Google Cloud Cortex Framework: Cloud Data Fusion を介した SAP データの接続

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 3 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
組織のイノベーションのスピードは 2 つの要素によって左右されます。1 つ目は、ツールとサービスの適切なセットが使用できること、2 つ目は、それらのサービスで関連するデータセットを使用できるようにすることです。Google Cloud Cortex Framework には、1 つ目の要素を実現するためのソリューション アクセラレータが備わっています。デプロイすることで、さまざまなユースケースと業界シナリオに対応し、ベスト プラクティスを取り入れ、エンタープライズ環境における Google Cloud の蓄積された実績をもとに構築を行うことができます。Cloud Data Fusion は、2 つ目の要素を実現するためにスケーラブルなデータ統合パイプラインを提供します。これにより、ビジネスのアジリティを実現するために設計された Google のスケーラブルなクラウド データ ウェアハウス、BigQuery 内で、組織の SAP と SAP 以外のデータセットを統合できます。
データおよび分析戦略の加速
Google Cloud Cortex Framework を利用すると、SAP 環境用の構成要素やテンプレートが豊富に揃ったデータ基盤を活用できます。SAP と SAP 以外のデータを結合できるスケーラブルなデータ基盤により、新しい分析情報を入手できます。BigQuery 用の事前定義済みの運用データマートと変更データ キャプチャ処理スクリプトが付属しており、モデル作成とデータ処理から憶測による作業を排除できます。また、機械学習テンプレートを使用して、プロダクトの推奨や顧客セグメンテーションといった一般的なビジネス シナリオ向けの高度な機能を利用できます。これらのすべてのデータアセットをさまざまなビジネス ユーザーが表示して使用できるように、プラグアンドプレイの Looker ダッシュボード テンプレートを数多く用意しています。これにより、販売数、注文数、商品や顧客の詳細情報などの分析情報をすばやく獲得することができます。


すでに多数のアセットが利用可能で、さまざまなビジネス シナリオをサポートするスケーラブルな技術戦略を開始できます。Google Cloud Cortex Framework の今後のリリースで利用可能となる新しいソリューション アクセラレータでは、さらに多くのユースケースが網羅され、カスタマー エクスペリエンスを向上させて分析情報を行動につなげることができるようになります。
Cloud Data Fusion によりクラウドネイティブなデータ統合が可能に
Cloud Data Fusion は、クラウドネイティブなフルマネージド データ統合および取り込みサービスです。デベロッパー、データ エンジニア、ビジネス アナリストの効率的な ETL / ELT パイプラインの構築および管理を支援します。また、Google Cloud などのクラウドやオンプレミス上のソースとターゲットに対してさまざまなプラグインを提供します。その中には、SAP Business Suite と S/4HANA システムからデータを抽出し、BigQuery などのデータ ウェアハウスに送信できるプラグインも含まれています。
Cloud Data Fusion の SAP SLT レプリケーション プラグインを使用すると、既存の SAP Landscape Transformation Replication Server(SLT)のツールとスキルセットを活用して、データを SAP ERP から BigQuery に継続的にほぼリアルタイムで統合できるようになります。未加工の SAP テーブル形式で BigQuery へのデータ移転を構成して実行し、SAP 向け Cortex Framework Data Foundation の事前定義されたデータモデルとコンテンツでデータを使用することが可能です。SAP SLT レプリケーション プラグインは、Cortex Framework Data Foundation の補完に最適です。このプラグインでは、未加工の SAP ERP データレコードをほぼリアルタイムで複製しながら、変更データ キャプチャ処理も可能なので、統合ジョブは、初期読み込みが完了すると、一括転送を行わなくても、生成されたデルタレコード上でのみ実行されます。この方法でデータを複製することで、データを他のデータセットとより簡単に結合できるようになり、新たな知見を得られる可能性があります。
Cloud Data Fusion により Google Cloud Cortex Framework でのデータ統合が可能に
さらなるイノベーションにすぐに取り掛かり、SAP をレコードの主要なソースとするために、Google Cloud Cortex Framework によって提供される事前定義されたオペレーション データモデルや他のソリューション アクセラレータ コンテンツを活用しようとする場合、データ統合に Cloud Data Fusion を使用することには次の利点があります。
Cloud Data Fusion はすべての操作を視覚的に行うことができるため、Pipeline Studio を使用して、SAP ECC や S/4HANA、その他多くのデータソースからデータを読み取るパイプラインをすばやく設計できます。これは、SAP と SAP 以外のシステムのデータを容易に結合して、Google Cloud Cortex Data Foundation に読み込めるということを意味します。データは事前構築されたアクセラレータ テンプレートによって受け取られ、ユーザーにわかりやすい形式で分析情報が提供されます。SAP データモデルに関するドメイン固有の専門知識は必要ありません。
Cloud Data Fusion は、水平方向にスケーリングしてパイプラインを実行することで、パフォーマンスとスケーラビリティを向上させます。SAP SLT レプリケーション プラグインにより、SAP SLT システムでデータを Google Cloud Storage バケットに書き込み、すべての変更を追跡できます。Cloud Data Fusion パイプラインはデータを BigQuery に移動する手順を処理し、すべての変更を既存のデータセットに統合できます。
Cloud Data Fusion は、SAP 以外の既存のエンタープライズ アプリケーションとデータ ウェアハウス向けの多くのプラグインを備えています。Google Cloud Cortex Framework のソリューション アクセラレータは増加し続け、他のソフトウェア ベンダーからのデータソースが使用されるユースケースも増え続けています。したがって、さまざまなソース エンドポイントを処理できるデータ統合プラットフォームを選択すれば、組織の環境でのあらゆるソースシステムで同じツールを利用できるようになります。


Google Cloud Cortex Framework と Cloud Data Fusion では、フルマネージドでクラウドネイティブな大規模データ統合、事前定義された BigQuery ビューと ML テンプレート、および一般的なビジネス シナリオの分析情報をすばやく得ることのできるプラグアンドプレイの Looker ダッシュボードといったさまざまな Google Cloud サービスを活用して、SAP システム内のデータから分析情報を取得できます。
Google Cloud Cortex Framework ソリューション ページ、および Google Cloud Data Fusion プロダクト ページにアクセスして、最新のコンテンツと使用可能なデプロイ オプションについてソリューション エキスパートにご確認ください。
- Google Cloud、SAP 戦略およびアーキテクチャ担当パートナー技術リーダー Benjamin Schuler
- Google Cloud、プロダクト管理データ統合担当 Chaitanya(Chai)Pydimukkala