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データ分析

アンケートの回答を使用してエクスペリエンス管理(XM)データ ウェアハウスを作成

2021年4月13日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 4 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

組織は、エクスペリエンス管理と分析について、ニーズを理解して顧客、従業員、ベンダーに向けて最高レベルのサービスを提供するための重要な要素であると認識しています。アンケートは、あらゆる形態と規模の組織においてエクスペリエンス管理分野でデータを収集する強力な手段となります。Verified Market Research によると、アンケートなどのツールを含む Experience Management は 175 億米ドル規模の市場で、2020 年から 2027 年まで年率 16.8%(CAGR)で成長すると予想されています(出典)。

Google フォーム、SurveyMonkey、Qualtrics、TypeForm などのツールを使えば、企業が交流しているグループや組織から迅速に回答を得ることができます。テクノロジーの選択肢が増えてアンケートのプラットフォームが簡単で効果的になったことで、多くの企業がたくさんのアンケートを作成しています。これらのアンケートは特定の問題を解決するために一度だけ使用され、結果を分析して共有した後のアンケートおよび結果データは忘れられてしまうことが多いです。当然ながら、企業はこれらの結果を取得して格納し、アンケートごとに分析したりファースト パーティおよびサードパーティの別データと比較したりして、原因や改善のための潜在的な選択肢をより深く理解できるようにすることも可能です。

このエクスペリエンス管理データ ウェアハウスを作成する際の障害にはどのようなものがあるでしょうか?アンケートは本質的には柔軟な手段であり、多くのアンケート システムは質問と回答、列と行の形式、もしくは区切られた結果としてデータを提供します。このようなデータ形態は人間が利用する際には適していますが、広範な分析には適しておらず、形式を改善するための処理は非常に面倒なものとなります。このブログでは、Google Cloud と Trifacta が協力して、このデータを簡単に形成、表示、使用するためのデザイン パターンを作成したことについてご説明します。

規模と柔軟性に重点を置く

アンケートのデータセットでは、質問をより構造化された形式で比較、分析、拡張できるように、データのピボット化や解析が必要になることが多いです。このアンケートの分析パターンでは、データを変換してデータ ウェアハウスに入れ、そのウェアハウスを使用して分析し、結果を共有するまでの処理をご説明します。このパターンは、さまざまなタイプのアンケートや異なる反復アンケートに拡張することができ、より詳細で一貫した分析に使用できるプラットフォームを提供します。

このパターンを説明するため、Google フォームを取得の仕組みとして使用します(注: この例では Google フォームを使用していますが、同様のエクスポート スキーマを持つ他のアンケート エンジンにも概念を適用できます)。Google フォームでは複数のチェックボックスやランク付けされたリスト、自由な回答など、さまざまな方法で質問を構成でき、それぞれ微妙に異なる出力を得ることができます。アンケート分析パターンでは、質問カテゴリに基づいて、データを構造化し、BigQuery テーブルに読み込むための特定のアプローチを提供します。

たとえば、多肢選択式の質問の場合、セミコロンで区切られた値のリストとして結果を表示することがあります(例:「回答 1; 回答 4; 回答 6」)。Google プラットフォームのデータ準備サービスである Google Cloud Dataprep by Trifacta を使用すると、これらの値を取得し、抽出物を解析して、各回答が新しい行になるわかりやすい形式にすることができます。

質問を開始する

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元のエクスポート

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変換されたエクスポートとデータ ウェアハウスでの結果

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Google Cloud Platform において、エクスペリエンス管理データ ウェアハウスは Cloud Dataprep by TrifactaBigQueryデータポータルまたは Looker という 3 つの主要テクノロジーを活用します。前述したように、Cloud Dataprep は、分析に使用するデータの正規化、クリーニング、拡充に関わる重要なテクノロジーです。Google Cloud のエンタープライズ データ ウェアハウスである BigQuery は、アンケート データを他のデータソースとあわせて格納し、関係者がより深く掘り下げて隠れたトレンドを発見できるようにします。データポータルや Looker を使用することで、ユーザーはデータを探索および可視化し、発見した知見に基づいてすぐに行動を起こせます。また、このデータ準備と AI / ML を組み合わせることで、より簡単にデータの異常やトレンドを特定して対応することができ、分析をさらに進化させることができます(詳しくは、Google Cloud の AI Platform およびアナリティクスの AI / ML リファレンス パターンの一部をご覧ください)。

エクスペリエンス管理データ ウェアハウスのメリット

エクスペリエンス管理データ ウェアハウスを構築することは、より強固な分析の文化に向けた大きな一歩となります。全体像として、エクスペリエンス管理データ ウェアハウスは企業に次のことを可能とします。

  • 複数のアンケートや回答の比較(手動での組み合わせ不要)

  • たとえば、チームの満足度とチームまたはリージョンの規模との相関関係を明らかにするなど、さまざまなアンケートから回答を抽出することで新たな知見を獲得

  • たとえば、製品の使用状況に関するアンケート結果と売上データを組み合わせて、コンバージョン率の高い新規のマーケティング セグメントを顕在化させることで、ウェアハウス内の別データを使用してアンケート結果を充実

  • Looker やデータポータルなどの BI ツールを使用することでアンケート結果を新しい方法で表現および可視化

  • より広いユーザー層に、魅力的でパーソナライズされた可視化形式でアンケート結果を共有

  • スケーラブルなアンケート手法を構築することで時系列での反復および改善を実現

  • 人工知能(AI)や機械学習(ML)を使用して、より高度な分析や意思決定をアンケート データに適用

アンケート分析パターンのユースケース

エクスペリエンス管理データ ウェアハウスが現実でどのように機能するのかについて、企業の活用例をいくつかご紹介します。

  1. 従業員のエクスペリエンス: 通常、人事部は従業員の一般的な満足度について把握するために四半期ごとにアンケートを実施していますが、パンデミックの発生に伴い、より頻繁にアンケートを実施することにしました。これらの従業員満足度の結果を 1 つにまとめたことで、人事部は満足度をパンデミック前と比較したり、パンデミック中に実施されたアンケートを抽出して、満足度が時系列で向上しているかどうかを確認したりすることができるようになりました。

  2. プロダクト エクスペリエンス: 製品チームは、特定のサービスもしくは機能の使用状況を把握するためにアンケートを実施します。データ ウェアハウスに格納されたすべてのアンケート結果を、製品チームは売上データと組み合わせることで拡充し、製品の使用状況が販売の成功と相関しているかどうかを把握することにしました。売上データはすでに BigQuery に格納されているので、このデータにアクセスして組み合わせることも容易です。

  3. カスタマー エクスペリエンス: ある市場調査チームは、カスタマー ジャーニーの理解を深めたいと考えています。これらのアンケートは、アナリストがユーザーの感情を理解しやすくなるだけでなく、見込み顧客の発掘源にもなります。マーケティング担当者は、アンケート結果を CRM ツールなど知見に富んだ別のデータセットと結びつけることで、分析を使用して購買意欲の高いユーザーを対象としたキャンペーンを作成できます。

使ってみる

アンケートを次のレベルに引き上げ、エクスペリエンス管理データ ウェアハウスを構築することにご興味がありましたら、Codelab にアクセスしてテクニカル ガイドまたはチュートリアル動画をご参照ください。すべてのパターンは、スマート アナリティクスのリファレンス パターンのページからアクセス可能です。

-Trifacta ソリューションおよびパートナー マーケティング担当シニア ディレクター Bertrand Cariou

-デベロッパー アドボケイト Leigha Jarett
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