品小売業者です。同社にとって、多様な顧客ベースに優れたサービスを提供することは最優先事項です。60 年以上にわたり、医薬サービスを拡張し、ニコチン管理、減量指導、その他の健康、美容などのフルセットのサービスなどを取り入れてきました。
Multipharma は、通信販売とオンライン機能を備えた新しい新興企業や、それがもたらす業界の混乱に対抗するために、顧客に完全なケアを提供する方法を再考する必要があると判断しました。再考の末、マスター データ エントリや製品リストからプロモーションの実施や価格の維持、POS 会計まで、小売の中核プロセスをエンドツーエンドで行う、包括的な小売プラットフォームを準備する必要のあることがわかりました。この準備を行うため、Multipharma は SAP S/4HANA for Retail を選択しました。
次の問題は、S/4 をどこで実行するかということでした。Multipharma は、SAP ハードウェアを自社管理しても費用対効果が低く、必要なアジリティ、セキュリティ、可用性も満たせないということをすでに知っていました。そして、現在のプライベート クラウド プロバイダでは手に負えないことが明らかになると、より良い代替策を見つけるための取り組みを開始しました。
SAP に Google Cloud を選ぶ理由
Multipharma のエグゼクティブと IT チームは、包括的な SAP デプロイについて、上位 3 つのパブリック クラウド プロバイダの広範な評価を行いました。慎重な審査の結果、主要な基準をすべて満たす Google Cloud を選択しました(下図を参照)。
Multipharma のリード エンタープライズ アーキテクトである Kevin Moens 氏は、次のように述べています。「ビジネスへの影響を考える上でも、Google Cloud で SAP テストとデプロイ環境を設定するのは非常に簡単です。柔軟性が高い上、必要なときに迅速に対応し、新しいイニシアチブを効率的に実現できるからです。」同氏は Google Cloud のセキュリティ機能についても触れています。
「Google Cloud を使用すると、ヨーロッパのデータ ストレージ規制要件を満たすことができます。また、転送中のデータと保存データを暗号化できることは、クラウド プロバイダを選択する際の決定的な要因でした。」
将来のビジネス課題に対応
Multipharma の最初の一歩は、従来の小売システムを SAP S/4HANA に移行することでした。Google Cloud、SAP、Multipharma の IT チームが協力し、3 つのレイヤからなるソリューションを構築しました。ビジネスレイヤには、S4/HANA Retail、SAP CAR(Customer Activity Repository)、BI for HANA の BW が含まれます。統合レイヤには、プロセス オーケストレーション、データサービス、SAP Landscape Transformation Replication Server(SLT)が含まれます。 管理レイヤには、SAP Solution Manager と Landscape Management(LaMa)がデプロイされます。この完全なアーキテクチャは 2020 年後半に稼働する予定です。このような主要な SAP アプリケーションを Google Cloud で実行すると、次の多くの戦略的メリットが得られます。
費用の削減。従量課金制モデルにより、さまざまな方法(夜間や週末に非本番環境システムをオフにする機能など)でコストを大幅に削減できます。
柔軟性の改善。Google Cloud のインフラストラクチャは完全に仮想化されているため、世界的な健康危機などによるビジネス状況の変化に迅速に対応できるだけでなく、薬品の宅配サービスなどへの転換が可能になります。
リアルタイムの在庫管理。実店舗とオムニチャネルの両方の在庫状況を完全に把握できます。
セキュリティ。Google Cloud は、デフォルトで転送中のデータと保存データを暗号化します。これは Multipharma にとって重要な検討事項です。
高可用性。Cloud Load Balancing により、単一または複数のリージョンにまたがるコンピューティング リソースのバランスを取ることができるほか、ダウンタイムなしのインフラストラクチャ メンテナンスを行うライブ マイグレーションが可能になります。
さらに、Multipharma は、独立したアプリケーション間でメッセージの送受信を可能にする、フルマネージドのリアルタイム メッセージング サービスである Google Cloud Pub/Sub を利用する予定です。また Google App Engine とともに Pub/Sub を利用することで、POS システムと新しい SAP ランドスケープ間のメッセージを統合して、カスタム統合モニタリングを行う予定です。
Multipharma のリード エンタープライズ アーキテクトである Kevin Moens 氏は、次のように述べています。「Google Cloud を選択したのは、料金が秒単位で請求されるからというだけでなく、Google が革新に投資しているからでもあります。当社は、将来的にセキュリティやインフラストラクチャの追加サービスにアクセスできる柔軟性を求めています。」
Multipharma は、Google Cloud で SAP S/4HANA for Retail を実行することにより、幅広い小売業のフットプリントと顧客との距離的な近さを活かして、宅配などの新しいサービスへの転換の可能性を広げることになるでしょう。また、オムニチャネル エクスペリエンス(実店舗とデジタル カスタマイズによる患者指導)に加え、医薬品の在庫に関するビジネスとマーケティング活動を充実させる
ことも計画しています。
Multipharma が Google Cloud で小売プロセスを変革した方法に関する詳しい動画をご覧ください。また、Google Cloud で SAP を使用することで革新を起こしている他のお客様の事例もご参照くだ
さい。