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データベース

Spanner エディションで信頼性の高いインテリジェントなアプリケーションを構築し、データの持つ可能性をさらに引き出す

2024年8月2日
Wenzhe Cao

Group Product Manager

Jagdeep Singh

Director of Product management

※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

オペレーショナル データベースは、モダンなアプリケーションの基盤です。ユーザーの要件が多様化し、アプリケーションが複雑化するにつれて、組織は特定のニーズを満たすために多数の専用データベースを採用してきました。しかし、この傾向は課題も招いています。データベースには独自のデータ モデリング、ストレージ、および取得メカニズムが備わっているため、データサイロが発生し、データ パイプラインが複雑化していることから、管理にかかる IT予算がますます大きくなっています。 

常に稼働し、グローバルな整合性があり、実質的に制限のないスケーラビリティを持つデータベースである Spanner は、さまざまな業界のあらゆる最新アプリケーションを強化しています。Spanner は、多くの革新的な組織がデータドリブンな変革を行うための基盤となっています。本日、グラフ、全文検索、ベクトル検索など、Spanner に新機能を発表します。これらの革新的な機能により、組織は1つの強力なデータベース上で運用を統合し、異なるデータモデル間でシームレスな相互運用性を備えたインテリジェントなアプリケーションを構築できます。

  • Spanner Graph は、パーソナライズされたレコメンデーション、コミュニティの検索、不正行為の特定などの一般的なグラフのユースケースに対応するため、相互接続されたデータの結果のフィルタリングのパターンをマッチング、関係をトラバースし、結果をフィルタリングする直感的かつ簡潔に行う方法を提供します。

  • 高度な全文検索は、長年にわたる Google の検索に関する専門知識を基に、非構造化テキストに対する強力なマッチングと関連性ランキングを実現します。

  • ベクトル検索 は、Google の 12 年以上にわたる近似最近傍アルゴリズムの研究と技術革新に基づき、生成 AI アプリケーションの基盤であるセマンティック情報検索をサポートします。

さらに、複雑化するレイテンシ、コスト、コンプライアンスに関するお客様の要求に応えるため、Spanner のコア プラットフォームを強化しました。

  • 地域別パーティション分割は、データの一部を特定の場所に保存しながらグローバルにデプロイし、高速なローカル アクセスをサポートします。

  • デュアルリージョン構成は、データ主権の要件を尊重しつつ、マルチリージョンの可用性を提供します。

  • 自動スケーリングは Spanner デプロイ サイズを自動的に調整し、過剰なプロビジョニングなしにトラフィック パターンの変化に迅速に対応できます。

Spanner エディションのご紹介

これらの新機能とともに、コストの透明性を高め、コスト削減を支援する新たな段階的な価格設定モデルである Spanner エディションを発表しました。Spanner エディションは、Standard、Enterprise、Enterprise Plus から、ニーズと予算に合わせて適切な機能をお選びいただけます。

Standard エディションは、単一リージョン構成で現在一般提供 (GA) 中のすべての機能と、定期的なバックアップ、BigQuery からのリバース ETL などの新機能を含む包括的なサービスです。Enterprise エディションは Standard エディションを基盤とし、新しい Spanner Graph、高度な全文検索、ベクトル検索などのマルチモデル機能を活用しています。また、マネージド オートスケーリングと増分バックアップを使用して、運用の簡素化とデータ保護を強化します。Enterprise Plus には、最高レベルの可用性、パフォーマンス、コンプライアンス、ガバナンスを必要とするワークロード向けに、99.999% の可用性と新たな地域別パーティション分割機能を備えたマルチリージョン構成が含まれています。

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Spanner の各エディションについて詳しくご紹介します。 

Standard エディション

Standard エディションは、Spanner の一般的な機能を網羅しています。Standard エディションでは、自動シャーディング、同期レプリケーション、透過的なフェイルオーバーを提供する Spanner の単一リージョン構成にアクセスでき、実質的に制限のないスケーラビリティと 99.99% の可用性を保証します。 Standard エディションには、エンタープライズ グレードのセキュリティおよびデータ保護制御などの、現時点で GA 済みの機能がすべて含まれています。

さらにStandard エディションには、Spanner と BigQuery の緊密な統合、Data Boost や BigQuery フェデレーションなどの機能に加え、リバース ETL や BigQuery による外部データセットなどの新機能も追加しています。また、定期的なバックアップにより、データ保護機能も拡張しました。Spanner をご利用のすべてのお客様は、Standard エディションでこれらの拡張機能もご利用いただけます。

Standard エディションの特徴は以下の通りです。

  • リレーショナル ワークロードを Spanner に移行することで、運用負荷を軽減し、コストのかかる計画的および計画外のダウンタイムと総所有コストを削減します。

  • Spanner の自動シャーディングで、 MySQL のシャーディングのような、複雑なアプリケーション レベルのシャーディングを回避することができます。

  • Spanner のネイティブ PostgreSQL Interface を使用して、ロックインを回避しアプリケーションのモダナイズします。

  • Cassandra と DynamoDB の API 互換アダプタのサポートにより、一貫性のあるセカンダリ インデックスと複数行トランザクションを使用して NoSQL ワークロードを強化します。

