データベース

Google Cloud、革新的なデータベース新製品を発表

2024年8月2日

Andi Gutmans

GM & VP of Engineering, Databases

※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI の導入が加速し続ける中、オペレーショナルデータベースは、正確で関連性が高く、企業内の正確な情報に基づいたエンタープライズ AI アプリを構築するための基盤となります。Google Cloud の目標は、AI アプリの構築と実行に最適なデータベースを提供することです。そのために、Spanner Graph、ベクトル検索、高度な全文検索など、Spanner を使用したインテリジェント生成 AI アプリを簡単に構築できる新機能を発表できることを嬉しく思います。また、Bigtable SQL と Bigtable 分散カウンタの発表により、開発者のエクスペリエンスを変革し、アットスケールなアプリケーションの構築をさらに容易にします。さらに、SQL Server や Oracle などの従来のエンタープライズワークロードを使用してお客様をサポートし、データ資産の最新化を支援する主要な発表を以下にご紹介します。

インテリジェントな生成 AIアプリを容易に構築

この 1 年間、Google Cloud は、業界をリードするベクターサポートと Vertex AI およびオープンソースの LangChain との強力な統合を提供することで、開発者の企業向けの生成 AI アプリケーション構築支援に注力してきました。しかし、インテリジェントな AI アプリケーションを構築するためには、データ自体だけでなく、データがどのように相互接続されているかについても推論したいというお客様の声も聞いています。また、キーワード検索だけでなく、AI を活用したセマンティック検索を実装することで、ユーザーが適切なデータを簡単に検索できるようにする必要もあります。そのため、常に稼働し、グローバルの整合性および実質的に制限のないスケーラビリティを持つデータベースであるSpannerに革新的な複数の新機能を搭載しました。

Google Cloud は本日、 Spanner Graph を発表しました。Spanner Graph は、Spanner のマルチモデル機能を拡張し、実質的に制限のないスケーラビリティでのグラフ処理を可能にします。Spanner Graph は、業界標準のグラフクエリ言語（GQL）をサポートしており、SQL との相互運用性を提供することで、単一の操作で構造化データと接続されたデータのシームレスなクエリを実行します。開発者は、ナレッジグラフとグラフベースの検索拡張生成(GraphRAG) で AI アプリケーションを強化し、小売業者はよりスマートなレコメンデーションエンジンを実装し、金融サービス会社は高度な不正検出を提供できるだけでなく、その他多くの価値の高いユースケースを実現することが可能になりました。

「Google Spanner のマルチモデル機能とグラフ機能により、不正検知とトランザクションデータ管理を強化し、堅牢で信頼性の高いシステムが構築できます。」 - Transmit Security、データプラットフォームグループマネージャー Hai Sadon 氏 (

「Spanner Graph の柔軟なデータモデリングと高性能なクエリ機能により、オンラインアプリケーションに蓄積された膨大な量のデータを、はるかに効率的に活用できるようになりました。」 - U-NEXT、シニアプリンシパルエンジニアアーロンタン (Aaron Tang) 氏

キーワード検索とセマンティック検索も、AI アプリの重要な構成要素です。本日、 Spanner の全文検索とベクトル検索を発表します。新しい全文検索機能は、Google が数十年にわたって培ってきた検索の専門知識を基盤としており、拡張性に優れた高度な全文検索を実現します。

Google の革新的な ScaNN アルゴリズムに基づく Spanner の新しい近似最近傍ベクトル検索は、最初に AlloyDB に導入し、この度 Spanner に導入しました。これにより、インデックス作成と検索ベクトルの埋め込みが可能になり、AI 主導のセマンティック検索を強化できるようになりました。Spanner Graph、全文検索とベクトル検索により、Spanner は最も可用性が高く、グローバルな整合性があり、スケーラブルなデータベースであるだけでなく、シームレスに相互運用できるインテリジェントな機能を備えたマルチモデルデータベースへと進化し、新たな AI 対応アプリケーションを提供できるようになりました。

最近リリースしたデュアルリージョン構成では、オーストラリア、ドイツ、インド、日本のデータレジデンシー要件に準拠しながら、Spanner の業界をリードする 99.999% の可用性を活用できます。Spanner の地域別パーティション分割により、単一のグローバルデータベースの管理性を維持しながら、コストを最適化し、世界中に分散するユーザー向けにレイテンシを改善できます。

