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データ分析

BigQuery のデータ クリーンルームによる安全でプライバシー重視の共有

2023年4月10日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

さまざまな業界の企業は、データを共有し、自社データを外部ソースと組み合わせることにより、新しい分析情報を得てパートナーと連携しています。実際、毎週 6,000 以上の組織が、BigQuery を使用して組織の境界を越えて 275 PB を超えるデータを共有しています。昨年、Google は BigQuery 上に構築された Analytics Hub を市場にリリースしました。これにより、お客様はデータ移動に関する課題を最小限に抑えながら、費用対効果の高い方法でデータを共有、交換できます。ただし、お客様は多くの種類のデータを共有しており、その中にはより厳しい規制とプライバシー要件の対象になるものもあります。そのような場合、お客様は、マルチチャネル マーケティング データを分析し、さまざまな業界のビジネス パートナーと安全にコラボレーションできるように、追加の保護レイヤを必要とすることがあります。

これを後押しするために、Google は第 3 四半期に BigQuery データ クリーンルームを導入します。組織はこれによりプライバシー重視のデータ共有、分析、組織間でのコラボレーションを実現する安全な環境を作成し、管理できます。通常、データを移動またはコピーする必要はありません。

データ クリーンルームは、大企業がユーザーのプライバシーとデータ セキュリティを尊重しながらユーザーについて理解するのに役立ちます。たとえば、BigQuery データ クリーンルームでは次のようなことが可能になります。

  • 小売業者は、小売店からの POS データと日用品企業からのマーケティング データを組み合わせることで、マーケティングおよびプロモーション活動を最適化できます。

  • 金融サービス企業は、他の金融機関や政府機関からの機密データを組み合わせて不正行為の検出を改善したり、複数の銀行の顧客データを集約して信用リスク スコアリングを構築したりできます。

  • ヘルスケア業界では、医師と製薬研究者がクリーンルーム内でデータを共有して、治療に対する患者の反応を知ることができます。

これらは、BigQuery データ クリーンルームによって実現できるユースケースのほんの一例にすぎません。その仕組みを見てみましょう。

データ クリーンルームを数分でデプロイ

データ クリーンルームは、Analytics Hub を通じてすべての BigQuery リージョンで提供され、数分で作成、デプロイできます。お客様は、Google Cloud コンソールまたは API を使用して安全なクリーンルーム環境を作成し、データを提供するパートナーや他の参加者を招待することができます。

データの提供者は、クリーンルーム内でテーブルやビューを公開したり、機密情報を集約、匿名化して保護したりできます。また、分析ルールを構成して、データに対して実行できるクエリの種類を制限することも可能です。さらに重要なことに、クリーンルームにデータを追加する場合、通常は、データのコピーを作成したり、データを移動したりする必要はありません。その場で共有し、データ提供者の管理下に置いたままにすることができます。最後に、データ サブスクライバーのお客様は、自分のプロジェクト内でプライバシー重視のクエリを実行できるクリーンルームを見つけて登録できるようになります。

クリーンルーム内の共有データは、リアルタイムで最新の状態にすることができます。サブスクライバーは、共有テーブルまたはビューに対する変更をすぐに利用できます。また、データ提供者は、集計されたログと指標を受け取り、クリーンルーム内でデータがどのように使用されているかを把握できます。

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BigQuery データ クリーンルームの使用に関連して、BigQuery のお客様に追加の費用は発生しません。複数のパートナーとコラボレーションする場合、データ提供者はデータのストレージに対してのみ料金を支払い、データ クリーンルームのサブスクライバーはクエリに対してのみ料金を支払います。

注: ハードウェアに支えられた機密性保持とプライバシーの保証を備えたうえで、機密データに対して汎用アプリケーションを実行する必要がある組織のために、Google Cloud は Confidential Space を提供しており、最近一般提供が開始されました。