  • BigQuery フェデレーションと Spanner Data Boost を使用して、複雑な ETL パイプラインやデータサイロを回避しながら、最新のデータ分析を実行し、データを信頼できる単一の情報源データベースに統合します。

  • 複雑な分析ユースケースを BigQuery で計算し、リバース ETL を使用して Spanner から提供することで、高い QPS と低レイテンシを実現します。

Enterprise エディション

Enterprise エディションでは、様々なデータ構造を利用でき、アプリケーションに真のマルチモデル アクセスを提供し、運用デプロイメントを統合できます。Enterprise エディションでは、Spanner の既存のリレーショナル機能と NoSQL 機能に加えて、Spanner Graph、全文検索、ベクトル検索機能を使用してデータにアクセスできます。さらに、これらすべての機能を組み合わせることができ、高可用性、スケーラビリティ、整合性という Spanner の主要な利点を維持しつつ、完全に相互運用可能な真のマルチモデル データベースを提供します。すべてのデータを 1 つの場所にまとめることで、トランザクション データベースと専用データベース間でデータを移動する必要がなくなり、データの重複やサイロ化を回避し、運用の複雑さを軽減、データガバナンスを簡素化し、総所有コストを削減できます。

Enterprise エディションの特徴は以下の通りです。

  • SQL と GQL(Graph Query Language) の長所を組み合わせることで、実質的に制限のないスケールでSpanner Graph の機能をアプリケーションに追加し、アナリストや開発者が構造化データや接続データを 1 回の操作でクエリできるようにします

  • データを専用の検索ソリューションにコピーしてインデックスを作成することなく、高度な検索機能を使用して、検索アプリケーションをモダナイズし、全文検索で運用パイプラインを簡素化します。

  • オペレーショナル データのネイティブなベクトル検索サポートにより、文脈に関連したデータ、ドメイン固有データ、リアルタイム データで基盤モデルをグラウンディングすることで、AI を活用したユーザー エクスペリエンスを向上させます。 

  • 全文検索とベクトル検索を、従来の情報検索とセマンティック情報検索と組み合わせた検索可能な製品カタログや、リレーショナルおよびナレッジ グラフの RAG 技術を使用して LLM をグラウンディングする生成 AI 製品など、強力なマルチモデル アプリケーションを実現します。

Enterprise Plus エディション

Enterprise Plus エディションは、最も可用性が高く、すべての機能を備えています。99.999% のマルチリージョン構成に加えて、Enterprise Plus では新たにデュアルリージョン構成が追加され、データ主権の要件を満たしながら Spanner の優れた可用性も利用可能になりました。また、Enterprise Plus では、地域別パーティション分割も利用できるため、データのサブセットに対して低レイテンシとデータの局所性を維持しながら、グローバルなデプロイを実現できます。

Enterprise Plus エディションの特徴は以下の通りです。

  • Spanner のマルチリージョン構成にアプリケーションをデプロイすることで、複雑な災害復旧ソリューションの構築と管理が不要になり、99.999% の可用性と真の 0-RTO および 0-RPO のデプロイが可能になります。

  • オーストラリア、ドイツ、インド、日本などにある Spanner のデュアルリージョン構成にアクセスし、可用性を損なうことなく、データ主権の要件を維持することができます。

  • データ パーティションにより、データの局所性を維持しながらグローバルなデプロイを管理し、必要な場所で常に低レイテンシで利用できるようにします。

透明性の向上とコストの最適化

新しい Spanner エディションでは、シンプルな価格設定モデルを導入しました。レプリカごとの課金に移行し、コンピューティングとデータ レプリケーションのコストを分離することで、コストの透明性と効率性を向上させています。各エディションにはコスト最適化機能が備わっており、新たなエディションへのアップグレードはシームレスに行えるように設計されています。

Standard エディションを単一リージョンで利用するお客様には、料金に変更はありません。拡張されたマルチモデルおよび検索機能をご希望のお客様は、機能ごとに異なる価格設定ではなく、単一の価格設定を提供する Enterprise エディションを選択できます。また、マネージド オートスケーラーや増分バックアップなど、性能と価格の両面でメリットを享受することができます。さらにEnterprise Plus エディションでは、コンピューティング コストの削減、コンピューティングからのレプリケーションの分離、監視レプリカのストレージ料金の削減を実現します。構成可能な読み取り専用レプリカを使用しているお客様は、選択したエディションに応じて、レプリカのコストを40〜60%に削減できます。Spanner エディションへの移行はシームレスで、Spanner が提供するすべてのイノベーションを活用しながら、コストを最適化することができます。

Spanner エディションは 2024 年 9 月 24 日より提供開始予定です。詳細については、Spanner エディションの概要ページをご覧ください。

 

-グループ プロダクト マネージャー Wenzhe Cao
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プロダクト マネジメント担当ディレクター Jagdeep Singh

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