このようなSpanner の新機能に加えて、新たなパッケージングと価格設定の Spanner エディションを発表します。各組織のニーズと予算に合わせて、高い柔軟性とコストの透明性を提供します。

開発者エクスペリエンスの刷新

Bigtable は、Google 広告などの多くの Google サービスで使用されている Key-Value かつワイドカラムストア型であり、プレイドやメルカリなどのお客様に、Bigtableの柔軟なスキーマ、書き込みスループット、低レイテンシを高く評価いただいています。Google Cloud は、開発者のエクスペリエンスの変革に取り組んでいます。SQL が依然としてほとんどのデータドリブンアプリケーションの主要言語であるにもかかわらず、開発者が Bigtable のデータモデルとパフォーマンスを活用するためには、Bigtable API を使用する必要がありました。しかし、Google Cloud は、そのプロセスを刷新します。

この度、Bigtable SQL サポートを発表しました。開発者は、Bigtable のパフォーマンス、柔軟なデータモデル、スケールを活用し、既存のスキルを使用してリアルタイムアプリケーションを構築できるようになりました。これは、20 年以上前の Bigtable のリリース以来、間違いなく最大の変化です。本日より、100 を超える SQL 関数が Bigtable で直接利用できるようになりました。生成 AI アプリケーションの開発のための kNN やログ処理のための JSON 操作から、リアルタイム分析のためのデータスケッチの使用まで、ニーズに合わせて拡張できるリアルタイムの高性能アプリケーションの構築がこれまでになく簡単になりました。

「Bigtable のシームレスな SQL 統合と効率的なカウンタ機能により、お客様向けにより堅牢でスケーラブルなソリューションを構築できるようになります。」 - 株式会社プレイド、執行役員日鼻旬氏

また、先日 Bigtable 分散カウンタを発表し、リアルタイムの組み込み分析を備えたアットスケールなアプリケーション構築をさらに容易にしましたが、本日、分散カウンタの一般提供開始を発表します。分散カウンタは、AI、不正検出、データメッシュ、レコメンデーションなどのユースケースをサポートするためのイベントストリームの処理など、高スループットの書き込み時間集計用に最適化されています。Bigtable カウンタを使用すると、毎日のユーザーエンゲージメントの集計、最小のセンサの読み取り値を決定するための最小値の確認、ピーク使用量を特定するための最大値の確認、BigQuery からのバックロードされた履歴データを使用して個別のユーザーのおおよその数を追跡したりすることが容易になります。

もちろん、データサイエンティストのことも忘れてはいません。PySpark、Scala、Spark SQL をサポートする新しい Spark コネクタの一般提供開始により、Bigtable でのデータパイプラインの構築と大規模な ML モデルのトレーニングも容易になります。

データベースの資産を最新化するために

2023 年、PostgreSQL と MySQL 向けの Cloud SQL Enterprise Plus エディションを発表しましたが、本日、SQL Server 向け Cloud SQL Enterprise Plus エディションを発表します。SQL Server 向けCloud SQL Enterprise Plus エディションは、Cloud SQL Enterprise エディションと比較して読み取りパフォーマンスが最大 4 倍向上し、99.99% の可用性 SLAと高度な災害復旧を提供します。

「不動産賃貸管理サービスとして、特に繁忙期には、データベースのワークロードに対してより高いパフォーマンスと可用性が必要です。Cloud SQL for SQL Server Enterprise Plus Edition の新しいパフォーマンス最適化マシンタイプを使用して、高スループットのワークロードを実行し、CPU あたりのメモリ比率向上によるメリットを活かすつもりです。Cloud SQL for SQL Server Enterprise Plus Edition は、お客様に喜んでいただける賃貸管理サービスを実行するために必要な価格性能を提供してくれます。」 - 株式会社ビジュアルリサーチ、CTO 渡邊瞬氏

最後に、Google Cloud は先日、お客様のクラウドトランスフォーメーションの加速を支援するオラクルとの新たな戦略的パートナーシップを発表しました。Oracle Exadata や Autonomous Database サービスなどのオラクルのデータベースサービスを Google Cloud データセンター内でホストできるようになりました。さらに、お客様は、Google Compute Engine 上でオラクルのデータベースとアプリケーションのユースケースを実行し、Oracle Cloud Infrastructure と Google Cloud を相互接続することも可能です。このパートナーシップにより、両社のお客様がオラクルベースのアプリケーションを Google Cloud に容易に移行できることを大変嬉しく思います。