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データベース

ルノーが 2 年間で 70 個のアプリのデータベース移行に取り組んだ方法

2022年8月8日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 7 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: フランスの自動車メーカーであるルノーは、情報システムの全面的な移行に着手し、70 個のアプリケーションを Google Cloud に移行しました。今回はルノーが、Oracle データベースから Cloud SQL for PostgreSQL へどのように移行したかについてご紹介します。


象徴的なフランス車で知られているルノーグループは、4 つの補完的なブランドを持つまでに成長し、2020 年には約 300 万台の自動車を販売するまでになりました。全社規模の戦略計画である「Renaulution」に従い、当社はここ 1 年で、技術を統合する自動車メーカーから、自動車を統合し、ビジネスに活用できるソフトウェアを開発するテクノロジー企業へと、フォーカスを変化させてきました。情報システム グループにとってこの取り組みは、ポートフォリオ全体のモダナイゼーションと、70 もの社内アプリケーション(品質と顧客情報システム)の Google Cloud への移行を意味していました。大掛かりなプロジェクトでしたが、それに見合う成果が得られました。2 年間で品質と顧客満足に関する情報システム アプリケーションを移行して、コードを最適化し、マネージド データベース サービスによってコストを削減できました。オンプレミスのインフラストラクチャと比較すると、Google Cloud サービスとオープンソース テクノロジーを使用することで、1 ユーザーあたり年間およそ 1 ドルと、費用を大幅に抑えられます。

Google Cloud への大掛かりな移行計画

ルノーは 2016 年、新しい働き方と新しいテクノロジーを統合したデジタル プロジェクトを掲げ、クラウドへの移行を開始しました。これらの新しいテクノロジーには、大規模な運用でのアジリティの向上、データ機能、CI / CD ツールチェーンのためのテクノロジーが含まれていました。Google Cloud のデータ機能が Google Cloud を選択する決め手となりました。BigQuery や Dataflow を使用してスケーリングやコストを改善するだけでなく、Cloud SQL for PostgreSQL のようなフルマネージド データベース サービスも利用するようになりました。データは、現代の自動車メーカーにとって重要なアセットとなっています。なぜなら、データは自動車メーカーとユーザーを結びつけ、自動車メーカーが使用状況の把握や、自社の製品やサービスに関してどのような決定を下すべきかについて、より適切な情報を提供するものだからです。データレイクを Google Cloud に移行した後、次のステップとしてフロントエンド アプリケーションを Google Cloud に移行するのは自然な流れでした。これによりメンテナンスが簡単になり、レスポンス時間が短縮されることでメリットが得られます。このプロジェクトは、大掛かりな仕事でした。70 の社内アプリケーション(車体品質評価、工場での統計的工程管理、製品問題管理、アンケート分析など)について、当社の情報システムでは、Oracle、MySQL、Java、IBM MQ、CFT といったさまざまなテクノロジーを使用していて、その中には 20 年前に作られたアプリケーションもありました。

優秀な人材が移行の取り組みを主導

移行を開始する前に、各アプリケーションとその複雑さを理解するために、状況のグローバルな分析を行いました。そして、まず、画面の数が少ないアプリケーションやシンプルな SQL クエリなど、最小のアプリケーションから始め、一番大きなアプリケーションは最後に移行するという段階的なアプローチを計画しました。当初、移行に自動ツールを使用していましたが、開発チームの体系化された知識ほど役立つものはないとすぐに気づきました。開発チームは移行プロジェクトのリーダーとしての役割を果たしてくれました。


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アプリケーションを 1 つずつ移行

最初いくつかの Oracle データベースを Cloud SQL for PostgreSQL に移行したとき、共通の SQL パターンを共有するために社内 Wiki で知識を追跡することで、プロセスをスピードアップしました。いくつかのアプリケーションでは、手直し作業中にアーキテクチャを簡素化して、SQL クエリを分析し最適化する機会を得ました。また、Dynatrace や JavaMelody などのモニタリング ツールを使用して、ユーザー エクスペリエンスを確実に向上させました。

当社が展開したアプローチは大成功でした。当初、データベースの移行は不可能と思われていましたが、2 年ですべての移行プロジェクトを完了させたのです。

オンプレミス アプリケーションでは、コードのパフォーマンスをインフラストラクチャの制限から切り離す作業が開発者を悩ませました。そこで、Google Cloud への移行の一環として、モニタリング サービスを利用してアプリケーションを最適化しました。このような分析情報により、当社のチームはリソースをより詳細に管理し、メンテナンスやオペレーションに関するアクティビティを減少させ、結果としてより高速で安定したアプリケーションを実現しました。さらに、Cloud SQL への移行により、必要に応じて以前よりずっと簡単にインフラストラクチャを変更できるようになり、必要なときにインフラストラクチャを強化し、またはインフラストラクチャのサイズを縮小することでさえ可能になりました。

Cloud SQL での新体制

Cloud SQL 上で動作するようになったことで、多くのユーザーが接続している大規模なデータベースでもパフォーマンスが向上しました。Google Cloud 環境の組み込みツールのおかげで、今ではパフォーマンスの問題を簡単に把握し、迅速に解決できるようになりました。たとえば、負荷の高いバッチ処理にかかる時間を 9 時間から 3 時間と 1/3 に短縮できました。また、新しいサーバーのインストールを待つ必要がないため、チームはすぐに作業を行えます。また、スピードだけでなく、コスト削減も実現できました。モニタリング ツールから得られた分析情報に基づいてコードを最適化した結果、ユーザーにとってよりレスポンシブなアプリケーションを実現しただけでなく、オーバープロビジョニングを回避することで、コストも削減できました。   

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- 品質と顧客満足情報システム担当バイス プレジデント Cyril Picchiottino 氏

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