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データベース

PostgreSQL を使用して生成 AI アプリケーションを構築するための AlloyDB AI を発表

2023年9月15日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI は数え切れないほどの方法で私たちの想像力を捉えてきました。それは、人間のような反応をする chatbot だけでなく、まったく新しいユーザー エクスペリエンスを引き出してくれます。さらに、追加の専門的なスキルを必要とする従来の AI ワークロードとは異なり、これらの新しい生成 AI ワークロードは、デベロッパー コミュニティのより多くの開発者が利用できます。アプリケーション デベロッパーが生成 AI アプリケーションの構築に本格的に取り組む際、イノベーションの鍵はモデルそのものだけでなく、その使用方法やモデルの基盤にあるデータにもあります。

このたび、Google は、Google Cloud Next において、運用データを使用したパフォーマンスとスケーラビリティに優れた生成 AI アプリケーションの構築をサポートする、AlloyDB for PostgreSQL に組み込まれた統合機能セットである AlloyDB AI を発表しました。AlloyDB AI は、ベクトル エンベディングのエンドツーエンド サポートを組み込むことで、デベロッパーが大規模言語モデル(LLM)の能力とリアルタイムの運用データをより簡単かつ効率的に組み合わせられるようにします。

AlloyDB AI を使用すると、ユーザーはデータベース内エンベディング生成用の単純な SQL 関数を使用してデータをベクトル エンベディングに簡単に変換でき、標準の PostgreSQL よりも最大 10 倍高速にベクトルクエリを実行できます。オープンソース AI エコシステムと Google Cloud の Vertex AI Platform とのインテグレーションにより、生成 AI アプリケーション構築のためのエンドツーエンドのソリューションを提供します。

AlloyDB AI は現在、ダウンロード可能な AlloyDB Omni でプレビュー版が利用可能です。年内には AlloyDB マネージド サービスでの提供を予定しています。

ベクトル エンベディングがデータと LLM のギャップを埋める

エンタープライズ向け生成 AI アプリは、LLM だけでは対処できないさまざまな課題に直面しています。これらのアプリは、正確で最新の情報を提供し、状況に応じたユーザー エクスペリエンスを提供し、デベロッパーにとって構築と操作が容易である必要があります。

ベクトル サポートを備えたデータベースは、LLM とエンタープライズ向け生成 AI アプリ間の橋渡しとなります。なぜでしょうか。まず、データベースにはユーザーとアプリケーションの最新データが含まれています。検索拡張生成(RAG)などのアプローチを使用してデータベースからリアルタイム データを LLM に取り込むことで、LLM の根拠づけができるため、精度を向上させ、有益で、関連性があり、実用的かつユーザー向けにカスタマイズされたレスポンスを返せるようにします。2 番目に、ベクトル エンベディング(基盤となるデータの意味を表すために使用されるデータの数値表現)をサポートすることで、意味的な関連性に基づいて情報を取得できます。RAG ワークフローでは、LLM のプロンプトを強化するために、関連データを検索、フィルタリング、表現する方法としてエンベディングを使用することがよくあります。エンベディングはまた、リアルタイムでのおすすめ商品表示といったエクスペリエンスを提供し、ユーザーが最も関連性の高いアイテムを照会できるようにすることも可能です。最後に、運用データベースは一般的に、アプリケーション デベロッパーにとってエンタープライズ アプリケーションをサポートするものとしてすでに馴染みがあり、信頼されています。

Google はデベロッパーの方々がすでに知っていて愛用しているデータベース、特に PostgreSQL を使用して、エンタープライズ対応の生成 AI アプリを簡単に構築できるようにしたいと考えています。PostgreSQL は、その豊富な機能、エコシステムの拡張機能、そして活発なコミュニティにより、リレーショナル データベースの業界標準として台頭してきました。7 月には、これらのニーズへの対応に着手するため、AlloyDB と Cloud SQL で人気のある pgvector 拡張機能のサポートを開始しました

AlloyDB AI は、標準の PostgreSQL で利用できる基本的なベクトル サポート上に構築されており、開発エクスペリエンスを合理化し、より幅広いワークロードのニーズを満たすためにパフォーマンスを向上させます。その結果、ベクトル エンベディングを活用し、生成 AI エクスペリエンスを構築するエンドツーエンドのソリューションが実現します。これにより、ユーザーはわずか数行の SQL でエンベディングを作成してクエリを実行し、関連するデータを見つけることができます。特殊なデータスタックは必要なく、データを移動する必要もありません。