BigQuery でデータ クリーンルームを実現するパートナー

BigQuery のデータ クリーンルーム機能は、Habu および LiveRamp とのパートナーシップによって現在実現されています。L’Oréal のようなお客様は、プライバシーを重視したデータ オーケストレーションのためのデータ コラボレーション プラットフォームである Habu を使用して、Google Cloud および Habu と連携し、データを安全に共有しています。「私たちは、BigQuery と Habu 環境内で最初に連携した企業のうちの一つであることをうれしく思っています。データ サイエンス リソースに触れることなく、より多くのデータに安心かつ安全にアクセスして、分析できるようになったことで、お客様をよりよく理解し、マーケティング活動の実際の影響を測定できるようになりました」と L'Oréal の SVP 兼メディア責任者である Shenan Reed 氏は述べています。

「Google Cloud とのパートナーシップは、オープン テクノロジー エコシステム全体で摩擦のないコラボレーションを実現するという私たちの取り組みを実証しています。クリーンルームへのアクセスを民主化し、ブランドが求めるプライバシー重視のツールを提供することで、共通の顧客の成長に向けた新たな道が開かれています」と Habu の共同創業者で CEO でもある Matt Kilmartin 氏は述べています。

Google Cloud 上の LiveRamp は、BigQuery 内でのプライバシー重視のデータ コラボレーションと ID 解決を可能にし、より効果的なデータ パートナーシップを促します。BigQuery での LiveRamp のソリューションは、お客様の自社データの価値を引き出し、プライバシー重視の ID データモデルを確立します。これにより、次のことを正確に行うことができます。

  • オフラインとオンラインの両方の記録の統合を改善して、顧客ユーザーのプロファイルをより正確かつ全体的に把握する

  • マッチ率の向上によりリーチと測定品質を改善し、ユーザーを安全にアクティブ化する

  • お客様と見込み顧客のデータをオンライン メディア レポートやパートナー データ要素と結び付け、ML モデルを使用してカスタマー ジャーニーとアトリビューション インサイトを改善する

「LiveRamp は、Google エコシステム全体を通じてプライバシーに配慮した正確なデータ接続を実現するための徹底したサポート体制を開発しました。当社は、自社製のデータ コラボレーション プラットフォームを備えた Google Cloud の最初のクリーンルーム プロバイダの一つです。それだけに、Analytics Hub が BigQuery エコシステム全体の優れたネイティブ クリーンルーム ソリューションとして進化していく姿を見るのを非常に楽しみにしています。Google Cloud との継続的な連携において重点としているのは、世界中のクライアントがより簡単にデータに接続してコラボレーションできるようにすること、より影響力のあるユーザーのモデリングと計画を推進し、BigQuery でデータの有用性を安心かつ安全に、そしてネイティブに拡張できるようにすることです」と LiveRamp のID 解決プロダクト責任者である Max Parris 氏は述べています。

最後にご紹介するのは、BigQuery 上に構築された顧客データ プラットフォームの Lytics です。コンポーズ可能な CDP は、Google Cloud を運用して業務を行う企業がデータを使用してビジネスの方法を変革し、関係を構築するのに役立ちます。これには、顧客データ インフラストラクチャ、データの整備、アクティベーション、レポート用のツールが含まれます。これらはすべて、ブランドが顧客データをスケーリングおよび活用して、行動に移すことができる有意味なインサイトを明らかにする取り組みをサポートするものです。Lytics は、BigQuery とのコラボレーションから構築されたデータ クリーンルーム ソリューションも提供しています。データの管理と処理、取り込み、統合、拡充、合成、エンティティ解決のための機能などがあります。このソリューションは、Google Cloud の交換レベルの権限を利用し、個人を特定できる情報(PII)を公開せずにデータを統合できるため、お客様はデータの重複を回避し、プライバシー リスクを制限しながら、組織全体でデータを活用できます。

次のステップ

BigQuery データ クリーンルームに関する詳細については、今後の BigQuery カスタマー ロードマップ セッションに参加してご確認ください。早期アクセスに関するお問い合わせは、データ分析チームまでご連絡ください。Habu に連絡すれば、データ クリーンルームのご利用を今すぐ開始していただけます。Google と YouTube のキャンペーン パフォーマンスをよりよく理解し、プライバシー重視の方法で自社データを活用するためにクリーンルームの使用を考えているマーケター様は、BigQuery 上に構築された Ads Data Hub for Marketers という、Google の広告測定ソリューションもご検討ください。


- Google Cloud、プロダクト管理リード Nikhil Gaekwad
- Google Cloud プロダクト マーケティング マネージャー Angela Soares
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