BigQuery データ クリーンルームのプレビュー版の提供を開始

※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 31 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

業界を問わずますます多くの企業が、新たな分析情報を獲得してビジネス価値を引き出すために、自社のデータを外部ソースと組み合わせるか、パートナーと直接連携しています。組織内で、または組織の境界を越えて共有するデータが増えるにつれて、データのセキュリティとプライバシー、その中でも特に機密データのセキュリティとプライバシーが今まで以上に重要になっています。

組織がこれらの課題を解決できるよう支援するため、Google は BigQuery にデータ クリーンルームを導入することを発表しました。組織はこのクリーンルームを利用することで、プライバシーを重視したデータ共有と分析を可能にする安全な環境を構築し、管理できます。BigQuery は、サーバーレスで費用対効果に優れたエンタープライズ データ ウェアハウスです。各種のクラウドで機能し、ビジネスにおけるデータのニーズに合わせてスケールできます。さらに、AI / ML やビジネス インテリジェンスも組み込まれており、有益な情報を見出すのにも役立ちます。BigQuery データ クリーンルームは、エンタープライズ クラスの保護とミッション クリティカルなワークロードによって高度なセキュリティとプライバシー管理を提供できるため、チームは基盤となるデータを保護しながら有意義な分析を行うことができます。

このたび、Analytics Hub がサポートされているすべてのリージョンで、BigQuery データ クリーンルームのプレビュー版の提供が開始されました。Analytics Hub は、データ共有を可能にする BigQuery 内のデータ共有プラットフォームです。この機能により、以下のことが可能になります。

• 数回クリックするだけでデータ クリーンルームを作成してデプロイし、組織の境界を越えて連携する。基盤となるデータを BigQuery に移動またはコピーする必要はない

• n 方向の結合を行う。たとえば、Analytics Hub で提供されている数千もの一般公開データセットや商用データセットによって既存のデータを充実させることができる

• 分析ルールとプライバシー ポリシーを使用して機密データを保護する

• データ クリーンルーム スペースでリーダーと同じ分析ルールを利用する（機密データの保護に役立つ集計しきい値など）

• データやクエリ結果がコピーまたはエクスポートされないようにする

• データ クリーンルームで共有されているデータの使用状況を一括表示で管理、追跡、制御する

データ クリーンルームは、さまざまな業界で数多くのユースケースが考えられます。金融業界では、さまざまなソースからの機密データをデータ クリーンルームに統合することで、不正行為の検出を向上させ、正確な信用リスクスコアを作成できます。小売業者は、POS データをマーケティング情報と組み合わせることで、プロモーション戦略や日用品サプライヤーとのデータ共有をより効果的に最適化できます。出版社では、広告効果の最適化に役立つ有益なデータを広告主との間で安全かつ簡単に共有できます。

Google Cloud をご利用いただいている L’Oréal などのお客様は、BigQuery データ クリーンルームが提供されるのを心待ちにしていました。

「当社は世界各地でのデータ分析に Google Cloud を集中的に使用しており、BigQuery でデータ クリーンルームを構築できるようになったことを喜んでいます。データ移動の低減とデータ共有による時間と費用の節約やフットプリントの大幅な縮小に加え、ユーザーのプライバシーを守る安全で合理化されたデータ共有を通じて、当社と連携している小売業者からより多くの価値を得られることを期待しています。」 - L’Oréal、データ プラットフォーム アーキテクト、Antoine Castex 氏

多様な業種で急速に注目を集めているデータ クリーンルームは、マーケターが熱心なアーリー アドプターとなり、キャンペーン評価などのタスクに活用しています。しかし、マーケティングがより高度になると、さまざまなデータソース（自社が所有しているものや、パートナーシップを通じて得られたものなど）を安全に、かつプライバシーを保護しながら結合する必要が生じるため、データ クリーンルームに存在しないデータは使用するのが難しくなります。

BigQuery Analytics Hub の Ads Data Hub for Marketers

Ads Data Hub for Marketers の既存のお客様は、最終顧客の購入経路を把握するために、すでに BigQuery のファースト パーティ データとキャンペーン データを分析できます。来年初めには、他の BigQuery データ クリーンルームと同時に、Ads Data Hub for Marketers にも BigQuery Analytics Hub を介して接続できるようになります。

Ads Data Hub for Marketers を使用すれば、オンラインでのユーザーの個人データを保護する厳格なプライバシー チェックを維持しながら、包括的な分析を行うことができます。

BigQuery でデータ クリーンルームを実現するパートナー

Habu は、プライバシーを重視したデータ オーケストレーションのためのデータ コラボレーション プラットフォームであり、BigQuery データ クリーンルームのローンチ パートナーです。Disney Advertising のようなお客様は、Google Cloud と Habu を使用してデータを安全に共有し、そこから得られた分析情報をビジネス ユーザーに提供しています。  