仕組み

AlloyDB AI は、デベロッパーがリアルタイム データを生成 AI アプリケーションに組み込むのを支援するために、AlloyDB にいくつかの新機能を導入します。たとえば次のようなものです。

  • 簡単なエンベディング生成 - AlloyDB AI ではシンプルな PostgreSQL 関数を導入することで、データにエンベディングを生成できます。SQL を 1 行入力するだけで、低レイテンシでデータベース内のエンベディングを生成するローカルモデル(AlloyDB Omni のテクノロジー プレビュー版で利用可能)と、Vertex AI のより充実したリモートモデルの両方を含む、Google のエンベディング モデルにアクセスできます。これらのモデルを使用すると、生成された列での推論によってエンベディングを自動的に作成したり、ユーザーの入力に応答してオンザフライでエンベディングを生成したりできます。

  • 高速なベクトルクエリによるベクトル サポートの強化 - AlloyDB クエリ処理エンジンとの緊密なインテグレーションにより、標準 PostgreSQL より最大で 10 倍高速なベクトルクエリを実現します。また、Google の ScaNN テクノロジーに基づく量子化技法も導入しており、有効にすることで 4 倍のベクトル次元と 3 倍のスペース削減をサポートします。

  • AI エコシステムとのインテグレーション - Vertex AI Extensions(年内に提供予定)や LangChain など。最後に、Vertex AI のリモートモデルを呼び出す機能を引き続き提供し、不正行為の検出といったユースケースでの SQL を使用した低レイテンシ、高スループットの拡張トランザクションを実現します。

これらの機能は、関連する拡張機能をインストールすることで、どの AlloyDB デプロイメントにも追加料金なしで追加できます。

AlloyDB Omni でどこでも生成 AI アプリを構築可能

AlloyDB AI は、移植性と柔軟性を念頭に置いて構築されています。PostgreSQL に対応しているだけでなく、AlloyDB Omni を活用することで、オンプレミスからエッジ、さまざまなクラウド環境、さらにはデベロッパーのノートパソコンまで、あらゆる場所でエンタープライズ グレードの AI 対応アプリケーションを構築できます。このたび、AlloyDB Omni はテクノロジー プレビュー版から公開プレビュー版に移行いたしました。

エンタープライズ アプリケーションにおける AlloyDB に寄せられたお客様からの厚い信頼

お客様はすでに自社のミッションクリティカルなアプリケーションにおいて AlloyDB を信頼しており、その AI 機能を活用する際も AlloyDB そのままを使い続けることができます。PostgreSQL との完全な互換性、99.99% の可用性、さらにデータ保護、障害復旧、組み込みセキュリティなどのエンタープライズ機能を備えた AlloyDB は、最上位のアプリケーションに対応するために構築されています。

「シカゴ マーカンタイル取引所(CME)グループは、最も要求の厳しいエンタープライズ ワークロードに AlloyDB を利用したいと考えています。すでに複数のデータベースを Oracle から AlloyDB に移行しているところです。」

Oracle から AlloyDB に移行するのであれば、発表を予定している Database Migration Service の Duet AI もお見逃しなく。この機能は、ストアド プロシージャ、関数、トリガー、パッケージ、カスタム PL / SQL コードなど、従来の変換技術では変換できなかった Oracle データベース コードの変換を自動化する AI 支援型コード変換を提供します。今すぐプレビュー版にご登録ください。

生成 AI ムーブメントを推進

データと AI の未来は明るく、Google Cloud データベースは、デベロッパーがすでに慣れ親しんでいるデータベースを使用して、エンタープライズ対応の生成 AI アプリを簡単に構築できるプラットフォームを提供します。

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詳しくは、Google のデータベース ポートフォリオをご覧ください。また、Next ‘23 については、Google Cloud データベースの今後の展開のスポットライト セッション、すべてのデータベースに関する最新情報およびDatabase Professionals トラックの解説セッションをお見逃しなく。


- Google Cloud データベース、エンジニアリング担当ゼネラル マネージャー兼バイス プレジデント Andi Gutmans

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