「Google Cloud とのパートナーシップは、オープン テクノロジー エコシステム全体で摩擦のないコラボレーションを実現するという私たちの取り組みを実証しています。データ クリーンルームへのアクセスを民主化し、ブランドが求めるプライバシー重視のツールを提供することで、共通の顧客の成長に向けた新たな道が開かれています。」 - Habu、共同創業者 / CEO、Matt Kilmartin 氏

Google Cloud 上の LiveRamp は、BigQuery 内でのプライバシー重視のアイデンティティ解決を可能にし、より効果的なデータ パートナーシップを促します。BigQuery での LiveRamp のソリューションは、お客様のファースト パーティ データの価値を引き出し、プライバシー重視のアイデンティティ データモデルを確立します。これにより、次のことを正確に行うことができます。

• オフラインとオンラインの両方の記録の統合を改善して、顧客ユーザーのプロファイルをより正確かつ全体的に把握する

• マッチ率の向上によりリーチと測定品質を改善し、ユーザーを安全にアクティブ化する

• お客様と見込み顧客のデータをオンライン メディア レポートやパートナー データ要素と結び付け、ML モデルを使用してカスタマー ジャーニーとアトリビューション インサイトを改善する

「LiveRamp は、Google エコシステム全体にわたってプライバシー重視の正確なデータ接続を実現するための徹底したサポート体制を開発しました。当社は、自社製のデータ コラボレーション プラットフォームを用意した Google Cloud の最初のクリーンルーム プロバイダの一つです。それだけに、Analytics Hub が BigQuery エコシステム全体の優れたネイティブ データ クリーンルーム ソリューションとして進化していく姿を見るのを非常に楽しみにしています。当社は現在、世界中のクライアントが Analytics Hub で「エンタープライズ ID」を使用してより簡単に連携できるよう支援しています。エンタープライズ ID は、データを結び付け、データ クリーンルーム パートナー間の分析の正確さを高めるための最適な鍵です。LiveRamp 独自のサードパーティ グラフを基にした、特定目的向けの構成可能なファースト パーティ アイデンティティ グラフは、接続性を向上させ、顧客モデリングの個人レベルと家族レベルでのより柔軟な分析を促進します。さらに、このグラフによって BigQuery での顧客に関する機密データの処理も安全に行えるようになります。」 - LiveRamp、アイデンティティ解決プロダクト責任者、Max Parris 氏

Google は TransUnion と提携し、同社の TruAudience 無転送アイデンティティ解決ソリューション サービスを BigQuery に取り入れました。TransUnion のお客様は、クライアントの BigQuery 環境にデータを留めたままアイデンティティ解決を実行できます。この新たなインテグレーションにより、マーケターはデータ品質を改善し、より的確な分析情報を取得して、プライバシーを最優先にしながら BigQuery データ クリーンルームで連携できます。TransUnion は、BigQuery の優れた相互運用機能を利用することで、既存の高度な ML ベースのエンティティ解決サービスをほとんどコード変更なしに統合することができました。

「アイデンティティの確固たるビューは効果的なマーケティング分析の基礎となります。クライアントが BigQuery を基盤としたアイデンティティ解決、強化、重複除去によって高度なデータ分析のパフォーマンスを拡大できるのは喜ばしい限りです。Google とのパートナーシップにより、マーケターは顧客に関する機密情報を共有することなくデータにアクセスし、パートナーと連携できるようになります。」 - TransUnion、アイデンティティ ソリューション / 信用マーケティング / プラットフォーム インテグレーション担当 VP、Ryan Engle 氏

Tumult Labs を利用すると、BigQuery のお客様は、データ クリーンルームに差分プライバシーを導入し、コンプライアンスとプライバシーのリスクを最小限に抑えることができます。  

「BigQuery データ クリーンルームをご利用のお客様が、プライバシーを損なわずに、データから新たな価値ある分析情報を引き出せることを嬉しく思います。当社の実績ある差分プライバシー プラットフォームは、データ クリーンルームからの出力を確実に制御し、プライバシー保護の厳格な保証の下で集計データを共有できるようにします。BigQuery との戦略的パートナーシップに基づき、今後もより多くのお客様に世界トップクラスのプライバシー テクノロジーを簡単にご利用いただけるよう取り組んでまいります。」 - Tumult Labs、共同創業者兼 / CEO、Gerome Miklau 氏

BigQuery データ クリーンルームに関心をお持ちの場合は、今すぐ公開プレビュー版にご登録ください。Google と YouTube のキャンペーン パフォーマンスをより深く理解するため、およびプライバシー重視の方法でファースト パーティ データを活用するためにデータ クリーンルームの使用を考えているマーケター様は、BigQuery 上に構築された Ads Data Hub for Marketers という Google の広告測定ソリューションもご検討ください。